著者
石田 裕子 安部倉 完 竹門 康弘
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-14, 2005-08-08 (Released:2009-01-19)
参考文献数
43
被引用文献数
3 4

城北ワンド群に生息するトウヨシノボリ縞鰭型について,生息場所スケール(ワンド間比較)と微生息場所スケール(底質型間比較)での分布様式と摂餌生態を調査した.縞鰭型は,本川では採集されず,ワンド内でのみ生息が確認された.とくに,年間を通して小型で底質の小さい閉鎖的なワンドに多く生息していた.微生息場所スケールでは,泥や落葉が多い底質に多く生息していた.充満度(体重に対する消化管内容物湿重量の割合)は5月に高く,とくに,5月の0歳魚で高かった.消化管内容物には,止水環境に生息するケンミジンコ科やシカクミジンコ属などの動物プランクトンや,チビミズムシやユスリカ類などのベントスが多く出現した.これらの結果は,トウヨシノボリ縞鰭型の生活様式が,ワンドの止水環境に適応していることを示している.いっぽう,繁殖期と稚魚期には新設ワンドに多く生息しており,繁殖期の成魚は長径16∼21cmの大きな石の下面に産卵していた.したがって,トウヨシノボリ縞鰭型の生息場所には,餌場としての泥や落葉が堆積した止水域の生息場所と,産卵場としての侵食が卓越した石底のある生息場所が必要なことが示唆された.また,淀川大堰の運用が淀川の環境とヨシノボリ類の個体群に与える影響を考察した.
著者
岩本 直也 藤 大樹 勝平 純司 丸山 仁司 満倉 靖恵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.341-344, 2012-06-20
参考文献数
8

〔目的〕右ストレートパンチ動作における,初心者への指導ポイントを抽出するために,群間(経験・未経験)における骨盤の動きを比較した.〔対象〕競技経験者5名(27.3&plusmn;4.5歳)と未経験者7名(22.3&plusmn;1.2歳)とした.〔方法〕実験では三次元動作分析システムを用いて,パンチ動作は3回計測した.測定項目は骨盤の回旋角度と回旋角速度,および回旋時間とした.骨盤の最大回旋角度を基準とし,加速期と復元期に分割した.各期間における各測定項目の平均値を用いて,経験群と未経験群に対して有意差検定を行った.〔結果〕群間における最大回旋角度と両期間の最大角速度,および復元期の平均角速度に有意差を確認した.〔結語〕ボクシング初心者の指導では,すかさず&ldquo;構え&rdquo;に戻れるように指導する必要性が示唆された.<br>
著者
大西 貴弘 古屋 晶美 新井 沙倉 吉成 知也 後藤 慶一 工藤 由起子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.183-185, 2020-10-25 (Released:2020-10-30)
参考文献数
7

360の化学薬品をスクリーニングし,71の薬品が抗クドアセプテンプクタタ効果を有していることを明らかにした.71薬品のうち,19薬品が抗生物質,7薬品が抗菌剤・消毒剤であった.他の45薬品は農薬,自然毒,産業薬品および感染症以外に対する薬剤であった.抗クドア効果を有していた19の抗生物質はテトラサイクリン系,ステロイド系,マクロライド系,アミノグリコシド系,β-ラクタム系,キノロン系,リファマイシン系,ポリエン系,ノボビオシン系,スルファ剤,ニトロイミダゾール系に分類された.これらの薬品をクドア感染の予防に使用するためには,効果的な濃度を決定するための研究がさらに必要である.
著者
北山 育子 真野 由紀子 中野 つえ子 安田 智子 今井 美和子 澤田 千晴 鎌倉 ミチ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.155, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 本学会東北・北海道支部課題研究として、青森県における米の利用状況を明らかにするために、摂取状況や調理法、米に対する意識調査等をした。また、津軽、南部地域の米の伝統料理を調べ、地域性を検討した。<BR><B>【方法】</B><BR> 津軽地域(弘前市中心)287名、南部地域(八戸市中心)112名の調理担当者を対象に自記式でアンケート調査を行った。質問紙には選択肢法と自由記述形式を取り入れ、調査期間は平成18年12月から平成19年1月までとした。<BR><B>【結果】</B><BR> 米料理の嗜好は高いものから、白飯、炊き込みご飯、にぎり鮨、炒飯の順であった。摂取頻度は白飯、おにぎり、炒飯が多く、リゾット、押し寿司は少なかった。調理状況では、家で作ることが多い料理はおにぎり、炊き込みご飯であり、行事への利用は正月、慶祝時に餅、赤飯、ちらし寿司、仏事では団子、おはぎが多かった。米料理の特徴として、おにぎりの具材に筋子を使用している人が60%と多いことや、残った白飯の利用でご飯もちが作られていた。また、いなり寿司や赤飯の味つけには砂糖を多く使用し、特に赤飯では砂糖を加えるが91%であった。米の入手先は自家栽培やもらうが目立ち、青森県が米作の主要産地であることが伺えた。また、銘柄では県産米を食べている人が85%と多く、郷土に対する愛着が感じられた。米についての意識調査では米は日本人の主食として大切であるとの考えがほとんどであったが、今後はさらに米に対する関心が低くなり、消費量が減ると考えている人も多かった。また、地域独特の料理を見ると、米作中心の食文化の津軽地域ではごまご飯、干し餅、しとぎ餅等もち米の使用が多く、畑作中心の南部地域では豆しとぎやイカめし等であった。
著者
東 知宏 長田 恭一 相倉 悦子 今坂 浩 半田 正之
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.184-192, 2013-04-15 (Released:2013-06-04)
参考文献数
38
被引用文献数
1 7

