著者
倉橋 節也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1C33, 2007

<p>中国明清時代の名門一族の系譜を、社会ネットワークと逆シミュレーション手法を用いたエージェントモデルで再現し、最高難易度の官僚登用試験である科挙合格者を多数輩出した一族の秘密に迫る。</p>
著者
島田 英之 島田 恭宏 大倉充
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3392-3401, 2006-12-15

近年,コンピュータにより高品質の毛筆書体をリアルタイムに筆記する研究例が報告されているが,現実の筆記環境と異なる方法で筆記するために,対話性が十分とはいえない.本論文では,筆者らが構築した仮想書道システムについて述べる.ユーザは,3 次元位置センサを内蔵した毛筆でスクリーン上に直接筆記し,実際の毛筆,仮想的な半紙や硯など,現実の書道とほぼ同じ作業環境のもとで,仮想的な書道を体験できる.毛筆が触れた場所に正確に筆跡を生成できるようにシステムをキャリブレーションし,実際の毛筆で筆記した筆跡の実測値に基づいて筆跡を生成する.これにより,毛筆が触れた場所に,実際に毛筆で筆記した場合と同じ太さの筆跡を表示できるので,手本をなぞる初歩的な書写練習も可能となった.また,毛筆の空間的な挙動をモニタし,墨の滴りや飛び散りなどの視覚効果も表現した.この結果,年齢を問わず簡単に操作でき,かつ多様な表現が可能なシステムを構築したので報告する.
著者
山崎 貴史 中瀬 泰然 小倉 直子 亀田 知明 前田 哲也 佐藤 雄一 高野 大樹 鈴木 明文 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.502-507, 2007-07-25 (Released:2009-02-06)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

急性期延髄梗塞連続114例を対象に臨床症状と画像所見との関連性を解析した. MRI所見は, 内側梗塞 (MMI) と外側梗塞 (LMI) に分類し, 発症年齢はMMI (68.3歳) がLMI (63.1歳) より有意に高齢であった. MMIはさらに錐体限局型と広範囲型に, LMIは背側型, 前腹側型, 後腹側型, 汎腹側型, 前外側型に分類した. MMIでは広範囲型が77.4%, LMIでは後腹側型が45.8%, 背側型が28.8%であった. MMIでは病巣分布にかかわらず顔を除く健側半身の感覚障害が49.1%, LMIの後腹側型で病側顔面と健側半身の感覚障害が55.6%にみられた. MMIは上部病変が66%, LMIは中部病変が66%であった. 上部病変では顔面麻痺, 中部病変で吃逆が高頻度に認められ, 入院時のMRIで偽陰性が有意に多かったことから, 急性発症の顔面麻痺や吃逆を伴う半身の感覚障害を呈するときには延髄梗塞が強く疑われる.
著者
白石 英才 笹倉 いる美
出版者
北海道立北方民族博物館
雑誌
北海道立北方民族博物館研究紀要 (ISSN:09183159)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.069-076, 2007 (Released:2020-06-30)

This paper presents Dr. Hattori’s records which show the Nivkh’s needlework stitch. Dr. Hattori Takeshi (1901-1991), was a Nivkh (Gilyak) language linguist. In 1994, Dr. Hattori’s collection of books, notebooks, voice tapes, microfilms, and photos were filed and stored in the Hokkaido Museum of Northern Peoples. The collection includes Nivkh needlework stitch names and stitch samples (reference number T390).
著者
白倉 一由
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和短期大学紀要 (ISSN:02862360)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-14, 1999-12-10

