著者
矢口 行雄 中村 重正
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.141-144, 1992-06-01

1986年9月から1987年5月の9カ月間にわたりハワイ産パパイアの日本到着時における損傷について調査を行った.損傷の発生は, 生理的損傷0.9%, 機械的損傷1.8%, 腐敗0.9%で, これらの季節的変動をみると12月が最も高く, 4月, 5月が最も低い傾向を示した.
著者
中村 文子
出版者
長崎純心大学・長崎純心大学短期大学部
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
vol.4, pp.94-84, 2006-03-01

「今昔物語集」は平安時代末期、院政期に成立したとされる我が国最大の仏教説話集である。説話の中には、恩をかけ恩に報いる話が収録されており、「恩」という語が散見できる。「今昔物語集」全三十一巻 (巻八・一八・二一は欠巻)は、天竺部・震旦部・本朝仏法部・本朝世俗部と四つの部立てで構成されており、収められている説話には依拠した文献の存在が明らかなものも多い。本稿では、「今昔物語集」の「恩」という語が依拠文献の表現を受け継いでいるのかどうか、依拠文献本文と比較・対照する。その結果を検討することにより、「今昔物語集」の恩についての考察の第一歩とするものである。「恩」という語を一例ずつ検討してみると、「恩」に関しては「今昔物語集」の本文と依拠文献との関係は複雑である。「今昔物語集」が、依拠文献の「恩」を踏襲していると考えられる例や、「恩」の複合語を使用している例、依拠文献にはないが「恩」という語を使っている例、対応する文がない例など、それぞれの依拠文献に「恩」という語がそのままあるものから、文そのものがないものまで多様である。依拠文献は、漢訳仏典・漢籍・本邦説話集など様々であるが、「今昔物語集」本文との関係については、特別な様相をみせる文献は、内外のいずれにも見出せなかった。結論的に「今昔物語集」の文章においては、依拠文献の文章をそのまま踏襲しているとはいえない。
著者
中村 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会 報告集 (ISSN:18848451)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.115-115, 2005

2004年新潟県中越地震では営業運転中の新幹線列車が初めて脱線したが, 種々の事前対策が功を奏し, また幸運にも恵まれて災害とはならなかった. 新幹線には地震対策のひとつとして, 不測の事態が発生したときに災害の程度をできるだけ軽減させるための早期検知システムが設置されている. 今回の地震でも, 上越新幹線に設置されたコンパクトユレダスが, 震央地域でP波検知後1秒で警報を発し, 震央域の全列車を緊急停止させた. 脱線列車に対しては, 警報から本格的な地震動が到来するまで3秒弱しかなかったが, 被災したかも知れないところを130m近く走行せずにすみ, 対向列車突入の危険性も大幅に低減した. 直下に発生した地震に対しても, コンパクトユレダスは想定どおり効果を発揮することが実証された. また, 今回の脱線現象を分析した結果, 主要な脱線は特定の高架橋ブロック間の著大な相対変位によって順次発生したと推定され, 地震後, 脱線車輌がレール上を胴体着陸状態で滑走して著大な摩擦熱が発生し, 列車通過とともにレールの変形・破断が発生したと想定された.
著者
柳沢 猛 森岡 幹夫 中村 喜十郎 三木 達哉
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.2-9, 1983-12-25
被引用文献数
4

The decay rate of the partial vibration of a piano string, with its frequency near the natural frequency of the soundboard vibration, is larger than that with its frequency far from the natural frequency of the soundboard vibration. The existence of this phenomena is examined in this paper both experimentally with an actual upright piano and theoretically with a coupled vibration model of a string and a sounboard.
著者
青木 伸雄 中村 美詠子
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.121-124, 1996-10-30 (Released:2009-10-15)
参考文献数
2

生存率が過用される分野は非常に多く, 例えば, 種々の慢性疾患患者についての病型別, 重症度別, 治療法別の生存率の評価, あるいは生活指導別 (危険因子介入状況別) の生存率の評価を行うことができる。生存率の種類としては, (1) Cutler-Ederer法, Kaplan-Meier法, Coxの重回帰型生命表法などの “生命表理論” に基づく生存率, (2) 粗生存率 (直接法 : 一定の観察期間後の生存者数を観察開始時の対象者数で割ったもの。消息不明をすべて死亡とみなす最小生存率, すべて生存とみなす最大生存率, 分析の対象からすべて除外する推定生存率とに細分される), (3) 相対生存率 (死亡については全死亡を扱う場合に, 粗生存率を期待生存率で割ったもの) などがある。いずれの場合も, 対象者の選び方を厳密にしておくことが大切であり, 消息不明・脱落者の取扱い方は特に明確にしておく必要がある。観察期間が短い場合には, 図1より推測されるように, 生存者あるいは死亡者として分析対象に含める者は研究の目的, 対象と方法により異なってくることに特に注意する必要がある。
著者
中村 一夫 来住 宜剛 池上 詢
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.9-16, 2008 (Released:2009-02-17)
参考文献数
7
被引用文献数
2 5

