12 0 0 0 OA 鍋島直正公伝

著者
中野礼四郎 編
出版者
侯爵鍋島家編纂所
巻号頁・発行日
vol.第4編, 1921
著者
中野 敬一
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
no.28, pp.47-67, 2014-03

本論では聖書において「売春女性」がどう扱われているかを確認した。まず旧約聖書では「神殿娼婦」と「遊女」が登場する。神殿娼婦は異教の習慣であり、イスラエルの聖所においては厳しく禁じられていた(例:申命記23:18)。しかし実際にはイスラエルにおいても神殿娼婦との淫行がみられ、預言者は神の審判を予言したのである。(例 : ホセア記4:14)。一方、遊女に対しては神殿娼婦ほどの避難はなされていない。新約聖書には、旧約聖書における「遊女」の同義語である「娼婦」が登場する。彼女たちの社会的地位は低く、特に律法学者やファリサイ派などのユダヤ教指導者層から差別されていた。しかしイエスは「徴税人や娼婦たちの方が、あなたたちより先に神の国に入るだろう」(マタイ福音書21:31)と述べた。また「罪深い女」(ルカ 7:36)と呼ばれていた娼婦を受け入れた。イエスは彼女たちを救いに招いたのである。しかし、後のキリスト者やキリスト教会はイエスの姿勢を継承しなかったと言える。例えば、パウロはコリント教会における淫行を禁じ、そのような行いをなす人々を排除するよう命じた。彼はキリスト者が娼婦と一体となることを戒めており、「みだらな者は神の国を受け継ぐことができない」と述べた(Ⅰコリント 6:10)。パウロらの思想は後のキリスト教会に受け継がれた。教父時代においては禁欲が重視され、売春女性は教会から排除された。しかし、同時に「必要悪」として認められた。さらにこのような傾向は中世ヨーロッパのキリスト教会にも継続され、社会や教会の純潔が守られるために、売春は是認されるのである。宗教改革者たちも売春女性を厳しく差別したが、カトリック教会と同様「必要悪」として彼女たちを容認したのである。 In this paper, I explored how prostitutes are treated in the Bible. "Shrine prostitute" and "harlot" appear in the Old Testament. The shrine prostitute was a custom of paganism and was forbidden in Israeli holy places (ex. Deuteronomy 23:18). In fact, however, immoral sexual acts with shrine prostitutes were observed in Israel, and the prophets foretold the judgement of God (ex. Hosea 4:14). On the other hand, Israelis did not criticize harlots as shrine prostitutes. "Prostitute", which is a synonym of "harlot", appears in the New Testament. Their social status was low; they were discriminated against by the class of Jewish leaders such as the scribes and the Pharisees. However, Jesus said to them, "the tax collectors and the prostitutes are going into the kingdom of God ahead of you" (Matthew 21:31 ). In addition, he accepted "a sinful woman" (Luke 7:36 ) who was a prostitute. Jesus invited her to salvation. However, it may be said that the later Christian church and heritage did not follow this position of Jesus. For example, the apostle Paul forbade sexual immorality in the Corinth church and commanded that it remove people who performed such an act. Paul banned a Christian and a prostitute from becoming one body and stated, "fornicators will not inherit the kingdom of God" (I Corinthians 6:10). The thoughts of Paul were inherited by the later Christian churches. Abstinence was made much of in the Church Father era, and prostitutes were removed from churches. However, it was recognized as "a necessary evil" at the same time. Furthermore, this tendency continued in the Catholic Church of the Middle Ages, and the church approved prostitution to protect the purity of society and the church. Religious reformers also discriminated harshly against prostitutes, but accepted them as "a necessary evil" in the same way as the Catholic Church.
著者
中野 友理
出版者
北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Center
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.28-45, 2004-12

