著者
大石 克己 荒木 恒彦 前田 惟裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05
被引用文献数
1

21世紀初頭以降、地球周回軌道上における宇宙環境利用、地球観測等の種々の分野で宇宙活動要求の増大が想定される。これらの要求に効率的に対応するためには従来の使い捨て衛星を個別に開発するのではなく、軌道上での補給・交換・組立・回収等のサービスを行う軌道上サービスシステムの概念が有効になる。前回95年3月の信学会総合大会では、21世紀初頭以降における段階的なシステム構築の一環として位置づけられる軌道上サービス実験衛星システムに係わる宇宙開発事業団構想の研究結果を報告したが、本稿では、この実験システムを構成する種々の宇宙機の概念および開発構想について述べる。
著者
田野 英一 牧野 秀夫 前田 義信 パークス ドナルド N.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.82, pp.35-40, 1999-05-21
被引用文献数
4

GPSは, GPS衛星からの電波を受信することで受信機の位置を測位するシステムである. 本報の位置案内装置は, 視覚障害者がGPS受信機を装着し, そのGPS受信機から出力された位置情報を元に, 当該位置の地名, 建造物名等を音声で確認することができるものである. 我々は, このGPSを用いた視覚障害者用屋外位置案内装置を試作し報告してきた. しかし, 従来の試作装置はいわゆる単独測位であったため, 測位誤差は最大で100mほどであった. 今回この測位誤差を軽減することを目的として, FM-DGPSを採用した装置を試作し, その評価を行なった. その結果, 測位誤差を最大でも10mに軽減することができた. また従来は, 視覚障害者は前述のGPS受信機の他に携帯電話を携え, 地図情報を内蔵したパーソナルコンピュータを有する基地局と交信することで, 案内情報を取得していた. 今回は, GPS受信機とパーソナルコンピュータを接続して視覚障害者が携帯する方式と, 開発初期の方式との併用型とした.
著者
前田 淳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-27, 1996-04-25

信託公社の解体直後,1995年1月1日,同運営評議会議長(Vorsitzender des Treuhandanstaltsverwaltungsrat)マンフレッド・レーニングス(Manfred Lennings)は,「東独はヨーロッパ有数の成長地域に数えられるであろう」と述べ,信託公社の4年半に及ぶ業績を最大限に自負した。さらに,「『かつての手を焼かせる子供』であった東独工業は1995年も昨年同様,20%の高い成長率を示すであろうし,そのことで旧東独時代の生産水準に到達するであろう」(傍点は引用者)と付言している。しかし,彼の主張を冷静に判断するならば,信託公社が1990年6月17日, 旧東独で産声を上げ,1994年12月31日,その任務を終了し,解体されるまで,旧西独連邦政府,企業,就中,銀行の全面的バックアップを受容したにもかかわらず,4年半の時間を消費しても尚,旧東独の経済水準には到達しえなかったことになる。我々はこの客観的事実を率直に認識すると同時に,その過程及び東独地域経済の苦境の原因の究明を分析の目的として措定する。特に本稿では,信託公社の中核業務である民営化の準備過程-1990年代-に注目し,同過程整備の方法及び特質を詳らかに考察し,その論点を明確にした。その際,通貨同盟締結が同過程に多大なるインパクトを与えている点を強調した。具体的には,信託公社による(1)人民所有企業から資本会社への転換業務,(2)通貨同盟締結を直接的契機とする財務的支援,(3)取締役会・監査役会の設置の3点を中心に検討した。(2)に関しては,さらに第3階梯に分割し,各々の内実と意義を明確にした。(3)については,両機関の機能を支援する意味での経営コンサルティング会社と銀行の役割と重要性も同時に強調した。
著者
前田 敏 松田 弘行 中島 興一 岸 信夫
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.87-92, 1967-08-28