廃食用油からバイオディーゼル燃料を製造する際に,触媒のカリウムを多く含むグリセリンやメタノールの混合廃液が発生する。この廃液は,現在廃棄物として処理されているが,グリセリンやメタノールのような分解性の有機物の有効利用の観点からメタン発酵での再資源化の可能性について実験を実施した。実験の結果,グリセリン混合廃液は,廃液中に含まれるカリウムによる発酵阻害もなく,良好にメタン発酵することが確認された。その際のCODCr分解率は80%以上であった。また,グリセリン廃液におけるガス発生率は分解CODCr1gあたり0.51NL-dryであり,理論上のガス発生率とほぼ一致する結果を得た。一方,メタン発酵を問題なく進めるためには,窒素やリンのような栄養塩や固形物を適切な濃度に保つ必要があるが,グリセリン廃液は固形分を含まないうえに窒素やリンの含有量が少ない。この対策としては,生ごみとの投入が効果的であった。
著者
倉持 秀敏 崔 基仁 大迫 政浩 前田 光治 中村 一夫 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.175, 2007 (Released:2007-11-23)

トラップグリースのような低品質な廃油脂類をBDF原料として利用するには、既存のBDF製造ラインに投入する前に原料の脱水および遊離脂肪酸(FFA)の除去が必要である。そこで、本研究では、脱水方法として莫大な水の蒸発潜熱の投入を回避でき、かつ、後段の反応系への展開が容易な溶媒抽出法に着目し、溶媒抽出による脱水の可能性を検討するとともに、新規BDF製造法として抽出剤を含む抽出物をFFAの除去およびBDF製造プロセスに直接導入した場合を想定し、抽出剤がFFAの除去および油脂のBDF化に与える影響を調べた。
著者
大城 宜武 中村 完 芳澤 毅
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
沖縄キリスト教学院大学論集 (ISSN:13498479)
巻号頁・発行日
no.1, pp.31-45, 2005-02

本研究は、日本復帰30年目の沖縄における住民意識について検討することを目的とする。2002年に実施されたアンケート調査で得られた2,100人分のデータについて検討したものである。戦争、自治、人権について復帰前後の変化の有無、戦争、自治、人権に対する態度と年齢との連関を中心に検討した。主な結果は以下の通りである。1.米軍基地の存在が、平和の危機、自治権侵害、人権侵害の主因であると考えるものが多い。2.沖縄に駐留する日本の自衛隊については、やや寛容な意見が多い。3.日本政府の沖縄の民生の安定に関する施策については好意的な評価がなされている。4.年齢と戦争、自治、人権の間の連関は有意であり、高年齢層は明白な態度を示し、若年層は消極的な態度である。5.日本復帰への評価は「どちらともいえない」が一番多く、積極的な肯定または否定は避けられていた。Based on a questionnaire survey conducted in September 2002 for 2,100 Okinawan subjects of five age groups (ranging from 17 to 60 years old or over), the study aims to examine their social awareness. It mainly reviewed the correlation between their attitudes toward the war, autonomy, the human rights in Okinawa and the age groups. The main results were as follows: 1. Many of them thought that the presence of the U.S. military bases in Okinawa is the primary cause of crises such as disturbance of peace, suppression of local autonomy, and violation of human rights. 2. Many of them are rather tolerant of the Japanese Self-Defense Forces stationed in Okinawa. 3. Many of them gave a favorable evaluation for the Japanese government's policies on Okinawa's social welfare. 4. The correlations among the age and the attitudes towards the war, autonomy, and the human rights are statistically significant: the higher-age bracket had explicit opinions; contrary, the youngerage layer showed less concern. 5. Many of them avoided to comment strongly on the issue of re-annexation of Okinawa by Japan: most of them answered; "it was neither good nor bad."
著者
橘 省吾 浦川 聖太郎 吉川 真 中村 良介 石黒 正晃
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.4-13, 2013-03-25

地球外始原物質(より古い情報を記憶する物質)の科学は私たちの太陽系の歴史を銀河の歴史と実証的につなげる唯一の手段である.「はやぶさ」「はやぶさ2」の探査天体よりさらに始原的な情報が残されている可能性が高く,また来る10年に往復探査が可能な天体である107P/Wilson-Harrington(彗星/小惑星遷移天体)へのサンプルリターン探査を提案する.本探査計画は惑星物質科学の進展のみならず,太陽系初期につくられる揮発性物質を多く含む小天体の物理的特性を明らかにできる探査であり,惑星形成論においても大きな貢献をなすものである.
著者
戸辺 義人 木村 兼江 中村 明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第37回, no.アーキテクチャおよびハードウェア, pp.167-168, 1988-09-12