小尾守彦の人格と彼の俳語の世界の究明である。八ヶ岳南麓は江戸時代後期農民の間に教育と俳語が盛んに行われたが、その功績は小尾守彦に負うところが大きい。当時里正であった小尾守彦は行政の責任者であったが、蕉庵の三世宗匠でもあり、彼の人格とあいまって、多くの人達が彼の下に集まった。五町田村は八ヶ岳南麓の文化の中心であった。小尾守彦は蕪庵の三世宗匠になったが、この宗匠委譲に大きな力になったのが、馬城ではなかったかと思われる。馬城は『一茶全集第七巻』には大阪の人とあるが、蕪庵の馬城は五町田村の馬城であり、馬城は当時二人居たのである。『一茶全集第七巻』の馬城の注は誤りである。小尾守彦の人格と出自は現山梨県北巨摩郡高根町五町田七八一番地に建立されている漢文五百字の石碑に記されている。彼は人格者であり、教育者であり、行政の指導者であり、俳人であった。天保五年『土鳩集』を刊行する。県内のみならず江戸・信州その他全国から合計二九四人の句が掲載されている。守彦の没後、万延二年慈明忌に、四世宗匠彦貢が追善俳譜集『旭露集』を刊行する。この二句集によって、守彦と蕪庵の俳譜活動の全貌が究明される。蕪庵は蕉風俳語であり、彼の俳静は自然美の詳細な感受性、日常生活の断片的印象、人生の意義、人の生の理想を表現している。「蕪庵とその周辺の俳譜 一」は「日本文芸論集」第二二号に、「蕪庵とその周辺の俳語 二」は「日本文芸論集」第三一号に発表したが、今回の「蕪庵とその周辺の俳譜 三」は山梨英和短大紀要に発表することにした。
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2014-EIP-63, no.3, pp.1-6, 2014-02-14

第 185 回国会において成立した 「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」 は,集団的消費者被害についてこれを回復するための特別の手続を定めるものである.集団的消費者被害については,インターネットを通じてこれが引き起こされることも数多く存在し,同法のインターネット上の事案への適用について,問題となる点を考察しておくことは,今後の同法の運用にも関連し,重要である.本稿では,同法の概観と,インターネット上の事案への適用について考察する.
著者
倉根 一郎
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.63-68, 2005-06-30
参考文献数
25
被引用文献数
1

ウエストナイルウイルスは自然宿主であるトリと蚊の間で感染環が形成され維持されている.米国においては約200種のトリがウエストナイルウイルスに感染し,さらに,40種以上の蚊からウイルスが分離されている.このように,多種の蚊からウイルスが検出されることは,他のフラビウイルスに比し,ウエストナイルウイルスがより多くの種類の蚊によって媒介され,さらに多種類の動物に感染しうる性質を有したウイルスであること示唆する.ヒトにおいてはウエストナイルウイルス感染者の約20%が症状を示すと考えられている.急性熱性疾患であるウエストナイル熱が多数を占めるが,髄膜炎,脳炎(髄膜脳炎),さらに近年脊髄,末梢神経症状として弛緩性麻痺,多発性神経炎の報告もなされている.このようにウエストナイルウイルスは,ヒトにおいては多様な症状を引き起こす性質を有するウイルスであるといえる.近年,アメリカ大陸やロシアにおいて侵淫地域が拡大している.日本への侵入も危惧されており,今後一層注目すべきウイルスといえる.
著者
藤根 麻羽 小倉 加奈代 バハドゥール ベッド 高田 豊雄
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.471-472, 2018-03-13

短縮URLサービスは対象のURLと対になる簡素なURLを生成するサービスであり,goo.glやbit.lyが代表例である.短縮URLサービスは冗長なURLを簡潔にすることから,文字数制限のあるソーシャルネットワークサービス(SNS)の投稿機能でしばしば利用される.短縮URLは,利便性に長けている反面,行先サイトのURLが隠蔽されるためフィッシングサイトやマルウェア配布サイトへの誘導が問題となっている.ユーザは,短縮URLから行先Webサイトが安全であるか否かを自身で判断する必要がある.本稿では,短縮URLを展開した行先URLを複数の安全性評価サービスによって検査し,その結果を統計的手法により統合,提示する手法を提案し,その有用性を評価する.
著者
板倉 亨
出版者
サイコアナリティカル英文学会
雑誌
サイコアナリティカル英文学論叢 (ISSN:03866009)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.28, pp.1-18,84, 2008 (Released:2011-05-24)
参考文献数
12

