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著者
矢野 寿文 渡辺 千典 紫雲 千鶴雄 赤祖父 辰夫 鳥栖 四郎 佐藤 俊一 佐藤 久 寺田 義久 末広 正己 倉山 俊 村尾 尚彦 岩沢 栄 河口 琢逸 岸 功 須賀 清勝 川内野 隆 渡部 稔 立山 正 久保 藤雄 武安 義勝 木村 伊和夫 安永 哲雄 野見山 栄 野上 辰之助
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.74, no.843, pp.669-714, 1958-09-25 (Released:2011-07-13)

One of the essential problems of the Japanese coal mining industry is how to elevate its productivity. This is why we have been exerting ourselves to proceed concentration of working places.places. It goes without saying that the most important way to concentrate working places is to improve transportation services.This report was intended to show recent development of transportation equipment in and out of Japnanese coal mines. It will also give a forcast what type of development in future.All the transportation equipment which are refferrel to in this report show the top level techniques of this country.As a whole, it may be said that the Japanese transportation devices have been taking and will eakea straight way toward larger scale and automation running.
著者
佐藤 俊樹
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.157-181, 2006

靖国神社(およびその前身の東京招魂社)は,長く「国家神道」の中心施設だと見なされてきた.しかし実際には,第二次大戦以前でも,その宗教的な性格や政治的な位置づけはかなり変化しており,特に1900年代の前と後では大きくことなる.ほとんどの靖国神社論は政治的立場のいかんを問わず,この点を無視されている.それらが1911年に出た『靖国神社誌』の靖国神社像を踏襲しているからである.本論では,『武江年表続編』や東京ガイドブックといった同時代史科をつかって,1900年代以前の靖国神社(東京招魂社)がどんな宗教的・政治的な意味をおびていたかを,政治家でも宗教家でもない,東京のふつうの生活者の視線から描きだす.それによって,戦前前半期の日本における宗教-政治の独特な様相の一端を明らかにする.
著者
佐藤 俊樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.363-372, 2014

盛山和夫『社会学の方法的立場』ではM・ウェーバーやN・ルーマンらの方法論が批判的に再検討されているが,我々の考えでは,これらは彼らへの批判というより,その理論と方法の再記述にあたる.例えばウェーバーの方法は,近年の英語圏や独語圏での研究が示すように,主にJ・フォン・クリースの統計学的で分析哲学的な思考にもとづくもので,経験的な探究では『理念型』や『法則論的知識』は因果分析での反事実的条件としても使われている.彼の『価値-解釈』はベイズ統計学での事前分布と機能的に等価であり,有名な『価値自由』論が意味しているのは,内部観察である社会科学にとって不可避な,観察の理論負荷性である.
著者
大泉 洋路 佐藤 俊治 三宅 章吾 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.732, pp.117-122, 2004-03-10
被引用文献数
1

多義図形に対する図地反転知覚は,観察者の注意位置や範囲に依存して図地が反転し,この注意もまた,提示される図形に依存して変化する.本稿では,図地知覚と注意の動的な情報処理過程を説明する神経回路モデルを提案する.提案モデルは,(i)提示された図形中の輪郭情報から領域間の図地関係を決定する機構,及び(ii)視覚的注意の影響を(i)に与える機構から構成される.これら2つの機構は,図地知覚および注意の状態に応じて相互に影響し合う.数値実験により,図地反転図形を入力とした場合,提案モデルが図地反転現象を再現できること,また様々な条件下で我々の知覚と定性的に一致することを確認した.
著者
佐藤 恵子 岩崎 学 菅波 秀規 佐藤 俊哉 椿 広計
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.37-53, 2014-08-31 (Released:2014-10-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

