著者
佐藤 隆史 呉 勇波 林 偉民 島田 邦雄
出版者
社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.425-430, 2010-07-01 (Released:2011-05-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

磁性流体(MF)や磁気粘性流体(MRF)と同様に,磁気に感応する機能性流体の一種である磁気混合流体(MCF)は,新たな効果の発現のため多くの工業分野への応用が検討されている.MCFはMFと粒径数μmのカルボニル鉄粉で構成される流体であり,本研究ではMCFに砥粒とα-セルロースを混合することによりMCFスラリとして利用する.MCFスラリは流体であることから,工作物形状に倣って自由に変形できることに加え,強磁場下において流体中の磁性微粒子が磁力線方向に沿ってクラスタ(鎖状配列)を形成し粘度が増大するため,砥粒を半固定保持することができる.したがって,永久磁石に吸引したMCFスラリを工作物に押し付け,相対運動を付与することで,従来の研磨技術で困難とされる3次元形状工作物に対する高能率研磨技術への応用が期待できる.本報では,静磁場下におけるMCFスラリが高い加工力を工作物に付与できる反面,元の形状に復元されるのに時間を要することを実験的に確認する.また,変動磁場下では強制的に磁性微粒子の再配列が促され,形状が復元されることを確認し,その復元機構を明らかにする.また,変動磁場下のMCFスラリは工作物に付与できる加工力が低下するものの,能率的な加工が可能となることを明らかにする.さらに,3次元形状工作物に対する加工特性を評価する.
著者
上原 里程 篠原 亮次 秋山 有佳 市川 香織 尾島 俊之 玉腰 浩司 松浦 賢長 山崎 嘉久 山縣 然太朗
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.376-384, 2016 (Released:2016-08-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

目的 21世紀の母子保健の主要な取り組みを示すビジョンである「健やか親子21」では,母子保健統計情報の利活用促進が課題の一つである。市町村での母子保健統計情報の利活用促進には都道府県による支援が重要な役割を果たすと考えられるため,都道府県が市町村支援に活用できるよう市町村の母子保健統計情報の利活用の現状と課題を明らかにすることを目的とした。方法 2013年に実施された『「健やか親子21」の推進状況に関する実態調査』(以下,実態調査)のうち政令市および特別区を除いた市町村の「健やか親子21」を推進するための各種情報の利活用に関する設問を分析した。まず,市町村別の母子保健統計情報の集計分析を行っている都道府県および課題抽出を行っている都道府県が管轄している市町村を抽出し,さらに定期的に母子保健統計情報をまとめている市町村とまとめていない市町村に分けて,定期的なまとめをしていない市町村の特性を観察した。結果 実態調査の対象となった1,645市町村すべてから回答を得た。市町村別の集計分析を行っている都道府県は35か所(47都道府県のうち74.5%)あり,課題抽出を行っている都道府県は14か所(同29.8%)あった。集計分析を行っている35都道府県が管轄する市町村は1,242か所あり,このうち母子保健統計情報を定期的にまとめている市町村は700か所(56.4%),まとめていない市町村は542か所(43.6%)あった。母子保健統計情報を定期的にまとめていない市町村においては,妊娠中の喫煙,予防接種の状況,低出生体重児の状況について積極的に利活用している市町村の割合が有意に少なかった(いずれも P<0.001)。また,児童虐待の発生予防対策や低出生体重児に関する対策などは定期的なまとめをしていない市町村において都道府県と連携して実施した市町村の割合が有意に少なかった。結論 母子保健統計情報を定期的にまとめていない市町村では,児童虐待の発生予防などの対策について都道府県との連携が希薄であり,母子保健統計情報の利活用が進まないこととの関連が示唆された。都道府県は管内市町村の母子保健統計情報を集計分析して市町村へ提供することに加え,これらの母子保健事業を市町村と連携して取り組むことによって市町村での母子保健統計情報の利活用を促進できる可能性がある。
著者
籠瀬 良明
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.63-68, 1951-07-30 (Released:2009-04-28)
参考文献数
4
著者
木寺 奈織子 山田 響子 有村 隆明 西村 秀紀
出版者
信州医学会
雑誌
信州医学雑誌 (ISSN:00373826)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-15, 2010 (Released:2010-07-12)
参考文献数
17
被引用文献数
2
著者
久保 吉人
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-13, 2014-08-25 (Released:2014-08-28)
参考文献数
26

