著者
石黒 章夫 加納 剛史
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,環境に呼応して這行や遊泳,飛行などの異なるロコモーション様式を自己組織的に発現する,広大な稼働環境領域を有するマルチテレストリアルロボットの具現化を目指した.具体的には,「生物は,いかなるロコモーション様式であっても,周囲環境から足がかり(scaffold)を効果的に獲得して,それらから反力を得て推進している」というシンプルな基本原理に基づき, 1)二次元シート状の身体構造を有するヒラムシをモデル生物とした,這行と遊泳を自律的に実現するシート型ロボットの開発,2)陸ヘビが示す這行と海ヘビが示す遊泳の背後にある制御原理の共通性のシミュレーションによる検証,を行った.
著者
山田 剛史
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.64-76, 2013-03-30 (Released:2013-10-30)
参考文献数
100
被引用文献数
1 1

本稿では,2012年度の測定・評価領域の研究の動向を概観する。対象となる研究は,『教育心理学研究』に掲載された論文,日本教育心理学会第54回総会で発表された論文,さらに,国内外の関連する学会等で報告された論文や文献である。本年度に発表された研究を概観するにあたり,(1) 効果量(および, 検定力分析, メタ分析),(2) 項目反応理論,(3) MCMC法に注目した。 2012年度は,これまでその重要性を指摘されながらも十分に実践されているとは言えなかった,効果量やメタ分析に焦点が当たり,普及への一歩を踏み出した年と言えるかもしれない。また,項目反応理論に関する研究が多数報告されたことも本年度の特徴と言えるだろう。 本稿のもう1つの目的は,オープンソースの統計ソフトウェアであるRについて,教育心理学研究における利用の現状と展望について述べることである。Rが心理学研究でどのように利用されてきたか,Rの利用におけるメリットとデメリット,Rと他のソフトウェアの整合性,そしてRを用いた心理統計教育について述べる。
著者
澤田 傑 上坂 克彦 加藤 知行 森本 剛史 小寺 泰弘 鳥井 彰人 平井 孝 安井 健三 山村 義孝 紀藤 毅
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.2190-2194, 1996-11-01
参考文献数
17
被引用文献数
4

症例は52歳の女性.1981年7月,S状結腸癌を伴う大腸腺腫症の診断で結腸全摘および直腸低位前方切除術を施行した.1985年8月,CTで腹腔内デスモイド腫瘍が疑われタモキシフェン,スリンダクの内服治療を行い臨床上縮小した.1995年7月,内視鏡にて十二指腸多発性腺腫,および十二指腸下行部のVater乳頭対側に3個の腺腫内癌を診断した.9月7日全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除の予定で開腹したが,小腸間膜を広範に巻き込むデスモイド腫瘍のため再建不能と判断し十二指腸壁を切開し主だった腫瘍を摘出,小ポリープは可能な限り焼灼した.大腸腺腫症に十二指腸病変は高頻度に合併するが,傍乳頭部領域以外の部位から発生した多発性十二指腸癌の報告例はまれである.また,この際腸間膜のデスモイド腫瘍を併発すると外科的治療に制約が加えられることが有りえるので治療法の選択上注意が必要である.
著者
土岐 剛史 高橋 幸弘 山田 嘉典 福西 浩 中村 卓司 TAYLOR Michal J.
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.83-91, 1998-03

1996年8月に実施されたSEEKキャンペーンにおいて, 地上からの高感度イメージャーによる大気波動の観測が鹿児島県内の内之浦, 山川, 大隅と信楽の計4ヵ所で実施された。キャンペーン期間中の鹿児島地方は天候に優れない日が多かったが, 8月9日から22日の間に, 内之浦, 山川, 大隅でそれぞれ, 4夜, 7夜, 1夜, 大気光イメージデータが取得された。信楽での観測は8夜であった。今回の地上からの大気光観測の主な目的は, レーダーで観測される電離圏における準周期的イレギュラリティーと大気光に見られる中性大気中の重力波の特性を, ロケットによる観測とあわせてそのメカニズムを検討解明することにある。各観測データと比較する上で, 大気光の発光高度を正確に決定することは極めて重要な課題である。我々は鹿児島の3ヵ所の観測から, 三画法を用いてOH大気光の発光高度の推定を計画した。残念ながらロケット打ち上げ時は天候に恵まれず同時観測データは得られなかったが, キャンペーン期間中内之浦と山川に設置された2台の大気光全天イメージャによる同時観測に成功した。8月19日の晩, 2台のイメージャで同時に顕著なOH大気光の波状構造を観測した。これら2地点で同時に取得された画像に, 大気波動構造の発光高度決定としては初めて, FFT及び精密な三角法を用いて解析を行った。その結果, 波状構造の発光高度は89±3kmと求められた。これはロケット観測などによる従来の結果とほぼ一致する。MFレーダーによって, この高度の数km上空で回時に強い南向きの風速シアーが観測されており, 重力波の発生原因の有力な候補と考えられる。
著者
林 創 山田 剛史
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.18, pp.41-51, 2012