本稿では、従来神尾(2002)が不可能としてきた「情報のなわ張り理論」における「のだ」文の位置づけを改めて考察する。日本語の文末形式「のだ」は、文の情報が話し手のなわ張りに属することを示す直接形や、逆に話し手のなわ張りに属さないことを示す間接形等の文末形式とは異なる機能を持ち、「情報のなわ張り理論」での位置づけは難しいとされていた。これに対して本稿では、文の情報が話し手のなわ張りに属していることを表す機能が「のだ」にあり、したがって「情報のなわ張り理論」においても位置づけが可能であることを述べる。同じく情報が話し手のなわ張り内にあることを示す直接形と「のだ」の違いは以下の点にある。直接形の文では、ある情報が話し手のなわ張り内にあるという話し手の判断が客観的視点からも成り立つと認められなければ、文が不自然になる。一方「のだ」文では、情報が話し手のなわ張り内に属するかどうかの判断を客観的な視点からは必要としない。あくまで話し手の主観的判断で情報が話し手のなわ張り内にあることを示す。「のだ」が間接形とともに用いられる場合がある理由も、「客観的には話し手のなわ張りに属さないと思われる情報を話し手の主観的判断によって自身のなわ張りに属する」ことを示すと考えれば矛盾はない。「情報のなわ張り理論」における「のだ」の位置づけは、これまで様々な視点から記述されてきた「のだ」の機能をより明確にするきっかけになると思われる。
著者
萩原 圭祐 梶本 勝文 中田 英之 神吉 秀明 竹内 麻里子 斎藤 仁美 中野 真依
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.207-215, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
7

われわれは,大阪大学ゲノム審査委員会の承認を得て,2013年1月より,日本の基幹病院において先駆けて,癌患者に対するケトン食の有用性と安全性の検討を開始し,その結果を,報告してきた.対象は,臨床病期Stage IV,PS0‐2,経口摂取可能な患者とし,他の癌治療の併用は可能とした.ケトン食は,同意取得後,管理栄養士が指導し,最初の1週間は糖質10g/日,2週~3カ月では,糖質20g/日以下,3カ月以降は,糖質30g/日以下とした.標準体重あたり30kcalを目安に開始し,エネルギー補給に際しては,MCTオイル,ケトンフォーミュラを使用した.導入3カ月後でのPET‐CTによる評価を主要評価項目とし,導入12カ月後での生存率の評価を副次評価項目とした.2018年12月現在55例の同意を取得し,現在,その結果を解析中である.癌ケトン食療法は,確かなエビデンスを構築していく段階に移行したと思われる.そのための課題や,われわれの取り組みについて紹介する.
著者
池邨 清美 中野 茂
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,生後12ヶ月未満に保育所に入所した子どもを対象として,保育士との愛着と母親への愛着を比較し,1)0歳児保育においても,子どもは母親と同じように愛着を形成するのか,2)保育士に対して形成される愛着は,母親に対して形成される愛着と連続性があるのか,独立して形成されるのか,の二点を明らかにすることを目的とした。対象は,生後1年未満から保育所で保育されたもの,家庭で保育されたもの,それぞれ35名の子どもである。研究は,愛着Q分類法による行動観察と愛着行動尺度と気質尺度を用いた質問紙によって,子どもが生後12ヶ月にから18ヶ月の間に行われた。その結果,質問紙調査では同じ子どもについて保育士に対する愛着と母親に対する愛着が比較されたが,生後8ヶ月以降に保育所に入所した乳児には両者に強い関連が見られたが,必ずしも気質がその関係を直接的につないでいるわけではなかった。また,そうした関連は生後8ヶ月未満に保育所に入所した場合には見られず,愛着は母親と保育士に個別に形成されると考えられた。保育士と母親に対する愛着を同じ子どもで観察した事例は少ないが,母親と不安定な愛着を形成した場合でも保育士とでは安定した愛着を形成する場合があった。保育所保育群と家庭保育群で比較すると,保育士に対する愛着は母親に対する愛着と遜色がなく,0歳児保育では保育士は重要な愛着対象であり安定した愛着を形成していたが,保育所児は泣きを保育士から世話を得るための手段として用いる傾向にあった。こうした知見から,愛着形成期での保育士の愛着形成における役割が示された。わが国で女性の社会進出が進み,0歳児保育がますます盛んに行われる状況において,保育士の役割を示した本研究の意義は大きいと考えられる。また,国際的にも0歳児保育での愛着研究はそれほど行われておらず,貴重な成果と言えるだろう。
著者
吉識 綾子 的場 洋平 浅川 満彦 高橋 樹史 中野 良宣 菊池 直哉
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.100-105, 2011-12-20 (Released:2012-03-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