西南暖地における牧草の夏枯れ対策の一環として,ローズグラスを牧草地に追播し,年間飼料生産の均衡化を検討した。更新後2年めのオーチャードグラス,ラジノクローバー,レッドクローバーの混播草地に昭和40年7月3日,3番刈り時に1.5kg/10aのローズグラスを追播した。追播前の草地処理は無処理,ハロー掛け,耕起の3通りとし,無処理区はさらに堆厩肥施用区と生鶏糞施用区とに分けた。これら各区に対照区を加えて全部で5区を設けた。年間の刈取り回数は6回で,ローズグラスは5番刈り以後は枯死したので,同グラスの混在は4,5番刈りに限られた。対照区の年間収量は5,000kg/10aであったが,その収量の季節分布は1〜3番刈りまでの春季の刈取りで年間総収量の8割近い収量を認め,それ以後,夏,秋の4,5,6番刈りでは2割を得たにすぎない。これに対し,ローズグラス追播区では,対照区における収量減退期に約2,000から5,000kg/10aの増収を認め,年間総収量は7,000〜10,000kg/10aに達した。なお,このローズグラス追播による収量増加は追播下の草地攪拌処理が強いほど著るしい。他方,北方型牧草はこれに応じて圧倒され減少する傾向がみられ,特にマメ科牧草の損失はいちじるしく,完全に消失する区もみられたが,オーチャードグラスはかなり残存することがわかった。ローズグラス枯死後,裸地が出現したが,その面積は最大8割にも達した。なお,ローズグラスによる収量増加の程度と同グラス枯死後の裸地歩合との間には相関がみられ,収量増加が多いほど裸地歩合は加速的に増大することがわかった。この裸地面積は冬期間ほとんど変化せず,4月下旬に至って裸地歩合の小さい区では,裸地のほとんどが残存個体によって再び埋められた。他方,裸地歩合の大きい区では残存個体の密度が小さく,しかも,それら個体の生理的衰弱もはげしく,春の生育も貧弱で,それに乗じて雑草が旺盛に繁茂し,急速な草地の荒廃が認められた。
著者
塩田 邦郎 高橋 英司 遠矢 幸伸 明石 博臣 高橋 英司 前田 健 宮沢 孝幸 塩田 邦郎 堀本 泰介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

ネコ免疫不全ウイルス(FIV)は、後天性免疫不全症候群(エイズ)様症状のネコから分離され、ヒト免疫不全ウイルスと同じくレトロウイルス科レンチウイルス属に分類される。本研究はFIV感染防御上大きな役割を担っていると考えられるCD8陽性細胞およびNK細胞を中心に、そのphenotypeと抗FIV活性を解析することを目的としている。当該研究期間において以下の項目について研究を行い、新たな知見を得た。1.NK細胞マーカーの解析:ネコFcγRIII-Aの膜貫通型分子のクローニングとネコCD56抗原のバキュロウイルス組換え発現に成功した。CD56についてはモノクローナル抗体(MAb)も作製した。2.CD8α+β-or low細胞群の解析:ネコCD3εを組換え発現させた蛋白を抗原としてMAbを作製し、FIV増殖抑制活性を有するCD8α+β-or low細胞群のフローサイト解析に用いた。その結果、当該細胞群はT細胞系であると考えられた。3.ネコCD2の性状解析:免疫応答において重要なT細胞表面抗原CD2のネコホモローグをクローン化してその塩基配列を決定した。解析したcDNAには1008塩基対の翻訳可能領域が含まれており、336アミノ酸をコードし、その配列は他の動物と46〜57%の相同性を有していた。さらに、抗ネコCD2MAbを作製したところ、得られた抗体はネコCD2のEロゼット形成を阻止し、フローサイトメトリーによるネコ末梢血中のCD2陽性細胞の検出に有用であることが示された。4.ネコCD11aの抗体作製:CD2と同様、免疫応答に重要な接着分子CD11aのネコホモローグのcDNAをバキュロウイルスにより組換え発現させ、抗ネコCD11aMAbを作製した。T細胞の活性化に伴うCD11aの発現量増加が認められ、ネコ末梢血中の活性化T細胞の解析に有用であった。
著者
杉本 明 氏原 邦博 前田 秀樹 下田 聡
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.52-54, 2001-05-15