The purpose of this study is to examine the ambiguity of Hamlet from the psychoanalytic point of view.In the first place, we focus our attention on the speech of Ghost and Hamlet' s soliloquy, and examine their words with many different meanings. Because of the indefinite existence of Ghost, Hamlet cannot believe the speech of it, and loses confidence in his own role as an avenger. Similarly, because of the inconsistency between Hamlet's sayings and doings, he comes to feel a credibility gap in his own statement, and moreover, he comes to doubt the consistency in the language itself and the unity between a show and its' substance, “signi fier” and “signified”. The ambiguity of their words leads to the uncer tainty of the language itself in this play.In the second place, we consider expressions with “mirror” in this play. They are used directly in some lines and implied by symmetrical relationships between characters in this play. Each of the characters in Hamlet is connected and is contrasted with another character in it as a mirror image of himself or herself But, in the complex symmetry, Horatio is the unique character, who only stands the outside of the complicated relationships and serves as the only observer of this story. In the last scene of this play, he also functions as a narrator of all of the occurrences in it. Such distinctive position of him takes the essential part for Hamlet, which assures us of the objectivity of this story and connects us to Horatio in the role of the interpreter. In other words, when each of us, as an interpreter of Hamlet, is contrasted with Horatio as the interpreter of this story, we ourselves are thrown into the intricate symmetrical world of Hamlet in which various mirror images are reflected.Then, to discuss further on their relationships between characters in this play and between We and the text of Hamlet, we quote Jacques Lacan's theory of “The Mirror Stage” and his “schema L”, and survey them. Here, adopting his theory and the figure, we examine more closely the text of Hamlet and the symmetrical relationships between its characters, and analyze the process of our interpretations of this play from the psychoanalytic point of view.In conclusion, we reveal how “the Subject” of Hamlet or ourselves is mistaken in the process, and then I would like to point out the important role which psychoanalytical criticism can play in it.
著者
都倉 武之
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.22, pp.341-354, 2005

福沢諭吉関係新資料紹介外務省外交史料館所蔵「韓国皇族義和宮及同国人李竣鋳等動静取調一件」と題する簿冊に、福沢諭吉書簡が二通収められている。そのうち一通は下書きも現存し、朝鮮国宮内府大臣宛書簡案文(一八九七〔明治三〇〕年五月二〇日付)として既に『福沢諭吉書簡集』第八巻に収められているが、もう一通は今回初めて紹介されるものである。これらの書簡は簿冊の表題にもある通り、朝鮮(九七年一〇月に大韓帝国と改称) の王族(同じく皇族と改称) 「義和宮」の動静に関するものである。「義和宮」という人物の略歴を示せば左の通りである。一八七七年三月生まれ。高宗国王の第五子で、側室張氏を母とし、名を李鋼という。九一年、義和君(日本では義和宮)に封じられ、一九〇〇年には義王(義親王)に昇封された。韓国併合後は、公族に列せられて「李燗公殿下」と称されたが、李太王が亡くなると、独立運動団体「大同団」の総裁に挙げられて密かに活動し、一九年一〇月上海臨時政府への参加を企てて満州安東で日本警察に拘束された(大同団事件)。三〇年六月には隠居させられ単に「李姻殿下」と呼ばれ、警察の監視下で生活したという。五五年八月、ソウルにおいて七十八歳で死去。生涯で十三男九女をもうけた。なお、上の兄が純宗として高宗の跡を継ぎ、子がなかったが、その後継者とされたのは李綱ではなく、弟の李根(英親王) であった。これは、青年期の素行に由来するとも宮中の勢力争いに由来するとも言われる。本稿では彼のことを「義和宮」と呼ぶこととしたい。福沢書簡は、二通とも九七年五月のものであるが、このとき義和宮は日本留学中であった。しかしそもそも同宮が日本に留学していた事実自体が欠落している歴史書も多く、複雑な政治状況の中で表舞台から追われていく義和宮の動向は、ほとんど明らかとなっていないのが現状である。福沢諭吉との関係も、十分な研究は行われていない。同宮が九五年一一月に来日した時、福沢は、時あたかも李朝政府との契約によって朝鮮人留学生を慶應義塾に多数受け入れていた。そのことが接点となって、同宮の世話にも手を貸すこととなり、のちには国王より同宮の監督を委託されることとなったものと思われ、それは同宮が米国に留学する九七年五月まで続いた。したがって、両者の関係を明らかにすることは、福沢の晩年における朝鮮問題への関与を明らかにする上で、重要な意味を持つものなのである。本稿は、義和宮の来日から米国留学に至る動きを可能な限り明らかにし、それらと福沢の関係について若干の考察を加えるものである。
著者
後藤 仁敏 大倉 正敏 小川 浩
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.290-297, 1988
被引用文献数
4

