著者
多田 富雄 栃倉 辰六郎 鈴木 紘一 高久 史磨 上野川 修一 白井 俊一
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

本研究では、食品成分の生体防御系に対する作用を、免疫応答系とそれ以外の作用を介した系で解析した。免疫応答系に関するものでは、無菌およびSPFマウスのパイエル板のTおよびB細胞について、フローサイトメトリーを行ない、消化管が免疫細胞分化の場として重要な役割を果していることを証明した。また代表的な牛乳アレルゲンであるαsl-カゼインを免疫したマウスより、Lytー2^+サプレッサ-T細胞をクローン化することに成功した。食品成分の自己免疫疾患におよぼす影響を検討した結果、低カロリー食がBWF_4マウスにおける自己免疫疾患の治療に効果のあることを立証した。さらに食品によるアレルギーの制御を目的として、患者に造血因子GCSFを投与すると、好中球数が増加することを明らかにした。また、生体の防御ポテンシャルを増強する目的で、ハイブリドーマを検定細胞として、食品中に抗体産生を促進する成分を検索し、卵黄リポタンパク質、スキムミルク、ラクトフェリンなどにその効果のあることを明らかにした。つぎに、好中球、マクロファージなどの白血球の局部浸潤を調べる方法を用い、植物性食品を中心に、免疫賦活作用を持つ成分を検索し、キノコ類、緑黄野菜類にその活性のあることを明らかにした。一部にはインターフェロン誘導活性がみられた。免疫系以外による生体防御では次のような成果が得られている。セノバイオティクス(有機人工成分)の解毒、排泄に必須である肝薬物代謝物質の誘導に食餌タンパク質の量、質が大きく影響することを明らかにした。また生体防御において重要な役割を果たしているビフィズス菌の増殖因子であるβーDフコシルグルコースを酵素的に合成した。さらに、生体防御系に重要な役割を果たしているカルシウムプロテアーゼについて、その構造と機能について分子生物学的研究が行なわれた。さらに、消化管に分布する免疫細胞の組織化学的特徴を解明した。
著者
倉田 聡
出版者
北海道大学法学部
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.271-322, 1990-02-01
著者
大倉 計美 飯田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.93, pp.23-30, 1996-06-14
被引用文献数
8

本報告では、移動ベクトル場平滑化話者適応化方式(VFS)における内挿処理および平滑化処理の制御方法について述べる.本方法は正解音素HMM系列という事前情報に基づく制約から得られる音素HMM系列ξ_cと,あらゆる音素HMM系列の生成をゆるした条件下において得られる音素HMM系列ξ_gとの比較から得られる音素HMMの状態系列誤りを情報として内挿および平滑化を制御することにより,平均ベクトルの推定精度を向上させるものである.今回,最大事後確率推定法(MAP推定法)とVFSとを組み合わせたMAP-VFS法をベースとした話者適応化手法に本制御方法を適用した結果を示す.
著者
高倉 政寛 伊東 敏幸 苫米地 司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.63, no.510, pp.45-50, 1998
被引用文献数
16 1

In this study, we investigated the effect that the quality of accumulated snow on the snow's resistance to sliding. First, we observed changes in the quality of snow that had accumulated on the roof of a building. It was found that the particle size of the snow increased to approximately 2mm after one week and that the water content of the snow increased. Next, experiments were conducted to determine the effect that particle size of snow on a sloped roof has on the snow's resistance to sliding. The results showed that the resistance to sliding decreased as the particle size of snow increased (i.e., as the snow became more granular). The effect of particle size on the snow's resistance also depended on the degree of snow melting. From the facts described above, it is possible to utilize the effect of particle size on the snow's resistance for control of snow sliding on a sloped roof.
著者
倉沢 央 正田備也 高須 淳宏 安達 淳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.36, pp.147-154, 2007-04-06

ビア・ツー・ビア(P2P)ネットワークを用いた情報検索では、低コストでありながら負荷分散や高いスケーラビリティが簡単に実現可能である。従来のノード単位でキーワードのインデキシングを行う手法では、ノードの評価が影響するため検索漏れを引き起こしやすい。また、同一ファイルの区別をしにくいためファイルの冗長化が難しい。そこで本稿では、P2P 情報検索における索引とファイルの分散配置手法、Concordia を提案する。(k n)閾値法を用いてファイルを分散符号化し、文書におけるキーワードの重みに応じてキーワードに対応付けする分散情報の数を決め、DHT 上にインデックスと分散情報を統合して配置することで、ファイルのクエリとの適合度を考慮した検索と、ファイルの総量を抑えた負荷分散とノードの離脱への対策を備えた効率の良い冗長化を実現する。Many Peer-to-Peer information retrieval systems use keyword-peer index and require peer selection techniques. Peer selection tends to fail the most relevant file and cannot identify replica files. We propose Concordia, a new distributed index and data allocation scheme for P2P information retireval, that searches and gathers relevant files based on its relevance to the query and realizes efficient redundancy for load balance and node departure. Our system makes n pieces from a data with (k, n) threshold scheme and places pieces based on the weight of a keyword on the peer related to the keyword index in DHT.
著者
織田 剛 満田 正彦 山極 伊知郎 田中 俊光 名倉 隆雄 大石 峰生
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.64, no.620, pp.1127-1134, 1998-04-25

