著者
堤 理恵 西口 千佳 長江 哲夫 前川 ひろみ 中井 敦子 谷本 幸子 三村 誠二 長江 浩朗 栢下 淳子 中屋 豊
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.929-935, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】Nutrition Support Team (NST) が稼働している施設において、整形外科手術後7日間の高齢患者に対する栄養摂取状況と必要エネルギー達成率について検討を行った。【方法】対象患者は、全身麻酔下にて整形外科手術を実施した70歳以上の高齢者とし、レトロスペクティブに検討を行った。【結果】対象患者は、本研究の趣旨に賛同した6施設、合計102症例 (男/女 : 36/66) とした。年齢78.2±5.4歳 (mean±SD)。総摂取エネルギー量は、術後1日目1012±602kcal、3日目1280±491kcal、5日目1404±431kcal、 7日目1407±420kcalであり、このうち1-2日目は輸液併用患者が42%であった。また、必要エネルギー達成率は、術後5日目は40%であった。施設間において総エネルギー量はばらつきが大きく最大で2倍以上の差が認められた。【結語】どの施設でも術後の栄養摂取状況は術後5日間で徐々に増加したが、目標量に達成している患者は全体の40%と少ないことが示唆された。
著者
川村 ひとみ 坂本 拓也 斎藤 寿哉 諏訪 真知子 服部 万里子 熊澤 美紀子 遠藤 洋子 戸島 洋一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.210-213, 2019-05-25 (Released:2019-11-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

タゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)とバンコマイシン(VCM)の併用療法が他の広域抗菌薬とVCMの併用療法と比べ,急性腎障害(AKI)を引き起こすことが海外で報告されている.そこで,AKI発症リスクについてメロペネム(MEPM)との併用療法と比較検討した.AKI発症率はTAZ/PIPC+VCM32.0%,MEPM+VCM 7.9%と有意な差を認めた.多変量解析ではAKI発症のリスク因子としてTAZ/PIPC使用のみ有意な因子(オッズ比6.77,95%CI:1.43-32.09)となった.TAZ/PIPC+VCM併用療法ではVCMトラフ値に関わらず腎機能を注意深く監視する必要がある.
著者
茨木 ひさ子
出版者
東京薬科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

皮膚に塗布するmRNAワクチンシステムの基盤技術を創製する。mRNAの角質層および表皮内浸透性と、表皮樹状細胞(ランゲルハンス細胞)への取り込みから細胞質までの移行に優れる細胞内動態特性を兼ね備えた新規ハイブリッド脂質ナノ粒子を作製し、皮膚に塗るだけで細胞性免疫を誘導可能なmRNAワクチンシステムの基盤構築を目指す。角質細胞間脂質と樹状細胞に高親和性を示す生体脂質成分同定し、それらを配合したmRNA内封ハイブリッド脂質ナノ粒子をマイクロ流路法により作製し、その皮膚塗布後の角質層及び表皮内浸透性、樹状細胞指向性、標的タンパク質発現効果、免疫誘導効果をin vivo実験で検証する。
著者
よしだ ひろこ
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.37, 2017 (Released:2018-06-12)

「催眠療法」などの深い無意識レベルの場において、潜在意識下に存在する高次元のエネルギー、つまりハイヤーセルフの存在を確認することは容易ではなく、物理学的にも不明である。しかし、ハイヤーセルフのエネルギーは確実に存在し、膨大な記憶と知識を持ち、過去から現在へと単一の方向に流れるはずの時間も、現世から前世、また未来や死後の世界にさえも、まるで意識のコンピューターのように自在に往来しているエネルギーである。当センターの臨床時にも被験者にハイヤーセルフの存在する位置を確認しているが、ほとんどの被験者が「みぞおち」の周辺に光のエネルギーを感じると答える。太陽神経叢のあたり、みぞおち周辺に物理的粒子のような気のエネルギーが存在しているように思える。ハイヤーセルフの微細なエネルギーを活性化させるためには純粋な光のイメージが必要で、それにより「非物質的な魂の波動エネルギー」と結びつくことが出来るのである。そのスピリチュアルな魂のエネルギーは今まで「一方通行」と思われていた「あの世」の扉から、微細にして大いなる光を「この世」に届けてくれているのを私は感じる。 「あの世」からのメッセージを催眠中の4人の言葉から検証する。
著者
三宅 芙沙 堀内 一穂 宮原 ひろ子 早川 尚志 笹 公和 箱崎 真隆 前原 裕之 栗田 直幸 木村 勝彦 門叶 冬樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be、36Clといった宇宙線生成核種は、観測史上最大とされる1956年のSEP(Solar Energetic Particle)イベントの数十倍という過去の超巨大SEPイベントの優れた代替データである。本研究は、年輪の14Cと氷床コアの10Be、36Cl分析から、完新世(過去1万2千年間)における最大のSEPイベントの同定と、超巨大SEPイベントの発生頻度及びその発生特性の解明を目的とする。我々の太陽における発生特性を、太陽型恒星の恒星フレアと比較することで、太陽型恒星における太陽の普遍性と特殊性を評価する。
著者
井藤 克美 滑川 初枝 岩崎 ひろ子 鶴木 次郎
雑誌
一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会
巻号頁・発行日
2018-05-16

