著者
市川 治 淵野 雄二郎 秋山 邦裕 吉岡 徹 菅原 優 田野 光彦 仁平 恒夫 發地 喜久治 中村 稔 村田 まり子
出版者
酪農学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、農業構造改革に対応する農業経営の成長という観点から大規模土地利用型農業生産法人に着目し、農業経営内的展開と外的農業参入展開に分類し、その量的・質的な分析を通じて、経営成長のモデルの条件を提案した。具体的なモデルの条件としては、先駆的な経営者や後継者、中核的な従業員が存在し、大規模化の農業生産技術や先端技術を獲得したもので、農産物の加工・販売などの付加価値生産部門や直接販売部門・直売所やレストランをもつものである。
著者
中村 栄一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.179-185, 1983-03-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
8

According to the construction of the Onagawa Nuclear Power Plant, a telemeter system for monitoring external environmental radiation around plant was equipped. This system has six monitoring stations and collects the γ-ray spectrum every 10min at each station. The spectrum was analyzed by response matrix method, and the artificial contributions piled up natural background were separately evaluated.
著者
澤田 秀之 中村 祐
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、形状記憶合金ワイヤの微小振動子をアクチュエータとして用いた触覚呈示デバイスを構築し、指先感覚の喪失の程度を数値化する、指先触覚感度測定手法を開発した。まず高出力触覚アクチュエータの研究開発をおこない、皮膚の微小部位に様々な周波数の振動刺激を与えることで、触覚の高次知覚の呈示が可能であることを示した。更に指先触覚感度を定量的に測定するシステムを構築し、糖尿病などで引き起こされる末梢神経障害に起因した指先感覚の喪失程度を数値化する測定法の実装をおこない、被験者実験により有効性を示した。糖尿病の症状の進行度を定量的に計れることは、早期の診断や的確な治療に大きく貢献できる。
著者
中村 亮
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
no.26, pp.215-240, 2010-07-15

東アフリカのスワヒリ海岸はアフリカでも有数のマングローブ面積を保有する地域である。ここのマングローブは、紀元前よりのインド洋交易をつうじて、木材資源が少ないアラブ・ペルシャ地域へ建築材として輸出されてきた歴史背景をもつ。スワヒリ海岸のなかでも、タンザニア南部のルフィジ川流域とキルワ沿岸部は、国内のマングローブ面積の64%(69,785ha)を保有する海資源の豊かな地域である[Wang et al.2002]。本論文の目的は、タンザニア南部のキルワ島を事例に、住民によるマングローブ資源利用の現状について、「直接利用」と「環境利用」にわけてその多面的利用法を解明することと、居住空間と資源が限定されている海村社会(とくに島嶼部)におけるマングローブ資源の重要性を提示することである。キルワ島は中世のインド洋交易において金交易を独占することにより興隆した海洋イスラーム王国であったが、現在は1000人弱の住民が、マングローブとサンゴ礁に囲まれた海で主に半漁半農の生業形態でくらす小海村である。キルワ島は、島と大陸との間のマングローブに囲まれた内海と、インド洋に面してサンゴ礁が発達した外海という、自然環境が対照的な二つの海をもつ。その海環境は、生態海域1:マングローブ内海、生態海域2:サンゴ礁をもつ外海、生態海域1と2の自然条件を兼ね備えた生態海域3(境海)、の三生態海域に分かれる。生態海域1に面する場所に、キルワ王国時代(10C半)から居住空間が歴史的に形成されてきた。ここは北モンスーンの影響を受けて、暑気に涼しくマラリア蚊の少ないことより居住空間として適しているばかりではなく、キルワ王国にとっては、外海から奥まった遠浅の海に面しているので、外敵からの防衛という点でも適していた。また、キルワ島の半数近くの漁場が生態海域1に集中しており(30/66)、かつ、全漁法の半数以上が生態海域1でおこなわれることより(23/41)、マングローブ環境が生業空間としても適していることがわかる。キルワ島には8種類のマングローブが自生している。その利用は、マングローブを建築材や燃料などとして使用する「直接利用」と、マングローブが作り出す環境を漁場や塩田として使用する「環境利用」に大別される。七通りの直接利用(建築材、船材、漁具材、燃料、薬、飼料、玩具)と五通りの環境利用(漁場、航路、塩田、養蜂、防波風林)が確認された。この二つの利用法の関係は、微妙なバランスの上に成り立っているといえる。マングローブの過度な伐採はマングローブ環境を壊してしまうし、マングローブ環境の保全のために伐採を禁止してしまうと、マングローブの直接利用に依拠した住民生活に支障をきたしてしまうからである。しかし現在までのところ、人びとがマングローブの重要性を伝統的な知識をつうじて理解しており、また、この地域の人口密度が少ないこともあって、キルワ島周辺のマングローブ資源は良く保全されているといえる。キルワ島におけるマングローブは、材料や生業空間としの重要性だけではなく、キルワ沿岸部の地域社会を形成する媒介の場所としての重要性ももっている。マングローブ内海には住民が日常的に移動する航路が網の目のように張り巡らされており、このマングローブ内海を媒介としてキルワ島周辺地域には、親族関係、友人関係、近距離交易などをつうじた親密な地域関係が存在している。マングローブ資源が歴史的に果たしてきた役割、同時に、現在の住民によるマングローブ利用法をしっかりと認識することが、近年の沿岸部開発や観光化によって海環境への人的圧力が高まってきたタンザニア南部沿岸地域における、人と自然との持続可能な関係を模索するために必要不可欠である。
著者
滝戸 次郎 中村 雅典
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

