著者
平澤 由貴 倉田 昌明 中島 実千代 坂本 憲吾 小田部 耕二 佐藤 伸一 野村 護
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.38, pp.20157, 2011

【目的】一般毒性試験における血液凝固系検査では,血小板数,PT,APTT及びフィブリノーゲン(Fbg)がルーチンに測定されるが,これらの項目だけでは血小板機能や線溶系の異常は検出できない.薬物の血液凝固系への統合的な評価には,これらの測定を補足する必要がある.今回,ヒトに類似する実験動物であるカニクイザルについて,血小板機能検査である血小板凝集能,また血管異常も含め凝固異常を総合的に評価できる出血時間,FDPについて測定したので報告する.また,ルーチン項目に関し,産地間差(フィリピン,中国,ベトナム,インドネシア)も含め基礎的に検討した.【方法】(1)出血時間:市販の注射針を一定の深さに穿刺できるように加工して,穿刺器具とした.無麻酔下で尾背部を穿刺部位とした.湧出血を一定間隔で濾紙に吸い取り,吸着血痕が1mm以下となった時間をエンドポイントの出血時間とした.(2)血小板凝集能:無麻酔下に大腿静脈からクエン酸加採血し,遠心分離(200×g)して多血小板血漿(PRP)を分取し,さらに遠心分離(2000×g)し乏血小板血漿(PPP)を分取した.PRPの血小板数が約35×10<SUP>4</SUP>/μLになるようにPPPで希釈調製した.凝集誘発剤はADP 5,20 μmol/L及びコラーゲン3 μg/mL(いずれも最終濃度)を用い,光透過法により凝集率を測定した.(3)その他のルーチン項目(血小板数,PT,APTT,Fbg)は自動分析装置,FDPは用手法にて測定した.【結果】(1)出血時間:出血時間は1~3.5分であった.2回の繰返し穿刺でも出血時間に差はなかった.今回の方法では,穿刺傷は小さく出血量も限られており,生体に対する侵襲性は小さいと考えられた.(2)血小板凝集能:最大凝集率はADP 5 μmol/Lで約63%,ADP 20 μmol/Lで約75%,コラーゲン3 μg/mLで約75%あった.また,ADP 20 μmol/Lで誘発した凝集の日内と日差変動に大きな変動はなかった.(3)血小板数,PT及びAPTTに産地による大きな違いはみられなかった.【結論】ルーチンの血液凝固系検査項目に加えて,血小板凝集能(ADP,コラーゲン凝集)及び出血時間について基礎的なデータを得ることができた.これらの検査は侵襲性が小さく,さらに線溶系検査を組み合わせることで,一般毒性試験でより詳細かつ統合的な血液凝固異常の評価が可能である.
著者
西村 直也 柳 宇 鍵 直樹 池田 耕一 吉野 博 斉藤 秀樹 斉藤 敬子 鎌倉 良太 小畑 美知夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.175, pp.1-8, 2011-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究は医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とする。第1報では調査の詳細および冬期、夏期における計18件の病院の外来待合室、事務室および病室に対する建築物衛生法の測定方法に準じた空気質の実測調査結果を示した。また第2報では浮遊微生物濃度の実態を明らかにした。第1、2報では建築物衛生法の環境基準値およびHEAS指針値を超過する室が多く見られ、適切に運用するためには、空気環境について定期的に監視することが有効であるという見解が得られた。本報では、温熱環境、空気質について連続測定や定量分析を行うことによって、より詳細に実態の解析を行った。その結果、室によっては温熱環境の日中変動が大きいこと、室内の浮遊粉じん濃度が外気の濃度に大きく影響を受けていること、VOC類の濃度は概ね低く抑えられているものの、DEGEEやカンファーなどが特徴的に検出されることなどを確認した。
著者
石谷 太 岡田 雅人 清水 誠之 佐久間 恵 石谷 閑 原岡 由喜也 龝枝 佑紀 小神野 翔平 Zou Juqi 古家 博信 梶原 健太郎 北野 圭介 大倉 寛也 河瀬 直之 Chen Ping-Kuan
出版者
群馬大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