琉球弧におけるサトウキビの安定多収栽培実現の主な障害は, 収穫後の萌芽が不良で株出しの生産力が低いこと, および, 台風, 干ばつ被害を受けやすいことである. 琉球弧の気象条件に適応性の高い栽培法を確立するために, 秋植え・秋収穫による1年1作株出し多収栽培法成立の可能性を検討した. 極早期型高糖性品種を用いた秋植えは, 気象災害に比較的強い夏植えと同様の生育経過を辿り, 1年後には収穫しうる糖度に達する可能性が高い. 秋収穫における萌芽時の地温は, 冬収穫時の地温に比べて萌芽適温に近く(宮里 1986, 杉本 2000), 既存の品種を10月に収穫すると, 株出し栽培の萌芽・初期生育が改善されて梅雨時期には生育旺盛期に達することが報告された(杉本 2000). 梅雨前に大きく生長したサトウキビは梅雨の降雨を最大限に利用して旺盛に生育し, 多収になるとともに, 土壌表面の植物被覆により, 土砂流出抑制への貢献も期待される. 本報告では, 収穫時期の異なる1年栽培の株出しサトウキビに認められる蔗茎収量および可製糖率に関連する特性の差異を報告する.
著者
吉積 将 永谷 直久 杉本 麻樹 新居 英明 前田 太郎 北崎 充晃 稲見 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.91, pp.57-60, 2006-05-30

Galvanic vestibular stimulation (GVS) induces a sensation of virtual acceleration as vestibular information and affects subject's field of view. In particular, GVS with alternating current (AC) causes roll rotation centering on the direction of a look in subject's vision and it is showed that this phenomenon originates eye movement induced by GVS in the past researches. The purpose of this study was to show the quantitive relation between the amount of stimulus current and the angle of subjective tilt of the visual field. In order to achieve the purpose, we displayed a straight line canceling the subject's tilt and measured that amplitude and time delay from stimulus current.
著者
馬場 聡史 浅沼 健一 前田 忠彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.201, pp.85-90, 2004-07-14
被引用文献数
2

タブレットコンピュータなど手に持って利用される端末を想定した場合,手部がアンテナ素子に与える影響は大きく人体に吸収される電力も大きい.そこで本報告では液晶ディスプレイの金属フレームに複数のアンテナ素子を設置するモデルにおいて,適応的に人体で吸収される電力を低減することを目的とした給電方法について検討を行なった.給電の構成は複数のアンテナ素子間を伝送線路で並列に接続する方法を用いた.解析手法はFDTD法を用い,相対放射電力を評価の指標として単独給電モデル,同時給電モデル,並列給電モデルの3つのモデルについて比較を行い,並列給電の有用性の検討を行なった.その結果,手部の保持位置が変化する場合でも並列給電を行なうことにより,人体の影響を受けにくいアンテナ素子に励振される電力が適応的に多く分配されることを確認した.また,最も人体の影響が表われる場合において約25%,平均では約20%の相対放射電力の向上を確認することができた.さらに,並列給電を行なった場合の指向性に関して検討を行なった.
著者
堀口 秀嗣 井口 磯夫 安達 一寿 荒 義明 小林 裕光 前田 真人 本郷 健
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.23, pp.174-175, 2007-08-20

eラーニングは現在、企業や高等教育で積極的に導入されている。しかし、小中高校では積極的に導入することを検討している学校は少ない。その理由を考察するとともに、その目的に合うe-Learningシステムとして開発した。その考え方や機能の代表的な部分を紹介する。
著者
河野英太郎 新谷 和司 前田 香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.80, pp.33-38, 2001-07-27
被引用文献数
3

家電機器のネットワーク化により,より多くの機器の遠隔制御・監視が可能になりつつある.筆者らも家電機器を対象とする遠隔機器制御プロトコルRACP(RemoteAppliance Control Protocol)を提案している.本稿では,多くの家電機器に採用されている赤外線リモコンの遠隔制御にRACPを適用して,多くの一般家電を遠隔制御するシステムについて述べる.まず,システムの設計とプロトタイプシステムの実装について述べ,次に処理のオーバヘッドに関する評価と操作性についての評価について述べる.また,本稿で用いたシステムと,家電機器のより新しいネットワーク方式である,Bluetooth,IEEE1394やUSBとの併用についても言及する.Recently, more and more home appliance can be controled and monitored remotely through networks like the Internet. We proposed a protocol, RACP (Remote Appliance Control Protocol) to control remote home appliances through the Internet. In this paper, we show an applications of RACP to control infrared remote controllers and its implementation using Java. Also, we show its evaluation from the viewpoint of protocol overhead and user-friendliness. Last, we mention the combination of our protocol and the other remote control specifications like Bluetooth for wireless, IEEE 1394 and USB.
著者
高須 正規 大場 恵典 井口 智詞 西飯 直仁 前田 貞俊 北川 均
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.985-987, 2007-09-25
被引用文献数
2