一般に,りんごは中心果実を肥大させるために摘果される.摘果された未熟果実はプロシアニジン化合物を多く有するが,ほとんど利用されていない.りんご未熟果実の有効利用法を考えるために,4週齢のSprague-Dawly (SD)系雄性ラットに10 %の脂肪と0.17 %のりんご未熟果実由来ポリフェノール(UP)を含む飼料を62日間与え,UPによる脂肪蓄積抑制作用と血糖値上昇抑制作用を検討した.その結果,白色脂肪組織重量は,対照(C)群と比べてUPを摂取したラット(UP群)は有意に低くなった.血漿と肝臓のトリグリセリド濃度はC群よりもUP群は有意に低くなった.空腹時血糖値と血漿インスリン濃度は,C群と比べてUP群は有意に低くなり,血漿アディポネクチン濃度は,C群よりもUP群は高くなる傾向にあった.脂肪酸β酸化酵素のCPTIIとACOXのmRNA発現量は,両者ともにC群と比べてUP群は有意に高くなり,さらに,脂肪酸β酸化系酵素のmRNA発現に関連する核内受容体のPPARαのmRNA発現量も,C群と比べてUP群は有意に高くなった.また,in vitro試験で,UPの脂肪と糖質の吸収に与える作用を調べたところ,リパーゼと種々の糖質加水分解酵素の活性は阻害され,ミセル形成も阻害された.UPによる糖質と加水分解した脂肪の吸収阻害作用が反転腸管法でも確認された.以上のことから,UPの摂取により肝臓の脂肪酸β酸化が促進され,かつ,小腸からの脂肪と糖質の吸収が阻害されることで,生体内の脂肪蓄積が抑制されると考えられる.よって,ポリフェノールを多く含むりんご未熟果実は肥満予防食材として,有効利用できるのではないかと考えられる.
著者
北村 哲宏 大月 道夫 久保 典代 倉敷 有紀子 玉田 大介 田淵 優希子 小澤 純二 安田 哲行 沖田 考平 今川 彰久 金藤 秀明 船橋 徹 下村 伊一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.982-986, 2012 (Released:2013-01-21)
参考文献数
8

Glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドの副作用として食欲不振,嘔気が報告されている.今回我々は,リラグルチドが関与した麻痺性イレウスの症例を2例経験した.ともに腹部手術歴はなく,リラグルチド導入時に前兆なく嘔吐にて突然発症した.症例2はインフルエンザを併発していた.2例ともにリラグルチド中止にてイレウスの改善を認めた.背景として,便秘の既往,15年以上の罹病期間,糖尿病末梢神経障害および自律神経障害を有している点が共通していた.これまでリラグルチドによるイレウスの報告はなく,今後GLP-1受容体作動薬を使用する際には副作用としてイレウスを念頭に置く必要があり報告する.
著者
小倉 孝誠
出版者
慶應義塾大学藝文学会
雑誌
藝文研究 (ISSN:04351630)
巻号頁・発行日
no.91, pp.1-19, 2006

フローベールの一通の手紙グリゼットの肖像カルチエ・ラタンの恋物語グリゼットの文字的表象鷲見洋一教授退任記念論文集
著者
久保 正仁 半田 ゆかり 柳井 徳磨 鑪 雅哉 服部 正策 倉石 武 伊藤 圭子
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.87-90, 2012-06-01
被引用文献数
1