破骨細胞は、単核細胞の融合により形成される多核細胞であり、その機能は骨を分解することである。その細胞融合に関与する構造として、我々は新規のアクチン超構造体を報告してきた。本研究では、その構造の構成タンパク質の空間配置を決定し、前駆体であるPodosome beltとの違いを明らかにした。また、その構造保持に関与するシグナル伝達経路を解明した。アクチンの動態を観察し、超構造体内で内向きのアクチン流動が起きている事を発見した。これらの知見を統合し、破骨細胞間の接着に働く力の釣り合いを考察した。本研究により、アクチン超構造体は、破骨細胞同士の融合時の接着に寄与することが示された。
著者
中村友彦 吉井和佳 後藤真孝 亀岡弘和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-6, 2014-08-18

本論文では,調波楽器音の周波数特性とドラムの音色を,音楽音響信号間で楽譜を用いずに置換するシステムを提案する.このシステムでは,まず置換元の音楽音響信号 (インプット) と置換先の音楽音響信号 (リファレンス) の振幅スペクトルをそれぞれ調波楽器音成分と打楽器音成分のスペクトルに分離し,それぞれの成分に対して独立に処理を行う.調波楽器音成分のスペクトルの周波数特性をスペクトルの山周辺と谷周辺を通る 2 つのスペクトル包絡によって特徴付け,インプットの調波楽器音成分の振幅スペクトルを,インプットとリファレンスの調波楽器音成分のスペクトル包絡が類似するように変形する.インプットとリファレンスの打楽器音成分のスペクトログラムは,各ドラム楽器毎のスペクトログラムに分離した後,ユーザによって指定されたインプットのドラム楽器の音色をリファレンスのドラム楽器の音色に置換する.主観評価実験により,提案するシステムが周波数特性とドラムの音色を適切に置換できることを確認した.
著者
加藤 滋子 脇 嘉代 中村 禎子 長田 早苗 藤田 英雄 李 花映 小林 春香
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2型糖尿病患者を対象に、基準となる料理画像を見て、料理単位で栄養素等摂取量を推定するマニュアル(主食料理)を開発した。基準量や料理リストなどいくつかの修正が必要であるが、有用性ならびに有効性が示唆されたさらに、スマートフォンアプリ(DialBetics)で撮影した料理画像を用いて、管理栄養士によるアプリの栄養素等摂取量の推定の有効性についても検討した。アプリを用いた料理名およびエネルギー・栄養素等摂取量の推定は料理グループとして有効であることが示唆された。
著者
根立 研介 中村 俊春 平川 佳世 武笠 朗 深谷 訓子 皿井 舞 武笠 朗 田島 達也 深谷 訓子 劔持 あずさ 皿井 舞 宮崎 もも 中尾 優衣
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