Design-Oriented Innovation aims to pursue toward the future of a world where people live by in-house designers in the characteristics of manufacturing firms in Japan. This paper addresses the effectiveness of product innovation theory through case study, Socialization of tacit knowledge by the in-house designers in collaboration with external designers, that in between the New Product Development members born in collective intelligence. Japanese firms specific designer-centered methodology brings added value creation idea is with diversity in collaboration with external designers. It is assumed that this information helps to determine when the in-house designer of new product development team as coordinator. Finally, the pattern to which the collaboration with external designers thinking movement as a business strategy will implicate the closed collaboration ‘Elite Circle’ of new products development (Pisano & Verganti, 2008, pp.82) .
著者
家入 一郎
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.247-253, 2014-07-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
7

Genetic information, which is useful for understanding and describing large interindividual differences in the pharmacokinetics and pharmacodynamics of clinically useful drugs, is continuously increasing. Genetic polymorphism in drug metabolizing enzymes and drug transporters has been focused on currently, especially for cytochrome P-450s (CYPs, such as CYP2C9, CYP2C19, and CYP2D6), and organic anion transporting polypeptides 1B1(OATP1B1)and pglycoprotein, respectively, are available in various clinical situations. Currently in Japan, pharmacogenomic(PGx)observations are incorporated into drug labels(for various types of drugs such as proton pump inhibitors(PPIs), anti-cancer drugs and NSAIDs), highly advanced medical technology(e. g., CYP2C19 genotyping for eradication of H. pylori by PPIs), and national healthcare insurance for the genotyping test(e. g., UGT1A1 genotyping in irinotecan therapy). Nevertheless, the clinical uptake of PGx knowledge has been limited. Concise and reproducible evidences, the genotyping cost, and education of PGx utility for medical staffs should be considered for the future medicine.
著者
田中 隆
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.611, pp.611_81-611_100, 2010-12-31 (Released:2013-04-17)
参考文献数
35

日本における生命保険の普及は,営業職員を中心とする販売チャネルから供給されてきたが,それらのチャネルが,消費者の保険選択に有効であり続けてきた要素についての検討は,稀少であった。本稿では,営業職員チャネルを中心にした分析から,販売チャネルにおいて消費者から重視される信頼性の存在する構図について,さらに角度を変えて考察を進めた。本稿では,とりわけ営業職員チャネルの有効性に関しては,リレーションシップ・マーケティングの概念を分析手法に用いて考察を試みた。考察の結果,日本の生命保険販売が,営業職員チャネルによるものが大半である現状から,情報の非対称性下において機会主義的行動の可能性におかれる消費者にとって有効な行動は,営業職員を信じることであった。またリレーションシップ・マーケティングにおける交換的次元と共同体的次元の概念は,優良営業職員が築いてきた営業における言動に確認されることが示された。
著者
渡辺 守之 三浦 雅彦 茂田 洋史
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.58-60, 1969-09-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

38ヵ月令の白色種雄から採取した原精液0.1mlを10ヵ月令の青銅色種雌に注入して次の成績を得た。1.受精率は97.3%,ふ化率83.4%でかなり良好な結果を得た。2.受精卵の持続日数は61日で七面鳥の平均受精卵持続日数よりかなり上廻った。3.上記の成績は今後のわが国における七面鳥の人工授精の実施に明るい見透しを示すものである。
著者
渡辺 守之 浜中 勝司 安井 光昭
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.137-139, 1967-03-31 (Released:2008-05-15)
参考文献数
28

七面鳥の人工授精に関する基礎的研究として七面鳥特有の保定台を考案しmilkingを伴ったマッサージ法により容易に採精可能なことを確認した。得られた精液の一般性状は次の通りである。採精量は0.05~0.3ml,平均0.11ml;pHは7.0~7.8,平均7.6;1mm3中の精子数は2.11~18.20百万,平均5.11百万;総精子数は1.62~27.30億,平均6.12億であった。なお精子の大きさは全長82.7~93.7μ,平均86.8±0.56μ;頭部長8.0~13.0μ,平均10.4±0.25μであった。
著者
尾埜 善紀
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.261-264, 1967-04-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
6
著者
福地 伸章 松枝 大治
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2009年年会
巻号頁・発行日
pp.115, 2009 (Released:2010-04-06)

