著者
滝沢 誠 菊地 吉修 渡井 英誉 佐藤 祐樹 笹原 芳郎 笹原 千賀子 田村 隆太郎 戸田 英佑
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、伊豆半島における前期古墳の調査をつうじて、半島基部に形成された古墳時代前期の政治拠点と東日本太平洋岸域における広域的なネットワークとのかかわりについて検討した。あらたに確認された瓢箪山古墳(前方後円墳)の発掘調査では、同古墳の立地や墳丘構造が伊豆半島の基部を横断する交通路を強く意識したものであることを明らかにした。また、同古墳が築かれたとみられる古墳時代前期後半には、周辺域において集落規模の拡大や外部地域との交流が活発化する状況を把握することができた。これらの成果をふまえ、古墳時代前期後半には、伊豆半島基部の交通上の役割が高まり、その拠点的性格が顕在化したものと結論づけた。
著者
荒川 武士 石田 茂靖 佐藤 祐 森田 祐二 下川 龍平 煙山 翔子 岡村 唯 新野 直明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11486, (Released:2018-11-30)
参考文献数
48
被引用文献数
1

【目的】本研究の目的は,脳血管障害者の嚥下障害の関連要因について,おもに運動要因に着目して検討することである。【方法】対象は回復期病棟入院中の脳血管障害者90 名(嚥下障害あり45 名,嚥下障害なし45 名)とした。調査項目は,基本属性の他に上下肢の運動麻痺の程度,歩行自立度,舌圧,舌骨上筋群の筋力,喉頭位置,頸部可動域,脊柱後弯度,体幹機能,呼吸機能,握力などの運動要因を評価した。単変量解析にて有意な差があったものを説明変数とし,嚥下障害の有無を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析(尤度比検定:変数減少法)を実施した。【結果】脳血管障害者の嚥下障害に関連する運動要因は,舌骨上筋群の筋力,頸部伸展可動域,脊柱後弯度であることが明らかとなった。【結論】本報告は,理学療法士でも嚥下障害に介入できる可能性を示すものになると考えられ,臨床場面でも応用可能な有益な情報になるものと考えられた。
著者
佐藤 祐一 小早川 紘一
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

Ni極を使用したアルカリ系二次電池(Ni-Cd電池,Ni-MH電池)は,使用時最後まで完全放電せず,浅い放電状態からの充電を繰り返すと,規定容量より少ない容量しか得られなくなるメモリー効果といわれる現象を生じる。その原因については様々な報告があり,Ni極で部分的な放電サイクルの間,一部の活物質だけが充放電に携わり,サイクルに関与していない活物質が蓄積し,内部抵抗が増大する,またCd極でNi-Cd合金が生成するために,メモリー効果が発生するという報告等がある。我々は原因解明のため,Ni-Cd電池を取り上げ検討したところ,主にその原因は正極活物質であるβ-NiOOHがγ-NiOOHに変化するために発生すると報告した。しかし企業から実用電池において,メモリー効果が表れてもγ-NiOOHの存在は確認できないと反論があった。そこで我々は,Ni極容量規制の試作Ni-Cd電池を使用して,さらに検討したところ以下のことを解明した。試作Ni-Cd電池で浅い放電と充電を繰り返した後,充電状態のNi極について,X回折(XRD)測定,X線光電子分光(XPS)測定を行った結果,通常充放電後には存在しないγ-NiOOHの回折ピークが確認でき,γ-NiOOHは集電体/活物質界面から徐々に生成し,浅い放電と充電のサイクル数が増加すると,その生成量は増大し,容量劣化が大きくなることを確認した。さらに交流インピーダンス法により,Ni極中のγ-NiOOHの生成量が増加すると、電荷移動抵抗が大きくなり,メモリー効果が発生すると推定した。そしてγ-NiOOHの生成がメモリー効果の原因であることをより明確にするため,メモリー効果の温度依存性について検討した結果,低温になるに従って,メモリー効果は発生しやすく,γ-NiOOHの生成量も増加することがわかった。
著者
皆川 明大 酒井 理歌 福留 慶一 久永 修一 年森 啓隆 佐藤 祐二 藤元 昭一
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.685-690, 2014 (Released:2014-11-28)
参考文献数
15

