著者
大久保 智生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.307-319, 2005-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
41
被引用文献数
23 28

本研究の目的は, 個人-環境の適合性の視点から適応状態を測定する青年用適応感尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検証すること (研究1), 作成された適応感尺度と学校生活の要因 (友人との関係, 教師との関係, 学業) との関連を検討すること (研究2) であった。研究1では中学生621名, 高校生786名, 大学生393名が, 研究2では中学生375名, 高校生572名が調査に参加した。作成された尺度の因子分析の結果から, 従来の適応感尺度の因子とは異なる「居心地の良さの感覚」,「課題・目的の存在」,「被信頼・受容感」,「劣等感の無さ」の4因子が抽出された。また尺度の信頼性と妥当性を検討したところ, 個人一環境の適合性の視点から作成された適応感尺度は, 十分な信頼性と妥当性を有していると考えられた。学校生活の要因と適応感との関連について重回帰分析を用いて学校ごとに検討した結果, どの学校においても「友人との関係」が適応感に強く影響を与えていた。一方,「教師との関係」,「学業」と適応感の関係の構造は学校ごとに異なっていた。以上の結果から, 青年の学校への適応感について, 各学校の特徴を踏まえた上で研究を進めていく必要性が示された。
著者
久保 博尚 長瀬 通昭 板谷 芳樹 大森 丈治 吉岡 勝
出版者
The Japan Institute of Marine Engineering
雑誌
日本舶用機関学会誌 (ISSN:03883051)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.263-270, 1987
被引用文献数
1

Various attentions have been paid to improvement of propeller efficiency. Among these devices, the free rotating propeller (vane wheel) to be fitted additionally behind conventional main propeller is the most attractive one. However the design method, blade strength, etc. of the free rotating propeller are not specified.<BR>The authors designed the free rotating propeller for the ship by applying the momentum theory and the blade element theory that are used for designing the hydraulic machineries. In this report, the design accuracy is compared with full-scale measurements and as the results, the following conclusions are obtained.<BR>(1) The calculated revolutions and energy saving rate of the free rotating propeller show a similarity to those of measurements.<BR>(2) Measured energy saving rate is 6-8.5% at same speed condition.<BR>(3) The mean blade stress is 2.6kgf/mm<SUP>2</SUP> {25 MPa} and the fluctuation of blade stress for a rotation is 8.8kgf/mm<SUP>2</SUP> {86 MPa} in peak-to-peak value.<BR>(4) The pressure fluctuation caused by main propeller is reduced by 20% at the blade frequency components.
著者
今井 順一 大久保 浩臣 山田 優
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

本研究では,エージェントによる「曖昧な情報表出」が人間に与える印象について検証する.まず,顔表情,身体動作という2つのメディアにおいて,「曖昧な情報表出」「明確な情報表出」「無表出」による印象の違いがエージェントとの信頼関係に与える影響を評価する.また,「曖昧な顔表情」の解釈におけるコミュニケーション上の「文脈」の効果について,顔表情の発信側,受信側双方の文脈という観点から検証する.
著者
久保田 収
出版者
神道史学会
雑誌
神道史研究 (ISSN:05830702)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.p250-289, 1975-11
著者
福井 勝則 大久保 誠介 羽柴 公博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

AM帯域に混在する電磁波の観測を行い, 地震発生の1ヶ月前から電磁ノイズが増加し始め, 10日前にピークに達し, その後低下し(空白期間といえる部分が存在), 地震に至るという例が多数見られることを示した. 岩石破壊試験を実施した結果, 電磁ノイズなどの予兆現象が地震のかなり前にピークを迎えることは解釈が難しく, 破壊の集中あるいは水の移動により, 空白期間が発生した可能性が高いことを示した.
著者
林 和弘 和田 光俊 久保田 壮一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.184-193, 2008
被引用文献数
1 4

電子ジャーナルの利用が浸透してから久しく,欧米ではサイトライセンスによるライセンスビジネスが定常化し,利用規約と著作権規定の改訂が行われているが,日本の電子ジャーナルではいまだ無料公開しているところが多く,アクセスに対する規約や著作権規定の対応が追いついていない。あるいは,オープンアクセスに対する対応についても明確でない点が多い。今回J-STAGEに登載されている英文電子ジャーナルを中心に,著作権とライセンスビジネスの点から調査を行った。その結果を元に日本の電子ジャーナル事業の持つ問題点と,打開策について考察し,特に日本の非営利出版事業が持つ潜在的なアドバンテージについて指摘する。<br>
著者
大久保 遼
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.209-230, 2011

