著者
佐藤 光太郎 廣瀬 智水 古屋 興二
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.62-68, 2006 (Released:2006-07-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

医療用輸液ポンプでは点滴法により流量を計測する場合がある.点滴筒は液滴体積が出口径によって決定されるという仮定の下に設計され,医師や看護士は滴落下時間間隔から視覚的に輸液状況を確認できる反面,精度の面からは液滴体積は液体の物性に依存し,さらにサテライト滴をも形成するため,常に設計通りの体積の液滴が落下するとは限らない.これまでも多くの研究者らによって研究がなされてきたが,液滴形成には局所的高速現象が含まれていることから断片的な挙動観察が多く,実験による系統的な観察例は多くない. 本研究は安定した薬液の輸液システム開発をはじめ,様々な分野での応用が期待される液滴制御の基礎的研究として,種々なる条件下での液滴形成過程を高速度ビデオカメラにより観察した.主として液滴分離時に生じる諸現象を含む液滴形成機構と物性および流量との関係を調べ,さらに液滴形成に及ぼす液滴形成部出口形状の影響についても議論した.
著者
荒木 淳子 高橋 薫 佐藤 朝美
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45054, (Released:2021-09-09)
参考文献数
16

本研究は山陽地方にある普通科の県立A高校における地域と連携した課題探究型の学習プログラムについて,「複数の場面における学習を架橋する」ラーニング・ブリッジング(LB)(河井 2012)に着目し,地域課題探究型の学習プログラムでの学びと高校での授業や学習にはどのようなLBが見られるのか,LBはどのような要因によって促進されるのか,分析を行った.A校の1年生,2年生228名に行った質問紙調査と8名へのインタビュー調査の結果,生徒達にはプロジェクトにおける活動と学習や他の授業,これまでの学習とのLBが見られること,教員・地域の大人との関わりや積極的な取り組み姿勢がLBを促すことが示された.
著者
内田 憲二 宮本 武典 佐藤 俊英
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.56-66, 2000-02-20 (Released:2010-06-11)
参考文献数
21

無麻酔・無拘束下のウサギのリズミカルな咀嚼運動に対する嚥下の影響を調べた。咀嚼時と嚥下時に下顎運動軌跡と咬筋, 顎二腹筋, 甲状舌骨筋の筋電図を記録した。固形飼料の咀嚼運動中の嚥下の影響は5つのタイプに分類される。 (1) 嚥下が下顎運動の開口相に影響し休止期を示すもの (OPタイプ), (2) 閉口相に影響し休止期を示すもの (CLタイプ), (3) 閉口相と開口相の両方に影響し休止期を示すもの (CL/OPタイプ), (4) 閉口と開口の両相に対して影響しないもの (Non-influタイプ), (5) 不十分な閉口相を引き起こし, 長い休止期の後に開口相に移行させるもの (Pタイプ)。観察された嚥下の52%がOPタイプ, 26%がCLタイプ, 12%がCL/OPタイプで10%が他のタイプであった。CLタイプとCL/OPタイプでの閉口相の変調は, 固形飼料の咀嚼中歯根膜からの入力による咬筋活動の抑制に関与し, OPタイプとCL/OPタイプでの開口相の変調は, 咽頭性入力による顎二腹筋活動の抑制に関与すると結論できる。
著者
笠井 津加佐 佐藤 恵
出版者
金沢大学大学院人間社会環境研究科 = Graduate School of Human and Socio-Enviromental Studies Kanazawa University
雑誌
人間社会環境研究 (ISSN:18815545)
巻号頁・発行日
no.30, pp.227-249, 2015-09

The aim of this paper is to introduce Banzuke ( 番付 ) materials belonging to the Sato family that relate to Naniwa odori ( 浪花踊 ) . These materials are sourced from the sixteenth up to the twenty-third performance (the final performance before WW II). We have attempted to summarize the features of Naniwa odori, by inserting a table at the end of this paper that includes descriptions of the poets, composers, choreographers, and set designers involved in each performance. In this paper, we suggest that the transfiguration of Naniwa odori was significantly affected by Hanayagibuyokenkyukai ( 花柳舞踊研究会 ). Evidence of this can be found in Ryo Tanaka's writings, which include names of those who participated in Naniwa odori, such as, Shiko Okamura ( 岡村柿紅 ), Jusuke Hanayagi II (二代目花柳壽輔), and Ryo Tanaka (田中良). As we do not have sufficient evidence relating to the music used in the performances, further investigations must be conducted into this aspect.
著者
盛岡 頼子 佐藤 弘 代田 文彦 山内 浩
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.845-849, 1999-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

