著者
小池 淳司 平井 健二 佐藤 啓輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.388-399, 2012 (Released:2012-12-20)
参考文献数
23
被引用文献数
4 6

道路整備は,人やモノの移動時間を短縮させ,中長期的には,産業の活性化,人口集積など地域の社会・経済構造を変化させる.一方,そのような社会的メリットは,全国一律に享受できるものではなく沿線地域を中心に偏在化し,地域によっては,地元企業の衰退等のデメリットが存在することも知られている.この発展する地域・衰退する地域がどのように分かれるかは,今後の道路整備を考える上で重要な要素であり,客観的な分析が求められる.本研究では,中国地方の過去の高速道路整備が人口構造や産業活動に与えた影響を固定効果モデルにより事後的なパネルデータ分析を行った.その結果,高速道路と産業活動との間には,多くの地域で正の関係性が確認される一方で,人口構造との間には,地方部での負の関係性があることなど空間的な偏在化が示された.
著者
杉山 雄大 今井 健二郎 東 尚弘 冨尾 淳 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.567-572, 2020-09-15 (Released:2020-10-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的 米国CDCについて概説し,今般のCOVID-19拡大とその対応を受けて今後日本版CDCを構想する際に検討するべき論点について提案する。方法 筆者らがCDCを訪問した際のインタビュー,ウェブサイト等からの情報をもとに,CDCについて概説した。その上で,日本版CDCに関する既存の見解や本邦の現状,COVID-19対応の教訓を踏まえて日本版CDCを構想する上で検討するべき論点を整理した。結果・結論 CDCは「健康,安全,セキュリティの脅威から米国を守る」ことをミッションとする,公衆衛生の主導的立場にある米国連邦政府機関である。実地疫学,緊急準備と対応,サーベイランス・統計調査,検査方法・調査方法の開発,情報発信,人材育成,検疫,予算配分などを行っており,COVID-19にも様々な対応をしている。日本版CDCを構想する際には,対象とする疾患や課題のスコープ,組織体制,ミッション,科学的中立性の担保,人材育成のあり方などについて議論する必要がある。
著者
大口 嘉子 田付 貞洋 臼井 健二 新井 好史 栗原 政明 内海 恭一 深見 順一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.265-269, 1985-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
11
被引用文献数
30 36

ニカメイガの雌の暗期における性フェロモン生成は,その前の明期における断頭により抑制された。雌の頭部抽出物を断頭個体に注射すると,性フェロモン生成が回復した。これらから,雌の頭部から分泌されるホルモン様物質が性フェロモン生産を支配していることが示された。さらに,性フェロモンの生成が継続されるためにもこの物質が存在する必要のあることがわかった。頭部からの神経的制御は性フェロモン生成には関与していないことが示された。断頭により性フェロモン放出行動も抑制されたが,その機構が性フェロモン生成の支配機構と共通であるかどうかは不明である。
著者
荒井 健二郎
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.153-161, 2006-01

第59回トニー賞(正式にはアントワネット・ペリー賞といい,アントワネット・ペリーAntoinette Perryの愛称がトニーTonyだったため,いつの間にかその名前が定着したもの。6月1日から翌年5月31日までの1シーズンにOn-Broadwayで上演されたミュージカルおよびプレイを対象に決定され,アメリカ演劇界最高の栄誉とされている賞)で宮本亜門が日本人としてブロードウェイで初演出をした「太平洋序曲」(PACIFIC OVERTURES)がリバイバル作品賞を含む4部門でノミネートされるという快挙を達成した。結果は無冠に終ったが,日本のミュージカル界に輝かしい1ページを飾ったことは特筆すべきことである。また,現在のブロードウェイは生き残りをかけたさまざまな試みが行われているが,その端的な例はシステムに関するものである。1990年代の時代的特色をトニー賞にノミネートされた作品や人間から考察してみると,最大の特色はディズニーのブロードウェイ進出であり,第1弾の「美女と野獣」(BEAUTY AND THE BEAST)はいろいろな批判にさらされたものの結果は大成功。「ライオンキング」(THE LION KING)や「アイーダ」(AIDA)が続いた。2番目としては女性の躍進である。演出部門で初の受賞があり,その後もその傾向は続いている。そして最後に,90年代の終わりにダンスミュージカルが人気を集め,それが「コンタクト」(CONTACT)で頂点に達したことがあげられる。
著者
原田 恭行 小善 圭一 横井 健二 里見 正隆
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.529-537, 2016-11-15 (Released:2016-12-23)
参考文献数
46
被引用文献数
1

