著者
原田 経子 小泉 武栄
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-14, 1997
参考文献数
25
被引用文献数
3 1

平標山 (1983. 7m) の山頂から東に伸びる尾根には, パッチ状の裸地が多数分布し, 階段状構造土によく似た段々を形づくる。本研究ではパッチ状裸地の成因とその拡大速度を知るために, 裸地の北側の縁にある高さ20cm程度の小崖に測定棒を埋設し, 崖の後退速度を計測した。<br>小崖の後退速度は平均して年に1.8cmであった。この値は Perez (1992) がベネズエラの高山から報告した0.69cm/年の3倍近い。小崖での侵食量は5~7月頃最大となるが, これは春先, 凍土が融解することによって礫が緩み, 土壌や植物の根も霜柱などによってほぐされたところに, 強い南風が吹くことによって生じている。小崖の上部は植物の根が土壌を固定していひさしるため, 侵食されにくく, 基部の方が先に削られる。その結果小崖上部は庇となって突き出るが, それはやがて崩落し, 侵食されて消滅する。<br>わが国の高山によくみられるパッチ状裸地には, その向きから北西の季節風によって形成されたと考えられるものが多い。しかし平標山の場合は春と秋の強い南風が侵食の主因になっており, この点が非常に特徴的である。
著者
Akifumi Azuma
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.OKD-IR02, (Released:2017-06-10)
被引用文献数
29

Because of the commercial importance of grapes (Vitis spp.), it is important to understand how grape coloration is affected by genetic and environmental factors, as this knowledge may contribute to more stable production of high-quality grapes. The color of berry skins is determined mainly by the quantity and composition of anthocyanins. This review summarizes the results of recent studies of the genetic and environmental regulation of anthocyanin biosynthesis in grape berry skin: (i) The myeloblastosis (MYB) haplotype composition at the color locus is the major genetic factor that determines the anthocyanin content. (ii) The MYB haplotype composition at the color locus and the anthocyanin O-methyltransferase locus are major genetic determinants of the ratios of tri- to di-hydroxylated anthocyanins and of methylated to non-methylated anthocyanins. (iii) The accumulation of anthocyanins depends on both low temperature and light, and the two factors have a synergistic effect on the expression of genes within the anthocyanin biosynthesis pathway. (iv) Comprehensive transcriptome analysis using a grape oligo-DNA microarray let my research group identify many candidate genes involved in low-temperature-induced abscisic acid signaling and light signaling networks related to anthocyanin accumulation in grape berry skin. These findings will allow prediction of the skin color of grapes from seedlings at a very young stage by examining the MYB haplotype composition. Furthermore, these results will contribute to a fuller understanding of how grape coloration is affected by environmental factors, thereby helping grape growers to develop cultivation techniques that contribute to the production of highly pigmented grapes.
著者
中本 茜
出版者
龍谷大学
巻号頁・発行日
2016

開始ページ : 1
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1193, pp.48-54, 2003-05-26

これほど激しく動き回るCEO(最高経営責任者)はほかに見たことがない。壇上から駆け下りて会場の中央に進んだかと思うと、きびすを返して最前列の席から来場者に語りかける。 米ネットワーク機器大手のシスコシステムズが4月中旬、米ラスベガスに販売代理店を集めて開いた世界会議。
著者
宮 淳 前田 肇 堀 原一
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.1953-1958, 1985

大動脈弁閉鎖不全(AR)に起因した左心不全に対する緊急的かつ短期的な治療を目的として, (1) 経末梢動脈的に挿入・抜去が可能で, (2) 良好な固定性を有し, (3) 駆動装置の不要な新形式のカテーテル式傘型人工大動脈弁(CAV)を作製し, 実験的にARに起因した急性左心不全犬にてその左心補助効果を検討した. ARの作成によって拡張期および平均大動脈圧はそれぞれ42.0, 30.3mmHg低下, 平均左心房圧は8.7mmHg上昇し, 心拍出量は46.4%減少した. このARに対し, CAVを挿入, 作用させると拡張期および平均大動脈圧はそれぞれ22.9, 16.2mmHg上昇, 平均左心房圧は3.1mmHg低下し, 心拍出量は50.9%増大した. CAVによるAR治療の試みは過去にも行なわれていたが本CAVはその構造上バルブ部の良好な血流中心への固定性によって逆流防止作用が確実なこと, 冠状動脈入口部閉塞の危険性のない点が特徴であり, 重症ARの術前・術中の心負荷の軽減, 術前突然死の予防等に使用しうると考えられた.
著者
岡野 初枝
出版者
岡山県立大学短期大学部
雑誌
岡山県立大学短期大学部研究紀要 (ISSN:13404687)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-11, 1997-03-31