【目的】 近年,かねてより続く社会全体の高齢化に対応すべく,訪問診療,在宅医療のさらなる充実が図られているが,その中で歯科医療の果たす役割は小さくない。一方,その学術的データの基礎となる症例報告の数はいまだ十分とはいえないのが現状である。今回,脳梗塞の発症により口唇閉鎖力に障害を持つ患者に対し,訪問診療にて多職種が連携し,摂食嚥下訓練を行い,口唇閉鎖力および摂食嚥下機能の向上と審美的回復がなされた症例について報告する。【対象と方法】 患者は脳梗塞を再発し,リハビリ病院より施設へ転所した79歳女性であり,全身に左麻痺が残り,要介護1の認定を受けていた。歯科診療については,上顎部分床義歯の調整および下顎右側部の急性歯周炎の治療を要する状況であり,施設からの依頼を受け治療を開始した。一連の歯科治療により咀嚼機能および審美性の改善が認められたが,本人,周囲の要望により,さらに満足度の高い機能回復のための嚥下訓練を行った。まず,摂食嚥下評価と内視鏡による機能検査を行い,その結果から,筋力向上を図る顔面マッサージ,電動ブラシを改良した嚥下補助器具の使用,口唇閉鎖力の向上を目的としフェイシャルエクササイズ機器を毎日行った。施設職員に対して,使用方法を指導,管理を依頼した。【結果と考察】 日々の摂食嚥下訓練により,口唇閉鎖力・摂食嚥下機能の向上および左顔面の麻痺は軽減が認められ,家族や友人と外食に行くことも可能になった。本症例により身体機能と心が密接な関連性を持つこと,とりわけ自分の口を用いて食事を摂ることの重要性をあらためて認識した。今後も,これら症例に積極的に取り組み,引き続きどのように歯科医療が寄与できるのかを考えていきたい。
著者
三好 智子 大戸 敬之 岡崎 史子 舩越 拓 吉田 暁 芳野 純 今福 輪太郎 川上 ちひろ 早川 佳穂 西城 卓也
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.77-82, 2022-02-25 (Released:2022-06-19)
参考文献数
11

臨床現場での研修医/専攻医 (レジデント) のパフォーマンスを改善するため, 指導医が振り返りを促す際の面談に活用できるR2C2モデルが開発された. 信頼と関係を構築する (R), 評価結果に対する反応や認識を探る (R), レジデントが結果/評価内容をどう理解しているか探索する (C), パフォーマンスを改善させるためのコーチング (C) の4段階で構成される. R2C2モデルには, レジデントが省察的かつ目標志向の話し合いに関わることができ, 指導医と共に学習/改善計画を検討できるという効果が認められている. 本稿では, R2C2モデルの日本語版とその知見を紹介する.
著者
松岡 依里子 山本 ひとみ
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.281-289, 2020 (Released:2020-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

The growth environment for University students has changed dramatically due to the widespread of developed IT usage and the relationship between human and surrounded objects, which significantly impacted their current lifestyle. In this study, Clarification of two clarified how university students are related to lifestyle and fashion sensibility behavior. Firstly, analysis of factors of lifestyle which extracted into two types. There are “Active factor” and “Emotional factor”. After Cluster analysis, it was classified into three: “Rich-Emotional type”, “Enjoy type” and “Stable type”. The Findings from the analysis of variance was that their “Behavior of Fashion Emotional Value” differs depending on their type of lifestyle. As a result, there was a degree of statistical significance among the three types of lifestyle and within the “fashion awareness” and “purchasing behavior”. This study could elucidate the “Behavior of Fashion Emotional Value” from the characteristics of fashion awareness and purchase behavior by its type.
著者
大室 ひな 神田 佑亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_835-I_845, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
9

我が国の航空政策は1980年代から規制緩和として運賃設定の自由化等が進められてきた.2000年以降はLCCと呼ばれる新規航空会社の参入等が積極的に進められてきたが,その影響を定量的に評価した研究は少なく,特に2000年以降の影響は明らかとなっていない.本研究では2000年までの影響を評価した既往の研究をベースに,2000年以降の規制緩和の影響について,レガシーキャリアのネットワーク,正規運賃,路線距離と運賃の関係,モデル分析による実効運賃水準の時系列変化等に着眼点し,航空会社の収益状況 とあわせて定量的に分析することを目的とする.分析の結果,2000年以降,レガシーキャリアの正規運賃の上昇,地方路線網の衰退などの負の影響が明らかとなった.また,正規運賃の上昇に反し,実効運賃水準の上昇が確認されない結果も得られた.
著者
品川 弘子 赤羽 ひろ 中浜 信子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.594-600, 1981-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

