著者
清水 弘治 伊藤 恵 金築 一摩 今井 健介 末廣 章一 織田 禎二
出版者
南江堂
雑誌
胸部外科 (ISSN:00215252)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.252-256, 2016-04-01

著者らが手術を行ったStanford A型急性大動脈解離90例を対象に、これらを術式により上行置換群74例と弓部置換群16例に分け、治療成績を比較検討した。その結果、1)手術時間、体外循環時間、心筋虚血時間、循環停止時間、SCP時間は弓部置換群で有意に長く、再開胸率も弓部置換群で高かった。2)遠隔期の累積生存率を比較すると、5年生存率は上行置換群68±6%、弓部置換群59±14%で、有意差はみられなかった。一方、術後5年の大動脈合併症回避率は上行置換群88±6%、弓部置換群68±16%でこちらも有意差はみられなかった。3)遠隔期大動脈合併症は上行置換群では9例に認められた。また、死亡例の2例以外に弓部大動脈拡大での再手術が3例、腹部大動脈拡大による手術が1例、仮性瘤形成による再手術が3例あった。殊に弓部置換群では3例で認め、死亡例1例以外の2例で下行大動脈拡大で手術が行われていた。尚、術後の末梢側拡大は両群間で有意差は認められなかった。
著者
会沢 敦子 株本 武範 折目 真理 浅野 幸恵 松山 麻子 藤原 浩 伊藤 雅章 三井田 博
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.58-62, 2014

56歳,女性。両親はいとこ婚。生下時より毛髪と虹彩の色素異常,弱視があった。2011年1月頃より左大腿に易出血性の紅色結節が出現した。前医で切除生検された病理組織では,びらん表面から真皮中層に,HMB45,melanA,S100蛋白,Fontana-Masson染色で陽性となる異型なメラノサイトが増殖しており,悪性黒色腫(MM)と診断され,同年4月に当科を紹介受診した。拡大切除術,分層植皮術を施行し,センチネルリンパ節生検は陰性であった。pT3bN0M0 stage ⅡBと診断し,術後インターフェロン局注療法を行っている。眼皮膚型白皮症(OCA)については遺伝子検索を施行し,Ⅰ型と診断した。OCAと有棘細胞癌や基底細胞癌を含む皮膚悪性腫瘍の合併は多く報告されているが,MMとの合併は少ない。
著者
伊藤 哲司
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-11, 1991-07-20 (Released:2010-02-26)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

本研究の目的は, 2者の相互作用場面でのノンバーバル行動の分析から, ノンバーバル行動の基本的な表出次元を検討することである。被験者の組合せの条件は (男性同士, 女性同士) × (初対面, 友人) の4つで, 各条件5組ずつを用いた。各被験者ペアには, 「アルバイト」について15分間会話をするよう教示し, その場面をビデオカメラによって録画をした。教示前の場面および15分の会話場面から2分ずつをサンプリングし, 8項目のノンバーバル行動 (視線・笑い・前傾姿勢・後傾姿勢・横向き・発話・沈黙・うなずき) と8項目のユニット的ノンバーバル行動 (相槌・笑い反応・話-反応・沈黙共調動作・模倣共調動作・追従共調動作・同時共調動作・反響姿勢) の頻度・総時間・平均時間 (反響姿勢を除いたユニット的ノンバーバル行動とうなずきは頻度のみ) を測定した。全行動変数の因子分析から, コンタクト・リラックス・接近・回避の4因子が抽出された。また, これらの因子に負荷の高い行動間の継起パターンを記述した継起分析から, 個人内で非コンタクト因子 (コンタクト因子の負の負荷の高い行動群) からコンタクト因子, コンタクト因子からリラックス因子, 回避因子から接近因子へ, それぞれ行動が連鎖しやすいことが見い出された。これらの結果を考察して, “コンタクト-非コンタクト”“リラックス-緊張”“接近-回避”の3次元をノンバーバル行動の基本的な表出次元と仮定した。これらの次元は, 心理的指標 (感情評定・相手の人物評定など) との相関から, それぞれ特徴づけられた。また, ノンバーバル行動の重要な機能を反映していると考えられる関与度は, 重回帰分析によって3次元の得点から73.4%が説明された。これらのことから, 仮定した3次元はノンバーバル行動の表出を説明するものとしての妥当性が支持された。ユニット的ノンバーバル行動を除いて分析した結果は, 全行動変数からの結果とほとんど違いはなかった。継起分析の結果から, 個人間では同一行動が繰り返される傾向が示され, 多くのノンバーバル行動がしばしばユニット的ノンバーバル行動を形成していることが示唆された。これが, ユニット的ノンバーバル行動から独自の意味を見い出すことができなかった原因であると推測された。
著者
伊藤 進 Susumu Ito
出版者
中京大学教養部
雑誌
中京大学教養論叢 (ISSN:02867982)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.577-612, 1997
著者
増田 恵 加藤 昇平 伊藤 英則
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.295-303, 2011 (Released:2011-12-09)
参考文献数
24
被引用文献数
1 6

