著者
中野 悦次 吉岡 俊昭 松田 稔 園田 孝夫 矢野 久雄 伊原 義博 黒田 秀也 岸本 知己 櫻井 勗 内田 欽也 児島 康行 中村 隆幸 清原 久和 佐川 史郎 関井 謙一郎 古武 敏彦 宇佐美 道之 三木 恒治 黒田 昌男 細木 茂 前田 修 友岡 義夫 吉村 一宏 水谷 修太郎 岩尾 典夫 三好 進 井上 彦八郎 本城 充 藤岡 秀樹 本多 正人 高羽 津 岡 聖次 松宮 清美 原 恒男 三宅 修 坂口 洋 竹山 政美 板谷 宏彬 宇都宮 正登 伊東 博 新 武三 永野 俊介 市川 靖二 野島 道生 長船 匡男 客野 宮治 山口 誓司 多田 安温
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.635-642, 1990-05

膀胱乳剤にフェルビナクのエチルエステルを封入させたLM-001静注剤を尿路結石による疼痛と膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対する有効性ならびに安全性について検討した.1)尿路結石による疼痛に対しては53例中49例に効果がみられた.有効例49例中41例までが本剤投与15分以内に効果が発現した.また26例において効果が24時間以上持続した.2)膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対しても29例中25例に効果がみられた.有効例25例中16例までが15分以内に効果発現した.また13例において効果が24時間以上持続した.3)副作用として血管痛,熱感,視力軽度低下,血圧の一時低下がみられたが,いずれもきわめて軽度で何ら処置することもなく短期間に消失した.また,3例に白血球増多,1例にA1-pの上昇がみられたが,その程度は軽度であり,すぐに正常化した.4)LM-001は尿路結石による疼痛の緩和と膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対し,速効性で高い有効率を示し,かつ作用時間が長いこと,また副作用がきわめて少ないことから優れた薬剤と評価し得たClinical effect of LM-001, a prostaglandin synthetic inhibitor developed from a drug delivery system, was evaluated in 54 patients with pain from urinary tract stones (stone pain) and 32 with vesical urgency after an operation on bladder or prostate. LM-001, felbinac ethyl incorporated in lipid microsphere, wes intravenously administered at the onset of stone pain or vesical urgency. Of 54 with stones and 32 with urgency, 53 and 29 were eligible for response, respectively. The symptoms improved or disappeared in some cases just after the administration and in the majority of patients within 15 minutes, in 49 of 53 patients with stone pain. Further, the effectiveness lasted over 24 hours in 26 of the 49 responding to this agent. On one hand, improvement or disappearance of vesical urgency was recognized in 25 of 29 patients, and the effectiveness was observed shortly after injection in 16 and lasted over 24 hours in 13 cases. Toxicities of this drug were investigated in 54 patients with stone pain and 32 with urinary urgency. Side effects consisted of pain at the injection site in 4, a slight fall of blood pressure in 1, slight visual disturbance in 1, body heat sensation in 1, leukocytosis in 3 and elevation of alkaline phosphatase in 1. These symptoms were transient and disappeared without use of any agent. LM-001 is concluded to be a useful drug for controlling stone pain and vesical urgency since an immediate effect, long durability and high response rates were obtained without severe side
著者
小嶋 道之 山下 慎司 西 繁典 齋藤 優介 前田 龍一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.386-392, 2006-07-15
被引用文献数
9 15

<I>in vivo</I>および<I>in vitro</I>実験により,小豆ポリフェノール(APP)の抗酸化活性の能力を検討した.マウスに0.05%(w/v)APP入りの飲料(20ml/日)を一週間与えて,その血清,肝臓および腎臓ホモジネートの酸化促進剤に対する影響を検討したところ,どれもコントロールのそれらに比べて酸化を受けにくく,特に肝臓ホモジネートでは有意に酸化抵抗性を示した.また,0.05%(w/v)APPを1週間,事前投与したマウスにガラクトサミンとリポポリサッカライドを腹腔内注射したところ,コントロールのそれに比べて,血清GOT活性の上昇抑制や肝臓の過酸化脂質の生成が有意に抑制された.肝臓のグルタチオン量やGPx活性は,コントロールのそれらよりも有意に高い値を保持していた.これらの結果から,APPは炎症により発生するフリーラジカル・活性酸素を消去し,生体内グルタチオン量とGPx活性を高く保持して,過酸化脂質の生成を抑えることで,結果的に肝臓の炎症拡大を抑制している可能性が推察された.また,APPのDPPHラジカル消去活性におけるIC<SUB>50</SUB>は64.2μmol/l(カテキン量として換算)であり,市販のカテキンやビタミンCの1/2量で同じ効果を示した.また,0.05%APPを80μl添加した2.5mlのヒトLDL溶液(タンパク質70μg/ml)は,200μmol/lの硫酸銅溶液による酸化促進に対して抵抗性を示し,APP無添加の場合に比べて,LDL酸化の開始時間を1時間程度遅延させた.これらの結果は,APPには生体の酸化防止効果や肝臓保護作用があることを示唆している.また,小豆の主要なモノマー型ポリフェノールは,カテキン-7β-グルコシドであることを明らかにした.
著者
篠藤 明徳 日詰 一幸 伊藤 雅春 佐藤 徹 前田 洋枝
出版者
別府大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

