著者
中村 史
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成29年度は、単著『七仙人の名乗りーインド叙事詩『マハーバーラタ』「教説の巻」の研究ー」の執筆・出版に相当な時間を費やすこととなった(平成29年12月20日出版)。この著書は、平成27年度末に北海道大学・文学研究科に提出していた博士論文「サンスクリット叙事詩『マハーバーラタ』第13巻の文学研究」を改稿し、博士論文には無かった二章を新たに付加して執筆したものである。この著書は『マハーバーラタ』第13巻「教説の巻」の文学研究を試みたものであり、『マハーバーラタ』に文学研究が少なく(決して多くなく)、『マハーバーラタ』第13巻「教説の巻」には研究そのものが少ない状況において、大きな意義を持つものと考える。特に、この著書の書名の元とした『マハーバーラタ』第13巻「教説の巻」の神話「七仙人の名乗り」については、そこに様々な文学技巧が見られるという点において、『マハーバーラタ』の神話としては非常に特異な存在である。そうした、この神話の文学性、特異性を指摘したことは、私の今後の研究の展開について大きなきっかけとなったと言える。しかし、この説話は非常に難解な説話であるため、さらなる解釈・研究を続けていかなければならないと考えられる。平成29年度10月より1年間の長期研修期間を得、京都大学文学研究科の内地研究員として、研鑽を積んでいる。その中で、『マハーバーラタ』第13巻「教説の巻」「七仙人の名乗り」の研究を英文の論文とすることが1つの課題である。
著者
指宿 信 安田 裕子 青木 孝之 廣井 亮一 丸山 泰弘 後藤 弘子 石塚 伸一 佐藤 達哉 中村 正
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

第一に、法学、心理学、社会学、精神医学など多様な学問領域の専門家による「治療的司法」概念の検討が多角的に進められ、刑罰重視型より更生支援型刑事司法が再犯防止に有効という海外の先行する知見が、我が国においても通用することが明らかした。 第二に、更生支援を具体的に進めるための支援や治療を提供する社会的資源となる「プロバイダー」が各所に存在し活動を進めているが、治療的司法観を共有することができることがわかった。 第三に、刑事被告人や被疑者に最も近接する立場にある弁護人が、相当程度現行の刑事司法制度の中でも治療的司法に基づいた処分や処遇を進めることが可能であることが明らかになってきた。
著者
内海 能亜 渡邊 真彦 歌谷 昌弘 中村 格芳 金本 貴司
出版者
広島国際学院大学
雑誌
広島国際学院大学研究報告 (ISSN:13453858)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.19-26, 2009-12

The Hiroshima Engineers Reaching Out (HERO) group was organized in 2003 and is comprised of staff from Hiroshima Kokusai Gakuin University. With the cooperation of Hiroshima Prefecture's engineers and young people trying to acquire engineering qualifications, HERO has held educational lectures with the aim of supporting technological development in Hiroshima Prefecture. The lectures were directed not only at students of the university but also the general public. In this report, we describe the planning, start and management of these lectures and discuss the lecture content and educational results. Further, we investigate the demand for these lectures and report on future issues based on the results of a participant questionnaire. 平成15年度より,広島国際学院の教員からなるグループ「HERO」を立ち上げた。HEROは広島のエンジニアまたはそれを目指す若者らが協力し,広島の技術発展を目指し,本学の学生だけでなく,広く一般の人々に向けて教育講座を開講した。本報では,本講座の企画,立ち上げ,運営について言及する。また,筆者らによる講座内容とその教育の成果を述べ,受講者のアンケート調査結果をもとに,近年の講座に対する要望を調査し,今後の課題について報告する。
著者
田中 秀臣 中村 宗悦
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.21, pp.171-186, 2000-03-30

本論文の目的は、戦時下の生活雑誌――月刊『時局月報』『国防国民』の意義を検討することにある。戦時下の日本では「生活雑誌」という言葉は、家事のための雑誌ではなく、政治経済雑誌を意味していた。『時局月報』とそれが名称変更した『国防国民』の両雑誌は、長谷川国雄(一九〇一―八〇)が編集し発行したものである。長谷川は、一九二九年から三六年にかけて、経済雑誌『サラリーマン』を発行していた。『サラリーマン』の独自性は、新中間階級の読者に対する経済知識の啓蒙にあった。『サラリーマン』は、官憲による不法な弾圧によって休刊を余儀なくされてしまった。しかし、『時局月報』と『国防国民』は、『サラリーマン』の直接の後継誌として、同じ編集方針を継承するものであった。さらに、両誌は、統制経済の観点から、人的資源と物的資源の再配置と改善を提唱するものだった。
著者
旭 直人 山本 岳洋 中村 聡史 田中 克己
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-11-13