平成22年度は、研究代表者の根立は、8月下旬から9月初旬にロンドン・大英博物館、ウィーン・応用美術館、ケルン・東洋美術館を、また12月下旬中国・寧波・寧波市博物館及び蘇州・蘇州市博物館等を訪れ、日本の鎌倉・江戸時代の彫刻及び日本の古代・中世彫刻の規範である中国の南北朝・唐・宋彫刻の調査を実施し、資料収集を行った。また、国内では、霊験仏として名高く、模刻も盛んに行われた奈良・長谷寺十一面観音像の室町時代の模刻像の調査(於鳥取県倉吉市・長谷寺)等を実施した。分担者の中村は、昨年度に引き続き、西洋バロック美術の模倣と創造の問題に関して資料収集を行った。また、21年度から分担者となった平川は、9月にルーブル美術館(パリ)、サバウラ美術館(トリノ)、ドーリア・アンフィーリ美術館(ローマ)を訪れ、ルネサンス以降イタリアの宮殿装飾として定着した古代ローマの表象において北方ヨーロッパにおける伝播を確認する調査を実施した。連携研究者は、個々人のテーマを進展させたが、特に武笠朗は昨年度に引き続き、善光寺式三尊像の模刻を巡る研究を進展させた。なお、研究代表者根立は、本研究のテーマとも密接に関わる霊験仏の問題を『美術フォーラム21』22号(2010年11月発行)で特集として編集するとともに、根立、武笠が論考を発表した。なお、最終年度に入った本研究の成果を検討する研究会を、10月3日に実施し(第二回目は、東日本大震災の影響もあり中止となった)、活発な意見交換を行った。また、3月下旬には、研究代表者・同分担者・連携研究者8人の研究成果の論文を掲載し、この科研を総括する報告書を刊行した。
著者
中村 光士郎 松本 康 柳原 尚明
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.1673-1678, 1980-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Bilateral or recurrent facial palsies were found in 70 patients (3.8%) among the 1856 patients with facial palsy whom we treated during the last fifteen years. According to the clinical course, these 70 patients were classified into the following four groups.1) Bilateral simultaneous facial palsy (15 patients, 0.8%)2) Bilateral recurrent facial palsy (3 patients, 0.2%)3) Bilateral alternating facial palsy (24 patients, 1.3%)4) Unilateral recurrent facial palsy (28 patients, 1.5%)The bilateral simultaneous facial palsies were caused by Bell's palsy in five patients, head trauma in three, the Melkerson-Rosenthal syndrome in one, otitis media in two, myasthenia gravis in two, polyneuritis in two. The etiologies of four other patients were unknown. In contrast to multiple etiologies of the bilateral simultaneous facial palsies, bilateral alternating and recurrent palsies were caused mostly by Bell's palsy (22 patients) and the Melkerson-Rosenthal syndrome (3 patients). Although the majority of unilateral recurrent facial palsies were caused by Bell's palsy (22 cases) and the Melkerson-Rosenthal syndrome (2 cases), it is noteworthy that intratemporal tumors such as neurinoma of the facial nerve (1 patient) and cholesteatoma in the petrous apex (2 cases) could be the cause of recurrence.
著者
中村 美樹子
出版者
武修館高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究目的 : 本研究は、中国南朝で成立した伝奇文学である六朝志怪を教材として評価し直し、新しい教材としての可能性を提案することを目的とした。研究方法 : 六朝志怪を翻案した日本の古典文学のリスト化を行い、その中でも教科書に採録されているものを東京学芸大学付属図書館や教科書図書館等で調べ、指導書の内容から漢文との連携が指導書上で行われているのかをまとめていった。また、この時点で新しい見地を発見した。国際バカロレア資格のディプロマ・プログラムにおいては「studies in language and literature」(言語と文学の研究)で母語に翻訳された世界文学を読了した上での課題作文が必修となっており、ここでは比較が重んじられる。課題作文を作成するための導入段階の教材として、和漢比較教材が活用できる可能性は十分にあるものと思われる。したがって本来は外国の文学でありながらも、日本文学に取り入れられている六朝志怪は、この国際バカロレア資格における比較文学という視点から、活用が可能であるとし、この可能性について追及していくことにした。研究成果 : 国際バカロレア資格の「言語と文学の研究」の課題作文は一冊を読了して行うため、段階を踏んで短い文章から練習を行うべきである。その際、自国の文化との共通性を持つ漢文教材をその段階の一つとして使うのは理にかなっている。さらにその中で六朝志怪は一つのエピソードが短く、本質が記録であるため内容が簡易でストーリーをつかむことが簡単であるという利点を持つ。また、六朝志怪は本文に口語表現が含まれているため、漢文そのものを読むのは文法的に難しい面があるという欠点があったが、この課題研究は翻訳されたものを比較するため、この活用法ならば利点のみを最大限活用することができる。したがって、国際バカロレア資格の上での指導において、六朝志怪は非常に有用な教材であるという結論に達した。
著者
須田 達也 板生 知子 中村 哲也 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.310-320, 2001-03-01
被引用文献数
14 6

本論文では, IT2に代表される新しいネットワークパラダイムの考え方を背景に, オープンなネットワーク環境におけるサービス創発のための適応型ネットワークアーキテクチャ:Jack-in-the-Netを提案する.Jack-in-the-Netでは, 複数の自律的なシステム構成要素であるサイバーエンティティ(CE:Cyber-Entity)の間で, 柔軟で可塑的なインタラクションを行うことによって適応型サービスを提供する.CEは自らを取り巻く環境をセンシングする能力をもち, 状況に応じてインタラクションを変化させたり, 移動, 交配, 死などの生物的動作を行う.複数CE間のインタラクションの結果, 集団としての望ましい動作や秩序が生まれ, 新しいサービスを創発する.そして, 創発によって多様化したサービスとその自然淘汰を経て, サービスが進化する.Jack-in-the-Netにより, ユーザの日々の生活シーンやマスの傾向の変化に追従できるサービスの創発が可能になる.
著者
中村 真樹
出版者
長崎純心大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、自閉スペクトラム症(研究開始時は広汎性発達障害、以下ASD)の児童と成人を対象とし、自己理解に関する調査研究及び心理劇の実践を通して、情動機能と自己の発達について検討した。その結果、ASDの情動機能と自己の発達について、(1)臨床実践及び質問紙調査等の多様なアプローチの有効性(2)定型発達との比較検討によるASDにおける自己理解の特性(3)生涯発達的観点による支援の重要性(4)心理劇による支援の有効性が示された。
著者
山野辺 正邦 中村 智樹 嘉数 勇基 石田 初美
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.5, 2013 (Released:2013-08-31)