Five specimens consisted of three genera and five species of chondrichthyes from the Middle Permian Akasaka Limestone in Kinshozan, Akasaka-cho, Ohgaki City, Gifu Prefecture, Central Japan are described. The fossil horizon is the uppermost part of the lower division (zone of Parafusulina). The chondrichthyan fossils were found in the pale orange and dark grey part of the grey-white massive limestone, and cotaining fossils such as Parafusurina japonica (Gumbel), Yatsengia ibukiensis Minato, Coelogasteroceras giganteum Nakazawa, ? Agathiceras sp. and crinoids. They are two teeth of cladodont sharks, Symmorium sp. and ? Symmorium sp., two dermal teeth of petrodi, Petrodus sp. and ? Petrodus sp., and one tooth plate of cochliodonts, Chochliodontidae gen. et sp. indet. Symmorium sp. is represented by a well preserved large cladodont type tooth. There are five cusps: a large central main cusp, mesial and distal side cusps and two small accesory cusps which are situated between main and side cusps. The main cusp is slightly inclined distally. There are many fine striae on the surface of the crown. The root of the tooth is composed of osseous tissues. ? Symmorium sp. is represented by a very small cladodont type tooth. The root and the mesial side cusp are not preserved. The cusps are straighter than the cusps of Symmorium sp. There are many fine striae on the surface of the crown. Petrodus sp. is a very large dermal tooth which is almost completely preserved. It is conical in shape. There are about thirteen radiating plicae and several circular growth lines on the surface of the crown. ? Petrodus sp. is one side of longitudinal section of the dermal tooth. It consists of two layers. The outer layer is thick and composed of white enameloid-like hard tissue which has many tubular structures. The inner layer is composed of black dense materials The tooth plate of cochliodonts, Chochliodontidae gen. et sp. indet., is observed from both sides in labio-lingual section. It is a large, curved, orally convex plate. There are five ridges on the occulusal surface of the tooth plate. The lingual ridge is largest and the other ridges become low and small towards labial side. It consists of three layers. The surface layer is thick and composed blue-grey enameloid-like hard tissue. The middle layer is composed of thin black substance. The basal layer is composed of dark grey hard tissue which is pale in some parts. This paper is the first report of cladodont type tooth of elasmobranchs, dermal tooth of petrodi and tooth plate of cochliodonts from the Japanese Permian. It can be expected that many kinds of fossil fishes will be found from the Paleozoic of Japan, in future.
著者
壹岐 典彦 倉田 修
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.58, no.186, pp.215-222, 2016

