著者
三浦 あゆみ 辻仲 利政 今西 健二 白潟 初美 櫻井 真知子 森岡 亜希子 辻阪 真衣子 梶原 絹代 上野 裕之 三嶋 秀行
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 : 日本静脈経腸栄養学会機関誌 = The journal of Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.603-607, 2010-03-25
参考文献数
15

【目的】近年、外来化学療法患者が増加しているが、栄養状態の実態は明らかではない。【方法】今回、外来化学療法施行中の312症例(女性218例、男性94例)を対象に、簡易栄養スクリーニング法SNAQ(Short Nutritional Assessment Question)を用い、栄養状態を調査した。【結果】質問3項目のうち2項目以上該当した栄養介入必要群は51例(16%)であった。血清アルブミン値、ヘモグロビン値、小野寺の予後指標は、介入必要群で有意に低下していた。「食欲低下」項目該当患者の割合は、1項目該当群78例のうち73%、2項目該当群31例中では100%であった。男女別の比較では、血清アルブミン値、小野寺の予後指標は男性で有意に低下していた。疾患別では、下部消化管癌に栄養介入が必要な患者が多かった。【結論】今回の調査で、外来化学療法患者には栄養評価と栄養介入が必要であり、食欲低下への対策が重要であることが示唆された。
著者
稲垣 洋三 坂本 耕二 井上 泰宏 今西 順久 冨田 俊樹 新田 清一 小澤 宏之 藤井 良一 重冨 征爾 渡部 高久 山田 浩之 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.912-916, 2011 (Released:2012-01-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

[背景] 甲状腺乳頭癌 (以下PTC) の頸部リンパ節転移の診断法としては画像検査や穿刺吸引細胞診 (以下FNAC) が一般的であるが, 原発巣が微細でかつ頸部リンパ節転移が単発嚢胞性の場合には診断に苦慮することがある. このような症例には穿刺液中サイログロブリン (以下FNA-Tg) 測定が有用といわれているが, PTC転移以外の嚢胞性病変も含めた検討は少ない. 今回われわれは, PTC転移およびそれ以外の頸部嚢胞性病変のFNA-Tgを測定し, PTC転移に対する補助診断としての有用性を検討した. [対象] 2006年7月~2009年2月に頸部嚢胞性病変またはPTCの嚢胞性頸部リンパ節転移を疑う病変に対し, 手術を施行し病理組織学的診断が確定した17例. [方法] 超音波ガイド下に (一部症例は術後検体より) 穿刺採取した嚢胞内容液のFNA-Tg値を測定し, FNACおよび病理診断との関係について検討した. [結果] FNA-TgはPTC転移例のみ異常高値を示したのに対し, 側頸嚢胞例では測定感度以下, 甲状舌管嚢胞例では血中基準値範囲ないし軽度高値であった. [結論] FNA-Tg高値はPTC転移を示唆する有力な所見で, 特にFNACで偽陰性を示すPTC嚢胞性リンパ節転移と側頸嚢胞との鑑別に有用であった. FNA-Tg測定の追加によりFNAC施行時に新たな侵襲を加えずに術前正診率を向上させられる可能性が示唆された.
著者
今西 正義 山本 祐吾 東海 明宏 盛岡 通
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.65-74, 2010

本研究では,代表的な都市活動である建設,電力消費,交通,食糧・水資源消費に伴うエネルギー・物質代謝と,それに随伴する直接・間接的な環境負荷量を算定し,3つの指標(CO<sub>2</sub>排出量,総物質需要量(TMR),エコロジカル・フットプリント (EF))から都市の持続可能性を評価するためのモデルを構築した.その上で,巨大な物質的ストックとフローが形成される中国上海市に分析モデルを適用し,社会経済構造の将来変化による都市代謝と持続可能性を推計・評価した.その結果,TMRは経済成長とともに増加し,2020年では2004年に比べて最大で80.4%増加すること,EFは建設需要の伸びによって2004年で高負荷となり,特に都市の急成長期には,建設資材由来の間接負荷が大きくなること,などが定量的に明らかになった.
著者
清水 徹 今西 努 加藤 大
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.143-149, 2007 (Released:2012-11-27)
参考文献数
9

