著者
濱田 国佑
出版者
日本都市社会学会
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.28, pp.101-115, 2010 (Released:2011-12-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

In this paper, I analyzed about the Japanese residents consciousness harbored toward foreign residents using the data of local resident investigations conducted in Oizumi-town, Gunma Prefecture and Toyohashi-city, Aichi Prefecture.     Firstly, it became clear that “contact hypothesis” was supported in Oizumi-town. When they have contact with foreign citizens, their is a tendency to weak exclusive consciousness toward foreign people. On the other hand, “contact hypothesis” was not supported in Toyohashi-city.     Secondly, I analyzed about the contribution factor of “exclusive consciousness” using regression model. Then, it became clear that the “blue-collar worker” made an impact on the “exclusive consciousness” to foreign residents in both areas. Furthermore, the regression slope of the “ratio of foreign residents” in the “blue-collar” category is sharper than other categories. This would suggest that people who feel “threat” of foreign residents might have a tendency to express exclusive consciousness toward foreign residents.     Finaly, I analyezed about the model that social positions and the “ratio of foreign residents” had impacts on “exclusive consciousness” through “perceived threat”. Then, I found that “bluecollar worker” had an indirect impact on “exclusive consciousness” through “perceived threat” in Toyohashi-city.
著者
堀田 千絵 伊藤 恵美 岩原 昭彦 永原 直子 八田 武俊 八田 純子 八田 武志
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.143-149, 2009 (Released:2010-01-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

We examined the relationship between the feeling of well-being and the duration judgments by remembering of a negative (earthquake) and non negative (social) memories for 40s, 50s, 60s, 70s, and 80s elderly groups. They were asked to produce the subjective time for each event and fill out the questionnaire of feeling of well-being. The results showed that female participants in 70s, 80s elderly groups decreased the subjective time of the negative event. Moreover, as feeling of well-being declined, the subjective time of the negative event were also decreased. The results suggest that less subjective time of the negative events may lead to less forgetting of them and associate with the present negative activities and imagining negative future happenings.
著者
松隈 洋介 松下 雄一 垣上 英正 井上 元 峯元 雅樹 安武 昭典 岡 伸樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-145, 2006 (Released:2006-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
7 11

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2をハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いた,TSA方式で除去・濃縮するための基礎試験,パイロット試験およびシステム最適化のため吸脱着挙動のシミュレーション計算を行った.この結果,CO2の平衡吸着量は濃度と温度の関数としたLangmuir型で,また気–固間の物質移動と熱移動のJ因子はいずれもRe数の関数として一つの式で表示できることがわかった.次いで,実機を模擬した,内径460 mm,充填層高480 mmのパイロット試験により,CO2の回収率は80%以上可能であることを確認した.さらに,物質移動や熱移動などを考慮した回転式吸脱着装置のシミュレーション計算を実施した.まず,基礎試験結果およびパイロット試験結果とシミュレーション計算結果を比較することにより計算の妥当性を確認した.次いで,吸着,加熱再生,パージおよび冷却の各工程におけるCO2の吸脱着挙動を把握し,システム最適化への指針を得た.
著者
杉 二郎 井上 裕雄 田中 純生 野口 勝一 高倉 直 小穴 敬喜
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.94-99, 1964-04-30 (Released:2010-06-22)