2010年3月に前庭障害を呈したアマミノクロウサギ(<I>Pentalagus furnessi</I>)の雌成獣が保護され,保護されてから6日後に死亡した。病理検査の結果,右耳において慢性化膿性中耳炎・内耳炎が認められ,これによって前庭障害が生じたものと考えられた。
著者
久保 正仁 中嶋 朋美 本田 拓摩 河内 淑恵 伊藤 結 服部 正策 倉石 武
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.65-70, 2013-06-01
被引用文献数
4

野生アマミノクロウサギ(<I>Pentalagus furnessi</I>)においてどのような自然発生病変がみられるかを調べるために, 2003年8月から2012年3月にかけて剖検され,ホルマリン固定されたアマミノクロウサギの臓器131頭分について病理組織学的な解析を行った。雌成獣1頭においてトキソプラズマ症が疑われる全身性の原虫感染症が,雄幼獣1頭においてグラム陰性桿菌感染による化膿性気管支肺炎および線維素性心外膜炎が認められ,これらが死因と考えられた。その他,類脂質肺炎と思われる泡沫状マクロファージの肺胞内集簇,限局性の真菌性肺炎,限局性の化膿性肉芽腫性肺炎,肺膿瘍,腎膿瘍など,様々な所見がみられた。なかでも泡沫状マクロファージの肺胞内集簇は113例のうち43例と高率に認められた。本研究では野生アマミノクロウサギでみられる自然発生病変の一端が明らかとなったが,十分な結果とは言い難い。今後は全ての死亡個体について病理学的モニタリングを実施できる体制の整備が望まれる。
著者
川手 友貴 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.14, pp.1-8, 2017-02-27

アマチュア漫画家は自分のスケジュールをうまく管理できず,締め切りに間に合わなくなることがある.これを回避するには,現在の漫画制作の進捗を推定し,それをスケジュール通りに漫画制作を行った場合の進捗と合わせて漫画家に提示することで,遅れを具体的に把握させるという方法がある.本研究ではこれを実現するために,漫画家の下書きとペン入れの段階に着目し,それらの描画ピクセル数の関係性を用いて,ペン入れの進捗状況を推定する手法を提案する.まず下書きとペン入れの関係性を調べるために,制作された漫画における下書きとペン入れの描画ピクセル数を調べた結果,それらには相関があることが確認できた.これに基づき,過去の漫画から算出される相関を用いて現在の漫画制作の進捗を推定する式を定め,その精度を評価した.その結果,一人の漫画家の制作した異なる作品においては下書きとペン入れの比率は一定でなかったため,推定精度は低くなった.しかし,同一作品内での比率はほぼ一定であるということがわかった.そこで,制作途中の漫画を推定に使うよう式を改善することで,精度が向上することがわかった.
著者
片桐 一元 倉橋 理絵子 波多野 豊
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.Suppl.12, pp.B690-B694, 2009 (Released:2012-04-18)
参考文献数
9

慢性ストレスにより皮膚バリア機能回復障害が誘導され,glucocorticoidsがそのメディエーターとされている。今回,我々は,急性ストレスによる皮膚バリア機能障害について解析を行った。12時間の過密環境での飼育ストレス負荷により,皮膚バリア機能の回復障害が生じた。あらかじめ機能的除神経を施したマウスでは,ストレスによる影響が消失した。さらに,サブスタンスPの皮内投与により皮膚バリア機能回復障害が生じた。以上の結果より,急性ストレスでは末梢神経機能を通じて皮膚バリア機能回復障害が誘導されることが明らかとなり,サブスタンスPが有力なそのメディエーターであると予想される。
著者
吉倉 眞
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.236-239, 1951-11-15

More than 1, 500 frogs of Rana limnocharis were collected in Kumamoto district and used for a morphological study on the differentiation of their gonads. Results obtained were as follows: 1) Shortly after metamorphosis the gonads of all young frogs are of ovarian type in external appearance at least. But as they grow older, the gonads in about a half of them become testes, which are distinguishable macroscopically from the ovaries. This sex ratio is established at the end of the first year. 2) Examining the gonads microscopically at the end of metamorphosis, the gonads of the genetic males have a testicular structure, and in about a half of them the oocyte-like cells are present. 3) Although most of the oocyte-like cells degenerate during the first year, some of them remain and continue their growth in the following year. But they seldom attain about 150μ in diameter.