The purpose of this study is to examine whether the disposition to critical thinking of university students can be improved by teaching "research literacy, " a term corresponding to the basic academic skills needed for research. Nineteen junior-year students participated in a seminar on research literacy, focusing on its relations to the abilities of academic writing and data analysis. Participants were required in advance to submit assignments on applying academic writing and data analysis. Furthermore, they were measured with a critical thinking disposition scale before and after the seminar. From the results, the participants' answers on the assignments showed that about half of them did not adequately understand the essence of academic writing. Most participants created both good and bad examples of critical thinking. Furthermore, performance on the critical thinking disposition scale for participants who learned research literacy in the seminar clearly improved compared with a control group not taking the seminar. These results demonstrate that it is important not only to teach research literacy to university students around the sophomore or junior year but also to give them opportunities to think critically. This would lead to an improved disposition to critical thinking of the students.
著者
安田 正昭 山田 剛史 石原 昌信 当山 清善
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.125-134, 1992-12-01

酵素活性及び生酸性のバランスがとれた泡盛麹菌(Aspergillus awamori, Nakazawa IFO 4033)の生産するα-アミラーゼ及びグルコアミラーゼの酵素化学的諸性質を検討し,以下の結果を得た。(1)供試菌株の生産するα-アミラーゼの反応最適pHは4.5∿5.5,pH安定性は3.0∿6.0の範囲で安定であった。本酵素の反応最適温度は65℃,温度安定性は60℃まで安定であった。(2)供試菌株の生産するグルコアミラーゼの最適pHは5付近(4.3∿5.3)で,pH安定性は3.5∿6.0の範囲で安定であった。本酵素の反応最適温度は60℃,温度安定性は60℃まで安定であった。(3)供試菌株グルコアミラーゼの米(タイ国産砕米,うるち,もち),馬鈴薯,甘藷,小麦,とうもろこしの糊化デンプンに対する反応性を調べたところ,いずれも可溶性デンプンとほぼ同様の値を示した。(4)供試菌株グルコアミラーゼのタイ国産砕米デンプンに対する加水分解率は反応時間の経過に伴い増大し,反応24時間における値は82%であった。(5)供試菌株の生デンプン(タイ国産砕米)の分解活性の反応最適pHは3.2∿3.5であった。(6)供試菌株の各種生デンプン分解活性はウルチ米,タイ国産砕米及びもち米などで高い値を示し,小麦やとうもろこしにも比較的高い値を示した。しかし,生馬鈴薯デンプンに対する分解活性は著しく低い値を示した。
著者
関口 真 右田 剛史 尺長健
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.189-196, 2005-03-04
参考文献数
9

物体表面の反射特性の表現法として双方向テクスチャ関数(BTF)が提案されている.厳密なBTFの獲得はパラメータの自由度が高く,困難である.そこで本稿では,パラメータの自由度を減らすために,基底反射モデルの線形結合による表現方法について述べ,これを用いた反射特性と物体形状の同時復元について検討する.基底モデルにTorrance-Sparrowモデルを利用して,反射特性の表現に必要なパラメータ(基底モデル・結合重み・形状・光源位置)の推定を行う.推定するパラメータ数が十万を超える大規模非線形最適化問題であるが,共役勾配法を拡張したBDCG法によって解くことができる.陶器を対象物体とし実験を行い,手法の有効性を確認した.Synthesizing photo-realistic images requires realistic models for geometry and photometry. We address an acquisition and representation method for a Bidirectional Texture Function which is a 2D array of functions representing appearance changes of a texture with respect to changes in lighting condition. We discuss a method for simultaneous estimation of the model parameters and the object shape from real images of potteries
著者
及川 武史 野本 靖史 木下 孔明 平田 剛史
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.654-660, 2008-05-15
被引用文献数
3

緊張性気胸により完全気道閉塞となった気管支腫瘍を経験したので報告する.症例は30歳男性.以前より喘息を指摘されていたが咳嗽が悪化したため近医受診.胸部レントゲン写真上に異常陰影を指摘されたため,当センター呼吸器内科に紹介され入院となった.入院後の気管支鏡にてポリープ状巨大気管支腫瘍が左上区支末梢より発生し気管へ突出していることを確認し,生検を行いfibroepithelial polypと診断した.初回治療では気管に突出している部分の腫瘍のみを気管支鏡にてスネアリングおよびレーサー焼灼した.その後,追加治療を計画していたが,突然の呼吸停止を認めた.気管内挿管施行後の気管支鏡では腫瘍が気管を閉塞しており,胸部X線写真では左緊張性気胸となっていた.呼吸器外科に転科後,左上葉切除術を施行し気管支腫瘍を摘出した.現在まで約2年の経過観察を行っているが無再発生存中である.
著者
井口 将秀 千田 豊 中嶋 秀夫 小川 剛史 片山 義紀 小方 大成 峯村 敏幸 宮部 圭介 渡海 大輔 新見 健一郎
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.193-199, 2012-03-25 (Released:2012-07-04)
参考文献数
11
被引用文献数
5 2

The Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has conducted activities in Japan since March 2009 in order to establish the manufacturing procedure for the ITER toroidal field (TF) coil structures. A TF coil structure consists of a TF coil case and components. The activities include ensuring that the structural materials and welding procedure comply with the Japan Society of Mechanical Engineers (JSME) code for fusion devices, and demonstrating the manufacturing method and procedures using full-scale segments of the TF coil structure. From the results of these activities, the JAEA confirmed that the quality control method of actual series TF coil structures complies with the JSME code. Therefore, the quality of structural materials and weld joints using gas tungsten arc welding (GTAW) satisfy the ITER requirements. In addition, the JAEA obtained knowledge regarding the welding deformation of the actual TF coil structures. This paper describes the results of these compliance and development activities for ITER TF coil structures.
著者
藤原 諒也 大谷 智一 佐藤 剛史 矢部 光保
出版者
九州大学大学院農学研究院
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:13470159)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.81-90, 2012-09-20 (Released:2012-10-02)

Can farmers sell agricultural products at the higher price by reduction of greenhouse gas (GHG)? Or can we find the decreasing marginal willingness to pay(MWTP)by the increasing reduction rate of GHG emission under the law of diminishing marginal utility? If so, what is the most beneficial way to deal with GHG emission for farmers? In order to answer these questions, we conducted an internet survey and got 2062 response. We used Ordered Probit Model to analyze consumer’s preference of rice produced by reduction of GHG emission and find the following results: the highest MWTP for reduction rate of GHG was 10.10 yen between 5 and 10 percent; 6.13 yen was between the 10 and 20 percent; 4.59 yen was between 20 and 50 percent; 0.89 yen was between 50 and 70 percent; MWTP, however, increased by up to 4.20 yen between 70 and 100 percent. Base on this result, we can say that consumers appreciate even a small reduction of GHG and then for farmers to start such activities from the small redaction is effective way when they sell environmental friendly agricultural products. Consumers also find another value for high reduction rate of GHG close to 100 percent. Additionally, other characteristics of consumers who appreciate reduction of GHG were young generation, high income, and more knowledge of farmer’s activities of GHG reduction. 温室効果ガス削減に関する農家の努力は, 農産物の付加価値として, より高い価格では販売することは可能であろうか. また, 温室効果ガスの削減率の増加につれて, 限界効用逓減の法則に従い, 追加1当たり支払意志額は低減であろうか. もし, そうであれば, 農家としてどの程度の削減努力を行うのが妥当であろうか. このような問いに答えるため, 20代以上の女性に対して, インターネットサーベイを行い, 2062名から回答を得た. そして, 米5キログラムを対象に, 温室効果ガス排出量削減に配慮した米への選好について, 順序プロビット・モデルを用いた分析を行い, 以下の結果を得た. 回答者は二酸化炭素の追加1%削減当たりの支払意思額は5% 〜 10%間が最も高く10.10円となり, 10% 〜 20%間が6.13円, 20% 〜 50%間が4.59円, 50%〜 70%間が0.89円と逓減した. 他方, 70% 〜 100%間では上昇し4.20円となった. この結果から, 削減が少量であったとしても消費者は削減を評価しており, 温暖化問題に配慮した農産物を販売する場合, まずは, 生産者は少量の削減に取り組むことが効率的だと考えられる. 他方, 100%に近い削減に対しては, 消費者は新たな価値を見いだしていることも明らかになった. また, 温室効果ガス排出量を削減した農産物を相対的に高く評価するのは, 若い世代や年収の高い消費者, 農家の取組に関する知識が多い消費者であった.
著者
齊藤 剛史 金子 豊久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1419-1429, 2001-07-01
被引用文献数
20

本論文では野草の自動認識法について提案する. 一つの野草について真上かそれに近い斜め上の角度から撮影した花画像と葉画像の2枚を1セットとして用いる. クラスタリング法を用いて各画像から対象物(花, 葉)を抽出し, 花画像から10個, 葉画像から11個の特徴量を求め区分的線形識別関数により認識を行う. 我々は春から初夏にかけて大学キャンパス付近に生育する34種各20セットの野草を収集し実験を行った. 実験結果ではすべての特徴量(21)を用いた場合96.0%の認識率を得た. 次に認識において特に有効な特徴量を選び出す実験を行い, その結果花画像から6個, 葉画像から2個の特徴量が有効であることを示し, 96.8%の認識率を得ることができた.
著者
茅野 剛史 多田 好克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [プログラミング-言語基礎実践-]
巻号頁・発行日
vol.94, no.65, pp.145-152, 1994-07-21

協調言語であるLindaは,現在UNIXワークステーション上で実現されたものが多い.また,現行のLindaシステムではデータ通信の手段であるタプル空間がひとつのワークステーション上にしかないものが多く,そのためにさまざまな問題が発生している.本研究では,タプル空間がひとつしかないことによって起こる問題を解決するために,タプル空間が複数の計算機上に分散して存在するLindaシステムを提案する.また,効率をあげるためにアプリケーションのデータの扱いによって,分散のさせ方を変更するアプリケーション指向のアルゴリズムを考案する.今回の実現では,既存のシステムを改良し,Lindaのセマンティクスを用いて分散システムを記述した.