高血糖の黒毛和種牛のインスリン分泌能評価のためにプロピオン酸負荷試験(PTT)を試みた.症例牛はグルコース負荷試験(GTT)でインスリン分泌の低下が示され,インスリン依存性糖尿病と診断された.正常牛ではPTTに対するインスリン分泌が認められたが,症例牛では認められなかった.GTTと同様に,PTTで症例牛のインスリン分泌の低下が示されたので,PTTが牛の糖尿病の診断に応用できる可能性が示唆された.
著者
前田 昌純 中元 賢武 中村 憲二 南城 悟 太田 三徳 谷口 清英 坪田 典之 多田 弘人 成毛 韶夫
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.350-358, 1988

1, 562例の気管・気管支形成例の術型について分析, 追補した。術型数は, 1, 569手術例に57, 施行されていた。12の基幹術式のなかで, BBが974手術(62.1%)と最も多く, 続いてTTの282手術(18.0%), TBの92 (5.9%)の順位となる。Tp18手術(1.1%), CRは32手術(2.0%)施行されていた。CR, TB, BB術式は, 各々10, 10, 28のsub type術型にわかれる。手術数の上位3位を示すと, CRでは_<TI>__-CR, _<MM>__-CR_<TM>, ^^<CR>T-IM, TBでは左右のSP, 左右のWPと_<TI>SL, BBでは左右の上葉スリーブ(_<MI>SL SL_<ML>), 左右上葉のWL, 左右のMU吻合術型となる。術型別の合併症では, Tpの77.8%, TMTの40.0%, Teの37.9%, CRの34.4%が目立つ。7気管軟骨輪以下切除のTT, BBのうち_<MI>SL, SL_<ML>, _<MI>WL, WL_<ML>を標準術型とした。合併症頻度は, 各々, 20.3%と12.1%であった。
著者
前田 昌信
出版者
日本流体力学会
雑誌
ながれ : 日本流体力学会誌 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.145-152, 2006-04-25

6回にわたって流体計測について紹介する事になった.計測器は市販品を買ってキッチリ仕事をするもよし,目的に向かって,計測器を開発しながら進むもよし.計測器メーカーを含めた工夫しながら新しいデーターを出してゆく国際的な元気印の仲間,そしてその活動について差し障りない裏話を含め,エレクトロニクスの進展がどう流体計測にかかわってきたか述べよう.
著者
山口 佳子 高木 史典 山下 健一 清水 肇 前田 英明 外輪 健一郎 草壁 克己 山崎 吉一 諸岡 成治
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-345, 2004-05-20

マイクロチャネル内の流体は, その低レイノルズ数のために層流が保たれることが広く知られているが, 屈曲構造を持つマイクロチャネルにおける流体挙動はほとんど明らかにされていなかった. ここでは, ヘアピンカーブ構造を持つマイクロチャネル内の2層流体の流体挙動を掴むために, 共焦点蛍光顕微鏡による流体挙動の3次元的直接観察と, 3次元数値流体力学シミュレーションとを行った. これらの結果, 流速が速い場合, カーブにおける慣性力の影響により2層流の界面は大きくゆがみ, 界面面積の増大を生むことが明らかになった. 界面面積の増大は3倍以上にもなることがあることが示された. 界面面積の増大はそれを通した物質拡散を促進し, 化学反応に影響を与える. このことは, マイクロ流路を化学反応場として利用する際には, 流体挙動および混合挙動を把握した上でチャネル構造の設計および作製を行う必要があることを示唆する.