著者
伊藤 詩織 佐々木 万丈 北村 勝朗
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.127_1, 2016 (Released:2017-02-24)

女性スポーツ競技者にとって、月経期間に痛みや症状があることは、競技力向上を目指す上でストレッサーとなることが予測される。本研究は経血の処置方法に着目し、布ナプキンの使用を女子大学生スポーツ競技者に適用することで、月経症状に対する意識に変容が見られるか検討をおこなった。A大学で部活動やクラブチームに所属している学生7名を対象とした。1か月目の月経期間は市販ナプキンで過ごし、その後3か月の月経期間は、ガーゼとコットンを体調によって組み合わせて使用し、月経期間が終了する毎にアンケート調査をおこなった。分析の結果、市販ナプキンの使用時に自覚された「ムレ」「かゆみ」などの不快感が有意に低減し、また認知的評価では、日常生活における月経随伴症に対するコントロール感の向上が示された。これらの結果から、市販ナプキンよりも通気性や保温性のある布ナプキンを使用することで、月経症状に対する意識が改善したと考えられる。さらに、月経による愁訴の一つである「集中力の低下」が低減したことも示され、布ナプキンを使用することが、より競技に集中することができるなど、競技力向上の一助となる可能性のあることが考えられる。

2 0 0 0 OA 流星と隕石

著者
神田清 著
出版者
三省堂
巻号頁・発行日
1930
著者
大久保 智生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.307-319, 2005-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
41
被引用文献数
23 28

本研究の目的は, 個人-環境の適合性の視点から適応状態を測定する青年用適応感尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検証すること (研究1), 作成された適応感尺度と学校生活の要因 (友人との関係, 教師との関係, 学業) との関連を検討すること (研究2) であった。研究1では中学生621名, 高校生786名, 大学生393名が, 研究2では中学生375名, 高校生572名が調査に参加した。作成された尺度の因子分析の結果から, 従来の適応感尺度の因子とは異なる「居心地の良さの感覚」,「課題・目的の存在」,「被信頼・受容感」,「劣等感の無さ」の4因子が抽出された。また尺度の信頼性と妥当性を検討したところ, 個人一環境の適合性の視点から作成された適応感尺度は, 十分な信頼性と妥当性を有していると考えられた。学校生活の要因と適応感との関連について重回帰分析を用いて学校ごとに検討した結果, どの学校においても「友人との関係」が適応感に強く影響を与えていた。一方,「教師との関係」,「学業」と適応感の関係の構造は学校ごとに異なっていた。以上の結果から, 青年の学校への適応感について, 各学校の特徴を踏まえた上で研究を進めていく必要性が示された。
著者
竹村 典良
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年における電子機器の発展に必要不可欠なリチウムについて、世界の半数以上の埋蔵量を有するボリビア多民族国家における産業化による環境破壊と健康被害に関する調査研究を行った。結果として、下記の諸点が解明された。第一に、ウユニ塩湖とその周辺地域は豊富な動植物が生息する地域であり、人間と動物にとって重要な分水界であることから、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)によって保護されている。しかしながら、リオ・グランデ・デルタ地帯は、鳥や動物が通年使えるラグーンであり、塩湖の再生に決定的な流域であるにもかかわらず、国際保護機関から世界の34の生物多様性のホットスポットとして分類されている。第二に、ウユニ塩湖とその周辺地域は、大規模で大量の水を使用する産業化プロジェクトにより、これまでの過剰な水の使用に拍車がかかる虞がある。水不足の悪化は、地域住民の労働、伝統的な農業、生活に著しい影響を及ぼすことが明らかである。この地域の生態系が全体として汚染され、ますます破壊されるであろうことが予測されるにもかかわらず、ボリビア政府はウユニ湖とその周縁地域の深刻な環境破壊の警告に耳を傾けようとしない。このままリチウムから得られる利益の追求にまい進するならば、ボリビアの全生態系が破壊される結末となるであろう。第三に、リチウムの採掘・加工に使用する有害物質の環境への影響に関心を払わなければ、広範な環境汚染により動植物が危機に晒されることになる。人々の生活環境、動植物の生息環境を破壊するリチウム戦略は、ボリビア多民族国家が標榜する「よりよく生きる(vivir bien)原則」と「母なる大地の権利(right of mother earth)」と矛盾する。より包括的な形態の社会組織を市民社会の内部に形成し、より公正な政治・経済・社会システムを構築しなければならない。
著者
横田 理 佐藤 央 杉戸 雄四郎 水尾 圭祐 武田 健
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第36回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.4093, 2009 (Released:2009-07-17)