AIPは現在のところ、AS3000をホスト・プロセッサとするAI用バックエンド・プロセッサとして使用される。そのためAIPとホスト間の通信は重要な要素であり、高速性と安全性が要求されていた。開発初期においては、VMEバスをmmapにより割り当て、VMEバス上に接続したAIP主記憶に対してホストが直接アクセスできる方式を採用した。この方法は、ホストとAIP間の通信回数が減り通信オーバヘッドが小さくでき、AIP側のインタフェース・ソフトウェアを小型にできる長所があった。しかし次のような短所も考えられる。 (1)複数のホストがAIPを共有する場合、排他制御を行なうことができない。つまり1台のホストがAIPを使用中であっても、他のホストがAIPにアクセスすることが可能となる。 (2)AIP主記憶へのアクセスは、ホストがバス・マスタとなって行なうので、ホストがAS3000ではなくバス転送能力の低いプロセッサにした場合、通信効率が大巾に低下してしまう。 こうした短所を解消するため、ホストにAIP用ドライバを組込むと共にAIPがバス・マスタとなってデータ転送を行なう通信方式で、今回AIPのホスト・インタフェースを実現した。本稿において、新しく開発した通信手段について報告する。
著者
一瀬 豊日 中村 早人 蜂須賀 研二
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-52, 2013-10-01
被引用文献数
1

平成25(2013)年6月1日現在で産業医科大学医学部は2,875名の卒業生を輩出している.うち産業医として就業している人が526名,修学資金返還免除対象職務となる本学教員252名,労災病院219名,健診中心の労働衛生機関84名となっている.義務年限中の職種として多い臨床研修医を含めた卒後の修練医等は473名である.卒業生産業医は全国に分布している.その多くは日本の大規模事業所の分布にほぼ一致する太平洋ベルト地帯を中心とした都市圏である.この10年程度の卒業生産業医数の増加は義務年限を修了しても産業医を継続する者が多くなった結果,従事者数が増加したことが大きく影響しており,要因として卒後修練課程の充実や修学資金が考えられるが,多くの要因が含まれているので単純単一の要因として導くことは難しい.企業の産業医を経験した教員,労災病院医師や開業医等による産業医育成能力向上や産業保健体制充実の影響もあると考えられ,今後これらの分析も進める必要がある.
著者
伊地智 幸一 宮崎 景太 三原 荘一郎 秋山 雅胤 中村 修治 牛越 淳雄 濱田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.92, pp.111-116, 2010-06-17
被引用文献数
1

ASNAROプロジェクトにおいて,低コスト化や新規参入障壁の低減を目的として中小企業を含めた日本の宇宙産業界がコンソーシアムを組織し,新しい衛星システムアーキテクチヤ等の「バス標準」の策定活動を行っているが,その概要を紹介する.
著者
竹下 浩 奥秋 清次 中村 瑞穂 山口 裕幸
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.423-436, 2016-09-30 (Released:2016-10-31)
参考文献数
33
被引用文献数
4

近年日本の製造業で生産技術者の育成が急務となっており, 高等教育でも「ものづくりPBL」の取り組みが増加している。しかし実際のチームワーク形成過程は解明されておらず, 効果的な授業評価法を確立するために, その解明が求められている。そこで本研究は, ものづくり型PBLのチームワーク形成プロセスを説明・予測できる理論モデルを提示する。6校13名からデータを収集, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した結果, 42の概念が生成された。ものづくり型PBLにおけるチームワークの形成プロセスは, ものづくり・チーム活動・スキル蓄積という3つの過程で構成されており, 主な特徴は以下の3点である。(1) 製作段階ごとにスキルが試される結果, ものづくり過程はチームワーク形成過程に強制力を有していた。(2) チーム活動課程は, サブチーム(製作物の専攻科別担当チーム)の形成から発達し, 協業あるいは孤島化へと至る。(3) 成員はものづくりを目的としてチーム活動する一方, チーム活動の派生物としてスキルを習得していく。考察では, 先行研究では説明できない点を議論する。さらに, 高等教育や企業の人材育成への示唆を提示する。
著者
山浦 由郎 中村 和夫 石原 祐治
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.110-115_1, 1997-04-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

長野県内で1970年から1994年までの25年間に発生したきのこ中毒を統計学的に解析した. 中毒は1972年及び1987年を除いて毎年発生し, 年平均約5件の発生, 20人の中毒者があった. 原因きのこの種類別ではカキシメジ, クサウラベニタケ, ツキヨタケの3種のきのこで, 全きのこ中毒事例の約70%を占めていた. 毒きのこを発現する特徴的な中毒症状別に分類した場合, 発症率は胃腸障害型きのこ, 入院率は神経系症状型きのこ, 死亡率はコレラ様症状型きのこでそれぞれ最も高かった.