著者
藤森 林 栗田 浩 小塚 一芳 小嶋 由子 中塚 厚史 小池 剛史 小林 啓一 倉科 憲治
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.81-89, 2003-09-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

本報告の目的は, 外来口腔外科処置における同意書の使用状況を把握することである. 対象は, 全国大学病院歯科口腔外科113施設とした. 質問は, 普通抜歯, 埋伏抜歯, 外来手術の処置別に, 現在の同意書の使用状況同意書を用いる必要性, 同意書を用いる予定があるか, 調査した. そして, 最後に患者とのトラブルを防止する工夫を記載してもらった. 75施設 (回収率66.4%) より回答が得られ, 結果は以下の通りであった. 現在同意書は, 普通抜歯で26%, 埋伏抜歯・外来手術で約半数の施設で活用されていた. 同意書の必要性は, 普通抜歯で約半分, 埋伏抜歯, 外来手術で約8割の施設で感じていた. また, 約9割の施設が今後同意書を活用する予定, あるいは検討中と解答した.
著者
町野 麻美 若松 正樹 開田 剛史 森 康一郎 白 晋
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.666-669, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
13

【目的】末梢血白血球数(WBC)が著増する類白血病反応(leukemoid reaction, LR)の臨床的意義をICU入室患者において遡及的に検討した。【対象と方法】最近4年間にWBCが3万/μl以上を呈した患者の基礎疾患,検査所見,転帰などを調べた。【結果】LRは46例に認め,基礎疾患から,感染群(31例)と非感染群(15例)に大別された。前者のうち24例で起因菌が同定された。後者は腹腔内出血6例,心肺蘇生後4例などであった。年齢,WBC最高値,LR持続日数,担癌患者数,ステロイド使用数は感染群で有意に高値であった。好中球の核左方移動は両群とも約87%に認めた。半年後の死亡率に差はなかった(感染群51%,非感染群60%)。【結語】LRはICU入室患者の約2%に発症し,基礎疾患は感染症が多く,非感染例の約2倍を占めた。ICUでのLR発症には,感染症の有無を問わず,予後不良を念頭に置いた全身管理が肝要と考えられた。
著者
羽鳥 剛史 鄭 蝦榮 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.148-167, 2008

本研究では,第3者委員会の実施が,住民のプロジェクト計画に対する信頼形成に及ぼす影響を分析する.その際,第3者委員会の役割として,1)プロジェクト評価情報の集約,2)プロジェクト計画に対する住民の信頼形成,という2つの役割に着目する.その際,公開の場で実施される第3者委員会を,2つのコミュニケーションモデルを統合した連結ゲームとして定式化する.具体的には,行政と第3者委員,行政と住民のコミュニケーション関係を主観的ゲームとして記述する.その結果,連結ゲームでは,委員の戦略的発言により,非効率的なコミュニケーション均衡が実現する可能性があることを指摘する.さらに,第3者委員会の公開制度が有する問題点を克服するための方策について理論的に考察する.
著者
丸山 剛史 白石 崇人 内田 徹 船寄 俊雄 笠間 賢二 釜田 史 山本 朗登 大谷 奨 井上 惠美子 亀澤 朋恵
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、第二次大戦前日本の小学校・国民学校教員(以下、初等教員)検定制度の府県比較と中央の初等教員検定関係法令制定・改正過程に関する総合的研究である。府県比較に関しては、北海道、鳥取県、長野県、埼玉県、宮城県、山口県の道県を取り上げた。中央法令制定・改正過程の検討には『公文録』・『公文類聚』等の法令起草・成文関係史料等を用いる。本年度は学制発布から小学校教員検定等ニ関スル規則施行下の時期(1872-1900年)に限定し、検討を行った。検討の結果、次のことが明らかになった。1)府県比較に関して。北海道に関しては、資料調査により北海道道立文書館には初等教員検定関係の史料はほとんど残されていないことが判明したが、北海道教育会の機関誌に初等教員検定制度を活用した教員養成講習会に関する記事が掲載されているほか、合否判定基準等を記した検定内規も掲載されていることがわかった。検定関係規則は「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定細則」等の名称により北海道庁令で規定されていたことも判明した。長野県に関しては、資料調査により長野県立歴史館に『長野県報』、検定関係文書が所蔵されており、特に検定関係文書はこれまで非公開文書が多かったが、問い合わせにより非公開文書のほぼすべてが公開されることになった。また、検定関係規則は長野県令により「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定及免許状ニ関スル細則」、「小学校令及小学校令施行規則実施ニ関スル規程」等の名称により規定されていたことがわかった(他県に関しては文字数の制限により省略)。2)中央法令制定・改正過程の検討に関しては、国立公文書館には画期的な史料は見つけ出すことはできなかったが、府県教育会機関誌等に「小学校教員検定ニ関スル規則」制定過程に言及した記事があることがわかった。
著者
吉永 明弘 寺本 剛 山本 剛史 熊坂 元大
出版者
江戸川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