This article analyzes the page layouts of photography magazines during the Russo-Japanese War, and it thus reveals the emergence of the "photographic construction of vision" in photography magazines, or the mutual referencing and montage between the photographs and the text on the same page. The page layouts of photography magazines are visually constructed not only by the photographs themselves but also by the relationship between the photographs and the text such as articles or captions. Such "photographic construction of vision" in these magazines is a historic phenomenon. Through an examination of the Records of the Russo-Japanese War (Nichiro senso jikki) and its special issue Photographic Pictorial of Russo-Japanese War (Nichiro senso shashin gaho), a study of the photography correspondents dispatched by these magazines, and a comparative analysis of the page layouts and the moving pictures of that time, this article reveals that the concept of photographic construction emerged in photography magazines around 1900. This finding can be confirmed by the following observations: (1) the editor's reflective consideration of photo editing, (2) mutual referencing between the photographs and the text, and (3) the photographic style of the montages used in the magazine. Finally, this article concludes that such photographic construction became more complicated and established in later periods, and that it came to be a precursor of the modernist movement in the 1930s and the war propaganda by means of photographs in the 1940s. Moreover, it caused distraction and lead to readers cursorily examining the relationship between the text and photographs without deconstructing this relationship.
著者
大久保 光 野田 悠貴 田所 千治 平田 祐樹 佐々木 信也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00543-16-00543, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
14

Lightweight Al-Si alloy is expected as a substitute material for the cast iron of engine parts to improve fuel consumption of automobiles. In this study, the tribological properties of Al-Si alloys against diamond-like carbon (DLC) films were examined to comprehend the influences of Si particles on Al-Si alloy surfaces under lubricated with a fully formulated oil. Sliding tests were performed with a hydrogenated amorphous carbon (a-C:H) film coated steel cylinder against the five kind of Al-Si alloy disks with different Si contents. Sliding tests and surface analysis results showed that the friction coefficient of a-C:H/Al-Si tribo-pairs depended on the exposure height of Si particles on the Al-Si alloy surfaces rather than the area ratio of Si particles. The exposure height of Si particles plays important roles in determining the frictional properties of a-C:H/Al-Si tribo-pairs under lubrication with the fully formulated oil.
著者
大久保 賢一 井上 雅彦 渡辺 郁博
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.29-38, 2008-05-31
被引用文献数
1

本研究では自閉症児・者の保護者を対象に子どもの性教育に関するニーズ調査を実施した。調査では、性教育の必要性、性教育が必要であると考えられる時期、必要とされる性教育の内容、そして保護者の学習の場の必要性とその形態に関して質問を行った。その結果、大部分の保護者が子どもに対する性教育の必要性を認識しており、小学校(小学部)高学年から性教育が必要であると回答した保護者が最も多かった。必要とされる性教育の内容については、子どもの生活年齢、知的障害合併の有無、性別に関連して保護者の回答に違いがみられた。また、大部分の保護者が、子どもの性教育に関する保護者自身の学習の場を望んでいることが明らかとなった。保護者の性教育に対するニーズの実態、そして今後の課題について考察を行った。
著者
久保田晃弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.39, pp.45-46, 2006-05-04

既存の電子回路を改造することによって、新しい音や独自の楽器を創り出すサーキット・ペンディングは、21世紀のDJカルチャーである。そこにはモダニズムからポストモダンヘという直線史観も、レトロフューチャーな循環史観も通用しない。サーキット・ペンディングがもたらしたのは単なる手法や技術ではなく、ピットやアトム、バイオや量子が混在するヘテロでハイプリットな新世紀に相応しい、新たな文化や価値観の幕開けなのだ。Circuit Bending is based on the DJ culture of the 21st century. Neither a straight line historical view nor the circulation historical view can explain it. It brought the beginning of a new heterogeneous and hybrid culture or sense of values.
著者
飯島 静男 大河原 恵子 大崎 小夜子 神沢 憲治 木崎 喜雄 久保 誠二 黒岩 繁 篠原 婦美江 関口 孝 高橋 武夫 田島 順子 玉田 淳子 角田 寛子 中村 庄八 服部 幸雄 武藤 斉 村山 昭夫 矢島 博 高島 和美 田中 淳子 萩原 哲 堀沢 勝
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.13, pp.251-260, 1976-12-30
被引用文献数
1