CMコンドライト隕石NWA5958のType-A CAIの粗粒なメリライトの10Be/9Be初生比は4.6×10^-2であった。この値はCV隕石中のCAIのメリライトの初生比(e.g. 9.5×10^4;MacPherson et al. 2003,7.2×10^4; Sugiura et al. 2001)に比べ大きな値となった。またCIコンドライトで規格化した希土類元素存在度はEuに正の異常が見られる平坦な存在度を示し、一方酸素同位体比はCVコンドライト隕石中の多くのCAIsのメリライトが16O-poorを示すのに対し、このCM隕石中のメリライトは16O-richであった。以上の分析結果から、このCAIは太陽近傍にて再加熱され、メリライトは再溶融を経験した。またこのCAIは形成後、円盤内で強い太陽宇宙線を浴びたため、10Beが核破砕反応でCAI中に生成されたと考えられる。
著者
中村 賢
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.24-37, 1985-01-20

クリーニング業は家内労働的,世襲的職業であるため定年制や社会移動が少なく,職域集団を対象とした疫学調査に適していると考えられる.しかしクリーニング業を対象とした疫学調査は非常に少なく,従事者を死因から調査した研究は,わが国では報告されていない.本研究はクリーニング作業従事者の健康管理対策の基礎資料を得る目的で,全国クリーニング環境衛生同業組合連合会に加盟している組合員数33,101名(1980年現在)のうち,1971年から1980年までの10年間に生命共済制度に加入し死亡した1,711名を対象とし,死因調査を実施した.さらに同制度加入者で,1979年から1981年までの3年間の死亡者517名に対しては,家族に死亡時の作業形態,個人習慣等に関する調査を実施し,294名から回答を得た.その結果以下の結論を得た.1)クリーニング作業従事者の虚血性心疾患を除く「その他の心疾患」,肝硬変を除く「その他の肝疾患」の死亡割合は,男女とも全国に比べ有意に高いことが認められた.2)クリーニング作業従事者の悪性新生物の死亡割合は,部位別にみると一部の部位では全国との間に有意差が認められたが,全悪性新生物では有意差は認められなかった.3)非ドライクリーニング作業従事者の死亡割合と全国の死亡割合の間には有意差が認められなかったが,ドライクリーニング作業従事者では,「その他の心疾患」,「その他の肝疾患」の死亡割合は,全国に比べ有意に高いことが認められた.4)個人習慣としての飲酒,喫煙という危険因子を有する者を除いた場合でも,ドライクリーニング作業従事者の「その他の心疾患」,「その他の肝疾患」の死亡割合は,全国に比べ有意に高いことが認められた.以上の成績から,ドライクリーニング作業で使用されている溶剤が,クリーニング作業従事者の死亡パターンに影響を与えていることが示唆され,この集団の健康管理上有益な資料が得られた.しかしドライクリーニングの溶剤としては,テトラクロロエチレン,石油系溶剤,1,1,1-トリクロロエタン等が使用されているため,今後さらに使用溶剤,暴露期間,その他の環境要因を考慮するとともに死亡率を用いた死因解析を実施する必要があると考えられる.
著者
中村 潤 菅原 斉 石井 彰 塚原 理恵子 出光 俊郎 眞山 英徳 渡辺 珠美 野首 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2053-2056, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は53歳,女性.入院5カ月前から掌蹠膿疱症に対しミノサイクリン(MINO)とビオチンの投与開始.1カ月前に発熱と筋痛を自覚.階段昇降が困難となり,両側下腿に隆起性紅斑が出現し入院.両薬剤を中止後,発熱,筋痛,紅斑は速やかに消失.紅斑の皮膚生検病理は壊死性血管炎の所見.ビオチン再開後も発熱と筋痛の再燃なく,MINO誘発性結節性多発動脈炎(MIPN)と診断.MIPNの報告は24例に過ぎないが,MINO内服中の新たな発熱,筋痛,紅斑などの血管炎様症状出現時には,薬剤性血管炎,特にMIPNも考慮すべきである.