著者
石崎 優子 大池 ひとみ 井原 ちひろ 石崎 達郎 浅野 孝子 内田 栄一 渡辺 東也 降矢 英成 葛西 浩史 桂 戴作
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.323-329, 1995-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

We performed a psychological approach on an adult female with nocturia to facilitate her recognition of motherhood and found that her clinical symptoms improved. A 32-year-old female with nocturia has had problems, which are anxiety about separation from mother, discomfort of relationship between her husband and her and immaturity of motherhood. Treatment has included medication, counseling, transactional analysis, autogenic training and a psychological approach to facilitate her recognition of motherhood, and after 1 year her nocturia has gradually decreased. We have also noted that the improvement in her symptoms has been accompanied by a changed image of motherhood. We conclude that observating images of motherhood is a useful element for understanding the psychosomatic problems involved in these cases and evaluating the efficacy of treatment.
著者
小出 昌秋 渡邊 一正 神崎 智仁 植田 ちひろ 岡本 卓也 古田 晃久 森 善樹 中嶌 八隅 金子 幸栄 井上 奈緒 村上 知隆
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】成人先天性心疾患に心房細動(AF)を合併するケースが少なくない。AFは放置すれば脳梗塞のリスクとなるため、可能であれば積極的に治療することが望ましく、当院では以前より積極的にメイズ手術を行っている。【目的】当院におけるメイズ手術の成績について報告する。【対象と方法】2000年1月~2014年12月に経験した成人先天性心疾患手術88例(平均年齢40.5±17.2歳)を対象とし後方視的に検討。メイズ手術はCox Maze IIIに準じてCryoとRFにて行った。【結果】88例中21例(23.9%)に術前AF(慢性または発作性)を合併しており、AF合併例の平均年齢は55.7±15.6歳でAF非合併例の35.7±14.8歳と比較して有意に高齢であった。AFは慢性12例、発作性9例であった。AF合併例の心内病変はASD 6例、ASD+TR±MR4例、VSD1例、術後残存ASD1例、AVSD術後MR3例、VSD術後TR1例、TOF術後PR±MR2例、PPA術後1例、MR1例。全例で右房拡大を認め、左房径も43.9±10.5mmと拡大傾向がみられた。21例中初期の2例とAtrial Standstillであった1例を除く18例に対してメイズ手術を行った。手術死亡なし。メイズ術後観察期間平均36.0ヶ月(1~101ヶ月)で、1例で術直後からATが持続して術後5ヶ月でカテーテルアブレーションを行い洞調律に復帰。1例で術直後洞不全ありAAI PM植込み施行。1例で術後7年目に心房粗動となりカテーテルアブレーションを計画中。残りの15例では洞調律を維持しており発作性AFの出現もなかった。AF症例でメイズ手術を行わなかった3例のうち1例が術後遠隔期に脳梗塞を発症し死亡した。【考察】成人先天性心疾患手術症例の約1/4にAFを合併しており、メイズ手術を行った全例でAFは消失した。術後上室性不整脈に対してはカテーテルアブレーションやペースメーカーで対処することが有効であった。AFを合併した成人先天性心疾患症例に対するメイズ手術の成績は良好であり、積極的に行うべきであると考えられた。
著者
渡邉 典子 相馬 ひとみ 吉野 彩香 和田 麻季子 藤岡 俊樹
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.723-726, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
12

症例は90歳男性.10年前にAlzheimer病と血管性認知症と診断され,薬剤治療を受けていたが,重症心不全を発症してICUに入院.心不全状態は改善したがせん妄症状と,自発性の低下,不眠,日中の傾眠,食事摂取不良をきたしたため,睡眠薬,抗認知症薬,鎮静薬などの投与に加え,認知症ケアチームが介入した.患者は認知症発症以前から音楽を趣味としていたため,好きな楽曲を中心に週3回,リハビリテーションの時に聴かせ,歌う様に促したところ,1ヶ月後には自発的にリズムをとり歌うようになった.同時にABC認知症スケールは50点から60点に改善,日中の傾眠も改善し自宅退院できた.音楽療法の効果は薬物療法と違いエビデンスは低いとされているが本例では音楽療法の開始に伴い日常生活動作の改善が明らかとなった.今後,音楽療法の科学的根拠を求めた検討が必要と思われた.
著者
次田 一代 村川 みなみ 渡辺 ひろ美 加藤 みゆき 川染 節江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.180, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】香川県の伝統的家庭料理を暮らしの背景とともに記録し、それを次世代に伝え継ぐことを目的とした。【方法】県内各地の食生活改善推進委員協力のもと、その地域に30年以上居住し、家庭の食事作りに携わった60歳以上の人を対象として、日本調理科学会作成の調査様式に従い、2013年12月〜2015年3月に聞き取り調査を行った。【結果・考察】調査から得られた香川県内の行事食は以下の通りである。①正月:あんもち雑煮、②春の初めに豊凶を占う祭礼:甘酒、押し抜きずし、ばらずし、ゆだめうどん、③ひな祭り:よもぎ餅、ひなあられ、わけぎ和え、④端午の節句:ちまきやかしわ餅、赤飯、⑤鰆の収穫時(4〜5月頃):鰆の押し抜きずし、カンカンずし、⑥半夏生:半夏のはげ団子、打ち立てうどん、⑦夏の土用:どじょう汁、⑧盆:米粉団子にあんをまぶしたもの、⑨秋祭り:ばらずし、天ぷら、酒の肴にあじの三杯、しょうゆ豆、⑩ため池の水抜き後(12〜2月頃):てっぱい、⑪小豆島にて農村歌舞伎の時(5月頃):わりご弁当。このように、さまざまな食材を用いた多彩な行事食が一年を通して食べられてきた背景には、香川県の地理・気候・風土の関与が大である。香川県は県土のおよそ半分に平野が広がり、温暖な気候であるため、米の裏作に小麦が栽培され、降水量が少ないことからため池が多く、その水ぬき作業などを共同で行ってきた。瀬戸内海では季節に応じた漁業も盛んである。行事食はこれらの農水産物や作業と関わり、貴重な米や麦の有効利用、季節ごとに収穫される大根、まんば、なんきん、いも、豆等の野菜、ため池や川の淡水魚、沿岸部での鰆、たい、ちぬを使った料理も見られた。これらの行事食を、今後も伝えていくことが重要であると考える。
著者
佐藤 靖泰 長濱 澄 川田 拓 宇田 悠 長田 のぞみ 阿部 太輔 髙橋 ひかる 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.46-51, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