北海道では野生化したアライグマが増加しているが,アライグマにおけるレプトスピラ症の浸潤状況は十分に知られていない。今回,北海道中央部で捕獲されたアライグマについてレプトスピラの浸潤調査を行った。捕獲されたアライグマ259頭中10頭(3.9%)からレプトスピラが分離された。肝臓2例(0.8%),腎臓9例(3.5%),尿1例(0.4%)からレプトスピラが分離された。PCR法により60頭(23.2%)からレプトスピラDNAが検出された。肝臓26例(10%),腎臓33例(12.7%),尿28例(10.8%)からレプトスピラDNAが検出された。11種の血清型のレプトスピラを用いて顕微鏡学的凝集反応(MAT)を行った。255頭中63頭(24.5%)でいずれかの血清型に対しての抗体が確認された。その中でもAutumnalisに対して高く,10%以上の陽性率を示した。PCRおよび抗体調査の結果,幼獣よりも成獣のほうが,また地域的には胆振地方の陽性率が高かった。以上の結果から,今回捕獲した北海道のアライグマにはレプトスピラが広く浸潤していることが明らかになった。アライグマは急増し,人,犬,家畜などとの接触の機会も増えてきている。したがって,アライグマからの人,犬,家畜へのレプトスピラ感染の可能性が危惧された。
著者
樋野 誠一 門間 俊幸 小池 淳司 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_21-I_32, 2012 (Released:2013-03-12)
参考文献数
6
被引用文献数
6

本研究は,デフレ時に実施する公共投資の効果は,通常(インフレ)時の効果と比較してどの程度異なるのか,あるいは,現下のデフレ不況から脱却するために必要な財政出動の規模と期間はどの程度かについて,公共投資のクラウディングアウトの有無に着目して,ケインズモデルにより検証する.特に,東日本大震災復興投資,新東名高速道路投資などさまざまな政策シナリオに基づき,公共投資の投資効果を実証的に分析することに主眼を置く.結論は,デフレ時においてはクラウディングアウトが生じないため通常時よりも乗数効果が約0.2ポイント高いことが示された.さらに,デフレ脱却のための公共投資の投資規模は,今の経済状況が続くと仮定すると,90年代の公共投資の持続的実施が必要となることが明らかとなった.
著者
江口 昭彦 齋藤 寛 田中 静恵 田中 恵子 中野 篤浩 有澤 孝吉 小林 誠
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.177-182, 1999-06-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

種々の食品中の硫黄含量を明らかにすることにより, 硫黄の摂取量また硫黄の人体に対する生理的意義や健康状態との関連を知るための基礎資料の作成を目的とし, 予備的な回収実験の後, ICP発光分析法により12群77種 (各5検体) の食品について硫黄含量を測定した。この結果に基づいて, たんぱく質, 含硫アミノ酸と硫黄含量との相関を解析した。1) システイン溶液を用いた回収実験の結果, 過酸化水素水, 硝酸, 過塩素酸を加える操作法が, 最も高い回収率 (97.8±2.1%) を示した。2) 魚介類, 卵類, 豆類, 獣鳥肉類, 藻類 (あまのりのみ) 等の食品は, 硫黄含量が多かった。3) いも類, 野菜類 (にんにくを除く), 果実類, きのこ類などの食品は, 硫黄含量が少なかった。4) 今回測定した食品の硫黄含量とイギリスで発表されているもの20種 (24品目) との比較を行ったところ, 数値に若干の開きがあるものもあったが, 相関係数はr=0.89 (p<0.001) と極めて強い有意な正相関が認められた。5) たんぱく質及び含硫アミノ酸含量と硫黄含量との間には, 有意な正の相関が認められた。6) いいだこ・いか・ほたてがい・あまのり等の硫黄含量が特に多いのは, タウリンが多く含まれている食品であったり, 含硫アミノ酸以外に酸性ムコ多糖類似物質等も含まれている食品であるためと考えられる。7) にんにく, あさつき, グリーンアスパラガスの硫黄含量が比較的高いのは, 硫化アリルを含んでいるためと考えられる。
著者
草光 紀子 一恩 英二 中野 光議 上田 哲行
出版者
日本雨水資源化システム学会
雑誌
Journal of Rainwater Catchment Systems (ISSN:13438646)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.27-34, 2017 (Released:2019-08-06)
参考文献数
29