The Green tuff formations are widely distributed in the southern Joetsu district, and are divided into two groups, namely the Sarugakyo group and the Minakami group. The former overlies the latter unconformably. The area studied is surrounded by the River Akaya-gawa, the River Sukawa-gawa and the River Nishi-kawa, of which the latter two are the tributaries of the former. In this area the Sarugakyo group and the welded tuff formation with some related intrusive bodies are extensive. The Sarugakyo group is overlain unconformably by the welded tuff formation, and is divided, in descending order, into the following formations: Daido formation, Kassezawa formation, Hara formation, Akaya formation. The relation between each formation of the Sarugakyo group, generally, is conformable, but partial unconformity can be observed between the Hara formation and the Kassezawa formation. The structure of the Sarugakyo group is generally monoclinic with a NWW-SEE strike and low-angle dips toward SE. The Sarugakyo group is considered, from fossils, to belong to the middle Miocene. Some intrusive bodies, such as the Izumi-yama andesite, the Kasse andesite, the Amami-yama andesite, porphyrite and quartz diorite, are found in this area.
著者
久保木 健夫
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
千葉敬愛短期大学紀要 (ISSN:03894584)
巻号頁・発行日
no.29, pp.23-47, 2007-03

本論は,「絵本」と「美術」というテーマから継続的に行ってきた研究の一環である。絵本について,絵本画家を中心にして,美術や美術教育の意義について考えるところに本研究の目的がある。赤羽末吉は,戦後の日本を代表する絵本画家であるが,最初の絵本作品を発表したのは,1961(昭和36)年,51歳の時と比較的遅い出発である。それは,赤羽が生きた時代が,第二次世界大戦という過酷な時代であったことに拠っている。本論は,この絵本画家以前の赤羽の半生を辿りながら,赤羽の芸術観や,絵本に託した想いについて考えていく。
著者
安部 直重 広岡 博之 高崎 宏寿 久保田 義正
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.515-520, 2002-11-25
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

東北, 関東および東海地方における8県, 422戸の酪農家で飼育されている1,535頭の乳用雌牛 (ホルスタイン種) を対象とした搾乳気質についてのアンケート調査結果を解析した. 調査内容は, 対象牛の搾乳気質, 産次, 牛群内での社会的優位度, 繋留時間, 繋留方法, 飼養規模, 種雄牛で, 各項目について酪農家の回答を求めた. 搾乳気質評価は, 1 : 非常におとなしい, 2 : おとなしい, 3 : やや神経質, 4 : 神経質, 5 : 非常に神経質, の5段階として飼育者自身に評価を依頼した. 気質評価1と2にランクされ, 搾乳作業に支障がないと思われたウシは全体の63%であったが, ランク3のやや神経質と評価されたウシは27%, ランク4および5に評価され搾乳作業にやや支障があると思われるウシは9%存在した. 全調査牛の平均搾乳気質評点は2.31であった. 搾乳気質を従属変数とし, その他の項目を独立変数として最小2乗分散分析を行った結果, 産次 (P<0.03), 社会的順位 (P<0.0001), および種雄牛 (P<0.0001) において有意な効果が示されたが, 繋留時間 (P<0.13) および繋留方法 (P<0.22) の効果は有意ではなく比較的小さかった. また酪農家の飼養規模と搾乳気質の間には関連性は認められなかった. 以上の結果より, 本試験における対象牛では, 特定種雄牛を父に持ち, 経産牛でしかも社会的に中庸で繋留時間が短くフリーストール下で飼養されたウシはおとなしく搾乳される傾向のあることが示唆された.
著者
柳澤 渓甫 小峰 駿汰 久保田 陸人 大上 雅史 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:21888590)
巻号頁・発行日
vol.2017-BIO-50, no.38, pp.1-8, 2017-06-16