宮城県内の2つの小学校の一部の学年を対象に,教材配信やデータ分析可視化機能を持つLEAFシステムを導入し,教科等を限定せず活用した.教師や児童がシステムの利用に慣れた時点で,教師対象に半構造化インタビューを実施した.結果,児童が持つ疑問や願いに沿って適時的に授業展開を変化できる可能性や,使用するシステムに適した教材を作成することを通して教材研究が深まる可能性などが示唆された.
著者
難波 敦子 宮川 金二郎 大森 正司 加藤 みゆき 田村 朝子 斎藤 ひろみ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.907-915, 1998-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
25

This report continues our study of post-heated and fermented tea which are produced in the northern area of South-East Asia and Japan. A search of Chinese literature for Suancha (a sour, non-salted pickled tea) reported it to be produced by hill tribes in the south-west of Yunnan province in China by a two-step fermentation process (under aerobic and anaerobic conditions) like Goishi-cha in Japan. Our study, however, clarifies that the present Suanchas are produced by a one-step fermentation process under anaerobic conditions like Lepet-so in Myanmar, Miang in Thailand and Laos, and Awa-bancha in Japan. Suancha is now produced by the Bulangzu living near Mt. Bulang in Xysanbanna and by the Daizu in Dehong province of Yunnan. Edible pickled teas, including Liangpan-tea and Yancha that is the other kinds of pickled tea in Yunnan are also discussed.
著者
田中 成典 山本 雄平 姜 文渊 中村 健二 清尾 直輝 田中 ちひろ
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.821-830, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スポーツにおけるICTの活用として,選手をトラッキングする画像処理の研究が行われている.しかし,アメリカンフットボールなどのフィールド上での選手のオクルージョンが頻発する競技では,選手位置が正確に取得できない.そのため,選手の移動軌跡が分断され,正確なトラッキングが難しいことが課題となっている.そこで,本研究では,複数地点から撮影した映像から得られた移動軌跡を用いて,それらを相互に補完することでオクルージョンに頑強な選手のトラッキング手法を提案する.これにより,GNSSセンサなどのデバイスを相手選手へ装着ができない課題を解決する.
著者
池脇 信直 園田 徹 東 和弘 いけわき のぶなお そのだ とおる あずま かずひろ Nobunao IKEWAKI Tohru SONODA Kazuhiro AZUMA
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 = Journal of Kyushu University of Health and Welfare
巻号頁・発行日
no.20, pp.69-74, 2019-03-25

水素発生装置(スイソニア)から発生する水素ガス(濃度0.1%~ 0.3%)を含む蒸気混合ガスXENを鼻カニューラで吸入した。吸入後、A型およびB型インフルエンザウイルス由来のhemagglutinin(HA)抗原に対する唾液中IgA2抗体価を自主開発の酵素免疫測定法で解析した。その結果、XEN吸入15分後、A型インフルエンザウイルス株(A/California/7/2009/H1N1とA/Hong Kong/4801/2014/H3N2)由来のHA抗原に対する唾液中IgA2抗体価は、吸入前と比較して有意に増加した(P=0.028およびP=0.047)。さらに、XEN吸入15分後、A型とB型インフルエンザウイルス株(A/Singapore/GP1908/2015/H1N1、A/HongKong/4801/2014/H3N2、B/Texas/2/2013/Victoria system、B/Phuket/1307/2013 /Yamagata system)由来のHA抗原(ワクチンタイプ)に対する唾液中IgA2抗体価も吸入前と比較して有意に増加した(P=0.039)。以上の結果から、XENにはHA抗原に対する唾液中IgA2抗体価の増強作用があることがわかった。
著者
久米 裕昭 冨田 ひかる 福原 敦朗
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.321-327, 2022 (Released:2022-06-11)
参考文献数
27