マヨネーズの材料配合比による流動特性を検討するため, Scheffeの3成分系の単純格子計画法2) に従い, E型粘度計を用いて実験を行った.試料マヨネーズとしては, 油68~86%, 酢5.5~23.5%, 卵黄8.5~26.5%の配合比をもつ10個を調製した.各試料の流動特性値およびpHより次の結果を得た.1) マヨネーズの流動方程式の定数およびみかけの粘性率が得られ, 各材料配合比に対するこれらの流動特性値とのあいだにそれぞれ2次の推定式および推定曲線が示された.2) 分散媒の流動方程式の定数およびみかけの粘性率が得られた.3) マヨネーズの降伏応力やみかけの粘性率の推定曲線を用いることにより適当な降伏応力やみかけの粘性率をもつマヨネーズの材料配合比を選ぶことが容易となると考える.4) マヨネーズのSibreeの係数hは, 油濃度に依存し, 最密充填状態ではほぼ1.30, 高油濃度では1.20, 低油濃度では1.49であることが認められた.5) 分散媒のpHは3.4~4.6で, マヨネーズのpHよりもわずかに低いことが認められた.
著者
山本 晶友 入江 ひとみ 大石 有里花 上杉 優 樋口 匡貴
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.33-39, 2023-06-30 (Released:2023-07-28)
参考文献数
29

Zero-sum belief is the belief that someone’s gains are another’s losses. Assuming that beneficiaries’ zero-sum beliefs let them perceive benefactors’ cost resulting from giving benefits, this study examined whether the zero-sum belief increases the occurrences of grateful feelings and expression in apologetic form, which is represented by “sumimasen” in Japanese. We manipulated participants’ zero-sum beliefs and rewarded them for the task. Thereafter, we asked participants what they wanted to say, how they felt, and how much they perceived our (i.e., benefactors’) cost. The results revealed that participants whose zero-sum beliefs were experimentally strengthened were inclined to select the grateful expression in apologetic form from some options to convey what they wanted to say, though grateful feelings in apologetic form and perceived costs were not significantly affected. These results suggested the possibility that individuals’ zero-sum beliefs let them express their gratitude in apologetic form independently from the extent to which they have such feelings or perceive benefactors’ cost.
著者
神戸 幸司 小田 佳史 宮地 裕之 細野 ひかる 小栗 早智 森 祐哉 丸岡 由衣 土井 麻由美 黒川 大樹 浦濱 善倫 大石 秀人 長谷川 俊典
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-124, 2018-12-01 (Released:2022-01-18)
参考文献数
6

今回偶発性低体温に対して血液透析にて復温した3症例を経験した。症例は,70~80歳代の男性。重症度は,軽度から重篤であった。軽度症例に対して,体外復温法を施行しながら早期改善を目的として,血液透析にて2.0℃/hr上昇を目安に体内復温法を併用した。2時間目にて全身発汗,不整脈,意識消失などのショックを生じた。この症例を踏まえ最重症例では,急速な復温による心室細動惹起などのリスクを避けるため透析液温を34℃,血液流量80mL/minから開始し直腸温30℃,意識改善を目安に終了した。サーモグラフィーFLIR i3(フリアーシステムズ社)を用いて脱血・返血側回路温を測定し,的確に透析液温を変更しながら管理した。復温による副作用の予防に,復温速度と慎重な体温管理が必要と思われた。
著者
辻 あゆみ いとう たけひこ
出版者
心理科学研究会
雑誌
心理科学 (ISSN:03883299)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.29-48, 2023 (Released:2023-06-28)
参考文献数
43

本研究では、発達障害児者の母親を一人の主体として捉え、その人生を家族や教師などの社会的関係から一考することを目指した。そのため、テキストマイニングと質的内容分析の併用による混合研究法を用いて10名の母親と元園長(支援者)との振り返り面接の記録を分析した。その結果、第一に、母親は家庭や教師をはじめとする人と社会的な関係を形成しながら生きていること、第二に、障害のある子どもを通しても人生を肯定的に意味づけるようになること、第三に、子どものみならず、社会に対しても願いを抱くようになることが示された。発達障害児者の母親は、子どもの幸せを願いながら、障害のある子どもを介して様々な人と出会い、多様な体験していることが明らかになった。旧知の関係にある元園長との対話を通しても、子育てにまつわる出来事を意味づけ、自己成長を見せると考察された。