著者
土屋 欣之 野口 忠秀 篠崎 泰久 伊藤 弘人 神部 芳則 草間 幹夫
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.67-71, 2012
被引用文献数
3

A case of orbital abscess with gas gangrene due to odontogenic infection is reported. Although orbital abscesses are rare, they may result in fatal complications. A 68-year-old woman presented with pain and swelling of the left cheek and lower eyelid. She was unable to open her left eye. Oral examination revealed alveolar gingival swelling due to a periapical lesion of the left upper anterior tooth. Computed tomographic scans confirmed abscess formation in the left orbit and the presence of a gas bubble. The ocular tension was 50 mmHg. On admission to our hospital, the patient started to receive antibiotics (PAPM/BP and CLDM), the left lower eyelid was incised, and the abscess was successfully drained. <i>Alpha-streptococcus</i>, <i>coagulase-negative staphylococcus</i>, and <i>Prevotella melaniogenica</i> were detected in the suppuration. The patient was given a diagnosis of orbital abscess with gas gangrene due to odontogenic infection extending by way of the orbit.
著者
神野 真帆 渡辺 和広 中野 裕紀 高階 光梨 伊藤 弘人 大平 哲也 野村 恭子 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.465-473, 2023-08-15 (Released:2023-08-29)
参考文献数
20

情報通信技術(Information and Communication Technology: ICT)を活用したメンタルヘルスケアサービスが注目されている。予防効果が評価されているアプリケーションがある一方,エビデンスが不確かなものも乱立している。エビデンスの構築とともに,必要な対象に,適切なツールを届ける社会実装が求められている。 ICTを用いたヘルスケアサービスについて,非薬物的な介入手法におけるエビデンス構築のための研究デザイン構築やサービス利用者による適切な選択のための基盤整備のための研究支援が始まっている。エビデンス構築および社会実装の側面からは,想定利用者の実生活での情報をモニタリングして不安・抑うつを予防するアプリケーションを,深層学習モデルを用いて開発している試みや,原子力発電所事故の被災地で,ニーズ調査,セキュリティの検討,ニーズに合わせたアプリケーションの設計,そのアプリケーションの試験運用といった形で,住民の安心・安全向上を目指したアプリケーションを開発している事例がある。諸外国では,ICTを利用したメンタルヘルスケアサービスの実装を進めるために,サービス提供者が適切なアプリケーションを紹介する際やサービス利用者が選択する際に指針となるアプリケーションを包括的に評価するモデルが提案されている。わが国では,そのようなモデルを実用化した評価項目を使って,利用者のニーズに合わせた適切なアプリケーションを紹介する試みが行われようとしている。 ICTを利用したメンタルヘルスケアサービスのエビデンスの構築にあたっては,利用者のニーズや実際のデータに基づく開発とその評価が行われようとしている。一方で,非薬物的な介入手法におけるエビデンス構築のための研究デザイン(とくに評価手法や指標など)が十分に確立していないことは課題となっている。ICTを利用したメンタルヘルスケアサービスの社会実装を進めるためには,構築されたエビデンスを含め,ヘルスケアサービスの評価と選択ができる仕組みづくりの必要がある。
著者
森 健治 森 達夫 郷司 彩 伊藤 弘道 東田 好広 藤井 笑子 宮崎 雅仁 原田 雅史 香美 祥二
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.281-286, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】近赤外線スペクトロスコピー (NIRS) を用い, 顔表情の模倣課題を施行中の前頭葉活動について, 自閉症と定型発達の小児例で比較検討する. 【方法】対象は定型発達の男児10例, 知的障害を有さない自閉性障害の男児10例. NIRS測定のため左右前頭部にそれぞれ17チャンネルのプローブを装着した. 【結果】自閉症群において初回検査時, 両側下前頭回弁蓋部 (Broca野) での酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) 濃度の上昇は, 定型発達児に比べ有意に低かったが, 同じ課題を複数回練習してから, 再度, NIRSを施行したところ, 同部でoxy-Hb濃度の有意な上昇が認められた. 自閉症群におけるoxy-Hb濃度の変化量と感情ラベリング成績の間には正の相関関係が認められた. 【結論】自閉症においても模倣運動を繰り返すことによりミラーニューロンを賦活できる可能性が示唆された.
著者
浅見 優之介 伊藤 弘大 堀江 亮太 多田 充徳
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2021 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.2P1-L01, 2021 (Released:2021-12-25)