【目的】ディーゼル排ガス (DE) 由来の排気微粒子 (DEP) は、大気環境中の浮遊粒子状物質の約半数を占めている。当研究室ではこれまでに DE 胎仔期曝露によって、ドパミン神経系の機能低下を引き起こすことを報告している。一方で、大脳や海馬等において、血管周囲の細胞で DEP 様粒子の蓄積、さらには細胞の変性像や末梢血管の閉塞などを観察した。しかし、DEP 曝露の影響は未だ未解明である。そこで本研究では、胎仔期に DEP を曝露したマウスを用いて行動学的解析を中心に脳神経系への影響を検討することとした。【方法】DEP (Lot. No. 060612) は結核研究所のディーゼルエンジン (いすゞ、排気量 2,369 cc) の希釈トンネルより採取したものを用いた。これを 0.05 % Tween 80 を含む生理食塩水に懸濁し、投与直前に超音波処理を約 2 時間行った。胎仔期曝露では、ICR 系妊娠マウスに対して DEP 100 μg / body / time を妊娠 6、9、12、15、18 日目に皮下投与した。雄性産仔は 3 週齢時に離乳し 5 週齢より行動試験を行った。行動試験は Spontaneous motor activity (自発運動量の評価)、Rotating rod test (運動協調性の評価)、Elevated plus maze test (不安情動性の評価)、Water maze test (空間学習・記憶の評価)、Passive avoidance test (学習・記憶の評価)、Forced swimming test (モチベーションの評価) により詳細な解析を行った。【結果・考察】胎仔期 DEP 曝露により、Elevated plus maze test では Open arm へのエントリー回数の減少が認められた。また、Water maze test において DEP 曝露マウスはプラットホームに到達するまでの時間が有意に長かった。本研究において、胎児期DEP 曝露が不安惹起並びに空間学習・記憶の低下を引き起こす可能性が示唆された。
著者
酒井 朋子
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.11, pp.43-62, 2005-06-11

本稿は、深刻な民族的・宗派的対立が継続してきた北アイルランドにおいて、第一次大戦戦死者がいかにユニオニズムの英雄として語られてきたのかを論じるものである。とくに大戦と名誉革命期の戦いとを重ねあわせる語りや記念行事に着目し、その形成過程、ならびにその後の大戦解釈への影響力を検討する。多くのユニオニストが戦死した第一次大戦下のソンム会戦は、その開戦の日付がユニオニズム・シンボルであった名誉革命期ボイン戦の記念日と一致していたため、ボイン戦に結び付けられて語られ記念されるようになっていった。戦後50年を経ると、穏健派のユニオニスト政権の登場もあって、二つの出来事の重ねあわせを否定し戦場の悲惨さを強調して戦争を脱神秘化しようとする語りが公の場に現れるようになる。しかし紛争激化以降、強硬派の武装組織は、名誉革命を想起しつつ惨死を遂げていった悲劇的英雄として戦死者を描出し、自集団のシンボルとして大戦を掲げていくのである。
著者
入江 智和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.58-64, 2017-11-30

近年の無線 LAN の通信速度の向上は顕著であり,今後もさらに高速な規格の標準化が期待される.一方で,高速な無線 LAN 規格を使用しているにもかかわらず,期待した通信速度が得られないこともよくある.その原因の一つにブロードキャストの通信が挙げられる.ブロードキャストは有線 LAN でも行われているが,無線 LAN ではその特性により有線 LAN の場合よりも大きな影響を及ぼす.本稿ではこのブロードキャストの影響がより顕著と思われる中 ・ 大規模無線 LAN 環境を対象に,ブロードキャストの伝播を最小化するネットワーク構成を提案する.提案構成は AP にブリッジ型ではなくルータ型を用いるとこに特徴がある.提案構成の通信実験環境を構築し,実験結果から提案構成の実現性と有効性を確認した.
著者
太田 順康
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.3-4, 1984-01-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
4
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1738, pp.32-36, 2014-04-21

人々から時間を盗む時間貯蓄銀行から来た灰色の男たち、そして節約した時間を預ければ利子が利子を生み、何十倍もの長い人生を送れるという甘言にだまされて心の余裕を失った人たち、彼ら彼女らの時間を取り戻す不思議な力を持つ少女モモ…。 ドイツ人の児…
著者
服部 博之
出版者
専門図書館協議会
雑誌
専門図書館 (ISSN:03850188)
巻号頁・発行日
no.213, pp.90-93, 2005
著者
杉山平助 著
出版者
改造社
巻号頁・発行日
1938
著者
謝 福台 金城 尚美
出版者
琉球大学
雑誌
留学生教育 : 琉球大学留学生センター紀要 (ISSN:13488368)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-59, 2005-03

本稿は,日本語学習者にとって習得が困難だとされる助詞の中でも特に「は」と「が」の使い分けに関する論考である。とりわけ,助詞があるという点で,日本語と統語論上,似た体系を持つとされる韓国語の母語話者と,日本語の文法体系とは異なり,格助詞や係助詞がない中国語の母語話者に調査を行い,「は」と「が」の誤用の分析を行った。その結果,「は」と「が」の使い分けについて中国語母語話者と韓国語母語話者を比較すると,韓国語母語話者は誤用率がかなり低いことが明らかになった。これは母語からの正の転移がかなり寄与していると推察される。しかし「は」や「が」が出現する条件によっては,誤用率が高くなることから,「は」と「が」の出現条件に関する知識が不足している部分もあることがわかった。一方,中国語話者にとって「は」と「が」の使い分けは誤用率がかなり高いことが示された。この結果から,中国語話者にとって「は」と「が」の使い分けは予想以上に複雑な言語処理を要求することが推察された。本研究によって,「は」と「が」使い分けに関する条件や規則など,指導に生かすべき点がいくつか明らかになった。