魚味噌仕込み時にクエン酸を添加することにより,魚味噌中のヒスタミン蓄積抑制を試みた.また,クエン酸の添加時期が魚味噌中のヒスタミン蓄積抑制効果に及ぼす影響と,魚味噌の呈味性に及ぼす影響をそれぞれ検討した.その結果,終濃度0.6%のクエン酸添加がヒスタミン生成菌の増殖を顕著に抑制し,ヒスタミンの生成を抑制した.このため,ヒスタミンの蓄積抑制効果は,クエン酸の添加時期が早いほどが大きかった.また,クエン酸の添加は,好塩菌の増殖にも抑制効果を示し,好塩菌の代謝による乳酸や酢酸等の生成を減少させた.このため,呈味性への影響は,クエン酸の添加時期が早いほど酸味を弱め,かつ旨味の変化も小さかった.これらのことから,魚味噌熟成中のヒスタミンの蓄積を抑制するには,仕込み直後にクエン酸を添加することが望ましいと考えられた.
著者
平田 桃 川内 敬子 西方 敬人 中西 伸浩 臼井 健二
出版者
特定非営利活動法人 日本電磁波エネルギー応用学会
雑誌
日本電磁波エネルギー応用学会論文誌 (ISSN:24353450)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.38-48, 2021 (Released:2021-12-10)

Microwaves (MW) are applied to a variety of situations including daily life, industry, and medical care. In addition, the biological effects of MW are attracting more attention than ever before. Various researches of MW effects on life phenomena has been conducted. However, detailed mechanisms of such effects have been rarely investigated based on biology and chemistry. In the last two decades, it has been reported to improve cellular functions or to have negative effects on cells. Very recently, cellular researches have been conducted with the aim of applying MW to cancer treatment. Hyperthermia has already been in practical use, and other methods are now under investigation. This review summarizes some researches about effect of MW on cells and show some applied researches on cancer treatment. These studies could contribute to various applications including medical treatment.
著者
大保 義彦 上山 健一 村岡 新一郎 亀井 健二 松本 啓
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.59-63, 1991-01-15

【抄録】 口内清涼剤“仁丹”の長期間の過剰摂取により,顔面,爪床を中心に,青灰色の銀沈着を来たし,銀皮症を呈した精神分裂病の1例を経験したので報告する。入院時検査で,血中に高濃度に銀が存在しており,鼻唇溝部および左上腕内側部の病理組織検査で,真皮上層にびまん性に異色小顆粒の銀沈着が認められ,毛包周囲および汗腺基底膜部に特に著明であった。また,本症例は経過中に全身けいれん発作があり,脳波検査で,2〜4Hzの不規則な棘徐波複合が,広汎性に持続的に認められた。発作の原因としては,長年にわたる多量の銀摂取による中枢神経系への銀沈着による脳の器質的変化が考えられた。
著者
川口 貴正 久保 信明 谷川原 誠 坂本 義弘 菅野 重樹 藤井 健二郎
出版者
一般社団法人 日本写真測量学会
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.240-244, 2016 (Released:2017-09-01)
参考文献数
6

Indoor Messaging System (IMES) is an indoor positioning technology. This paper introduce a case of smartphones with IMES, snooping measures for IMES, and trend of High-accuracy IMES.
著者
稲垣 毅 溝口 知広 小林 義和 白井 健二
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2011年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.407-408, 2011 (Released:2011-09-01)