血液透析患者において適正体液量の維持は心血管合併症や生命予後改善の点で重要である. 今回われわれは, 健常者および血液透析患者に体組成分析装置を用いて透析前後に体液過剰・不足量 (OH) の測定を行い, 有用性の検証について横断的研究を行った. 219名の健常者 (平均年齢68.8±8.4歳, 男性69名) と64名の慢性維持血液透析患者 (平均年齢61.7±12.8歳, 男性37名) を対象とした. 健常者平均OHは0.7±0.8L (平均±SD) であり, 海外での健常者のOH基準値 (−1.1~1.1L) に相当した参加者は全体の76.3%であった. 血液透析患者の透析前平均OHは2.9±1.5L, 透析後平均OHは0.6±1.7Lであった. 透析前後でのOH変化量と体重変化量は有意な相関関係を認めた (r=0.61, p<0.05). 一方, 透析前あるいは透析後OHと透析前血圧・心胸郭比との間には, 有意な相関関係は認められなかった. 透析後血中ANP濃度と透析後OH値との間に正の相関関係を認めた (r=0.48, p<0.05). 透析後血中ANP濃度で3群 (高値群>60pg/mL, 中間群40~60pg/mL, 低値群<40pg/mL) に分類し, 透析後平均OHを比較したところ, 血中ANP濃度が高値になるほどOHも高値となった, p<0.05). これらの結果から血液透析患者において, 潜在的に体液過多となっている患者の存在が示唆された. 目標体重検討の際に考慮する心胸郭比や血圧との有意な相関関係は認められなかったが, 透析前後での劇的なOHの変化や血中ANP濃度との関係をみると, OHは血液透析患者の体液量の指標として有用な可能性がある. 今後OHと心機能との関連性など検証し, 有用性についてさらに具体的に検討していく必要があると思われた.
著者
鉄村 進 木村 豪雄 佐藤 祐美 古田 一史 三潴 忠道
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.103-108, 2005-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

重症骨粗鬆症により多発性骨折をきたし, 痛みのため寝たきりとなった患者に対して桂枝附子湯を投与し著効を得た1例を経験した。患者は68歳の女性。6年前に骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折の診断を受けていた。2000年11月, 原因不明の胸背部の強い疼痛と全身性接触性皮膚炎にて入院となった。患者は強い痛みのため寝たきり状態であった。骨シンチグラフィーにて胸郭・脊椎部に多発性の集積像がみられたが, 明らかな悪性疾患は見出せなかった。またMRIでは胸腰椎に多発性の圧迫骨折がみられた。強い表在性の痛みと四肢の冷えを目標として桂枝附子湯を投与した。痛みは除々に軽減し, 2ヵ月後には機能訓練を開始することが出来た。その後, 痛みと皮膚の状態によって黄耆建中湯, 桂姜棗草黄辛附湯および八味丸を投与した。11ヵ月後には介助起立が可能なまでに回復した。桂枝附子湯の骨粗鬆症による多発性骨折に伴う痛みに対する有用性が示唆された。
著者
高田 知紀 藪内 佳順 佐藤 祐太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_165-I_174, 2020
被引用文献数
1

<p> 本研究の目的は,神社空間を核とした防災コミュニティを形成するためのひとつの実践モデルを提示することである.そのために本研究では,和歌山市・伊達(いたて)神社において社会実験を展開した.伊達神社の位置する有功地区は,地震,津波,河川氾濫,土石流,斜面崩壊など多様な災害リスクにさらされている地域である.地域防災上の課題としては,地域住民が種々の災害リスクのポテンシャルを認識していない,地域内で実効性のある避難計画が周知されていない,古くからの集落と新興住宅街の住民が交流できていない,といった点があげられる.これらの課題を解決するために,伊達神社において,氏子やその他の地域住民と神職,絵地図アーティスト,学識経験者がワークショップとフィールドワークを繰り返し,地域内の史跡名所を巡ることでハザードエリアが把握できる「無病息災マップ」を作成するプロジェクトを展開した.</p>
著者
佐藤 祐子 桑原 礼子 重田 公子 谷口(山田) 亜樹子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.45, 2011