尿路結石症は,痛風の合併症のなかでも尿酸が直接あるいは間接に関与する重要な合併症であるが,その実態には未だ不明な点が多く残されており,痛風患者における腎結石の有病率でさえも正確に杷握されていない.統計学上の定義に従うと,有病率(prevalence)は「ある一時点において疾病を有している人の割合」であり,痛風患者における腎結石の有病率は,結石の有無を横断的に検査することにより求めることができる.従来,腎結石の状況をリアルタイムに検査する適切な手段はほとんど見当たらなかったが,マルチスライスヘリカルCTの普及に伴い,他の方法では困難とされていた小結石やX線透過性の尿酸結石の診断が可能になった.最近4年間に来院した原発性痛風患者312例の内,初診時に腎臓をマルチスライスヘリカルCTで検査した253例について調べたところ,23.7%に相当する60例に腎結石が認められた.一方,問診による尿路結石歴の調査では,CTを施行した253例の結石歴陽性率は312例における陽性率よりも1.2倍高かった.これは臨床上のCT撮影の必要性というバイアスが関与しているためと考えられることから,23.7%を1.2で補正して得られた「19.8%」が,痛風患者におけるほぼ適正な腎結石有病率と推定された.
著者
今西 大輔 西名 慶晃 栗原 康行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00554-16-00554, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In recent study, active thermography has reached a high status as an easy and speedy defects inspection method in a NDT field. This paper newly proposes a remote and non-contact NDT method using a sonic-IR for detecting and evaluating of fatigue cracks at runway girder of the overhead crane in the steel making plant. In this method, fatigue cracks are detected as localized high temperature areas caused by friction and collision at crack surfaces with an infrared camera, applying a high-amplitude ultrasonic vibration. In this paper, sonic-IR method is applied to remote and high-efficient crack inspection of the runway girder in the overhead traveling crane. Target crack located in high place can be detected using this method without setting up scaffolding for inspection. And the threshold of vibration amplitude to generate the sufficient heat for crack detection is clarified. Therefore the system to prevent missing the crack by unsuccessful vibration transmission from vibrator is developed applying monitoring the vibration.Time and cost saving inspection method in runway girder of the overhead traveling crane is carried out using this NDT technique.
著者
水尾 愛 大島 由子 今西 亮 北田 祐二 笠原 道子 橋崎 文隆 和田 晴太郎 松永 雅之 高井 進 大沼 学 翁長 武紀 萩原 克郎 真田 良典 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.77-80, 2009-03
参考文献数
16
被引用文献数
1