本研究では、SrcとWnt経路の活性化が誘発する細胞競合の機序と、その脊椎動物における機能的意義、および腫瘍進展における役割の解明を目指している。まず、ゼブラフィッシュにおいて細胞競合可視化解析系を確立した。また、Wnt経路駆動性細胞競合の研究を行う過程で、発生プロセスで自然発生したシグナル異常細胞が細胞競合により排除されること、すなわち、細胞競合が発生プログラムのエラーを防ぐ発生ロバストネス制御機構であることを発見した。また、新たに構築した培養細胞系を用いた解析により、Src誘発性細胞競合におけるSrc活性化細胞の逸脱の方向性が細胞の種類によって変化することを発見し、その機序を明らかにした。
著者
片倉 葵 菊竹 雪
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.54-55, 2018 (Released:2018-06-21)

近年、様々な種類のお菓子のパッケージデザインを駄菓子屋だけでなくコンビニエンスストアやスーパーマーケットなど近代の商業施設で目にすることができる。お菓子のパッケージデザインは真新しさや話題性、流行を取り入れながら日々新しいものへと変わっているが、その中でも販売当初から変わらないパッケージを使用しているお菓子が存在する。なぜ普遍的なパッケージデザインが長い間売れ続け、そのデザインが現代のデザインに淘汰されず残り続けているのかという疑問に対し、何か1つの法則を定めることでロングセラー商品として現代まで伝承されるデザイン手法が確立されているのではないかという仮説を立てた。ロングセラー商品であり世代を超えて認知度の高いボンタンアメを例に取り上げ、その背景色とモチーフであるボンタンの色面積比率を算出した結果、箱の規格に関わらずある一定の面積比率を保っていた。販売当初のパッケージと変わらぬ色の面積比率がロングセラー商品として残り続けている一種のデザイン手法なのではないかと考えられる。
著者
小粥 勇作 松村 嘉之 大谷 毅 高寺 政行 星野 雄介 保田 俊行 大倉 和博
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.590-598, 2017

<p><tt>繊維・アパレル産業の企業間取引ネットワークにおいて,</tt>8 <tt>分野(総合アパレル,レディス,メンズ,デザイナー,ベビー・子供服,インナーウエア・靴下,スポーツウエア,ジーンズ・ユニフォーム)計</tt>1476 <tt>社について,複雑ネットワーク分析を実施した.全体</tt>1476 <tt>社についてと代表的な</tt>3 <tt>分野として,総合アパレル</tt>217 <tt>社,レディス</tt>603 <tt>社,メンズ</tt>202 <tt>社のそれぞれの取引関係数について,次数分布の両辺対数変換を施したところ,全体と</tt>3 <tt>分野それぞれにおいて,べき指数</tt> γ <tt>⋍</tt> -2 <tt>の自己相似的構造が確認された.また,全体と</tt>3 <tt>分野のそれぞれはネットワーク直径が</tt>6 <tt>次以下であるスモール・ワールド性も確認された.さらに,ネットワークの中心性に関する指標により,繊維・アパレル産業の多くの分野で,商社がネットワークの中心的な取引を展開していることが判明した.</tt></p>
著者
村田 香 長倉 清
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.78, no.789, pp.974-978, 2012 (Released:2012-05-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

It is necessary to understand the vibratory properties of a track and a wheel in order to evaluate the rolling noise. In this paper, focusing on the vibration of a wheel, we measured the accelerance of the corrugated wheel by the impact test. Then accelerometers were temporarily placed on the tire and web of the wheel of a vehicle which runs on a narrow gauge, we have measured the acceleration of the rolling wheel. In addition, we reported the vibratory properties of a wheel with a wheel flat and passing a turnout.
著者
吉村 正 米倉 猛
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.597-603, 1963 (Released:2011-10-19)
参考文献数
6

The samples of this paper are selected and not representating all the patients.Moreover, these activities of leisure are made by memory, ability, and good will by our patients. I am sorry that there is no other group of patients to compare. As leisure is vague and can not catch, it is difficult to investigate strictly by scientific measure.If we presumed to both wheels of a car as to work and to play, we were inclined to work extremely until tody. By the rationalization of industry and automation in future, a human being will be able to amuse a lot of leisures, and then it must be important to study for us how to play. The ages from 25 to 44 and unmarried patients are majority in this paper. They are unemploying in order to be hospitalized for long times. A great number of patients are schizophrenics. More than half of these patients answered that they had amusement and recreation before admitting mental hospital. Almost all of their religion is Buddhism. As only 7% of patients is attending regularly to temple, we may talk over trifling of religious idea for psychiatric patients. A considerable member of patients like viewing the television, but dislike reading the book. A lot of patients are loving their dogs and cats at their homes.While 90% of all the patients answered they had no drinking habit, and no social drinking, but the index of smoking habit were higher. We discovered some defects of fostering in jevenile days for 700 of patients. How to pass one's leisure depends upon one's own intelligence, economic status and enviroment. It is irrational to put in force to amuse one's own work for the all people although it is desirable. Great number of people are influenced by the surrounding. Especially females can be influenced by marriage, pregnancy, and child care.We must emphasize the device and investigation of leisure so that our mind may flow to easy direction.
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇 Oikawa Kazumi Arakane Keita Kurato Risa Saito Tatsuya Matsumoto Nozomi Takagi Yusuke Kawano Hiroshi Fujiwara Yuko Baik Wooram Onodera Sho
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
岩倉 具忠
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-16, 1990-10-20 (Released:2017-04-05)