<B>【目的】</B>柿は日本人に古くから親しまれている果物である。昔から渋柿は「干柿」や「樽柿」に、地域によっては「あんぽ柿」や「枯露柿」にして食べられている。現在、摘果した柿や規格外で販売できない未利用柿を大量に廃棄している現状がある。我々は今回、それらの未利用柿を広く有効利用できないかと考え、現代の若年層の柿に対する嗜好性や認知度を把握する目的で女子大学生を対象にアンケート調査を行った。<BR><B>【方法】</B>調査時期は2010年4月、20歳前後の女子大生132名を対象者に柿に関するアンケート調査を行った。調査内容は、柿の嗜好性や柿の「摘果」や品種の認知度、柿に対するイメージおよび柿の新規加工食品に関するアイディア等の項目である。<BR><B>【結果】</B>柿の嗜好に関しては「好き」と答えた学生が7割程度であった。しかし、他の果物に比べ嗜好意欲が低いことが伺える。甘柿と脱渋した柿では9割の学生が「甘柿」を好んでいた。「軟らかい」柿を好む学生および「硬い」柿を好む学生は双方ともに約5割であった。一方で柿の品種を答えることのできた学生は2割程度で、「摘果」に関して理解している学生は1割以下であった。<BR> 他の果物に比べて柿の嗜好意欲が低い理由には、食べやすさ、水分含量が低い、糖/酸比が低いなどの問題に起因していると考えられる。また、未利用柿の有効利用法としては、サラダ類、ケーキ、ジェラートが上位に挙げられていた。また、「かきフライ」などユーモアに富んだネーミングのものも挙げられていた。大量廃棄される未利用柿の中には渋柿もあるため、柿の加工食品の開発には簡単に脱渋ができ、加工調理しやすいものが適していると考える。
著者
飯田 昭人 佐藤 祐基 新川 貴紀 川崎 直樹
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.159-170, 2008

The purpose of this study was to clarify the structure of the "Pain of living" among undergraduate students. A questionnaire was administered to 117 students (36 males, 81 female; mean age 20.4 years; SD=1.13 years). The results indicated that the structure of Pain of living among undergraduate students comprised of 3 categories with five subgroups in each category. The three categories were : "Pain of living that originates in own thinking and feelings," "Pain of living that originates in relations between self and others," and "Pain of living that originates in relations between society and environment and the self." The three categories were found to influence each other. These findings suggest that it is helpful to know the structure of Pain of living, in order to determine how students can be supported.
著者
谷口 (山田) 亜樹子 栗 彩子 佐藤 祐子 風見 真千子 野口 治子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.133-139, 2019

<p> 鎌倉産, 仙台産, 佐渡産の産地の異なるアカモクの一般成分を測定し, 成分の比較を行った. 鎌倉産アカモクは灰分が最も多く, 仙台産はタンパク質が多く, 佐渡産は炭水化物, 食物繊維が多かった.</p><p> 各産地のアカモクのミネラル量を測定した結果, 鎌倉産はカルシウム, 鉄が多く, 仙台産はナトリウム, カリウム, マグネシウム, 鉄, 銅が多く, 佐渡産は亜鉛が多かった. アカモクのポリフェノール量は仙台産が最も多く102.3 mg/100 g含まれており, 鎌倉産, 佐渡産は各々95.2 mg/100 g, 76.3 mg/100 gであった. アカモクは他の海藻よりポリフェノール量が多く, 抗酸化作用などの機能性が期待できた.</p><p> アカモクを用いて食品を製造し, 栄養計算を行った. 鎌倉産アカモクを食品に使用することで, 食品のカルシウム, 鉄のミネラルの栄養価が高くなり, ミネラルが豊富な食品となった. また, アカモクを添加することで, 食物繊維の多い食品となった.</p>
著者
大澤 千鶴 杉山 方樹 岡山 政由 岡山 義雄 佐藤 祐造
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.147-151, 1988-07-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8

「人間ドック」において尿中食塩濃度測定の意義を追求する目的で,人間ドック受診者と,食事指導を十分に行なっている糖尿病外来患者と比較し検討した。栄養指導の行われている糖尿病外来患者は尿中食塩濃度が低く,尿中食塩濃度の低い群は,あきらかに肥満度も低かった。「ソルトテープ」を用いた短時間で簡易に実施可能な尿中食塩濃度測定は,人間ドックにおける検査項目としてきわめて有用であると考えられる。
著者
佐藤 祐 橋 弘矩 若林 雄介 永瀬 和彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.725, pp.59-65, 2007-01-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The authors proposed a new method which could easily and precisely detect the contact point position between the rail and the wheel under the critical condition of wheel climb derailment. As the result of the experiment using the above mentioned method, they found that the position was variously changed according to rail attack-angles and wheel lift-up values from the rail tread. The next, employing the contact point position, a new conception was proposed to theoretically calculate the wheel lift-up value from the rail tread when a wheel climb derailment occurred. Using a model track and a model truck, experimentation was done to examine the difference between the theoretically calculated value and the practically measured one on the wheel lift-up value. The result obtained was very much in agreement with the theoretically calculated value and the practical lift-up one.
著者
佐藤 祐介 太田 嘉英 倉林 宏考 佐々木 剛史 伊澤 和三 山崎 浩史
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.149-155, 2010-12-15 (Released:2011-10-20)
参考文献数
29