All statisticians are expected to produce statistical outcomes of high quality and reliability. To ensure reliability in statistical performance and outcomes and to meet societal expectations, certain standards of conduct (SOC) must be established such that individual statisticians embrace their own principles and so that the community of statisticians as a whole functions with more self-control.In 2008, the Biometric Society of Japan began revision of the code of conduct, and the working group drafted an SOC. This particular draft re.ected the opinions of statisticians and the basic concepts which aligned well with ethical guidelines of the American Statistical Association and the International Statistical Institute. As forced guidelines rarely result in full compliance and increased ethical conduct, the SOC offers a framework to encourage individual biostatisticians to establish and hold their own principles and to act responsibly with integrity.The SOC comprises a preamble, mission statement, values, ten principles and background information. The draft SOC was approved by the Council of the Biometric Society of Japan in November 2013.The SOC will help statisticians improve their capacity to perform sound statistical practices, improve the working environment, cultivate the next generation of statisticians with professionalism, and acquire societal trust.
著者
竹山 峻平 佐藤 俊樹 野嶋 琢也
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.1, pp.1-6, 2010-08-16
被引用文献数
1

人はその口唇形状を,発話や食事,感情表現などのために自らの意志に基づいて変化させることが可能である.近年,この口唇形状を利用した読唇システムなどが研究されている.しかしながら,多くの研究は 「発話」 という機能に重点を置いており,その他の口の持つ機能に注目しているものは少ない.そこで本研究では口唇形状認識インタフェースの異なる可能性を検討するため,口唇の形状・動きをインタフェースとしたエンタテインメントシステムを提案する.People often change their shape of lips especially when they speak. Then, many researchers focus on recognizing the shape of the lips for "lip reading". However, the shape of lips are also changed when people eat, and when they express their emotion. Furthermore, lips are the part of human body that have high degree of freedom of motion. Then, in this research, we propose to use the shape of lips as human machine interface. In this report, we describe on the entertainment system that utilize shape of lips.
著者
佐藤 俊樹
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.55, pp.7-21,247, 2001-09-30 (Released:2009-01-15)
参考文献数
9

The various reformations of 90's Japan are often summarized as "From equality of result to equality of opportunity". However, the cause and implication of this change are not sufficiently made clear. On statistical data, the improvement of equality, both of result and of opportunity, has been stagnant since 80's. So the reformation in 90's was not caused by excess of the equality of result, but this stagnation itself caused the change of the principle of equality. In this paper, with re-examination of the concept of "opportunity", we show how this change is related to the new phase of 90's Japan, such as stagnation of equalization, sustainable society, and privatization.
著者
平松 靖史 品川 晃二 高畑 統臣 佐藤 俊雄 水田 玲美 権守 邦夫 宮崎 哲次 小嶋 亨
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.145-149, 1998-07-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

アマニタトキシン (キノコ毒) 中毒による劇症肝炎を報告する。71歳, 男性, 下痢を主訴にして来院。入院時の血液生化学検査でGOT518U/L, GPT333IU/L, BUN77.3mg, Cre 7.0mgと急性の肝腎障害を認めた。意識レベルは清明であったが, 入院後, 劇症肝炎を来たし血漿交換等の治療に抵抗し死亡した。又一緒に毒キノコ中毒になり死亡した妻は司法解剖され, 採取された血液, 脳, 肝臓の組織からキノコ毒であるα-amanitinが検出された。司法解剖でキノコ毒を証明しキノコ中毒死を証明した法医学的報告は今までなく, その検査結果も合わせ報告する。本例も死後肝生検で致命的劇症肝炎像を証明した。
著者
森川 健志 佐藤 俊介 荒井 健男 関澤 佳太 鈴木 登美子
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.286-290, 2017-06-10 (Released:2017-06-20)
参考文献数
12

Developing a system for the production of organic chemicals via carbon dioxide (CO2) reduction is an important area of research that has the potential to address global warming and fossil fuel consumption. The present study demonstrates artificial photosynthesis for the direct production of organic substances under sunlight using a hybrid photocatalyst composed of a semiconductor and a metal complex catalyst. A solar to chemical energy conversion efficiency of 4.6%, calculated from the change in Gibbs free energy per mole of formic acid formation from CO2 and water (H2O), was demonstrated for CO2 photoreduction utilizing H2O as an electron donor under simulated solar light irradiation to a monolithic tablet-shaped device. These results which store solar photon energy in CO2 molecules could show promise for future progress in this field.
著者
佐藤 隼 佐藤 俊秀 仲川 祐司 林 志洋 松本 頌 城山 英明 松尾 真紀子 鎗目 雅
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.108-118, 2014 (Released:2014-10-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