ロボットの現在位置を操作者が認識可能なナビゲーションシステムを開発するため、その第一段階としてオドメトリを用いた位置計測を提案し、試した。従来の自己位置推定計測法は、ロボットの車輪の滑りや環境の変化により誤差が累積する。そのため、各種センサを使用し自己位置を比較することにより、現在の位置を計測することとした。位置の計測精度を向上させるため、加速度センサを使用し、位置計測の精度を検証した。
著者
白井 健二 天野 佳則 井上 和夫
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.118, no.10, pp.1485-1492, 1998-10-01 (Released:2009-10-02)
参考文献数
9

The purpose of this paper is to theoretically identify that there exist stationary distributions in the system with transaction lost. In order to examine this type of system, we formulate and analyze the input/output process as the counting process based on point process. Accordingly, we make clear that this stationary distributions are the geometrical distributions as well. We, also analyze the average transit time in the stationary. We presented the simulation results in order to evaluate this system.
著者
今田 弓女 森本 元 松井 健二 井上 侑哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

森林生態系におけるコケの役割はほとんど未知である。だが長年の研究から、コケはかつて信じられていたよりも多様な節足動物や鳥類と深く関わり、足元に"未知生態系"を形成していることが分かってきた。本研究は、コケが多様な動物といかに相互作用しつつ適応進化してきたかにせまる。さまざまな空間スケールと栄養段階を横断し、地表付近でおこなわれる胞子の形成や樹幹に着生する種の受精といった、コケの繁殖や分散などの重要な側面における動物との関係を突き止める。さらに、色や匂いによるコミュニケーションといったコケと動物との相互作用を仲立ちする機構を解き明かす。
著者
臼井 健二
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.15-27, 1992-04-28 (Released:2009-12-17)
参考文献数
91
著者
川崎 清貴 溝口 知広 小林 義和 白井 健二 近藤 司
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2011年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.189-190, 2011 (Released:2011-09-01)

本研究においては,自由曲線を構成する点群を,必要精度内で円弧近似させ,NCデータ量を削減し,工作機械の加工時間を短縮させることを目的としている.今回、NCデータを削減する手法として円弧近似法を用いた.この手法は,自由曲線を必要精度内で最小二乗法を用いて,円弧に当てはめるものである.この手法を用いた結果、総点群数を約6分の1、NCデータ量を約5分の1に削減できた.また、実際の加工により、その精度を検証した.
著者
羽田 晋也 柳澤 博志 徳弘 宙士 増井 健二 桂 大輔 駒野 倫久 藤井 崇典 安井 一敏 坂口 史絋 髙濵 宏 町田 恒一 岩間 誠司 山川 智之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】バリアフリー展は,高齢者・障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展として西日本最大規模を誇る展示会であり,近年の来場者数は開催3日間で9万人を超えている。(公社)大阪府理学療法士会は,理学療法の啓発を目的として,平成23年度よりリハビリテーション相談のブース出展と理学療法士が実践で培った介護技術を伝達する研修会を開催している。過去4年間のブース来訪者および研修会参加者へのアンケートから若干の知見を得たので 検討を加え報告する。【活動報告】ブースでは4年間で442件の相談を受けた(アンケート回収率35.1%;155件)。相談内容は,リハビリテーションや介護に関する全般的なことから個別的な治療,自主練習,制度および仕組み等の多岐にわたるものであった。アンケートより,相談に対する説明が分かりやすく,役に立つ内容で95%を超える方に満足いただけた。研修会は4年間で1,183名の参加があった(アンケート回収率70.0%;828件)。参加者は,介護福祉士,ケアマネージャー,ヘルパー,看護師,理学療法士,作業療法士など医療・福祉・介護に携わる専門家が65%以上を占めていた。アンケートより,理学療法士が実践で培った介護技術は,分かりやすい内容で75%を超える方に満足いただけた。【考察】リハビリテーション相談は,高い満足度を得ることができたが,スタッフの目の前でアンケートを記入することが回収率低下をまねいた一因と考える。研修会は,医療・福祉・介護に携わる専門家の参加が多く,理学療法士が実践で培った介護技術が多職種から認知されていると同時に,高い次元の内容を求められていたことがブースに比べて満足度が低かったと推察する。【結論】今回の取り組みは,理学療法により府民の医療・福祉・介護および健康保持に寄与するものであり,重要な公益目的事業に位置づけられている。今後,このような公益性の高い事業が全国に広まることを期待する。
著者
荒井 健二郎
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
no.1, pp.p135-145, 1993-01