本論文では,ユーザが入力した 2 つのオブジェクトの間にあたるオブジェクトを発見する手法を提案する.例えば,桶狭間の戦いと本能寺の変の間に起こった出来事を知りたい,2 つの知っている本の中間の難易度を持つ本を発見したい,といったような状況は良くある.しかし,従来の検索エンジンでは,こうしたオブジェクトを発見することは難しい.そこで本研究では,2 つの入力の間に位置するようなオブジェクト (補間オブジェクト) を発見するシステムについて述べる.また,検索エンジンを利用し,語の出現位置に注目することで補間オブジェクトを自動的に発見する手法を提案する.最後に,評価実験により提案手法の有用性を示す.We propose a method for finding intermediate objects between two objects that a user inputs. For example, there are many situations such that he/she wants to know an event between "the Battle of Okehazama" and "Honnoji Incident", or that he/she wants to find a book that has intermediate level between two books he/she knows. However, it is difficult to find such intermediate objects by conventional search engines. First, we describe a system that find intermediate objects between two inputs. Second, we propose find intemediate objects automatically using positions of words. Finally, we show the results of our experiments and evaluate the effectiveness of our method.
著者
中村武 編輯
出版者
技工研究会
巻号頁・発行日
vol.後編, 1911
著者
中村 維男 杉本 理 小林 広明 萩原 将文 後藤 英介 深瀬 政秋 長谷川 勝夫 FLYNN Michae MICHAEL Flyn
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、脳構造化スーパーコンピュータの解析と統合およびその性能評価を目的として、スタンフォード大学と東北大学が共同研究を行うことを計画した。このために、研究代表者と研究分担者は合計10回の研究連絡会議を開いた。その内訳はスタンフォード大学で8回、東北大学で2回である。これらの会議では、日米の研究協力者も適宜討論に参加した。その他、計算機アーキテクチャの分野で指導的立場にある研究者を招いての会議も開催した。さらに、日常的には電子メールによる研究連絡を頻繁に行った。その結果、研究計画の項目毎に以下に示す実績を得ることができた。本年度はこの他にも、機械設計支援システム、並列アルゴリズム、マルチメディアに関する論文、計算機アーキテクチャを指向した計算機ハードウェアに関する著書1冊の実績を得ている。1.脳構造化スーパーコンピュータの統合:研究計画の全項目を脳構造化スーパーコンピュータとして統合した。マインドコンピュータ、表現認識連想記憶メモリ、脳波学、人口蝸牛殻、過疎分散メモリ、波状パイプライン、ジェットパイプライン、論理型アーキテクチャ、記号処理アーキテクチャ、機能型アーキテクチャ、コンピュータグラフィックスの役割を考慮に入れ、脳構造化スーパーコンピュータにおける位置付けを明確に図示した。2.過疎分散方式メモリの構築:脳構造化スーパーコンピュータにおいて過疎分散方式メモリと対をなす波状パイプラインシステムに関して、CMOS VLSIベクトルユニットによる実装設計を行った。さらに、脳構造化スーパーコンピュータにおける処理とデータ伝送に不可欠のベクトルマシン、スーパースカラプロセッサ、マルチプロセッサなどの超高速プロセッサとコンピュータネットワークについての問題点と指針を明らかにした。3.RIGHTコンピュータの解析:スーパーコンピュータで脳機能を実現するための方法論に関するこれまでの研究をさらに発展させ、階層構造を有する分散型連想記憶メモリシステムを用いた脳構造化スーパーコンピュータの概念的モデルを明確にした。特に、このモデルに関してのRIGHTコンピュータの解析を行った。さらに、概念的モデルと具体的モデルの融合を試みた。これらの研究成果は近く公表の予定である。4.超並列記号処理システムの構築:超並列記号処理システムをVLSIで構築することを目的として、この研究の基礎となる学問の体系化を行い、1冊の図書にもとめた。さらに、VLSIの設計に関する独自の方法について研究を行った。得られた成果をもとに現在論文を作成中である。5.脳の処理モデルの研究:医学的な見地から遺伝子と脳の相互作用を検討し、脳の処理モデルの独創的な研究を展開している。これらの研究成果は近い将来公表の予定である。6.RIGHTコンピュータの性能評価:RIGHTコンピュータの構成要素であるニューラルネットワークとファジィ推論システムの融合、分散表現を用いた知的情報処理、および連想記憶メモリの性能評価に関して4編の論文を公表した。7.LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータの性能評価:LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータは、脳構造化スーパーコンピュータの処理部と入出力部に対応する。本研究計画項目では、特にデータ処理と出力を担当するコンピュータグラフィックスシステムの光線追跡法と多重路表現法について、詳細な性能評価を行った。8.RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークの研究:RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークに最近話題のウェーブレット変換を導入し、音声データ処理についての研究を展開した。
著者
中村 由佳
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.19, pp.189-200, 2006-07-31 (Released:2010-04-21)
参考文献数
19
被引用文献数
2