In this study, we developed an EEG-based MR game based on the hypothesis that games can be made more interesting by reflecting the psychological state read from the EEG. The genre of the game was shooting. We designed the game in such a way that the size of the aim in the game is linked to the EEG feature value, and that focusing increases the EEG feature value and shrinking the aim increases the hit rate. The β/α ratio was used as the EEG feature, and we sought an effective way to introduce the β/α ratio into the game. By setting a threshold value using the average value of the β/α ratio of the subjects, and by performing a moving average process that divided the values above and below the threshold value, we were able to manipulate the size of the aim as desired with a probability of about 80%.
著者
赤坂 庸子 内藤(古谷野) 浩美 神部 芳則 古谷野 千恵 野口 忠秀 松本 浩一 木村 豊 伊藤 弘人 斉藤 嘉一 村石 三紀 大橋 一之 小佐野 仁志
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.36-41, 1996-06-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
23

口腔扁平苔癬と肝機能障害との関連性を明らかにするため, 病理組織学的に扁平苔癬と診断された68症例について, 肝機能との関連を臨床統計的に検討した。(1) 肝機能異常群 (Group 1) は12例 (17. 6%), 正常群 (Group 2) は56例 (82.4%) であった。(2) 性差は Group 2で男性が多く, 平均年齢は差はなかった。(3) 主訴は Group 2に比べ Group 1でしみるが多かった。(4) 既往歴は Group 1で肝疾患, 次いで糖尿病の順で, Group 2では高血圧, 次いで消化器潰瘍であった。(5) 発症部位は両群とも頬粘膜, 舌, 歯肉の順であったが1人平均病変部位数は Group 1は4.8部位, Group 2は2.8部位と明らかに Group 1の方が多かった。(6) 臨床型は Group 1ではびらん型が60.7%と最も多く, Group 2では網状型が多かった。すなわち肝機能異常群はびらん型が多く, 病変が広範囲であることが明らかになった。以上のことから肝機能異常が扁平苔癬の発症・増悪因子として関与している可能性が示唆された。
著者
山田 ルミ 稲垣 美智子 北出 優華子 古屋 圭介 津田 真一 伊藤 弘樹 西澤 誠 中川 淳 中野 茂 古家 大祐
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.392-397, 2012 (Released:2012-07-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2

【目的】糖尿病足壊疽などの重症足病変を予防するためには,壊疽の前駆所見のひとつである皮膚病変(乾燥や亀裂などの軽微な異常)への対策が重要である.そこで,保湿剤を自己塗布させる手法を用いたフットケア教育が患者の足に対する認識(意欲・関心)と行動を改善させることができるかどうかを検証することを目的とした. 【方法】糖尿病神経障害を有する糖尿病患者を対象に清潔ケアに加え保湿剤を自己塗布する実験群と清潔ケアのみを指導する対照群に群分けした.認識と行動は,質問紙による面接を行ない,介入前と比較し3か月後に改善がみられた患者を「向上」と判定し両群を比較した. 【結果】両群の性別,年齢,糖尿病罹病期間に有意差はなかった.行動は実験群で有意に改善し(p<0.01),意欲は向上傾向を示した.しかし,関心には有意差はなかった. 【考察】本研究において,保湿剤を用いた教育は糖尿病患者のフットケア行動を向上させたことが示された.この結果は,保湿教育が軽微な皮膚病変を有する時期における糖尿病患者のフットケアに役立つことを示唆している.
著者
中井 雄一郎 神部 芳則 土屋 欣之 伊藤 弘人 野口 忠秀 森 良之
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.20-25, 2015-02-20 (Released:2015-06-03)
参考文献数
19