<p>Ammonia is a carbon-free fuel and one of the candidates of hydrogen carrier. R&D of a gas turbine firing ammonia is not new issue but there are not successful results for a long time. AIST carried out demonstration tests with the aim to show the potential of ammonia-fired power plant. 50kW class turbine system firing kerosene is selected as a base model. A standard combustor is replaced by a prototype combustor which enables a bi-fuel supply of kerosene and fuel gas. The gas turbine started firing kerosene and increased its electric power output. After achievement of stable power output, ammonia gas was started to be supplied and its flow rate increased gradually. Over 40kW power output was achieved by firing ammonia gas only and over 40kW power output was also achieved by co-firing methane and ammonia. Ammonia gas supply increases NOx in the exhaust gas dramatically. However NOx removal equipment can reduce NOx successfully. The emission of NO and unburnt ammonia depends on the combustor inlet temperature.</p>
著者
佐藤 勝彦 橋本 正章 鈴木 英之 山田 章一 長滝 重博 固武 慶 滝脇 知也 渡辺 元太郎 大西 直文 住吉 光介 藤本 信一郎 木内 健太 岩上 わかな 澤井 秀朋 安武 伸俊 西村 信哉 諏訪 雄大 中里 健一郎 長倉 洋樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では大質量星が進化の最後におこす重力崩壊型超新星及びガンマ線バーストの爆発機構・源エンジンについて世界最先端の研究を行い、多くの成果を挙げた。大規模数値シミュレーションによる研究を豊富に行い、場合によっては京コンピュータを用いた世界最高レベルの数値シミュレーションを実現した。またこれらの現象に付随して起こる重力波・ニュートリノ放射、r-process元素合成を含めた爆発的元素合成、最高エネルギー宇宙線生成、等々について世界が注目する成果を数多く挙げた。以上の様に本研究課題では当初の予想を上回る、世界最先端の成果を修めることが出来た。また同時にこの分野に於ける将来の課題・展望を提示しつつ5年間のプログラムを終了した。
著者
岡村 かおり 池田 鉄輔 島倉 康仁 吉場 史朗 岸 賢治 安藤 潔 堀田 知光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.527-531, 2005 (Released:2009-07-28)
参考文献数
9

症例は34歳,女性。白血球数17,900/μl(異型リンパ球58%)を指摘され精査にてT細胞性前リンパ球性白血病と診断した。2カ月後に白血球数43,600/μlまで増加したため,2'deoxycoformycinおよびCHOP療法を施行するも寛解せず,非血縁BMTを目的に入院した。cytarabineとetoposideで腫瘍量を減少させた後にTBIとcyclophosphamideによる前処置を行い,非血縁BMTを施行した。GVHD予防にはcyclosporineとshort-term MTXを用いた。Day 13よりGrade IIの急性GVHD(皮膚と消化管)を発症したが,Day22の末梢血T細胞のshort tandem repeat (STR)解析でrecipient-typeが9.4%と腫瘍細胞の残存を認めた。免疫抑制剤の減量を開始するもGVHDの悪化はなく,recipient-typeのT細胞が消失した。移植後22カ月経過した現在も完全寛解を維持しており,T-PLLにおいてGVL効果が期待できることが示唆された。
著者
雄倉 幸昭 大槻 均 山本 正視
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.2, pp.47-61, 1988

上水道の規模を決定するピーク需要量は,明らかに気象の影響を受けるはずである。しかし従来は,需要の傾向変動のみを追究し,その水源の安全度は,再現確率のみに頼っていた感があった。<BR>本論文では,気象も,さらには社会現象を含めても,それらは比較的長い周期のうねりを持っており,その上に各年固有の気象要因が重なったものであり,水需要はこれらのうねりと要因の影響を受けた結果と考えた。3企業体について,このうねりをスペクトル分析で求め,それに12項目から重回帰分析で抽出した気象要因を導入して,回帰式の適合度を高めた。有意な気象要因は,年間雨量,ピーク需要発生直前の雨量,日照時間および真夏日日数であった。
著者
吉田 昌平 守田 武志 舌 正史 沼倉 たまき 小出 裕美子 中尾 聡志 足立 哲司 原 邦夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.474, 2003