市民討議会の全国事例(2006年から2010年)調査を通し、身近なテーマ、青年会議所と行政の共催、プログラムの類型等が明らかになり、高崎市、豊山町の事例調査では、参加動機等を分析できた。ドイツでの変形型プラーヌンクスツェレの状況やアメリカでのアメリカスピークス、ケッタリング財団など全国組織の支援体制を調査できた。その結果、参加者の多様性の担保や情報提供の公正等、市民討議会の質保証の基準を明確化すると共に、データバンクの構築・公開、表彰・認証制度の創設などを提案できた。
著者
大久保 雄平 福井 巌 坂野 祐司 吉村 耕治 前田 浩 米瀬 淳二 山内 民男 河合 恒雄 石川 雄一 山本 智理子
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1138-1141, 1996-09-20

44歳,家婦。1年3ヵ月来の肉眼的血尿,排尿困難を主訴に1994年6月初診。経膣的な触診にて膣前壁に柔らかい腫瘤を触れ尿道腫瘍を疑った。尿細胞診では腺癌を疑わせる多数の悪性細胞集塊を認めた。尿道膀胱造影にて尿道憩室を2つ認め,尿道鏡にて尿道括約筋の近位と遠位の2カ所にそれぞれの憩室口を認めた。膣からの圧迫により近位の憩室から表面平滑な小豆大の腫瘍が突出したのでこれを切除したところ,病理学的には低分化型の移行上皮癌が疑われた。尿道憩室癌の診断にて8月9日前方骨盤内臓器全摘術,インディアナパウチ造設術施行。近位憩室内に認められた腫瘍は病理学的に管状,乳頭状および嚢胞状など多彩な腺様構造を呈し,核が上皮細胞の表面に突出した,いわゆるhobnail(鋲くぎ)パターンを認め,mesonerphric adenocarcinomaと診断した。術後,局所に放射線照射を追加し退院。術後1年4ヵ月の現在再発,転移を認めていない。女子尿道mesonephric aenocarcinomaはその組織発生に関していまだ統一された見解はなく,自験例は文献上44例目と思われる。
著者
前田 一平
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.247-258, 2008

For Whom the Bell Tolls has long been regarded as one of the major novels of Ernest Hemingway, but almost no critics of the 80's and 90's, when the drastic revising of Hemingway's works took place, seem to have paid much attention to it. Still, two small critical movements supporting this novel can be recognized. One is a discussion presented from Spanish scholars : Edward F. Stanton and Allen Josephs are versed in the language, tradition, and culture of Spain and try, for example, to find the models of Pilar and Maria in the history and culture of Spain, not of the US of America. They maintain that what Hemingway had learned in Spain in the course of eighteen years, especially the primordial Spain which was the other world to him, is realized in this novel. The other movement is made by the critics who highly praise the organically united structure of the novel. The point of their argument is that the plural narrative voices, interior monologues, and recollections which form the multiple narrative structure of For Whom the Bell Tolls are all united with the simple and single action of blowing the bridge. This paper critically examines and denies the reliability of those two movements and concludes that the most convincing reading so far presented of For Whom the Bell Tolls could be found in Edmund Wilson's review published as early as in 1940, where he criticized the defects of the form and the story development of the novel.
著者
藤原 均 野澤 悟徳 前田 佐和子 三好 勉信 品川 裕之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

地表から大気上端(~700km高度)にいたる領域の気温、風速、組成変動を計算可能な数値モデルが研究代表者らのグループによって世界で初めて開発された。この数値モデルシミュレーションとレーダー観測データから、下層大気に起源を持つ高度300 km付近の超高層大気変動のいくつかを明らかにした。特に、極冠域では従来認識されていた以上の激しい大気変動を観測、シミュレーションの双方から明らかにすると伴に、低緯度領域では、これまではシミュレーションでは再現不可能であった真夜中の温度極大の再現に成功した。
著者
冨永 良喜 小澤 康司 村本 邦子 前田 潤
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