バーチャルスクリーニングにおける大規模なタンパク質 - 化合物ドッキング計算の高速化のために,化合物の部分構造であるフラグメントのドッキング計算結果を保存し,他の化合物の評価時に計算結果を再利用する方法が提案されている.しかし,従来提案されてきた手法はディスクアクセスを大量に発生させ,高速化率が十分ではなかった.さらなる高速化のためには,メモリ上に計算結果を保持してディスクアクセスを減らすことが考えらえるが,メモリ容量には上限があるため効率的な計算結果の保持を実現することが重要になる.本研究では,最適な計算結果の保持順番の導出を重み付きオフラインキャッシュ問題として定式化し,これを最小費用流問題に帰着させ,さらにこの帰着させたグラフの特徴を利用した高速な厳密解アルゴリズムを提案した.従来提案されていた非巡回有向グラフに対する最小費用流問題の厳密解アルゴリズムに比べて約 7 倍の高速化を達成した.
著者
牛久保 美津子 近藤 浩子 塚越 徳子 菊地 沙織 上山 真美 恩幣 宏美 堀越 政孝 常盤 洋子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-72, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3

目的:病院看護職による退院後の暮らしを見据えた看護活動の自己評価の結果をもとに,在宅ケアの視点をもつ病院看護職育成のための課題を明確化すること.方法:9病院,13名の看護師を対象にしたグループインタビューを行い,質的帰納的に分析した.結果・考察:退院後の暮らしを見据えた看護活動の現状として,6カテゴリ:《他職種にまかせきりにしている》,《院内連携ができていない》,《訪問看護師との連携には格差がある》,《社会資源の知識がなく活用ができていない》,《勉強会参加,経験年数,興味関心により在宅ケアの視点をもつことができる》,《在宅ケアの知識があっても実践力がない》が抽出された.社会資源に関する知識不足や多職種連携ができてないことから,実践に結び付いていないことが考えられた.結論:退院後の暮らしを見据えた看護職育成の課題として,社会資源に関する実践的な知識不足を補うこと,かつ他分野他部署を超えた看護経験の積み重ねができるような勤務体制・施設間交流の工夫を行うなど,会得した知識を実践へと結び付けるための個人の資質向上と組織的な教育的取り組みが必要であることが示唆された.
著者
川久保 篤志
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.246-265, 2000-09-30 (Released:2017-05-19)

第2次対戦後わが国のみかん農業は, 1961年の農業基本法の下で選択的拡大部門の1つに位置づけられ, 生産・流通面で多大な政策的補助を受けながら大きく発展した.この結果, 特に九州地方では政策主導型の新興みかん産地が数多く形成されたが, これらの多くは1972年以降のみかん価格低迷下で激化した産地間競争で敗退し, 産地は縮小・崩壊の傾向にある.そこで本稿では, パイロット事業の実施によって大産地が形成された大分県国東町を事例に政策主導型産地の崩壊要因の分析を試みた.その結果, パイロット事業の実施経過の分析からは, (1)事業の着工が1969年と価格低迷期の直前であったため, 事業参加農家がみかん農業の高収益期を経験できなかったこと, (2)造成面積482haもの大規模な事業に見合うだけのニーズが地元農家になかったにもかかわらず事業が推進されたこと, (3)造成農地には土壌・地形・日照の面で栽培に不適な部分が多く含まれていたこと, の3点が明らかとなった.また, みかん栽培の中心集落における農家経営の分析からは, (1)みかん栽培の歴史が浅く, 先祖から伝わる独自の栽培技術等がなかったため, 産地間競争の激化に際して, 品質の向上に基づく高価格販売も土地生産性の向上によるコストダウンも実現することができなかったこと, (2)後継者世代が他産業へ就業したため農業労働力が高齢化していき, みかん園の管理ができなくなったこと, (3)パイロット事業で購入した農地への執着心が弱く, 負債額もそれほど大きなものではなかったこと, の3点が明らかとなった.
著者
原田 雅子 大久保 三四朗 高 仁子 田村 隆生 森 敦子 山口 恵美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.315-321, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

オリンピックの経済効果は,競技会場新設や観戦関連消費等の「直接効果」よりも,都市インフラ整備や観光需要増加による「間接効果」が大きいと試算されている。そこで本稿は,東京オリンピック組織委員会のプロジェクト長から要請を受けたプロジェクトメンバーという設定で,東京オリンピックを『見せる場』として,インフラ輸出,観光需要を増加すべく,体験・体感を通して訪日外国人にアピールすべき日本技術・文化を検討した。アピールすべき日本技術・文化の選定は,「マーケットイン」の視点で訪日外国人のニーズを重視した。ニーズ抽出にはグローバルなオープンデータを活用し,対応する日本技術シーズは特許・学術文献解析と企業情報から選定,文化シーズについては日本政府のクールジャパン戦略や各省庁の情報から選定し,日本技術・文化の体験・体感方法までを総合的に検討した。