ここに紹介されている小型のファイトトロンの特徴はプラスチック材料を用いることにより太陽光の透過がずっと能率的になっていることと, 材料が軽いので破損の危険が少ないことの2点である.プラスチックの透明な屋根は122/3×163/4ftの広さで, 傾斜角度が23°で北側に13ft, 南側に9.2ftの長さがある.屋根は141/2×2ftのプレキシグラスのパネルを用いて断熱のために二重構造になっている.プラスチックの各層の下側の表面はプリズムになっていて, 太陽光を植物体に投射できるように設計されている.東, 西, 南側の壁も二重のプラスチックでできており, 外側は透明で内側は光を散乱するようピラミッド型の模様がつけられている.自動的に働くスプリンクラーから出る水が1日2回屋根の塵を流し去るようになっている.アルミニウム製の金具がプラスチックの屋根を支えており, 鉄線の張りを調節することにより真直に保てる.この金具によって屋根より入る太陽光の約8%が遮断されるにすぎない.プラスチックでできた両側の壁からは太陽の位置が低い早朝および夕方の光が室内に入るようになっており, とくに冬期にはその効果が著しい.春分, 秋分のとき, 1日平均して屋外の太陽エネルギーの約50%が室内のベンチの面でえられる.室内の日蔭の部分は朝から夕方にかけて平均化されるので, 各部分はほぼ同じ量の太陽エネルギーを受げる.両側面の窓の上下の部分の多くの孔をあけた壁および窓の高さに縦についた溝より, 調節された空気が出て, 東から西へ流れる.水平の溝と方向づけの羽根で室内のどの部分の空気の流通をも調節しうる.このファイトトロンを用いて太陽光の利用度, 調節用の動力経費, 室内での植物の生育状態などが現在調査されている.さらに太陽の位置の変化に応じて自動的に回転する効果的なファイトトロンも考察されている.
著者
加藤 勝敏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.361-366, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
9

この研究の目的は、農商工連携事業における産業支援機関の機能強化について明らかにすることである。この研究の結論は以下の通りである。地域振興のための農商工連携事業を進めていく上で、産業立地政策で設立された産業支援機関は重要な役割を持ち、企業を結びつけるコーディネート機能の重要性は益々高まっている。こうした中、事業の担い手である企業行動は、工業技術を核とした技術開発指向から、経営資源のネットワーク化指向に変化し、より広域的な支援が必要になっている。しかしながら、産業支援機関の活動圏域は殆どが同一都道府県内に留まっている。従って、企業行動に対応する形で、産業支援機関のコーディネート機能について、その活動圏域をより広域化していくことが重要である。
著者
荒木 寛司 小野木 章人 井深 貴士 森脇 久隆
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.427-431, 2010 (Released:2010-03-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

28歳男性.家族歴として父に30年前より原因不明の反復する腹痛·発熱発作.現病歴,約1年前より1~3カ月に1回,数日から1週間で自然軽快する腹痛·発熱発作あり,血液検査でCRP,白血球増多を認めた.全身CT,上下部消化管内視鏡にて異常なし.MEFV遺伝子検査にて患者と父にE148Qヘテロ/M694Iヘテロの遺伝子異常を認め家族性地中海熱と診断.コルヒチン(1mg/日)の投与にて症状は消失した.
著者
安倍 裕順 相川 知宏 中鉢 淳 宮腰 昌利 丸山 史人
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.539-546, 2014-08-29 (Released:2014-09-02)
参考文献数
26

病原菌の遺伝子発現に関する研究は宿主環境を模倣したin vitro の解析を中心に行われ, 新規病原性遺伝子の発見や遺伝子発現制御ネットワークの詳細を明らかにしてきた。さらに, 近年のゲノム解析技術の進歩により病原菌感染時に特異的な網羅的遺伝子発現解析が可能になった。現在, 免疫応答や常在菌叢の変化など感染経過に伴う宿主環境の変化に病原菌がどのように応答し, 感染成立に必要な病原性遺伝子の発現はどう行われるのか, 病原菌による感染成立の全体像を正確に理解する研究が精力的に進められている。そこで, 本稿では感染環境中での病原菌の遺伝子発現に注目した最新の研究やこれを進めるうえで有用な成果を紹介する。
著者
吉澤 一巳 益田 律子 井上 哲夫 木本 陶子 福田 恵子
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.474-477, 2009-09-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
7