生体内の酸化ストレスを評価する一般的な生体指標である尿中8-hydroxyguanosine(以下,8-OHdG)量を国内飼育下の9頭のニシローランドゴリラにおいて定量した。検査対象個体に原虫感染が認められたが,臨床症状は観察されなかった。全個体の8-OHdG値(ng/mg creafinine)の範囲は4.3〜193.1,各個体の中央値の幅は6.8〜52.4であった。原虫陽性と陰性個体との8-OHdG値の比較を行い,有意差は認められなかった(>0.05)。
著者
大坂 まどか 富永 孝紀 今西 麻帆 河島 則天 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0387, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】半側空間無視(USN)の回復については,空間無視の存在を認識していない段階から,その存在を認識した上で意識的な注意の制御を行う過程,そして最終的に無意識的に制御するといった段階があるとされている(富永2006)。一方,回復段階においては,どのような視覚情報処理の変化が生じるかについて検証した報告は少ない。本報告では,USN症例における眼球運動と到達運動を行う際の視覚情報処理の変化について評価し,BIT行動性無視検査(BIT)を用いてUSN重症度との関係性を検証した。【方法】対象は,症例1:右中大脳動脈領域の広範な脳梗塞を呈した40歳代男性,症例2:右被殻出血の40歳代女性,症例3:右後頭-頭頂葉出血の70歳代男性,症例4:右中大脳動脈領域の広範な脳梗塞を呈した60歳代男性であった。4症例のBITの点数(通常検査/行動検査)は,症例1から40/7点,69/16点,77/28点,110/54点であり,USNを認めた。視空間処理の評価には,河島ら(2012)によって考案,開発されたアイトラッカー内蔵型タッチパネルPC(Tobii社製)を用いた。PC画面上には35個(縦7列,横5行)のオブジェクトが等間隔に配置され,ランダムな順序で5秒間点滅する。点滅するオブジェクトに対して手指にて接触,または0.5秒間注視することで点滅を解除することが可能であり,オブジェクトごとの点滅開始から解除までに要した時間と点滅解除の可否,課題遂行中の眼球運動の軌跡を記録することが可能である。対象者には,PCの正面に座位姿勢をとり,点滅するオブジェクトに対して,右示指にて接触(課題1)または注視(課題2)し,点滅を解除する課題を実施した。視覚情報処理の分析は,各課題中のオブジェクトの点滅解除の可否,課題2における眼球運動の軌跡を用いて検証した。【説明と同意】本研究は,村田病院臨床研究倫理審査委員会の公認を得て十分な説明を実施し,書面にて同意を得られた症例に行った。【結果】オブジェクトの列の表記は,縦7列のうち,中央の列をS0とし,S0から右側へR1,R2,R3,左側へL1,L2,L3と表す。眼球運動の軌跡は,S0を0cmとし,L3を-13cm,R3を13cmとした範囲で表す。課題1において,症例1はL1,L2,L3に加えてS0が,症例2はL3の抹消ができず,症例3はL3まで到達可能も,L3で2個抹消不可能なオブジェクトが存在した。症例4は全てのオブジェクトの抹消が可能であった。課題2は,症例1はL1,L2,L3に加えてS0が,症例2はL1,L2,L3に加えてS0の4個が抹消不可能であった。症例3はL2,L3に加えてL1に4個抹消不可能なオブジェクトが存在した。症例4はL1,L2,L3に合計5個の抹消不可能なオブジェクトが存在するものの,L3まで到達可能であった。一方,R1,R2,R3における抹消不可能なオブジェクトは症例1,症例2,症例4は5個,症例3は3個であった。課題2遂行中の眼球運動の軌跡中心は,症例1は5.7cm,症例2は5.9cm,症例3は4.0cmと右への偏位を認め,症例4では-0.7cmと左への偏位を認めた。【考察】症例1は,BITにてUSNが重度であり,両課題においても左側への注意の解放が困難なことから,抹消不可能なオブジェクトが存在した。これは,損傷部位が広範であり,特に前頭葉皮質の損傷が左側空間に対する探索に影響した(Verdonら2010)ことが推察された。症例2,3においてもBITでUSNを認め,課題2の結果や眼球運動の軌跡から,左側への注意の解放の困難さが伺える。一方,課題1では症例2,3ともに左側空間の拡大を認めており,到達運動実施による空間性注意の活性化(Ciavarroら2010)が生じた可能性が示唆される。課題2では,注視による注意の持続や,次の点滅刺激への注意の解放が必要となることから,よりUSNや注意の障害の影響により抹消不可能なオブジェクトが存在したと示唆された。症例4はUSNが比較的軽度で,両課題において左側空間への到達が可能であり,眼球運動の軌跡中心は左への偏位を認め,左側空間への意識的な制御が生じていることが考えられた。しかし,右側の末梢不可能なオブジェクトの存在は,左側への偏った意識的な注意の制御によって右側空間に対する視空間情報処理に影響を及ぼした可能性があると考えられた。【理学療法学研究としての意義】今回の評価方法によって,USNの視覚情報処理を分析することが可能である。今後,多数のUSN症例での検証を行っていくことで,損傷部位と視覚情報処理の関連性を特徴づけられる可能性があり,USN改善のための課題設定の一助となるものと考えられる。
著者
吉田 勝二 今西 実
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告
巻号頁・発行日
vol.1976, no.44, pp.32-38, 1976