今回われわれは,頸動脈間隙の高位に発生した頸部迷走神経鞘腫の1例を報告する。症例は,71歳,女性。咽頭部違和感を主訴として来院した。口腔内所見として,左口蓋咽頭弓に約50×60mm大,無痛性腫瘤を認めた。腫瘤は,CTおよびMRにて左頸動脈間隙を占拠していた。また,腫瘤は総頸動脈および内頸静脈を解離させ,頭蓋底まで及んでいた。われわれは,subcutaneous mandibulotomy approachを用いて切除し得た。病理組織学的診断は,神経鞘腫であった。術後,嚥下障害および嗄声を認めたが,リハビリテーションを行い,経口摂取可能な状態まで改善した。術後,約2年経過した現在,再発は認めていない。
著者
久部 高司 松井 敏幸 二宮 風夫 佐藤 祐邦 大門 裕貴 武田 輝之 長浜 孝 高木 靖寛 平井 郁仁 八尾 建史 東 大二郎 二見 喜太郎 岩下 明德
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.471-478, 2013-04-25

要旨 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)にも小腸病変が存在することが明らかとなってきたが,その病態については不明である.今回,小腸用カプセル内視鏡を施行した活動期UC 30例,大腸全摘出後11例の内視鏡所見および臨床所見について検討した.小腸病変(浮腫,潰瘍)は41例中15例(36.6%)に認められ,このうち小腸の広範囲に多数存在する潰瘍は6例だった.小腸の広範囲に多数存在する潰瘍6例と,それ以外の35例の臨床背景の比較検討では,潰瘍を有する群では検査時平均年齢24.8±10.8歳,発症時平均年齢20.8±8.7歳と有意に若く(p<0.05),病型は6例とも全大腸炎型または回腸囊炎であり,有意に高い頻度だった(p<0.05).経過観察できた3例は全例小腸病変が消失し,うち2例はプレドニゾロンによる治療で比較的速やかに病変が消失した.さらに,6例のうち4例に上部消化管病変を伴っていたことはUCとの関連を示唆する所見と考えられた.今後,さらにUCにおける小腸病変の臨床的意義について詳細に検討する必要がある.
著者
平井 郁仁 高田 康道 佐藤 祐邦 高橋 晴彦 矢野 豊 高津 典孝 松井 敏幸 今村 健太郎 池田 圭祐 岩下 明德 宮岡 正喜
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.345-357, 2014-03-25

要旨 当科において診療したCrohn病(CD),潰瘍性大腸炎(UC),Behçet病患者(BD)を対象とし,生検および手術標本における病理組織学的所見の結果から,二次性アミロイドーシス(SA)合併の有無を検討した.CDに関してはデータベースを用いて患者数,臨床像,臨床経過および長期予後について解析し,さらにSA合併症例の詳細とSAの合併有無別の比較検討を加えた.IBD患者におけるSA合併率は1.1%(CD : 1.6%,UC : 0.3%,BD : 3.4%)であった.CD症例においては,(1) 診断では十二指腸病変の認識と生検が有用であること,(2) SA合併率は1.6%で,近年やや下降傾向であること,(3) 累積生存率はSA診断後50か月で79.5%,131か月で53.0%と生命予後が不良であること,(4) SA合併例は悪性疾患の既往の頻度が15.4%で非合併例より有意に高かったことが明らかとなった.
著者
佐藤 祐造 曽根 博仁 小林 正 河盛 隆造 渥美 義仁 押田 芳治 田中 史朗 鈴木 進 牧田 茂 大澤 功 田村 好史 渡邉 智之 糖尿病運動療法・運動処方確立のための学術調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.850-859, 2015-11-30 (Released:2015-11-30)
参考文献数
21

わが国における糖尿病運動療法の現状を把握することを目的に,糖尿病運動療法の実施状況に関して,患者側に質問紙調査を行った.全国各地の専門医に通院中の糖尿病外来患者5,100名に質問紙調査を行い,同意が得られた4,176名(81.9 %)を解析対象とした.診察時に運動指導を受けている患者は食事療法とほぼ同率であったが,運動指導を「受けたことがない」が30 %存在し,食事療法の10 %より高率であった.医師から運動指導を受けている患者が52 %と,コメディカル(理学療法士,健康運動指導士等)による指導は少なかった.一方,食事療法では,64 %の患者が管理栄養士に指導を受けていた.運動療法を実施している患者は約半数であった.医師側(第1報),患者側いずれの調査でも,糖尿病運動療法の指導体制は不十分であり,食事療法と比較して,「較差」が認められた.日本糖尿病学会編集による「糖尿病運動療法ガイドライン」作成を要望する.