Two-dimensional axi-symmetric Euler equations are solved in order to simulate the compression wave induced by a high-speed train entering a tunnel or a tunnel entrance hood. Pressure and pressure gradient histories at the tunnel entrance obtained from the calculation are compared with experimental results. It can be found that calculated results and experimental results are well corresponding each other. The effect of the cross-sectional area of the tunnel entrance hood is numerically investigated by this calculation method. Then, propagation of the compression wave along the tunnel is one-dimensionally calculated by a double mesh method which induces little numerical diffusion.
著者
山下 直美 坂本 知子 野村 早恵子 石田 亨 林 良彦 小倉 健太郎 井佐原 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1276-1286, 2006-04-15
被引用文献数
11

機械翻訳を介したコミュニケーションを通じて相互理解を実現するためには,翻訳精度の向上とともに相互作用性の向上が重要である.我々は機械翻訳に対するユーザの適応行動の1 つである原文の書き換えに注目した.本論文では,ユーザが母国語だけを用いて原文の書き換え作業を行う方法として折り返し翻訳を検討し,折り返し翻訳を用いてユーザが書き換え作業をする際の作業量を減らす支援方法を考案する.本研究でユーザの折り返し翻訳作業に関する実験を実施,分析した結果,以下の知見を得た.1) 母国語に関する知識が豊富なユーザほど機械翻訳に容易に適応でき書き換え作業量が少なかった.2) ユーザに事前に「良い翻訳結果を得るためのルール集合」の教示を行うと,母国語に関する知識が豊富でないユーザも機械翻訳に容易に適応できるようになり,書き換え作業量が大幅に減った.3) ただし,原文をどのように変更すべきかを明示しない「操作自由型ルール」に対する教示効果は薄く,これらのルール獲得にかかる書き換え作業量は大きく減少しなかった.原文をどのように変更すべきかを明示した「操作指示型ルール」に対する教示効果は高く,これらのルール獲得にかかる書き換え作業量は大きく減少した.4) ルールの教示は,母国語に関する知識が中位のユーザに最も効果的であった.Translation refinement is often observed when users communicate via machine translation systems. In this study, we analyzed user's translation refinement process through a controlled experiment. In the experiment, users translated sentences using a Japanese-English-Japanese turn-back translation. From the analysis, we discovered the following results: 1) The more knowledge users had about the source language, the better users could refine the original text, 2) Rule instruction was very effective in user's adaptation. Users who were reminded of the rules refined the original text ahead of other users, 3) Instructing operational rules were effective in helping user's adapation, while conditional rules were not as much effective. 4) Rule instruction was most effective to those who had midium knowledge in their source languages.
著者
堂前 雅史 廣野 喜幸 佐倉 統 清野 聡子
出版者
和光大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

聞きとり調査では、主として、死生観に関する知識のいくつかについて、生産・流通・受容過程の情報を収集した。まず、日本では、脳死問題が現れる以前に「三徴候説」のような死の基準は法的には一定せず、むしろ法曹界は医者に一任することをもってよしとする傾向があったことが示唆された。以上より、1.死に関しては法律家による専門的知識の生産があったとしても、それが流通・受容過程に乗ったのではない、2.科学に関する事項に関しては、料学者による知識が法律家よりも優位に立って流通するシステムになっている、3.脳死概念登場以前は、むしろ一般の想定が法曹家の世界に流入したと見るべきことが判明した。次に、中国伝統医療では、生きている者のみであり、死にゆく者は除外されつづけた。よって、東洋医学では、死の判定基準を医者が設ける発想すら希薄であった.また、緻密な世界観・生命観に裏打ちされた中国伝統医学が日本に入る際、背後の生命観は捨象され、純粋に技術として吸収された。したがって、4.科学技術が受容される際は、技術のみを導入し、背後の科学思想を拒否することが可能であること、また、5.科学知識は人々の嗜好によって受容が拒否される、6.一般市民にただ科学知識を注入してもサイエンス・リテラシーは向上しない可能性があることが分かった。今日の科学技術においても、一般人を科学知識の生産者と見なしうる場合がある。しかし、こうした「素人理論」の流通機構は整備されていない。そこで、本研究では、吉野川可動堰問題を対象に、一般市民が科学知識の生産・流通に成功した例を分析し、7.一般市民の科学知識生産を促すシステムが整備される必要があることを明らかにした(廣野)。また、そうしたシステム整備の具体的提言として、8.市民科学がもたらす「公共空間の科学知識」媒体の必要を唱え、大学紀要の利用を提唱した(堂前)。
著者
小倉 佐助
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.194-199, 1958-07-30