A set of movement feature values, called a Laban's feature value set, is proposed here in order to explain observers' impression of bodily expression. The design concept of the Laban's feature value set is based on Laban Movement Analysis (LMA), which is a proven theory in body movement psychology. In this paper, we adopt a Human Form Robot (HFR) as an agent of bodily expression because this is the type of a robot better adapted to Human-Agent Interaction (HAI). Relations between Laban's feature values and HFR's emotions (Happy, Angry, Sad and Relaxation) which are the subjects of this study were examined using the analysis of correlations. By the consideration of Russell's circumplex model of affect, we discussed the correlation in terms of each axial (“pleasure-displeasure” and “degree of arousal”) characteristics. Next, principal component analysis was conducted to examine multi-dimensional correlations. Finally four estimated emotion equations are generated by using the Laban's features.
著者
伊藤 壽一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.1-5, 2007-01-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

Recently, regeneration medicine has received considerable attention in various fields and clinical applications have been attempted. There are approaches to regeneration medicine. The first approach is to transplant cells, especially various kinds of stem cells into the organs and tissues. The other approach is to promote the self-regenerative ability of cells. In many cases, however, cellular self-regenerative ability is limited. Growth factors are thought to play an important role in cellular proliferation, differentiation and regeneration, while the loss of growth factors contritutes to various diseases. In this report, the discovery of growth factors, examples of various growth factors and the application of growth factors to regeneration medicine are discussed.
著者
伊藤 敞敏 庄司 悦子 足立 達
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.681-686, 1987-08-25 (Released:2010-11-26)
参考文献数
14