フェンタニル貼付剤を使用し,内服が困難であったがん性疼痛患者の突出痛の治療に,携帯型ディスポーザブル患者自己調節鎮痛 (patient-controlled analgesia:PCA)用注入ポンプを用いた間歇 PCAを行い,良好な効果を得たので報告する.間歇PCAによる1回ボーラス投与量は,フェンタニル1日量の5%のオピオイド換算量(モルヒネまたはフェンタニル)を,経静脈あるいは経皮下に投与した.ボーラス投与には,ケタミン(1-3 mg)を併用した.至適ボーラスのオピオイド用量は,痛みの強さ,鎮静度ならびに患者満足度により評価し,投与量を適宜増減して決定した.対象患者は16名で,フェンタニル貼付剤2.5-60 mg/72 hrを用いていた.間歇PCAの至適ボーラスのオピオイド換算用量は,フェンタニル貼付剤の1日量の平均5.8±1.9%(平均値±標準偏差)であった.以上の結果より,オピオイド鎮痛薬と少量ケタミンとの併用による間歇PCAは内服困難患者の突出痛の治療として有用であると考えられた.本法は患者満足度の向上,滴定投与による至適投与量決定にも大きく貢献した.
著者
柴原 弘明 世古口 英 竹下 祥敬 鈴木 伸吾 森本 美穂 稲熊 幸子 森 陽子 工藤 壽美代 太田 由美 西村 美佳 植松 夏子 今井 絵理 西村 大作
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.523-528, 2013 (Released:2013-06-29)
参考文献数
10

【緒言】フェンタニル貼付剤による色素沈着の報告は現在までにみられない. 【症例】43歳, 男性. 直腸がん術後再発に対して, セツキシマブ+イリノテカン療法後, パニツムマブ+FOLFIRI療法を施行した. がん疼痛に対して, フェンタニル貼付剤(フェントス®)投与し, 再発部位に後方からの放射線療法を行った. 経過中, 胸部と腹部のフェンタニル貼付剤の貼付部位に色素沈着がみられた. 貼付中止後, 4カ月でほぼ消失した. 【考察】色素沈着の機序として, フェンタニル貼付剤による接触皮膚炎後の炎症後色素沈着である可能性が高い. 正確な機序の解明のためには, パッチテスト・皮膚生検が望ましい. 【結論】フェンタニル貼付剤投与時には, 色素沈着に留意する必要がある.
著者
高田 正史 北條 美能留 上園 保仁 澄川 耕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.160-164, 2008-05-25 (Released:2011-12-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

フェンタニル単独で除痛が困難であったがん性腹膜炎による腹痛に対して,少量のモルヒネを追加し,腹痛が著減した2症例を報告する.症例1は15歳の女児で,卵巣癌の腹膜播種による腹痛に対して最初の3カ月間はフェンタニル300μg/日で良好な鎮痛が得られていた.その後,腹痛が増強したので1週間で持続フェンタニルを2,400μg/日まで増量し,フェンタニル100μg/回のレスキューを16回/日使用し,ケタミンを併用したが,腹痛はまったく軽減しなかった.モルヒネ(50 mg/日)の持続静脈内投与を追加した後に,腹痛は著減した.症例2は33歳の女性で,胃癌の腹膜播種による腹痛に対して,フェンタニルの持続投与を2週間で9,600μg/日まで増量し,フェンタニル200μg/回のレスキューを25回/日使用し,ケタミンを併用したが,鎮痛効果不十分であった.モルヒネ(150 mg/日)の持続静脈内投与を追加した後に,腹痛は著減した.2症例では,フェンタニルへの耐性が発現していたと考えられた.
著者
石川 義継 鳥越 桂 平賀 一陽 福田 貴介 渋谷 鉱 高地 明
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.381-383, 2012 (Released:2012-07-05)
参考文献数
6

非オピオイドや弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な癌性疼痛や慢性疼痛の患者に,フェンタニル貼布剤を用いた鎮痛が行われる.今回,常用中のフェンタニル貼布剤(デュロテップ®MTパッチ)8.4mg/3日を手術直前に剥離後,6時間を経て退薬症状が生じた症例を経験した.術後(剥離6時間後)に多呼吸や頻脈,発汗過多といった退薬症状が出現した.フェンタニル持続静注を2日間行い治療した.低体温による皮膚血流低下,全身状態不良や術中出血量の程度により血清フェンタニル濃度低下をきたした可能性がある.フェンタニル貼布剤常用患者では,剥離後早期に退薬症状が出現する可能性もあるため,周術期管理に注意を要する.