Aquatic fauna found in 21 man-made biotopes that were established in agricultural and rural development projects in rural areas in Ishikawa Prefecture, Japan, were surveyed. A total of 117 species were captured or observed, including nine species of amphibians, 14 species of fish, 75 species of aquatic insects, ten species of crustaceans, and nine species of mussels and snails. Mostly aquatic insects made up the 38 species of odonates found. In addition, 24 coleopteran species and ten hemipteran species were discovered in the biotopes. The Red Data Book of Japan lists Rana nigromaculata, Cipangopaludina chinensis laeta, and Oryzias latipes latipes as endangered species, and these species were captured in 18, eight, and six out of 21 biotopes, respectively. In addition, two nonindigenous invasive species, Procambarus clarkii and Rana catesbeiana, were captured in 11 and six biotopes, respectively. The numbers of species varied greatly among biotopes, ranging from four to 59, suggesting that the effect of biotope on biodiversity was not uniform.
著者
"中野 正勝 真志取 秀人 高橋 義典" Masakatsu " Nakano Hideto Mashidori Yoshinori" Takahashi
雑誌
東京都立産業技術高等専門学校研究紀要 = Research reports of Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology
巻号頁・発行日
vol.7, pp.87-91, 2013-03

"The effects of temperature and aging on the performance of an A8-3 Estes model rocket engine were investigated.Thrust generated by this engine was measured using a strain gauge force sensor at different initialtemperatures (0, 25, and 35°C). Engine peak thrust and impulse were found to be increasing functions of temperature,with sensitivity coefficients of 0.022 N/K and 0.0054 Ns/K, respectively. The increase in the peak thrust isexplainable by the characteristics of pyrotechnics; however, the increase in the impulse is abnormal. This abnormalitycan be attributed to the increased exhaust gas flow from the delay charge due to the enhanced burning rateof the propellant. The effect of aging was also studied by conducting experiments using 1-, 5-, and 15-year-old A8-3model rocket engines. Impulse variation was small; however, there were large variations in the peak thrusts of theolder engines. These variations can be ascribed to cracks on the propellant surface caused by heat cycles duringlong-term propellant storage."

10 0 0 0 IR 資格の経済学

著者
中島 隆信 中野 論 河本 好美 松本 淳平
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.1-16, 2000-10-25

職業に対する資格はサービスの担い手と受け手の間での内容に関する情報の非対称性が高い場合において設定されることが多い。しかし,資格を得る際にクリアーしなければならないハードルについては必ずしもサービスの内容を反映しているとは脹らない。なぜなら,ハードルの存在はサービスヘの参入を制限することから非競争的供給によるレントが発生し,そのレントが資格獲得のインセンテイブになっているからである。ハードルが高くなると非競争状態が強まり,レントが上昇し,留保賃金の高い人材を集めることができると同時に,資格取得後のモラルハザードを防ぐことができる。一方,社会経済的には競争を制限することからサービス価格が高止まりすることになる。その意味において,資格取得のハードルは社会的見地から最適レベルに設定されることが望ましいといえる。
著者
廣瀬 宗孝 助永 憲比古 岡野 一郎 岡野 紫 中野 範 恒遠 剛示 棚田 大輔 佐藤 和美 乾 貴絵
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.507-515, 2016 (Released:2016-11-04)
参考文献数
43

慢性疼痛の発症とその持続には,中枢神経系の神経可塑性が重要であるが,血液における自然免疫の役割も注目されている.このため慢性疼痛の血液マーカーを見つける研究が行われており,脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)もその候補の一つである.末梢神経が損傷されると,炎症誘発期では中枢神経系のBDNFは増加し,抗炎症期になると低下すると考えられている.中枢神経系のBDNFは血液中に漏出するため,このような中枢神経系におけるBDNFの変化は血液中のBDNF濃度に反映するとの考えがある.しかし,われわれが行った慢性腰痛症患者の臨床研究では,抗炎症反応が増加すると血液細胞のBDNF遺伝子におけるエピジェネティックな変化で血清BDNF値は低下することが明らかとなり,BDNF値の低下と痛み症状の数の増加に相関関係が認められた.慢性疼痛患者の血中BDNF濃度は,その時々の自然免疫状態など他の因子との関係も鑑みることで血液マーカーとなる可能性がある.