肝硬変による腹水の治療は困難なものが多いが, 腹部症状を目標に大建中湯を用いて腹水が消失した症例を経験した。症例は67歳, 女性, 胃癌手術の際にC型慢性肝炎が発見され, 胃癌の術後より腹水が出現し, 利尿剤を投与されたが, 腹水貯留は著明で, 腹壁瘢痕ヘルニアのため2回手術が行なわれた。開腹時の肉眼所見では肝硬変像を呈していた。食欲不振, 易疲労が改善しないため, 漢方外来を受診した。補中益気湯, 五苓散, 小建中湯などを投与したが, 効果はみられなかった。しかし腹部の冷え, 腹鳴を目標に大建中湯を投与したところ, 腹部症状は改善し, 腹水が徐々に減少し, 腹部超音波検査でも消失し, 利尿剤も中止することができた。大建中湯による腹水消失の報告は調査した範囲ではみられず, 興味ある症例と考えられ報告した。漢方では患者の訴える症状や所見を注意深く観察し処方を決めていくことが重要と思われた。
著者
川上 貴代 岸本 (重信) 妙子 平松 智子 佐藤 ゆかり 田淵 真愉美 我如古 菜月 吉本 優子 久野 一恵 沖田 千代
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.196-203, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
20

【目的】様々な文化・宗教背景をもつ対象への栄養支援活動や対応のための知識習得や態度をもつことは重要である。本研究では管理栄養士養成課程学生での国際活動への志向の把握と管理栄養士のコンピテンシーとの関連により,国際活動への志向が高い学生の特徴を検討した。【方法】関東・関西・中国・九州の5大学の管理栄養士養成課程学生489名を対象に自記式質問調査票を配布し,399名から有効回答を得た(有効回答率81.6%)。国際活動への志向は10項目4段階で測定し,下位の因子合計得点を算出して用いた。コンピテンシー得点,国際交流経験等との関連を検討した。【結果】国際活動への志向について探索的因子分析を行ったところ,7項目2因子が抽出され因子寄与率は62.3%となり,「基本的知識への志向」と「実践への志向」と命名した。同じ学習段階である3年生を対象にクラスター解析を行ったところ,国際活動への志向は4つのクラスターに類型され,2つの因子得点の高低により特徴を示した。基本的知識への志向および専門実践への志向のいずれも高い群では他の群よりコンピテンシー得点,外国語の学習意欲や外国人への態度は有意に高値だった。【結論】国際活動に関する知識および実践への志向得点の高い管理栄養士養成課程の3年生は,コンピテンシー得点も高く国際交流経験や外国人に接する態度も肯定的であった。
著者
牧内 義信 佐藤 幸也
出版者
関東学院大学理工学部建築・環境学部教養学会
雑誌
科学/人間 (ISSN:02885387)
巻号頁・発行日
no.50, pp.73-136, 2021-03

新学習指導要領による高等学校教育の本格実施が迫っている。改訂された学習指導要領は、新教育基本法と関連する法律等の整備を踏まえた上で、従来の教育改革の流れを汲みながら、より一層学校教育のカリキュラム編成や教育方法等まで踏み込んだ内容となっている。思想と手法は新自由主義によるものと言えるが、日本社会が構造的に抱える緊急的課題に応えかついわゆる"Society 5.0"なども意識した学校の在り方、教授方法の改善等まで細かに論じたものとなっている。そうした改善、改革には一定の説得性はあるものの、実際の現場に対してはより一層負担を強いるものとなっていることも無視してはならない。「ブラック」職業とまで揶揄されるようになった教職は、その尊厳性や専門性などが毀損されている。ここでは、保護者などが持つ教育政策への不満などが国家、政府ではなく直接的に教育委員会や学校の教職員に向けられることも珍しくなく、本来であれば教育の専門家である教職員と保護者、地域の関係者などが児童生徒を核にして公教育のよりよい実践を目指して連携・協力し合う関係が築かれることが望ましいにもかかわらず、児童生徒も含めてそれらの関係性は分断されている実態がある。マスコミなどで取り上げられるような一部では成立しているように見えるものの、臨教審以来の新自由主義と市場化が進められた結果(地方自治の基盤劣化も含め)、識者の間では「公教育の崩壊」という言葉さえ聞かれるようになった。生徒と教師の学びの共同体である学校、授業の改善にほとんどの教職員は誠実に取り組もうとしているが、やればやるほど心身にダメージを蓄積することや生徒(子どもたち)の「学びからの逃走」、健全に成長発達することの危機の諸相は深刻になっている。その一つとして懸念されているのが現場の実態を無視したICTの推進である。久里浜にある国立の医療・教育機関の医師などは新たな病理としての「スマホ依存症」などITの普及に伴うリスクに警鐘を鳴らしているが、欧米各国でもこの問題は切実なものとして受け止められている。ドイツや北欧などで自然体験を豊富にそろえた教育プログラム(例えば森の中の学校園やシュタイナースクールなど)、イギリスで行われたスマホを捨て野に出ようというようなルソーの思想的、方法的流れを汲むような教育実践、教育ファーム(近年ではCity Farmという名称が使われるようになった)での学びは、人間性を呼び起こす、日本的な言い方をすれば「健全育成」が図られている。蛇足かも知れないが、平成以降の学習指導要領では「体験」学習の重要性が繰り返し述べられている。しかし、そのための条件整備はあまり進められておらず、豊かな自然体験に預かれるのはどちらかと言えば富裕層の児童生徒であり、体験学習においても格差が拡大している。現代の社会的病理の蔓延と将来的リスクの増大などはSDGsの重要な学習課題でもあり、それらは学校の教職員だけでは到底対応しきれない問題である。そこで、各教育委員会や高等学校では従来の理科教育の在り方を見直し、サイエンスとして学ぶこと、サイエンスとしての学びが未来の社会を担う公民・市民(国民)として「生きて働く」学力形成を目指す方向に行きつつある。大学入試に大きな影響を受けるが、高大連携や中学高校との一貫した自然科学の教育の内容と方法、それを具体的に実践する「授業」の場をどのように構築していけばいいのか模索している。本研究では、上記のことを意識しつつ、これまで高等学校教育について検討、考察してきたこと等を活かしながら、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、課題解決に向かう学力と生きる力の形成を目指す高等学校理科の教育指導計画、授業改善の具体を示すものである。
著者
広瀬 侑 佐藤 桃子 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.9-15, 2008