My experiments and clinical researches were performed to study what meaning and diagnostic value it might have for radiographic diagnosis, to change the amplitude-angle of a tube in tomobronchography combined tomography and bronchography.
著者
澤頭 寛 鎌倉 功弘 大槻 知明 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.81, pp.43-49, 2000-05-19
被引用文献数
6

本研究では, グループ符号を拡張Prime符号系列の前に付加した拡散符号を用いる干渉キャンセラを適用した直接検出光同期CDMA方式を提案する.グループ符号は, 素数Pから成る拡張Prime符号系列のグループkに対して(k+1)番目のチップのみを1とした符号長Pの符号で構成される.提案方式は, 所望ユーザが属するグループ以外のグループ符号を用いることで, 従来方式より少ない2個のブランチで, P個のブランチを必要とした従来方式と同じ多元接続干渉(MAI)量を見積もることができる.そのため, 各ブランチにおける光パワーを従来方式よりも大きくすることができる.アバランシェフォトダイオード(APD)出力にガウス近似を用いた提案方式の特性解析を.理論的に行った結果, 提案方式は, 従来方式と比較して受信光パワー及びチップレート一定の下でビット誤り率特性を改善できることを示す.
著者
井上 武 朝倉 浩志 佐藤 浩史 高橋 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.458, pp.191-196, 2009-02-24
参考文献数
17
被引用文献数
2

現在のWebアーキテクチャは,RESTと呼ばれるアーキテクチャスタイル(設計指針)に基づいて設計された.しかし,RESTには,サービスのパーソナライズに欠かせない「セッション」についての設計指針がない.このため,セッションに関連する技術は指針なく開発され,整合性を欠いたまま利用されている.本稿は,RESTにセッションのための設計指針を追加し,サービスのパーソナライズに必要な特性を導く.この指針に従って設計されたアーキテクチャは,パーソナライズの基礎であるユーザの区別から,柔軟な認証手続きやサービスの連携までを実現する特性を備える.設計指針により現在のセッション実装の課題を明らかにするとともに,今後の開発の方向性を示す.
著者
VU Phong Hai 西田 修身 藤田 浩嗣 原野 亘 板倉 弘樹 福田 泰弘
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, no.77, pp."5-1"-"5-2", 2002

Blending pyrolitic oil (or Waste Plastic Disposal, called WPD for short) produced from household and industrial plastic wastes with bitumen, which is 70% (v) of orimulsion, reduces the viscosity of the oil. The experimental results indicated that, the WPD mixing ratio of 20% (v) reduces the bitumen's viscosity from more than 500 cSt to 20 cSt at 50℃. The blended oil has been applied to a small size high-speed single-acting 4 stroke diesel engine (14 kW, 2200rpm) without preheating the oil. The engine test with non-preheated blended bitumen has proved the possibility of WPD-blended bitumen as a fuel for diesel engines. In order to improve the engine performance the far-infrared filter has been tested. The engine test result has shown the good effect of the filter on the engine performance.
著者
北村 英純 長瀧 寛之 都倉 信樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.536, pp.47-52, 2003-12-12

本研究では,高等学校の教育活動において作られるコンテンツを保存するポートフォリオシステムの開発と評価を行った.このシステムを使うと,生徒及びクラス担任と教科担任は,保存されているコンテンツをそれぞれの役割に応じて閲覧でき,生徒の自己評価と,教師による生徒の学習状況の把握に役立てられる.我々は教育を2カテゴリ4領域(アクティビティ:教科活動,自主活動,及びヒストリ:自分の歴史,学校の歴史)に分類した.本ポートフォリオは,その領域分類に従ってコンテンツを保存し,そのコンテンツに対して2種類の閲覧環境,つまり領域を分離した環境と領域を統合した環境を提供する.前者は領域ごとの学習状況を把握するため,後者は学習活動全般を閲覧するためのものである.とりわけ,統合した閲覧環境では各カテゴリに保存されているコンテンツが相互に情報を補完し合うので,生徒は自分の記憶にある情報も呼び起こすことができる.
著者
案田 岳夫 米倉 正大 馬場 啓至 馬場 史郎 吉田 光一 小野 智憲 鎌田 健作 戸田 啓介 陶山 一彦
出版者
日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.426-430, 2004-11-30
被引用文献数
2

長崎県離島(対馬,壱岐,五島)には脳神経外科手術施設が存在しないため,脳神経外科的治療を要する患者が発生した場合,以前からヘリコプター搬送が利用されており,その大部分が国立病院長崎医療センター脳神経外科に運ばれ治療を受けてきた.近年,その件数は年間約90例となっている.くも膜下出血(SAH)患者も,急性期に当院に搬送されているが,ヘリコプター搬送中,患者は騒音,振動,気温変化,気圧変化などの再破裂の危険に曝されると考えられる.また機内で医師が行いうる医療行為には制限があることも事実である.以上のことから,救急車により搬送される内地発症SAH症例に比較し,離島発症例には予後不良となる要因がより多く存在する可能性がある.そこで,当施設にて治療を受けたSAH症例を離島発症群,内地発症群に分け転帰を比較してみた.