社会福祉労働について一つの定義をあげれば,社会福祉の制度とか政策が住民に活用されるために,社会福祉に従事している人々により行われる労働ということができる。労働の分類では直接財貨を生産しないために,非生産的労働としてサービス労働に分類されている。しかし社会福祉労働は非生産的な労働ではなく,憲法にもとづく生存権を保障するために社会福祉行政に伴って現れる有用な労働である。 社会福祉労働は,生活に課題を持つ個人およびその家族に対して働きかける有用な労働であり,その対象は現実の社会的な諸関係に制約されている生きた肉体を持った個人の生活課題とそれに付随する精神的・人格的課題に対して行われる。そのとき社会福祉労働は個人の恣意として行われるのではなく,社会の責務として人問の社会権存在権を保障するために行われる。 社会福祉労働に従事する場所は,社会福祉事務所や児童福祉施設などが主であったが,高齢社会を迎えた現在では,老人福祉施設など高齢者を対象にした施設での従事者が増加している。また地域福祉や在宅福祉サービスの整備によりホームヘルパーの増加などその一端を示している。 社会福祉労働に従事する場合,基本理念としての倫理性が重視される。同特に,存在権を保障する方法については専門的技術を必要とする。高齢社会を迎えた現代の社会福祉労働の新しい課題は,社会福祉労働者によって住民の環境としての社会制度や政策を変革していくことである。
著者
孫 英敬 山口 由紀子 嶋田 創 高倉 弘喜
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1163-1174, 2017-05-15

情報セキュリティへの脅威はますます増加しており,高度な技術を備えた人材を求める声が増大している.それにともない,日本では高等教育機関における情報セキュリティ教育課程を今後拡充していく方針が示されているが,情報セキュリティ教育課程は,実際の現場から要求される技術能力を満たす,現実に即した人材を育成するものでなければならない.そこで我々は,アメリカ国立標準技術研究所の下に設置されているNICE(The National Initiative for Cybersecurity Education)が定義した情報セキュリティ技術能力を情報セキュリティ人材の要求要件ととらえて情報セキュリティ教育過程の開発を目指した研究を行っている.本研究では,NICEにおいて783項目に表されている技術能力を62種類に分類・集約した.さらに,日本および,セキュリティ教育が進んでいる韓国の大学についてカリキュラムを調査し,NICE技術能力との相関分析によりカリキュラム分析を行った.
著者
金田 孝之 近藤 健雄 桜井 慎一 宇於崎 泰寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_133-I_138, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

市街地と隣接し,港湾と都市の空間・機能の再生を目的とし,面整備を伴う港湾再開発においては,商業・業務機能集積が重要な課題であり,そのためには,民間開発者の事業参入が不可欠である.本研究における事例分析により,民間開発者の参入のためには,「基盤整備,土地利用転換及び一団の街区開発による街の形成」に関わる不確定性が公的主体によって大きく低減されることが不可欠であることが明らかになった.また,公的主体のこの不可欠な役割は,「開発者の負担と責任で行われる宅地開発や工場跡地開発の場合」より大きいものであるが,行政機関や利害関係者などが参加し策定された港湾再開発の基本構想や基本計画で重要な役割としてオーソライズされていることが,明らかになった.
著者
熊谷 智博
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.86-93, 2013-11-30 (Released:2017-02-27)

This study examined the effects of intergroup social justice on intergroup aggression inflicted against a wrongdoer by someone who was not directly involved in the wrongdoing (third party aggression). Specifically, it focused on whether third party aggression is retaliatory aggression or not. Sixty-four participants equally or unequally received lottery tickets from a fellow ingroup member; they then observed that the fellow ingroup member or an outgroup member unequally received such tickets from another outgroup member. After this observation, participants were given the opportunity to select the level of unpleasant noise that would be experienced by the outgroup member responsible for the unequal distribution. The results suggested that intragroup social justice enhanced group identification with the ingroup, which in turn enhanced perceived unfairness of intergroup distribution only when the victim was an ingroup member. That perceived unfairness then intensified hostility and aggressive behavior against the unfair outgroup member. Finally, the relationship between the psychological mechanisms of third party aggression and intergroup conflict in the real world was discussed.
著者
海老田 輝巳
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.89-109, 2000-02