A 55-year-old male with myelodysplastic syndrome had been treated at the Hematology Department at our hospital. Swelling of the left cheek developed in the patient, which led to his referral to our department. Since blisters and distinct dark red plaques were noted on the right forearm as well as the lower limbs, a dermatological examination was requested. Biopsy of the skin rash was performed; the biopsy result and clinical course led to the diagnosis of cheek phlegmon associated with Sweet's disease. We provided treatment for the infection and Sweet's disease. The patient received transfusions of peripheral stem cells. He has had a good outcome for 3 years and 6 months.
著者
伊藤 弘 村尾 修平 中村 洋平 小倉 裕司
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.299-302, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
7

症例は21歳, 男性. バイク走行中に乗用車と接触事故を起こし, 当院高度救命救急センターに搬送された. 搬入時, 身体所見では陰茎に打撲痕と持続する勃起症状がみられた. 造影CT検査では内陰部動脈からの造影剤漏出と海綿体洞瘻が確認され, 動脈流入過剰型持続勃起症と診断した. 緊急で血管造影検査を行い, 選択的に内陰部動脈塞栓術を施行した. 造影剤漏出と海綿体洞瘻は消失し, 術直後から勃起症状も消失した. また受傷2ヵ月後には勃起可能となり, 機能障害を伴うことなく経過した. 今回, 比較的稀とされる外傷に伴う動脈流入過剰型持続勃起症に対して受傷当日に造影CT検査で診断し, 血管内治療により治癒した症例を経験したので報告する.
著者
伊藤 弘明 岩崎 基
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

乳がん症例・対照401ペアにおける有機フッ素化合物(PFASs)の異性体別の血清中濃度を四分位等でカテゴリー化して独立変数とし、乳がん罹患の有無を従属変数として多変数調整オッズ比を算出したところ、19種類のPFASsの血清中濃度と乳がんリスクの間に有意な負の関連を認めた。分岐鎖のあるペルフルオロトリデカン酸(PFTrDA)では血清中濃度が中程の群において乳がんリスクの有意な増加を認めた一方、分岐鎖のないPFTrDAでは有意な負の関連を認めた。また、対照群における横断研究を別途行い、重回帰分析により18種類のPFASsの血清中濃度と末梢血白血球DNAメチル化レベルの間に有意な正の関連を認めた。
著者
野村 恭子 松島 みどり 佐々木 那津 川上 憲人 前田 正治 伊藤 弘人 大平 哲也 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.647-654, 2022-09-15 (Released:2022-09-10)
参考文献数
26

本稿では第80回日本公衆衛生学会総会において,「ウィズコロナ社会のメンタルヘルスの課題と対策」をテーマとしたシンポジウムに登壇した,大学生,妊産婦,一般労働者,医療従事者を対象にコロナ禍のメンタルヘルス対策の実践および研究を行っている公衆衛生専門家により,それぞれの分野における知見・課題・対策を報告する。コロナ禍におけるメンタルヘルスへの影響を各世代,各フィールドへの広がりを概観するとともに,ウィズコロナ時代でどのような対策が求められているのか,問題点を抽出,整理し,公衆衛生学的な対策につなげていくための基礎資料としたい。
著者
岡田 成生 上野 泰宏 星 健太郎 伊藤 弘人 神部 芳則 草間 幹夫 小林 馨
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.8-11, 2009-03-31
参考文献数
9
被引用文献数
1
著者
佐野 晴男 瀬畑 宏 伊藤 弘通 山崎 統資 海野 雅浩 久保田 康耶
出版者
Japanese Cleft Palate Association
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.41-47, 1978