ミャンマー, Mogok地域は,ルビー・サファイア,スピネル,トパズ,電気石などの宝石鉱物を産出する地域として知られる.上八洞石(Johachidolite; CaAl[B3O7])は,岩瀬,斎藤(1942)により北朝鮮吉州上八洞から発見された新鉱物で,最近になって本地域のペグマタイト中からもその産出が報告された.この上八洞石は淡黄緑色と橙黄色部からなり,少量のThを含むのが特徴である.今回は鏡下観察,EPMAによる化学組成,カソードルミネッセンス(SEM-CL)像の観察に加えび流体包有物測定等により本鉱物の生成環境に関して得られた知見を報告する.
著者
星谷 勝 山本 欣弥
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.654, pp.355-366, 2000-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

ライフラインネットワークやトラス構造物といった現実の工学システムは, 多くの要素から構成されており,構成要素の部分的な被害がシステム全体の破壊に直結するとは限らない. 本研究では, このようなシステムの有する保有耐力, いわゆる冗長性を, Shannon の情報エントロピーを用いて物理的に定義し, 冗長性指数 (redundancy index) を提案している. 次に, 古くから扱われている並列システムを例題として, 信頼性 (reliability) と冗長性 (redundancy) の持つ意味について詳しく検討している. さらに, 簡単なネットワークモデルを用いてシステムの形状, リンクの破壊確率とシステムの信頼性および冗長性について検討を行った. 本研究で示した冗長性指数は, De, Kammchandani and Comell によって定義された冗長性指数と比べて, 優れた特長を有していることがわかった.
著者
竹内 政保 川村 三郎 菅原 正義 鈴木 陽子 蔀 花雄 尾形 ひろ美 太田 冨貴雄 綾野 雄幸
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.165-171, 1987-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

トウモロコシ外皮から調製したDF素材 (RCB) をラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間に及ぼす影響, ならびにRCBを添加したビスケットを女子大生 (221人) に摂食させ, 排便状況をアンケート調査により調べた。1) 飼料中に, RCBをNDF含量5%レベルで添加して成熟ラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間を測定した。糞が出終わるまでの時間は, DF無添加群50.8±1.2時間に比して, RCB群32.5±1.2時間と有意に短縮された。また, 糞の水分含量もDF無添加群40.6±1.6%に比べて, RCB群46.0±0.3%と有意に高い値を示した。RCBは比較として用いたWBとほとんど同じ結果を示した。2) 女子大生 (18~19歳) を被験者とし, 1日当たり5.5gのDFを強化したRCB添加ビスケットを2週間継続して摂食させ, 排便状況について調べた。その結果, 毎日排便のある人が37.6%から60.2%に増加した。被験者のうち, 便秘症とみなされる人は25.8%含まれていたが, 1週間のビスケットの摂取により, その59.6%の人に便秘改善効果が認められた。
著者
松崎 敦子 山本 淳一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.359-368, 2015 (Released:2015-11-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

児童発達支援事業所に勤務する保育士2名を対象に、応用行動分析の知識と技術に関する研修プログラムを実施した。研修は、講義、オンザジョブトレーニング(OJT)、ビデオフィードバックで構成した。保育士の支援技術は、本研究用に作成した40項目の支援技術リストを用いて評価し、参加児の評価は、介入前後に標準化テストと行動観察を実施した。その結果、保育士の支援技術が向上し、介入終了から2か月後の事後評価においても維持されたことが示された。また、参加児の発達も複数の評価指標において示された。本研究において、保育士の支援技術を向上させるには、フィードバックが必要であること、フィードバックの手続きとして、OJTとビデオフィードバックを並行して実施することが有効であること、技術の向上が認められても安定するまでは介入を継続する必要があること、などの条件が示唆された。