物理的性質の検討) 充分に行なわれていない安定型無水α-, 無水αβ複合-および無水β-ラクトース結晶について, 融点および溶解度を中心とした検討を行なった. 安定型無水α-ラクトースの常法および示差熱分析 (昇温速度10℃/分) による融点 (分解) はそれぞれ207.7, 216.5℃, 溶解度は5, 15, 25, 35℃ において, それぞれ, 10.1±0.14, 11.5±0.02, 13.9±0.24, 18.5±0.16 (g/100g水) であった. 無水αβ複合ラクトース (α/β比, 4:1) の上記方法による融点はそれぞれ204.0, 205.0℃, 上記と同じ温度における溶解度はそれぞれ17.9±0.5, 15.2±0.47, 17.5±0.23, 20.7±0.45であった. また, 無水β-ラクトースの同じく融点はそれぞれ228.8, 243.0℃, 同じく溶解度はそれぞれ39.9±0.42, 42.6±0.47, 45.0±0.34, 48.3±0.12で, 文献からの計算値よりもかなり低い値を示した. 無水αβ複合ラクトースについては, そのα:β (4:1) 比と同比率の, 両者の結晶の混合物の融点, 赤外吸収スペクトルとの比較を行ない, その測定結果に一致の認められないことから, 無水αβ複合ラクトース結晶においては, その構成ラクトース分子間に相互作用の働いていることを推定した.
著者
伊藤 浩充 瀧口 耕平 小野 くみ子 松本 慶吾
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cd0833, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 足関節の捻挫は、スポーツ外傷の中で最も多い外傷の一つである。サッカー選手にとって足部・足関節の外傷は、スポーツ選手としての選手生命に大きく影響する。しかしながら、本外傷はスポーツ選手や指導者には比較的軽視される傾向にあり、また、本外傷の発生因子については未だ十分解明されていないため、予防に関しても十分な対策がとれていないのが現状である。そこで、本研究では、高校サッカー選手の足関節捻挫の発生要因を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】 対象は、高校男子サッカー部員71名である。対象者の選択基準として評価時に四肢関節に痛みなどの急性症状および著しい筋力低下の無い者とした。方法は、平成23年3月12日から3月20日までの間にフィジカルチェックを実施した。調査項目は、問診にてボールをける時の利き足と外傷の既往歴を聴取した。次に、関節可動域と筋硬度を計測した。関節可動域は、股関節の外転・内旋・外旋・屈曲・伸展の可動域、膝関節屈曲・伸展の可動域、足関節背屈可動域、体幹の前屈・後屈・側屈の可動域を傾斜計(MITSUTOMO製)および紐付き分度器とメジャーを用いて測定した。筋硬度は、大腿筋膜張筋・中殿筋・長内転筋・下腿三頭筋を筋弾性計PEK-1(株式会社井元製作所)を用いて測定した。また、足部アーチをFeiss線により判定し、後足部の内外反肢位の判別も記録した。フィジカルチェック後3か月間の外傷発生調査を週2回の頻度で実施した。そして、足関節の内反捻挫、外反捻挫、底屈捻挫を受傷した者(A群)としなかった者(B群)とに分類し、フィジカルチェック時のデータを比較分析した。統計学的分析には、JMP ver 6.0を用い、マンホイットニーU検定、分散分析、カイ二乗検定を行った。有意水準は危険率5%未満として判定した。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には、ヘルシンキ宣言に基づき、本研究の実施に際して、甲南女子大学研究倫理委員会の審査ならびに承認を得た後、対象者およびサッカー部所属の監督とコーチには、事前にフィジカルチェックの目的と内容、実施計画を文書及び口頭により説明し、同意を得た。【結果】 足関節の捻挫を受傷したA群は14名で、内反捻挫7名、外反捻挫4名、底屈捻挫3名、B群は57名であった。A群においてフィジカルチェック時の測定項目を受傷下肢と非受傷下肢との間で比較すると、股関節外旋可動域は受傷下肢の方が有意に小さく(A群40度:B群45度、p<0.046)、股関節内旋可動域は受傷下肢の方が有意に大きかった(A群40度:B群36度、p<0.038)。また、股関節内旋と外旋の可動域の差をみると、非受傷下肢よりも受傷下肢の方が負の値を示して有意に小さく(A群-1度:B群9度、p<0.016)、内旋可動性優位であった。さらに、股関節外旋可動域の左右差についてA群とB群を比較すると、A群のうち利き足を受傷した者は、股関節外旋可動域の左右差がB群に比べて有意に大きかった(A群14度:B群0度、p<0.0345)。つまり、受傷下肢が利き足の場合は外旋可動域が相対的に小さかった。【考察】 過去の我々の調査では、サッカーによる足関節の捻挫は、走行時の方向転換、ジャンプの着地、スライディング、相手とのボールの同時キック時などでよく発生していた。足関節の捻挫は、足部が地面に接地する時の身体重心による外力や相手から受ける外部外力が距骨下関節軸より離れているほど発生しやすい。つまり、股関節にかかる荷重ベクトルが距骨下関節軸から遠いか近いかによって発生率が左右されると考えられる。本研究では、股関節内旋可動性優位になりやすい者ほど足関節の捻挫を生じやすいことが明らかとなった。これは、股関節内旋位になった場合には身体重心が距骨下関節軸より外側偏倚傾向を示すことから内反捻挫を誘発しやすくなることが推測される。また、外旋可動域が相対的に狭いことから下腿外旋で代償し外反捻挫を受傷することが推測される。したがって、股関節の内外旋方向の可動性の左右差が大きすぎたり、股関節の内外旋差の絶対値が大きいと足関節の捻挫が生じやすくなると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 足関節捻挫の発生要因は様々であるが、足関節だけでなく股関節にも発生要因が存在することが明らかとなった。股関節の内外旋可動域の左右差と股関節内外旋差を少なくするようにコンディショニングをし、動作練習をすることにより運動時にかかる足関節への偏った負荷が軽減でき、足関節捻挫発症の予防につながると考えられる。そして、スポーツによる足関節捻挫の発生予防プログラムの効果検証にも役立てることができる。
著者
澤 宣成 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.183-186, 2012-11-09

将棋におけるプレイスタイルである棋風に着目し,人間がどういった特徴要素に対してそれを感じているかを棋譜から抽出した特徴要素の統計的分析によって明らかにすることを試みた.その結果、いくつかの特徴を発見した.
著者
伊藤仁太郎 著
出版者
一誠社
巻号頁・発行日
1925
著者
伊藤 永喜 佐野 洋子 小嶋 知幸 新海 泰久 加藤 正弘
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.187-194, 2005 (Released:2006-07-14)
参考文献数
17

閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群 (obstructive sleep apnea hypopnea syndrome : 以下, OSAHS) に対する治療目的に導入した経鼻的持続陽圧換気療法 (nasal continuous positive airway pressure : 以下, nCPAP) が, 言語機能回復に奏効したと考えられる失語症例を経験した。症例は43歳, 右利き男性。脳静脈洞血栓症に対するシャント手術後に脳内出血を発症, 右半身の不全麻痺と重度失語症が残存。発症8ヵ月後に江戸川病院にて, 本格的な言語訓練開始となる。病前より夜間無呼吸・いびきがあり, 終夜睡眠ポリグラフィ (PSG) の結果, 中等度閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群と診断された。失語症に対する言語訓練が開始されてから約2年経過した時点よりnCPAPを開始したところ, 失語症状の中でも回復に困難を示していた標準失語症検査での発話の項目などで検査上顕著な改善を認めた。また日常の発話においても流暢性が増して意思疎通性が大幅に改善した。以上より, nCPAP治療がOSAHSを合併する失語症者の言語機能回復に奏効する可能性が示唆された。