黒人として生まれついたジェイムズ・ボールドウィンは,白人との比較において,満たされないものを紙面にひたすら叩きつけた感じがする。彼の小説に登場する人物達は,ボールドウィンの代弁者という役割を与えられて窮状を訴え,悪態をつき,なじり,わめき,という自己主張に終始し,セックスも暴力的である。更に,相手を暖かく包みこむとか,相手の欠点についても糾弾することはあっても受け容れようとすることは,全くない。その底には,欲求不満を吐き出すことによって満足感を得ようとする「歪な平衡感覚」が作用しているように思われる。『もう1つの国』 (Another Country, 1962)の主要人物達もその例にもれることはない。しかし,唯一の例外として提示されるのが,エリックである。彼は最初向性愛者として登場し,後に両性愛者であることがわかって驚かされるのだが,最初のうち,自らの性的志向をなかなか受け容れることができず,苦悩する。しかし,最後には,その長い苦悩のトンネルを抜け,認識と受容に至る。その点をポールドウィンは賞賛してやまないのだ。それ故,エリックに同性愛者という「もう1つの国」を与えたのだと思われてならない。
著者
松井 健二 杉本 貢一
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 = Journal of Japan Association on Odor Environment (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.166-176, 2009-05-25
参考文献数
30

みどりの香り(GLV)は炭素数6のアルデヒド,アルコール,アセテート類の総称である.GLVは陸上植物にほぼ普遍的に見いだされ,様々な食品の重要なフレーバー成分となっている.また,GLVがヒトに抗ストレス効果を誘導することが報告され,注目されている.最近の研究で,植物は自らの生息する生態系をモニターし,制御するためにGLVを利用していることが明らかになってきた.C6アルデヒドはその高い反応性により外敵に対する直接防衛に寄与している.また,三者系では害虫の天敵を呼びつけて害虫駆除に利用している.また,植物自身もGLVを感知する能力を得,周りの状況を把握することで生態系の変化に敏感に対応しているらしい.
著者
秋山 真一 滝井 健二 眞岡 孝至 中川 雅雄 北野 尚男 熊井 英水
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-52, 2001-03-20
参考文献数
26
被引用文献数
1

18種の酵母乾燥粉末に対するマダイ稚魚(平均体重:6.4-10g)の嗜好性を魚粉のそれと比較した。E.lindneri,R.rubraおよびG.ressiiにそれぞれ魚粉の1.31,1.20および1.14倍の高い摂餌活性が認められたが,他の酵母には同等か低い活性しか得られなかった。嗜好性ではE.lindneriが優れていたが,嗜好性と粗タンパク質含量がともに高いR.rubraが酵母タンパク(YP)には最適であると判断した。そこで,飼料魚粉の0,25および50%をYPに代替した飼料をマダイ稚魚(5g)に給与したところ,YPの配合率が増加するに伴って,日間摂餌率は上昇した,逆に増重率,飼料効率およびタンパク効率は低下したが,劣悪ではなかった。以上の結果から,YPはマダイの嗜好性に優れ,マダイ用実用飼料のタンパク源の一部として利用できることが示唆された。