学術雑誌『環境倫理』を発行した。2016年度に、小平の住民運動、福島第一原発事故後の双葉町長の避難に関する諸問題、吉野川河口堰に関する住民投票について、キーパーソンにインタビューを行い、ローカルな環境倫理を現場から掘り起こすことを試みた。それらを今年度は原稿にまとめ、解題もつけて雑誌に掲載した。並行して、勁草書房より、吉永明弘『ブックガイド環境倫理』と吉永明弘・福永真弓編『未来の環境倫理学』を刊行した。これらによって、過去の環境倫理学や環境論をレビューすること、最先端の環境倫理学の議論を紹介すること(原発に対する応答、世代間倫理、環境徳倫理、未来倫理、気候工学、環境正義、人新世における倫理など)が達成された。1年間に3冊の本を刊行することができ、関係者に献本したところ、たいへん好評だった。
著者
近藤 夏樹 辻内 智郁 村重 敦 西村 宏貴 青木 誠 土橋 明彦 山川 榮一 青山 剛史 齊藤 茂
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.51, no.592, pp.198-206, 2003 (Released:2003-09-26)
参考文献数
16

A low-noise helicopter blade, AT1, was designed with the concept of reducing noise without the drop of rotor performance. In the concept, High-Speed Impulsive (HSI) noise is reduced by applying a thin airfoil in the tip region and a dog-tooth like extension in the leading-edge of the tip region. Blade-Vortex Interaction (BVI) noise is reduced by applying the extension and a strong taper near the tip end. The stall angle of the blade is increased by the effect of the vortex generated from the leading-edge extension. As a result, the drop of rotor performance caused by the thin airfoil and the reduction of rotor rotational speed is recovered. The low-noise characteristics and the performance of AT1 were evaluated by a model rotor test conducted at Deutsch Niederländischer Windkanal (DNW). It is shown that AT1 reduces HSI noise and BVI noise and has good performance in forward flight conditions. However, the improvement of performance in high-lift conditions still remains as a future problem.
著者
有馬 雅史 坂本 明美 幡野 雅彦 徳久 剛史 岡田 誠治
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

転写抑制因子であるBCL6はTh2サイトカインの産生に対して負の制御を行っている可能性が示唆されている。我々は、Th2型気道炎症を呈する気管支喘息の病態の解明や新たな治療の開発のための基盤研究として、BCL6のTh2サイトカイン産生および喘息性気道炎症における作用メカニズムについて解析した。本研究では、以下の点について明らかにすることができた。1.BCL6はT細胞によるTh2サイトカインの産生を抑制し、少なくともIL-5遺伝子はBCL6の標的遺伝子であり、その機序としてIL-5遺伝子の第4エクソンの3'末端の非翻訳領域にBCL6が直接結合して転写活性を抑制することを示した。2.BCL6はTh1細胞や休止期のTh2細胞に対してIL-5遺伝子のstabilityに関与する。3.マウスの喘息モデルでBCL6の強発現によってのTh2サイトカイン産生を抑制し、好酸球を中心とする気管支喘息の気道炎症を減弱することによって気道過敏性の亢進を抑制した。3.BCL6は樹状細胞(DC)の分化や機能を介してTh2細胞の分化を制御する。したがって、BCL6はリンパ球以外に抗原提示細胞の機能も制御してTh2型反応を総合的に制御すると考えられた。以上よりBCL6はリンパ球とDCの両方に対してTh2細胞の分化や機能を制御してTh2喘息性気道炎症の病態に関与する可能性があることを示した.このような研究成果は単に気管支喘息の治療法の開発につたがるばかりか、アレルギー性疾患の発症メカニズムの解明にもつながることが期待できる点において大変重要である.
著者
江里 俊樹 川畑 仁人 今村 充 神崎 健仁 赤平 理紗 道下 和也 土肥 眞 徳久 剛史 山本 一彦
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.331a, 2013 (Released:2013-10-31)

抗核抗体は,全身性エリテマトーデスを始めとする種々の全身性自己免疫疾患の主要な特徴の一つであるが,その産生メカニズムは明らかではない.過去の報告によると,胸腺を欠いたヌードマウスでは抗核抗体産生とループス様の自己免疫が見られ,ヌードマウスにCD4+CD25−細胞を移入するモデルでは様々な自己抗体産生と臓器特異的自己免疫が見られる.我々はこれらのマウスモデルを用いて,lymphopenia-induced proliferation (LIP)を介した移入T細胞のfollicular helper T細胞(TFH)への分化,および腸内細菌の関与,という観点から抗核抗体産生について検討した.BALB/c野生型マウスからCD4+CD25−(conventional T)細胞を移入したBALB/cヌードマウスでは,IgG型抗核抗体を始めとする様々な自己抗体産生が早期に高率に見られた.移入されたconventional T細胞はLIPによってIL-21産生PD-1+TFH細胞へと分化し,germinal center形成と異常なB細胞応答を引き起こすことが観察された.さらに経口広域抗生剤投与によって腸内細菌を除去すると,LIPを介したTFH細胞分化の減少と,自己抗体産生の低下が見られた.腸内細菌が抗核抗体産生に重要な役割を果たしているという今回の新たな発見は,全身性自己免疫疾患の病態解明と新たな治療へつながる可能性がある.
著者
波多野 元貴 三浦 亜友 森安 健太 西脇 剛史
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2015 (ISSN:24329509)
巻号頁・発行日
pp._B-15-1_-_B-15-7_, 2015-10-30 (Released:2017-06-19)