2004年12月に発生したインド洋大津波の被災地インドネシア・アチェの被災した教師36名に対して2007年9月、2日間の心のケア研修プログラムを実施した。また、アチェの中学生及び高校生に対して、心のケア授業を実施した。2008年6月には、アチェの中学・高校生297名に、心理教育のための心のケア・アンケートを実施した。その結果、97%の生徒が「またツナミが来るのではないか心配だ」と回答した。防災教育の必要性を示唆する結果であった。
著者
前田 良三
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.ルートヴィヒ・クラーゲスの比喩論・言語論における美的身体性とメディアの問題:クラーゲスの『リズムの本質』が端的に示しているように、彼のリズム論は都市生活の機械的・無機的なタクト(拍子)に対するアンチテーゼとして構想されているが、それと同時に、19世紀的な個的・主観的身体性を超克する契機としての集団的リズムの発見という点において、複製技術的メディアによって可視化されたリズムの表象と通底している。2.ゲオルゲ派のメディア戦略と複製技術による自己演出:ゲオルゲの美的自己演出の戦略は、逆説的にも大都会的・技術メディア的な知覚が支配的になったヴァイマル期の視覚文化を前提としている。大衆文化とエリート文化がいわば同一平面上に並列的に展示され、「触覚的」(リーグル、ベンヤミン)な知覚の対象とされるとき、ゲオルゲ派の美学は自らの詩的世界のみならず、詩人としての社会的存在をも図(大衆文化)に対する文様=ゲシュタルトとして示そうとするものであり、この点においてすぐれて20世紀的といえる。3.伝統主義美学とメッセージの暗号技術:伝統主義者の美学において唐突に復活する「形式」という主題は、非大衆的メッセージ伝達形式として詩というメディアをあらたに発見する。そこでは日常的コミュニケーションに対する暗号として詩が表象されている。4.保守的文学者集団と技術者集団の男性同盟的組織原理:ゲオルゲ派にもっとも典型的に見られる男性同盟的かつカリスマ指導者+弟子という組織構造は、反近代主義的・宗教的な背景を有するが、同時に専門家集団としての技術者集団とその排他性・内的規律といった点で共通性をもつ。
著者
九郎丸 正道 金井 克晃 大迫 誠一郎 前田 誠司 恒川 直樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラスティック製品の可塑剤として広く使用され、精巣毒性が知られているフタル酸エステル類に属するDi(n-butyl) phthalate(DBP)及びDi-iso-butyl phthalate(DiBP)について、その作用機序を種々の実験系を用いて検討した。その結果、DBPはエストロゲン様作用を示し、DBP投与により誘起される精細胞アポトーシスは精巣におけるエストロゲン受容体の活性化によりもたらされると考えられた。一方、DiBPによるアポトーシスはエストロゲンのそれと異なる作用経路によることが示唆された。
著者
田山 智規 鈴木 啓一 美川 智 粟田 崇 上西 博英 林 武司 前田 高輝 加地 拓己 上本 吉伸 鹿野 裕志 柴田 知也 児嶋 千尋 西田 朗
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.187-194, 2006-12-26 (Released:2007-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

抗病性に関与する遺伝子を特定するために,ランドレース種について,免疫形質と慢性疾病病変に関する品種内QTL解析を行った。用いた集団は,慢性疾病病変を選抜形質としたランドレース種系統造成の選抜第2世代までの育成豚と調査豚519頭(基礎世代44頭,第一世代205頭,第二世代310頭)である。7週齢時と体重105kg時で採血し,補体別経路活性,貪食能,顆粒球・リンパ球比,総白血球数,羊赤血球に対する抗体産生能などの免疫形質を測定した(抗体産生能は105kg時のみ)。また,各世代の調査豚267頭についてブタ萎縮性鼻炎(AR)と肺の病変を測定し,スコア化した。常染色体18本に合計107個のDNAマイクロサテライトマーカーを配置し,それらの多型判定は,353頭(基礎世代の雌の一部25頭と第1世代204頭,第2世代調査豚124頭)について行った。解析にはIdentical-by-decent(IBD)行列を利用した分散成分分析法を用いた。まず,IBD行列をLOKIプログラムにて推定した。分散成分分析法はSOLARプログラムを用いて行った。解析の結果,総白血球数と貪食能,そして肺の病変に関する有意なQTLが検出された。
著者
森田 譲 前田 保憲 日隈 崇文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.262-270, 2004-06-15