【目的】今回我々は体重の1%(1%BW)、2.5%(2.5%BW)、5%(5%BW)、7.5%(7.5%BW)、10%(10%BW)の5種類の負荷を用いて全力ペダリングを実施し、それぞれの負荷によって得られるパワー発揮特性をピークパワー(PP)、体重あたりのPP(PP/BW)、ピーク回転数(P-rpm)と最大無酸素パワー(MAnP)から評価し、実際の30mスプリントパフォーマンスとの関係について検討した。【方法】某大学サッカー部、男子14名(年齢19歳、身長172cm、体重68kg)を対象とし、自転車エルゴメーター(パワーマックスVII)を用いて、1、2.5、5、7.5、10%BWの5種類の負荷で各1回10秒間の全力ペダリングを実施した。それぞれの負荷で得られたPP、PP/BW、 P-rpmを二次回帰し、負荷-PP 、PP/BW、 P-rpm曲線を算出した。30mスプリントテストは3回の試技を手動により計測しその平均時間を求めた。【結果】1)PPは負荷との間にY=-3.689+ 230.247*X-13.146*X^2(r=.99)の関係が認められた。PP/BWは負荷との間にY=-.267 +3.612*X-229*X^2(r=.99)の関係が認められた。rpmは負荷との間にY=227.96- 10.405*X-.311*X^2(r=.95)の関係が認められた。負荷-PP 曲線から算出したMAnPは988wattで、体重あたりのMAnP(MAnP/BW)は14.4 watt/BWであった。MAnPが得られた時のrpm(MAnP-rpm)は120 rpmで、負荷は12.4%BWであった。2)3回試技における30mスプリントテストの平均時間は4.15±0.13秒であった。30mスプリントパフォーマンスと各負荷のPP、PP/BW、P-rpmの相関係数は1%BWでそれぞれr=-.21、r=-.41、r=-.59(ns、ns、p=.026)、2.5%BWでそれぞれr=-.21、r=-.48、r=-.61(ns、ns、 p=.020)、5%BWでそれぞれr=-.28、r=-.68、r=-.70(ns、p =.010、p=.006)、7.5%BWでそれぞれr=-.29、r=-.55、r=-.57(ns、p =.041、p=.034)、10%BWでそれぞれr=-.31、r=-.42、r=-.42(ns)、MAnP 、MAnP/BW、MAnP-rpmでそれぞれr=_-_.21、r=-.22、r=-.42(ns)であった。多変量解析で30mスプリントパフォーマンスと有意に相関したのは5%BW でのP-rpmのみであった(p<.01)。【考察】PPおよびPP/BWは、負荷-PP、PP/BW曲線からMAnPが得られた負荷12.4%BWを上限として負荷が大きくなればなる程高い値を示した。P-rpmは、負荷-P-rpm曲線から負荷が小さくなればなる程高い値を示した。このようなパワー発揮特性とスプリントパフォーマンスとの関係について検討すると、パワーは負荷が大きい程高い値が得られるが、スプリントパフォーマンスとの関係はむしろ弱くなった。逆に負荷を小さくして高回転を得た方がスプリントパフォーマンスとの関係は強くなった。すなわち、スプリントパフォーマンスは踏力よりもむしろ回転速度に依存したパワー発揮特性と関係が強く、ペダル回転数が実際の走動作であるピッチ数と関係していると推察した。
著者
喜屋武 享 高倉 実
出版者
日本発育発達学会
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.88, pp.1-10, 2020

<p>Cross-sectional evidence supports for school connectedness as an important element of healthy youth development. Prospective studies are needed to argue its causal relationship. The aim of this study was to examine whether school connectedness is a determinant of WHO physical activity recommendation for youth in a sample of Japanese junior high school students.</p><p>Analyses were based on one-year with two time-point data of 505 students (265 boys) who entered in five junior high schools in one Okinawan educational office in 2015. School connectedness was evaluated using the sum of a scale constructed from three items "I like school", "School is a nice place to be", and "Sense of belonging at school". Self-reported physical activity was assessed using the Patient-Centred Assessment and Counselling for Exercise plus Nutrition questionnaire.</p><p>According to the analysis by the Generalized Estimating Equation models adjusted for BMI, academic achievement, family structure, and parental education level, the changes in school connectedness score within-person and the differences in average of school connectedness score two-time points between-person were associated with physical activity. Totally, no sex differences in these relationships were found.</p><p>Establishing school connectedness can contribute to the compliance with WHO physical activity recommendation in Japanese junior high school students, regardless of the interindividual differences of level of connectedness to school. Although further research is required to identify the effects of school connectedness on other health-related behaviors, increasing school connectedness should be a consideration for school administrators and health-promotion policymakers.</p>