奈良県における昭和48年度の品評会茶150点のうち,上位50点,下位50点からそれぞれ任意に抽出し,計32点を対象として,官能審査評点と茶無機成分含有率との関係について調べた。その結果を要約すると次のとおりである。<BR>1) 上位グループの全窒素含有率と滋味との間に5%水準で負の相関が認められた。<BR>2) カルシウム含有率と滋味,香気および内質全体との間に5%水準で負の相関が認められた。また下位グループにおいて5%水準で水色との間に正の相関が認められた。<BR>3) 下位グループにおいてマンガン含有率と香気との間に5%水準で負の相関が認められた。2000ppm以上を含有する場合には明らかに劣った。<BR>4) 鉄含有率と水色および内質全体との間に5%水準で負の相関が認められた。また上位グループにおいて滋味との間に5%水準で負の相関が認められた。<BR>5) 鉄とマンガン含有率との間に5%水準で正の相関が認められた。
著者
高品 善 今西 茂 江頭 宏昌
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.33-37, 1997-03-01 (Released:2010-07-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1

トマトの野生種 'peruvianum-complex'に属する Lycopersicon peruvianum の5系統, L. peruvianum var. humifusum の2系統,L. chilenseの2系統を花粉親とし,栽培種2品種を種子親とするF1雑種およびF1を花粉親とするB1F1戻し交雑種を胚珠選抜法によって育成した。F1およびB1F1の獲得効率は果実あたり発芽数(GOF)により評価した。F1および1994年と1995年のB1F1についてGOFの栽培品種間の相関係数を求め,さらに,それらを組み合わせた相関係数を求めたところ,正の有意な値となった(r=0,750**,d.f.=11)。年次問においても組み合わせた相関係数は有意な正の高い値となった(r=0,907^*,d.f.=3)。F1とB1F1間の相関係数は,2栽培品種とも正であるが有意ではなく,組み合わせた相関係数も有意にはならなかった(r=0,433,d.f.=3)。しかし,供試した系統の中で1系統がF1とB1F1間で全く異なるGOFを示したので,この系統を除くと,F1とB1F1の間に正の有意な相関係数が得られた(強力大型東光:r=O.754*, d.f.=5;Early Pink:r=O.924*,d.f.=3)。相関係数に関するこれらの結果は,栽培種に対する野生種の交雑不親和性に関して野生種系統間で差があり,さらにB1F1の獲得において野生種の各系統の交雑不親和性がF1の場合と同じように現れることを示している。供試した系統の交雑不親和性を3グループに分けるとおおよそ次のようになった。最も高いグループに L. peruvianum var. humifusumの2系統が入っており,中間のグループの全てはL. peruvianumであった。最も交雑不親和性の低いグループはL. chilenseの2系統であった。一方,F1とB1F1の回帰直線は,Y(B1Fl)=O.1082X (F1)+ 0.3364:強力大型東光, Y=O.1054X + O.0366:Early Pinkとなった。この結果から,予想に反してB1F1の獲得効率がF1よりも小さいことが推察された。
著者
今西 一
出版者
花園大学史学会
雑誌
花園史学 (ISSN:02853876)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-67, 1991-11
著者
今西 美音子 佐野 友紀
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.698, pp.917-922, 2014-04-30 (Released:2014-07-15)
参考文献数
23
被引用文献数
2 5

This study analyzes the pedestrian's avoidance behavior in crossing flow in order to obtain quantitative criteria for evaluating the difficulty of walking in a crowd. The new graphic illustration methods, called Short-Time Pedestrian Path Diagram and Direction Rose Diagram, are developed and proposed in this paper to represent the state of a crowd visually. The result of our experiment suggests that pedestrians descend their walking speed or/and detour to avoid striking other people and each avoidance behavior can be classified into three levels, whose threshold are defined from the speed or the angular velocity of each pedestrian.
著者
濱田 真宏 森川 貴 山崎 大輔 竹内 由佳 大野 良晃 柴田 幹子 岸田 真嗣 今西 政仁 北林 千津子 小西 啓夫
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.297-303, 2016 (Released:2016-04-28)
参考文献数
21