55歳男.28歳から日本酒の醸造元に勤務.42歳時から麹菌(Aspergillus oryzae)を扱う作業を開始すると呼吸困難感,咳,喘鳴が出現し,作業から離れると症状は消失した.症状は次第に増強し,防塵マスクを着用しても作業を中断するようになり,2019年6月に当科外来を受診.血清学的検査では,アスペルギルス特異的IgE抗体陽性,アスペルギルス沈降抗体陰性,Asp f 1(Aspergillus fumigatusの主要抗原)特異的IgE抗体陰性.肺機能検査は正常で可逆性陰性であったが,経過中にFEV1は400mL,15.9%変動した.PEFの測定では,麹菌の作業直後に20.8%低下した.吸入ステロイド薬(Budesonide),吸入長時間作用性β2刺激薬(Formoterol)の配合剤を用いたSMART療法で症状は軽減した.これらの症状,肺機能から,麹菌によるアトピー性気管支喘息で,III型アレルギーの関与は証明されなかった.これまでに,日本酒醸造の従事者に発症した報告は無く,新たな職業性喘息と考えられる.
著者
山根 和也 伊尾 阿佑美 宇佐美 利恵 大西 麻美 小笠 ひかる 栗木 るえ子 小柳 美咲 齋藤 かおり 鷹見 正貴子 中島 千里 坂本 君代 小田 美紀子 Kazuya YAMANE Ayumi IO Rie USHAMI Mami OONISHI Hikaru OGASA Rueko KURIKI Misaki KOYANAGI Kaori SAITOU Makiko TAKAMI Chisato NAKASHIMA Kimiyo SAKAMOTO Mikiko ODA
雑誌
島根県立大学出雲キャンパス紀要 (ISSN:2187199X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.37-48, 2014-12-11

保健師学生と住民との協働活動により、壮年期の住民を対象に運動を取り入れた生活習慣病予防のキャンペーンや健康教室を実施した。本研究の目的は、壮年期の住民の健康意識向上を促すために必要とされる支援方法を明らかにすることである。活動の周知方法は、回覧板が最も効果的であり、知人からの紹介も多数見られた。また、教室参加者のうち45.5%が子ども連れであった。このことから、壮年期の特性を考慮し、子どもや職場、サークルなどをきっかけにした支援が有効な方法であることが明らかとなった。また、地域の核となる人と協働活動を行うことで、より壮年期の住民のニーズや視点に沿った活動を展開できることが明らかとなった。
著者
村田 ひろ子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.20-40, 2022-09-01 (Released:2022-10-20)

NHK放送文化研究所が加盟する国際比較調査グループISSPが、2021年に実施した調査「健康・医療」の日本の結果から、医療や健康に対する人々の意識や態度について報告する。▼心身の健康状態が『よくない』と回答した人は約3割で、「自分に自信がなくなった」(自信喪失)など精神的な自覚症状がある人は4割前後いた。そうした心身の自覚症状を抱える人は、女性で多く、精神的な症状については、特に若い女性で多かった。▼「人々は、医療を必要以上に利用している」と思う人は約5割で、そうは思わない人の約2割を大きく上回るなど、日本では医療サービスが過剰に提供されていると認識している人が多い。▼一方、医師や医療制度を信頼する人が増えて、新型コロナウイルスの感染拡大への対応が医療制度に対する信頼を『高めた』という人が4割いた。ただし、新しい感染症の治療体制については、6割を超える人が『整っていない』と思っている。▼日本には必要な医療を受けられない人が『いる』と回答した人が8割を超えた。所得や国籍の違いによって、医療の受けやすさが異なると思っている人も7割以上に上る。しかし、所得の高い人が低い人より、質の高い医療を受けられることを「不公平」だと思わない人が増えている。
著者
藤田 朗 後藤 武 藤井 正昭 百武 ひろ子 久米 由美 豊田 晶子 岡田 曜子 高 美玲
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.67-77, 2005 (Released:2018-01-31)

本研究は,固有の地域文化を活用して地域再活性化を図るには,どのようなアプローチが有効であるかを考察することを目的としている。筆者らは,典型的な密集市街地である墨田区京島および横浜市鶴見区において,地域文化の使い方に関わる「まちの家」および「鶴見スタジオ」プロジェクトを実践してきた。それらを調査対象とし,そのプロセスや成果を「文化政策」「空間化」の観点から分析することを研究の方法としている。地域資源として見出された「長屋」「レストラン」「公共空間」「社会関係資本」といった要素を文化政策として扱っていくには,「空間の読解可能性」が重要な要件であることがわかった。