リンの下水からのリサイクルは一部自治体で進められているが,まだ全国的に進んでいるとはいえない.本研究ではステークホルダーに聞き取り調査を行い,各ステークホルダー間の問題認識を分析し,普及を進めるための施策を検討した.下水からのリン回収が進まない理由として,大きく次の3つの問題が考えられる.現状ではリサイクルすれば赤字になるというコストの問題,生産量が十分に確保できないという問題,安定的な取引先が必要という販売のノウハウの問題である.他方,閉鎖海の環境保全や循環型社会の構築といった他の政策目的も重要である.今後の施策としては,コスト削減のための技術開発,環境政策目的との同床異夢や一定の量の確保を可能にするための自治体との連携の強化が重要である.
著者
佐藤 俊光 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1050, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】四肢の動きに連動した腰部の固定を提供する動作として,Abdominal Hollowing(以下,AH)とAbdominal Bracing(以下,AB)が提唱されている。この動作は,関節運動を起こさずに体幹深部筋を随意的にはたらかせることが可能なエクササイズである。第49回日本理学療法学術大会にて,健常者を対象にAHとABが腰部多裂筋に与える影響を検討した結果,ABは腰部多裂筋の筋厚を有意に増加させることが明らかとなった。腰痛患者において,腰部多裂筋に機能不全が生じる報告が多数されている。近年は,腰部多裂筋の筋内圧上昇による腰椎背筋群コンパートメント症候群による筋・筋膜性腰痛も挙げられている。関節運動を起こさずに行える本エクササイズは,関節組織への負担軽減,非疼痛下での介入が可能であり,腰痛患者に有用なエクササイズになると考えられる。よって,本研究の目的は腰部安定化エクササイズが,体幹深部筋の筋厚に与える影響について超音波診断装置を用いて明らかにすることである。【方法】対象は,当院を受診している女性腰痛患者6名(年齢63.3±14.1歳,BMI 21.8±3.7,罹患期間14.2±13.6ヵ月),神経症状や手術歴のない非特異的腰痛患者である。使用機器は超音波診断装置とした。プローブは,周波数7.5MHzのリニアプローブを使用した。測定筋は,腹横筋と腰部多裂筋とした。測定肢位は,AHは背臥位で股関節・膝関節90°となるよう台の上に下肢を挙上させた。ABは腹臥位にて腹部と下腿にクッションを入れ,安楽な姿勢をとるようにした。いずれも測定筋における重力除去位で行った。測定は,エクササイズ毎に左右の筋厚を2回ずつ計測し,疼痛の訴えがある部位を疼痛側,反対側を非疼痛側とした。問診時に疼痛が両側と答えた対象者は,測定者が評価を行い,疼痛側を同定した。得られたデータは,統計学的解析を行い,有意水準を5%とした。筋厚測定の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて,検者内信頼性を確認した。【結果】各筋厚測定のICC(1.1)は0.829以上あり,高い相関を認めた。エクササイズ間の筋厚変化率において,腹横筋は疼痛側でAH 139.7±26.1%,AB 134.2±21.7%,非疼痛側で,AH 159.7±22.9%,AB 149.5±20%であり,疼痛側・非疼痛側ともにAHとABでは有意な差は認められなかった。腰部多裂筋では,疼痛側でAH 101.9±2%,AB 105.7±2.8%でありAHと比較してABで有意に高値を示した(p<0.05)。非疼痛側では,AH 100.8±1.9%,AB 105.8±1.4%であり,同様にAHと比較してABで有意に高値を示した(p<0.01)。各エクササイズでは,腹横筋,腰部多裂筋ともに疼痛側・非疼痛側において有意な差は認められなかった。また,罹患期間と各筋厚変化率の相関関係も認められなかった。【考察】本研究より,腰部安定化エクササイズにおいて,ABはAHより腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めることが示唆された。Richardsonらによると,AHは腹横筋を中心に体幹深部筋の収縮を促すことで腰部安定化が図られると報告されている。しかし,McGillらは,腹横筋だけでは腰部の安定性は不十分であり,腹斜筋群の収縮も用いることで安定性を高められると報告している。さらに大江らは,下肢挙上動作前にABも用いることで腰椎部の可動性が小さかったことを報告している。本研究は,超音波診断装置を用いて,定量的にエクササイズ間の体幹深部筋の筋厚変化率を明らかにした。各エクササイズでは,腹横筋,腰部多裂筋ともに疼痛側・非疼痛側において有意な差が認められず,また罹患期間と各筋厚変化率の相関関係も認められなかった理由としては,運動療法が慢性腰痛患者に効果的であることや,痛みに応じた活動性の維持を早期から行うことで,安静期間の縮小,運動の再学習が筋厚に影響を及ぼしたと考える。しかし,本研究の限界として,横断的研究であり,対象は運動療法が効果的な慢性腰痛患者であること。また,リハビリ目的に通院しているため,治療介入因子が関与していた可能性が考えられる。今後は,急性期・亜急性期におけるエクササイズの効果および,縦断的研究における継時的変化を明らかにする必要がある。【理学療法学研究としての意義】本研究により,ABを用いることで腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めることが明らかとなった。これにより,腰部への負担軽減,および腰痛予防の観点から意義のある研究であると考えられる。
著者
佐藤 俊樹
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.734-751, 2009-03-31 (Released:2010-04-01)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