From the mid 1990s, a new form of fashion has occupied part of the urban space of Japan: “street fashion”. What are the patterns of organization and communication in the urban space formed by “street fashion”? This paper attempts to examine “Ura-Harajuku”, the center of post 1980s' fashion in Tokyo, applying a dramaturgical approach. After that, the range of the approach itself and its limits are considered.
著者
大和 浩 太田 雅規 中村 正和
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.130-135, 2014

<b>目的</b> 飲食店の全客席の禁煙化が営業収入に与える影響を,全国で営業されている単一ブランドのチェーンレストランの 5 年間の営業収入の分析から明らかにする。<br/><b>方法</b> 1970年代より全国で259店舗を展開するファミリーレストランでは,老朽化による改装を行う際に,全客席の禁煙化(喫煙専用室あり),もしくは,喫煙席を壁と自動ドアで隔離する分煙化による受動喫煙対策を行った。2009年 2~12月度に全客席を禁煙化した59店舗と,分煙化した17店舗の営業収入の相対変化を,改装の24~13か月前,12~1 か月前,改装 1~12か月後の各12か月間で比較し,客席での喫煙の可否による影響が存在するかどうかを検討した。改装が行われておらず,従来通り,喫煙区域と禁煙区域の設定のみを行っている82店舗を比較対照とした。解析は Two-way repeated measures ANOVA を行い,多重比較検定は Scheffe 法を用いた。<br/><b>結果</b> 全客席を禁煙化した52店舗,喫煙席を壁とドアで隔離する分煙化を行った17店舗,および,未改装の82店舗の 3 群の営業収入の相対変化(2007年 1 月度比)は,12か月単位の 3 時点の推移に有意差が認められた(<i>P</i><0.0001)。改装によりすべての客席を禁煙とした店舗群の営業収入はその前後で増加したが(<i>P</i><0.001),喫煙席を残して壁と自動ドアで隔離する分煙化を行った店舗群の営業収入は有意な改善を認めなかった。<br/><b>結論</b> ファミリーレストランでは,客席を全面禁煙とすることにより営業収入が有意に増加するが,分煙化では有意な増加は認めらなかった。
著者
中村 正斗 山田 豊 美齊津 康民
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.964-970, 1993
被引用文献数
2

同腹の繁殖雌豚を2種の飼養方式で3年間飼育し,発情と産子成績を比較した.12頭のランドレース×大ヨークシャーの雑種雌豚を育成期(平均体重>60kg)から5回の妊娠•分娩期を通じてストールで単飼または豚房内で3頭ずつ群飼した.各区に同腹豚を無作為に配置し,育成期から発情を毎日調べ,性成熟後2回目の発情および離乳後の初回発情に人工授精または自然交配を行なった.供試豚はすべて,同一の繁殖ステージには同一の飼料を個別給与した.初回発情時の日齢および体重,受胎時の日齢および体重,分娩時の日齢および分娩後の体重,産子数および離乳頭数,子豚の出生時体重および離乳時体重,離乳時の子豚の育成率および離乳後の発情再帰日数について初産から5産まで調べた.平均初回発情日齢は,群飼豚がストール飼育豚よりも24.5日早かった.初回発情から2回目の発情までの平均発情周期は,群飼豚(22.2日)がストール飼育豚(26.0日)よりも有意に短かった(P<0.05).初回交配時の平均体重は,ストール飼育豚(137.2kg)が群飼豚(123.8kg)よりも有意に重かった(P<0.05),平均産子数と離乳頭数は,群飼豚でそれぞれ9.6頭および8.7頭,ストール飼育豚でそれぞれ11.0頭および9.4頭であった.群飼豚の子豚の出生時の平均体重(1.55kg)はストール飼育豚のそれ(1.32kg)よりも有意に重かった(P<0.01).群飼豚の子豚の離乳時の平均体重(7.43kg)はストール飼育豚のそれ(6.37kg)よりも有意に重かった(P<0.01).群飼豚の子豚の離乳時の平均育成率(96%)はストール飼育豚のそれ(88%)よりも有意に高かった(P<0.05).群飼豚の離乳後の平均発情再帰日数(10.8日)はストール飼育豚のそれ(41.0日)よりも有意に短かった(P<0.01).ストール飼育豚では運動器障害と流産の発生が認められた.
著者
宇田川 義夫 中村 敏一 寺川 陽 阿部 徹
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.16-18, 2001-10-01

This research aims at verifying the effectiveness of the river revetment work with porous concrete for the restoration of ecosystem and is based on a site investigation on the restoration of ecosystem at river revetments of precast and cast-in-place porous concrete. As a result, the restoration effect of ecosystem was confirmed with time after construction. Moreover, it was suggested that the succession of vegetation may possibly be kept in the midst by adjusting the void content and that the river revetment work with porous concrete may be applicable to biotope.