本論文では、ニューラルネットワークを利用し、倒立振子制御におけるPIDゲインのセルフチューニングを行い、評価関数の最小となるPIDゲインが存在することを明らかにした。実システムの制御対象として無駄時間を含む1重倒立振子を考える。この制御系は1入力2出力系を構成し、台車、倒立振子および角度補償器と位置補償器を含めた系を伝達関数で表し、これに時系列処理を行いニューラルネットワークで同定する。このニューロエミュレータはPIDゲインをチューニングする際に必要なシステムヤコビアンを計算するときに用いる。つぎに実システムモデルに対して、別のニューラルネットワークを用いて、倒立しているが不安定なPIDゲインの初期値からセルフチューニングを開始する。この結果チューニングで得られたPIDゲインを用いて実験を行い、測定された振子の角度および台車の位置の情報とも整定時聞か短くなり、かつシミュレーション結果とよく一致することを示した。
著者
前田 健
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1) CDVのレセプターSLAMを恒常的に発現する細胞を用いて、野外株とワクチン株の増殖性を比較した結果、ワクチン株はSLAM発現細胞で極端に増殖能力が落ちた。これはワクチン株がSLAM発現細胞すなわちリンパ系の細胞での増殖が抑制していることから、イヌでの病原性が低下していると推測された。2)世界で初めて100代以上継代が可能なウマ由来の培養細胞株を樹立した。この細胞でウマヘルペスウイルス2型は細胞変性効果を示して増殖するため、EHV-2を含むウマヘルペスウイルスに対する治療薬の効果の判定が可能となった。3)Fcwf-4細胞を用いたウイルス中和試験によりI型ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FTPV)はFIP発症ネコ血清により感染が増強されることが示されたが、I型ネココロナウイルス(FCoV)感染健常ネコ血清には感染増強作用が存在していなかった。これはFCoV感染による抗体ではなく、FIPV発症ネコ血清中に含まれる何らかの因子がfcwf-4細胞に対する感染増強に関与していることを示唆している。このin vitroにおける感染増強機構を指標にFIPに対する治療薬の開発が可能になると期待される。4)コウモリより新規細胞株の樹立と新規ヘルペスウイルスとアデノウイルスの分離に成功した。コウモリ由来の新興感染症は多く、これらの細胞はその診断に役立つものと期待される。
著者
奥野 良信 伊藤 正恵 加瀬 哲男 中川 直子 前田 章子
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

インフルエンザウイルスのHA蛋白は構造的に頭部と幹部に分かれるが、我々は以前に幹部に共通中和エピトープの存在することを証明した。このエピトープを利用するために、幹部だけをコードするヘッドレスHAのcDNAを構築し、これを広域反応性のDNAワクチンとして活用することを考えた。昨年度までは、HA遺伝子を発現させるベクターにpEF-BOSを用いていたが、マウスに有効な免疫を賦与できなかった。そこで今年度は、高発現ベクターのpNOW-GKTに変更してDNAワクチンを作製し、マウスに免疫して抗体価の測定とチャレンジテストによりこのワクチンの有効性を検討した。フルサイズのHA、あるいはヘッドレスHAをコードするcDNAをベクターに挿入し、遺伝子銃を用いて3週間隔で2回マウスに免疫した。2回目の免疫から2週後にマウス肺に強い親和性を示すA/FM/1/47(H1N1)をマウスの鼻腔内に接種してチャレンジテストを行った。ベクターだけを接種したマウスは著明に体重減少し、半数のマウスが死亡した。一方、フルサイズのHAを免疫したマウスはすべて体重減少を示すことなく生存した。ヘッドレスHAを免疫したマウスの20%は死亡したが、生存したマウスは体重減少を起こさなかった。経時的にマウスより採血し、血清抗体価をELISAと中和試験で調べた。フルサイズのHAを免疫したマウスは有意な抗体上昇を示したが、ヘッドレスHAを免疫したマウスは抗体価の上昇を認めなかった。以上の結果より、ヘッドレスHAを免疫したマウスがコントロールのマウスよりも生存率が高かったのは、液性抗体よりも細胞性免疫が働いているためだと推測された。今後は、ヘッドレスHAの免疫方法を変え、抗体価の測定だけでなく細胞性免疫も調べてヘッドレスHAのDNAワクチンとしての有用性を検討したい。
著者
前田 浩佑 徳久 雅人 村上 仁一 池原 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.353, pp.19-24, 2008-12-06

本稿では,情緒傾向値の付けられた文末表現パターン辞書を用いることで,メール文章の口調のきつさを判定することを試みる.本辞書のパターンが文にマッチすることで,その文から解釈される情緒の傾向が解析される.そこで,口調(やわらかい・中立・きつい)を変えた3種類のメール文章を32名に作成してもらい,それらの各文章に対する情緒の傾向を,本辞書を用いて解析した.その結果,「やわらかい」および「中立」の口調で作成された文章と,「きつい」口調で作成された文章との間に,情緒傾向値の違いが見られ,それは,人間により口調の違いを識別する精度と同様の傾向であることが,実験的に確認された.こうして,本辞書を用いて,文章の口調のきつさを判定することの可能性が確認できた.