症例は66歳男性. 32歳から2型糖尿病, 52歳時に慢性C型肝炎による膜性増殖性糸球体腎炎からの末期腎不全で血液透析導入となった. X年2月, 腰痛の出現後から左下肢の筋力低下と両下肢痛が出現し歩行困難となったため入院となった. MRIにて胸椎2-3レベルの脊髄の腫大を認め, 左側よりにT1, T2強調画像で淡いhigh intensity areaを認めた. 髄液検査にて水痘帯状疱疹ウイルスを認めたが, 皮疹を認めないことから無疹性帯状疱疹に伴う脊髄炎と診断した. 免疫能が低下していると皮疹が現れにくいといわれており, そのため診断に苦慮することが多い. 本例は糖尿病, 肝硬変, 腎不全などによる免疫不全状態がその要因と考えられた.
著者
三浦 加代子 今西 あみ 西川 有香 坂内 綾乃 藤井 千紗 守山 由佳理 杉原 正治
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】手動の泡だて器や電動ハンドミキサーで撹拌した場合、ホイップクリームの含気率(オーバーラン)には限界がある。しかし、撹拌器「キスワン」は、圧力を調節しながら撹拌ができ、通常よりも大きなオーバーランが得られ、通常の器械ではいくら撹拌しても泡立たないものでも泡立てることができるという特徴をもっている。この器械を用いて新規食品開発を行うための基礎的なデータを得ることを目的として研究に着手した。今回は、生クリームを試料として圧力をかけて撹拌し、どのような特性をもったホイップクリームができるのかを検討した。また、ホイップクリームの保存性についても調べた。【方法】ステンレス製ボールに生クリームを一定量入れ、圧力を加えて5℃で撹拌した。撹拌回数は70回転/minとし、圧力は0.2MPa, 0.4MPaで行った。同様に常圧で撹拌したものを対照とした。生クリームの種類を変え、撹拌時間とオーバーランの変化を調べた。また、調製したホイップクリームの保存性をオーバーランおよび色調の変化等で検討した。【結果】生クリームの種類により、撹拌時間ごとのオーバーラン値は大きく異なった。例えば、乳脂肪分47%(種類別名称:乳等を主要原料とする食品)では、最高オーバーラン値が、常圧では撹拌時間6分で146%となったが、0.2MPaにすると105秒で約330%、0.4MPaでは105~120秒で約400%となった。即ち、1/3の時間で2倍以上の最大オーバーラン値が得られることがわかった。また、乳脂肪分35%(種類別:クリーム)の生クリームを圧力(0.2MPa)を加えて撹拌し、250%のオーバーランになったホイップクリームを調製し、その泡の安定性を経時的に調べた結果、保存温度が重要であることがわかった。
著者
大竹 孝昌 徳丸 正孝 村中 徳明 今西 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.697, pp.19-24, 2003-02-28
被引用文献数
3

本論文では,カオスニューラルネットワーク(CNN)を用いた自動作曲システムを構築する第1段階として,メロディのコーディング方法についての検討を行った.CNNには,幾つかのパターンを記憶パターンとしてホップフィールド型ニューラルネットワークに埋め込み,記憶パターンと異なるパターンを初期値として与えると,様々なパターンを次々と想起するという特徴がある.また,想起過程において,複数の記憶パターンの特徴を併せ持つパターンや,記憶パターンと印象が近い新たなパターンなど,数々の興味深いパターンを想起するという興味深いふるまいを示す.本研究では,このようなCNNの特徴を利用した自動作曲システムの構築を試みる.本論文では,システム構築の第1段階として,メロディのコーディング方法についての検討を行っている.CNNに記憶させるパターンは,パターンを構成するニューロンの発火・非発火状態のバランスを考慮する必要がある.そこで,幾つかのコーディング方法を提案し,それらの方法を用いてメロディの作成実験を行った.また,作曲されたメロディの試聴比較評価を行い,コーディング方法の有効性について検証した.