1章 植物・藻類・細菌の材料の入手と栽培・培養 2
著者
佐藤 琢三
出版者
日本語文法学会
雑誌
日本語文法 (ISSN:13468057)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.19-34, 2003-03
著者
佐藤 光 師橋 辰夫
出版者
Japan Cartographers Association
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.11-30, 1989-09-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
著者
佐藤 秀昭
出版者
住友史料館
雑誌
住友史料館報 (ISSN:13436449)
巻号頁・発行日
no.52, pp.205-248, 2021-08
著者
藤井 幸泰 高橋 学 佐藤 稔
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.193-200, 2016-12-10 (Released:2017-01-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

屋久島に存在する花崗岩亀甲石は,円礫表面に亀甲状割れ目が認められる特徴を有する.亀甲石の断面を観察するとコア部とクラスト部の二層構造を確認でき,亀甲状割れ目は表面からこの境界まで発達している.花崗岩亀甲石を対象に,水銀ポロシメータを用いた空隙測定を実施したところ,以下の事実が判明した.①クラスト部よりもコア部の空隙率が高い②クラスト部とコア部とでは空隙サイズ頻度分布のピーク位置が異なるまた,亀甲石ではない未風化花崗岩や風化花崗岩と比較したところ,風化による変化は空隙サイズ全体が増加するのに対し,亀甲石内部の空隙構造は空隙サイズのピーク位置や量が変化することがわかった.さらに薄片観察なども考慮したところ,亀甲石内部の変化は変質によるものだと推測される.
著者
山根 道雄 田中 雄二郎 大野 智之 小橋 高宏 田尻 和男 山岡 一昭 高元 俊彦 大岡 真也 佐藤 千史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.310-315, 1999-05-25 (Released:2010-02-22)
参考文献数
26

致死量をこえる黄リンを服用し, 肝機能障害とビタミンK不応性の凝固障害をきたしながら, N-acetylcysteine (以下NAC) の早期経口投与により救命しえた1例を経験した. 症例は56歳, 女性. 自殺目的にて“猫イラズ”1/2本以上 (黄リン800mg相当以上) をジュースに溶解し服用約2時間後, 嘔吐を主訴に受診した. 服薬状況より致死的と判断し, 同意を得たうえで服用9時間30分後にNACを胃管より投与した. 投与量は急性アセトアミノフェン中毒に準じた. 凝固因子はビタミンK投与にかかわらず, 第4病日にはPT43%, トロンボテスト18%まで低下した. GPTは第5病日に 191IU/lとピークに達したが, 黄疸は認めなかった. 回復期の肝生検では, 肝細胞内のリポフスチンの増加やクッパー細胞の腫大等を認め, 電顕上はrERの減少を認めた. 抗酸化剤のNACには内因性NOの産生・活性化作用が知られており, 黄リンによる急性肝不全を軽減しうる可能性が示唆された.
著者
佐藤 茂樹
出版者
広島女学院大学
雑誌
広島女学院大学論集 (ISSN:03748057)
巻号頁・発行日
no.45, pp.194-180, 1995-12

This is collation of the "Dairi Utaawase" (Imperial Palace Poetry Composition Contest) (Intercalary September 19, 1213) contained in the Gunsyo Ruiju using the 17 versions in the possession of the National Institute of Japanese Literature. There are of course some small differences, but it was possible to amend the "atarakishi" in the thirteenth criticism to "atarashiki." With regard to the differences among waka poems, it seems there are fundamental problems in the "toyama no oku mo" and "toyama no oku no" in right's poem in the first round, as well as the "kikiwafuru" and "kiewafuru" in right's poem in the tenth round.