口蓋裂患者の手術はそのほとんどが乳幼児期に行われている.しかも慢性の上気道感染を有しているものが多く,手術野が気道の入口と一致しているため,術後に重篤な呼吸器系合併症に発展することも稀ではない。われわれは過去5年間のうちで,口蓋形成術後に重篤な呼吸器系合併症をきたして,術後数日にわたる呼吸管理を余儀なくされた2症例を経験したので,その経過の概要を報告するとともに,考察ならびに反省を加えた.<BR>第1例は1才9カ月の男児で,術後に声門下浮腫を発生した症例である.術前2,3日前より咳,鼻汁がみられたが,発熱はなく,聴診,打診ならびに胸部X線像にも異常を認めなかったので気管内吸入麻酔のもとに手術を行った.術後,覚醒は良好であったが,帰室後約1時間半も経過してから喘鳴,奇異呼吸がみられ,チアノーゼを呈したので再挿管した.その後,酸素テント内に収容して加湿を図り,ステロイドホルモンならびに抗生物質の投与など,5日間にわたる呼吸管理を行った.以後回復に向い,術後13日目に無事退院させることができた.<BR>第2例は1才7カ月の女児で,術後に無気肺に陥った症例である.手術の4口前に38.9℃,3日前に38.5℃ の発熱があり,解熱剤の投与で平熱となったが,咳と鼻汁は依然としてみられていた.手術の延期を考えたが,術者からの強い要望もあって,手術を強行したものである.術中は特別なこともなく経過し,手術終了後覚醒であったので抜管したところ,直後より喘鳴が聴取され,努力性呼吸をし始めた. そこで直ちに再挿管して,気管内洗浄ならびに分泌物の吸引を繰り返し,再挿管1時間後には改善をみたので再び抜管して帰室させた.しかし次の日になり再びチアノーゼが出現したので,再び挿管して,気管内洗浄,吸引し,吸入ガスの加湿を行ない,薬物投与も併行させた.このように厳重な呼吸管理のもとで全身状態の回復をはかった結果,術後4日目に再び抜管したが,何らの異常も示さなかった.以後順調に回復し,術後18日目には無事退院させることができた.<BR>本報告の2症例ともに術前に風邪に罹患している症状がみられていたにもかかわらず,気管内麻酔のもとに術後の呼吸器系合併症を続発させた.いかに術者からの強い要望があったにせよ,このような患者では当然,手術を延期すべきであったと深く反省している.
著者
伊藤 弘顕 西川 久仁子 粟野 達也 細川 宗孝 矢澤 進
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.19-23, 2010

乾膜質な花葉をもつ7種の植物種を用いて,細胞壁の形態を電子顕微鏡および偏光顕微鏡を用いて観察した.通常,花葉は一次細胞壁だけの柔細胞で構成される.しかし,少なくとも7種の植物種における乾膜質な花葉では,共通して組織すべての細胞がセルロース配向のある二次細胞壁を発達させていることが明らかとなった.また,二次細胞壁の肥厚形態は植物種によって様々であった.すなわちヘリクリサムなどキク科の植物は管状要素あるいは転送細胞のように網目状あるいは縞状に,センニチコウなどヒユ科の植物は繊維のように層状に,イソマツ科の植物であるスターチスは種皮の厚壁異型細胞のようにひだ状に,細胞壁を発達させていた.<br>
著者
伊藤 弘樹 中村 千枝 井上 勝雄 関口 彰
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.11-18, 2006 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
7 2

Though a lot of glasses design for women are proposed and displayed in a shop recently, it is difficult for a customer to select them. For the purpose, the fundamental research on what kind of glasses design is liked from a viewpoint of a customer is thought to be required. Then, the purpose of this research would analyze about the glasses design liked by women.As the method of research, image words contributed to the attitude of liking the glasses design were calculated by multiply regression analysis, and cognitive parts (form elements) affected to each image word of the glasses design were extracted by rough sets. Before the calculation, these image words and cognitive parts were extracted by the evaluation grid method. Samples of seventy-one kinds of glasses were evaluated into five steps about each image word on the subject of twenty women. Four image words “foppish (fashionable), pretty, decent, intellectual”in twelve contributed to liking were calculated using the data mentioned above. Next, the relationship between four images and cognitive parts was extracted based on the decision class of Rough sets (the non-linear technique of the ability to avoid of Multicollinearity) using the data of each image word. From the result, the hierarchical relation from the attitude to cognitive parts about the preference has been clarified.Furthermore, the verification experiment of the result of the hierarchical relation was conducted on the subject of a designer working a design office, who proposed three design sketches reflecting the whole result of the attitude and emphasized pretty and intellectual in it with some useful comments to improve the method.