階層帰属の定義は主観と客観の間をゆれ動いてきた.ここでは,そのどちらも前提にせず,SSMデータにもとづいて,階層帰属とはどんな変数なのかを再検討する.2005年調査では,「上/中/下」帰属が質問文の順番に左右されない客観性をもつ.また,本人収入による「上/中/下」帰属の分布の乖離はさらに拡大したが,その一方で,「1-10」帰属は「5」に集中する形にかわっており,分化と斉一性の二重性という特徴が見られる.階層帰属は当事者カテゴリーとしての「上/中/下」を準拠枠として,自らの階層的リアリティを位置づけたものと考えられる.いわば階層的社会の見え姿であり,それ自体が現代の自省的階層社会の一部となっている.それゆえ,階層帰属の分析は,現代社会学や理論社会学の研究にとっても重要な事例になる.
著者
倉地 卓将 村瀬 香織 西出 雄大 小山 哲史 佐藤 俊幸
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.122-127, 2013

注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
著者
佐藤 俊樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1)意味システム論としてのコミュニケーションシステム論を、特に従来の社会学での制度概念とのつながりと複数の分野への応用しやすさに注目して、理論的に再構築した。2) 1)の成果を都市の生成に適用することで、都市の自己生成の形態を、自己産出的な意味システム論の視点から明らかにした。
著者
佐藤 俊樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.37-48, 2000-06-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
21

社会学は「システム」という用語を瀕用するが、その経験的意義は決して明確ではない。ここではN.ルーマンのシステム論を、相互作用システムという事例から考察する。彼の理論は行為概念の変更までふくむラディカルなものであり、「社会とは何か」への有力な答えとなっている。だが、厳密にその論理をおっていくと、複数のレベルを交錯させることで、システムの実在性を不当前提している可能性が高い。そのことは、たんに「システム」だけでなく、「行為」「コミュニケーション」「社会」といった社会学の基本概念自体に再検討をせまる。
著者
佐藤 俊樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_3-2_20, 1990-11-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
25

プロテスタンティズムの倫理は近代資本主義を生んだか? この問いは現在の社会学の出発点である。だが、Weber自身のを含めて、従来の答えはすべて失敗している。経営の規律性や強い拡大志向、資本計算などは日本をはじめ多くの社会に見出されるからだ。この論考では、まずそれを実証的に示し、その上で、プロテスタンティズムの倫理が「禁欲」を通じて真に創出したものは何かを問う。 それは合理的な資本計算や心理的起動力などではない。個人経営においても、経営体(組織)と個人の人格とを原理的に分離可能にしたことである。この分離と両者を規則を通じて再結合する回路こそ、日本の経営体に決定的に欠けているものであった。なぜなら、それが近代の合理的組織の母型になったのだから。その意味においてはじめて、プロテスタンティズムの倫理は近代資本主義を生んだといえるのだ。