Mi sono interessato particolarmente alla parte del canto XV del "Paradiso" che costituisce il preambolo al famoso incontro con Cacciaguida, in cui il trisavolo del poeta rivolge a Dio parole incomprensibili ai mortali. Si tratta di un linguaggio mistico che il poeta non ha modo di intendere. Gli angeli e i beati non hanno bisogno di nessun mezzo di comunicazione, perche la loro intelligenza non viene coperta "cum grossitie atque opacitate mortalis corporis humanus". Essi mirano "nello speglio in che, prima che pensi, il pensier pandi". Non era necessario quindi per un beato come Cacciaguida parlare a Dio che "tutto discerne". Ci deve esere un altro motivo per cui egli parla. A mio parere nelle parole che Cacciguida rivolge a Dio vi e un elemento mistico e liturgico. Nel "De vulgari eloquentia" Dante spiega l'origine della lingua umana, basandosi sulla narrazione del "Ggenesi", ma aggiunge delle considerazioni personali che non si trovano nel testo originale. Il poeta pensa che Adamo abbia cominciato a farsi sentire prima che a sentire, perche nell'uomo il farsi sentire e piu essenziale che il sentire. Adamo, unico uomo esistente, avrebbe rivolto la sua prima parola a Dio per farsi intendere. Ma Dio discerne tutti i segreti della mente del primo uomo, e non c'era necessita che Adamo parlasse. Dio tuttavia volle che anch' egli parlasse, affinche fosse gloirficata la Sua opera. Io penso che Cacciaguida rivolga le sue parole a Dio per una ragione analoga : glorificare l'opera del Signore, ringraziandolo per l'eccezionale generosita con cui ha concesso al suo discendente l'alta missione di "scriba Dei". Di fatto il linguaggio mistico di Cacciaguida si configura come uno sfogo religioso simile a una preghiera. Una situazione non molto diversa si puo osservare nel dialogo tra Dante e Cacciaguida. Dal momento che quest' ultimo prevede tutto quanto il poeta concepisce nella mente senza che venga espressa con il linguaggio, non sarebbe stato necessario che Dante si esprimesse. Cio nonostante il trisavolo gli chiede di parlare con voce "sicura, balda e lieta". Anche qui si tratta di un atto prettamente rituale. Che significato ha dunque in Dante il ricorso a tale azione rituale? Senza dubbio il poeta voleva conferire autorita alla missione decretata dall' Eterna Volonta senza tuttavia esplicitarne il vero significato. In conclusione il linguaggio mistico nel episodio considerato e un artificio retorico utilizzato abilmente dal poeta per rendere ancora piu solenne l'incontro memorabile con il suo trisavolo.
著者
吉岡 敦之 井倉 洋二
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

自然体験活動は、しばしば少年自然の家などの公的機関やNPO法人などの非営利団体によって実施されるが、営利企業である学習塾が行っている例もある。学習塾が自然体験活動を実施するということは、本業である教育面、あるいは経営面で活かされる企業戦略であるとも考えられる。そこで、本研究では、実際に自然体験活動を取り入れている大手学習塾E社社員に対して聞き取り調査を行い、得られた内容から考察できる教育的・経営的効果をまとめた。九州でトップレベルの進学率を誇るE社は、1979年の創業以来、社会で自立できる子どもを育てるという教育理念に基づき自然体験活動を実施している。2012年から有限会社Y社と提携し、Y社の農園で通年の自然体験活動を開始した。この自然体験活動を通して、目の前の問題に対して工夫して効率化を図る問題解決能力や、団体行動での成功体験による積極性の向上といった直接的効果に加え、日常の教室においても、学習意欲の向上、体験を通した学習内容のイメージ化といった面で教育的効果がみられることが分かった。また、経営的効果としては、外部からのイメージアップや、保護者の高い評価などに繋がることが分かった。