我が国の近代文学を代表する二大巨匠は、夏目漱石、森鴎外(森鴎外、夏目漱石)であることは、今さら言うまでもない。この二人には、前者が英文学者、後者が軍医でドイツ文学者、また五歳の年齢差があるが、文学はもとより、漢学の造詣の深さに対しても瞠目に値するものがある。漱石の作品には、英文学をはじめとする欧米の文学、哲学、美術のみならず、東洋の文学、哲学、芸術などの反映が見られる。特に中国哲学においては、儒学思想(儒家思想)、老荘思想(道家思想)、禅の思想が漱石の作品に大きく反映している。この点については、すでに先学によって論究されている。たとえば、儒学・老荘の思想については、漱石と荀子性悪説、老子に関するものとして、江藤淳「漱石と中国思想-『心』『道草』と荀子、老子」(雑誌『新潮』昭和五十三年四月号)、陽明学に関するものとして、佐古純一郎「夏目漱石と陽明学」(『夏目漱石論』昭和53年審美社)の名著がある。たしかに、この江藤・佐古両氏の論考については、何れも卓越せる著作である。漱石の小説『こころ』について、江藤氏は荀子性悪説に基づくものだとし、佐古氏は陽明学の心学に基づくものとしているが首肯できない。この点については、すでに論述しているのでここでは述べない。だからといって漱石の作品に、荀子や王陽明の影響が全くないというのではない。漱石の作品によっては、荀子や王陽明の影響を受けているものがあり、特に陽明学の影響は大きい。漱石の中国哲学、中国文学の造詣は、少年時代に学んだ漢学塾によるものである。その漢学塾は、陽明学者三島中洲の創立した二松学舎(現二松学舎大学)である。したがって漱石は、陽明学の影響を受けた。また中国哲学を代表する孔子や『論語』の影響も受けた。のみならず関わりの深い中国に対する観方については、紀行文、その他の作品で見ることができる。

2 0 0 0 OA 憂国の志士

著者
中野八十八 著
出版者
清水書房
巻号頁・発行日
1943
著者
末次 正寛 辻 正利 谷川 義之 南部 紘一郎 西岡 將美
出版者
鈴鹿工業高等専門学校
雑誌
紀要 (ISSN:02865483)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.9-16, 2013-02-28

弓道に使用される和弓は複数の材料を組み合わせた複合構造材であり,それらの接着層が弓の湾曲によって発生する応力で剥離する場合がある.本研究では,木材とカーボンファイバーで構成された初級者・中級者用の和弓を対象とし,弓幹内部の境界層に生じるせん断応力を実験ならびに有限要素法(FEM)によって解析した.その結果,せん断力は弓の下端部において最大となり,かつその部分の内側の境界層で最大のせん断応力が発生していることがわかった.また,実験値と FEM解析値は概ね一致しており,作成した FEM大変形解析プログラムの有効性が示された.
著者
名取 俊樹
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.183-189, 2008
参考文献数
18
被引用文献数
1

氷河期からの遺存種であるキタダケソウ(Callianthemum hondoense Nakai et Hara)は、北岳(南アルプス北部、山梨県)の南東斜面のみに生育する固有種であり、将来、地球温暖化の影響などにより、その存続が危惧されている。そこで、公表されている気象資料やキタダケソウに関する資料の整理、キタダケソウの満開日や生育場所の土壌pH、消雪時期の野外調査を行った.そして、富士山頂での年平均気温が20世紀後半から上昇していること、また、キタダケソウの満開日の経年変化や、キタダケソウの生育場所の土壌pHと消雪時期の特性を明らかにした。それらの結果をもとに、キタダケソウに及ぼす地球温暖化の影響について考えた。
著者
Akira YABUKI Tomoko IWANAGA Urs GIGER Mariko SAWA Moeko KOHYAMA Osamu YAMATO
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.818-821, 2017 (Released:2017-05-03)
参考文献数
16
被引用文献数
5

Renal Fanconi syndrome has recently been associated with the ingestion of pet jerky treats from China in mostly small breed dogs in North America, Australia and Europe. We report here about two dogs with Fanconi syndrome following pet jerky treats exposure in Japan. A mixed-breed dog and a French bulldog showed weight loss, polyuria and polydipsia. For years, the owners had been feeding large quantities of pet jerky treats containing chicken prepared in China. Diagnostics revealed glycosuria without hyperglycemia, severe aminoaciduria, and in one case also ketonuria, hypokalemia and metabolic acidosis. A diagnosis of Fanconi syndrome associated with long-term consumption of Chinese pet jerky treats was made. Both dogs recovered fully following withdrawal of the pet jerky treats and supportive care. Fanconi syndrome of dogs in association with the consumption of pet jerky treats of Chinese origin can cause a broad proximal tubular defect with glycosuria and generalized amino aciduria, and should be also considered in Asia. Jerky treats associated Fanconi syndrome can be completely reversible following withdrawal of the treats and supportive care to correct the metabolic abnormalities.
著者
大賀 典雄 池田 卓夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1121, pp.118-120, 2001-12-17

11月7日、北京国際音楽祭の会場となったコンサートホール「保利劇場」。自らが会長兼理事長を務める東京フィルハーモニー交響楽団を指揮するため、小型機を自ら操縦して現地入りした大賀典雄は、チャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章を指揮中に突然、倒れた。

2 0 0 0 OA 笛吹川

著者
なにがし, 尾崎紅葉 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1895