In strength training, squat exercise is a representative example of lower extremity training. As target muscles of squat exercise are mainly knee extensrs and hip extensors, it is well-known that posture can effect on the main muscles activities. In addition, it is pointed out that injuries on squat exercise such as patellar tendinitis and low back pain are caused by the wrong posture. Therefore, it is important to design shoe function considering safety posture, effective load, and stability. However, athletes and trainee tend to do barbell squat exercise with various types of shoes such as weight lifting specific shoes, versatile training shoes, and indoor athletic shoes. Hence shoe heel-heights, which are derived from sole thickness difference between rearfoot and forefoot, are widely different from almost 0mm to over 20mm and might change the effect of training. The purpose of this study is to investigate the influence of the shoe heel-height on squat motion. Firstly the motion analysis was conducted and it was confirmed that low heel-height structure leads anterior projection of the knee and high load on knee joint. In contrast, high heel-height structure causes trunk forward tilting and high load on hip joint. Secondly, the relationship between experience of the exercise and shoe heel-height was investigated using beginner and experienced subjects. Judging from the results, it was concluded that shoe heel-height makes influence on squat motion especially posture and load for beginners and stability for experiencesd subjects.
著者
渋川 剛史 浅野 周平 十河 孝介 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.408-415, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

人口減少時代に突入した我が国では、少子高齢化の進展も著しく、持続可能な都市構造への転換が急がれており、各自治体で「立地適正化計画」の策定及び、本計画に基づく都市構造の転換に取り組んでいる。また、本計画では、およそ5年毎に計画の進捗を評価・見直しが要請されているが、施設誘導や公共交通サービスの改善に対する面的な評価は、把握できるデータの制約などから、十分な評価ができていない。一方で近年、携帯電話基地局データなどにより、施策実施前後の中心市街地などに滞在する属性別人数の変化を把握することが可能となっている。そこで本研究では、立地適正化計画の適切な進捗管理の実践に向け、既存指標の課題を整理し、課題に対応する評価指標として携帯電話基地局データの活用方法についてケーススタディを通じて検討を行った。
著者
羽鳥 剛史 福田 大輔 三木谷 智 藤井 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.107-114, 2012 (Released:2013-01-11)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究の目的は、モノに関する記憶の想起がそのモノに対する愛着意識にどのような影響を及ぼすかについて実証的に検討することである。この目的の下、具体的なモノとして「自転車」に着目し、大田区在住の自転車利用者704名を対象として実験を行った。この実験では、自転車に関する記憶を想起する条件を設定し、自転車への愛着意識に及ぼす影響を検証した。併せて、放置駐輪問題に関して、実験対象者の放置駐輪に対する態度を測定し、実験条件との関連を検討した。その結果、自転車に関する記憶を想起することにより、自転車への愛着意識が向上する効果が示された。さらに、自転車への愛着意識が放置駐輪を控える傾向と関連している可能性が示された。自転車に関する記憶の想起と放置駐輪に関わる態度との間には直接的な関連性は認められなかったが、共分散構造分析より、自転車に関する記憶の想起が愛着意識を活性化し、愛着意識が放置自転車配慮傾向(及び放置駐輪抑制意図)、放置自転車配慮傾向が放置駐輪抑制意図を活性化する、という因果プロセスの妥当性が示された。また、自転車に関わる記憶の想起による効果がどのような条件に依存しているかについて検証したところ、主な交通手段が自転車でない人、有料駐輪場を利用しない人、盗難経験のない人においては、自転車に関わる記憶を想起することによって、自転車への愛着が向上する効果がとりわけ強いという結果が示された。最後に、本研究の結果が放置駐輪問題に対して示唆する点についてとりまとめた。
著者
大崎 淳史 関戸 洋子 仲谷 剛史 後藤 匠 西出 和彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.704, pp.2135-2142, 2014-10-30 (Released:2014-10-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

This paper reports the results of experiments in which two astronauts evaluate the volume and impression of the laboratory room and the storage room in the Japanese Experiment Module "Kibo" of the International Space Station under microgravity, and 29 students evaluate the volume and impression of the two mockup rooms on the ground. The results are as follows. 1) The volume of the storage room of ISS was overestimated, or the volume of the laboratory room was underestimated. On the other hand, both the volume of the two mockup rooms were evaluated almost exactly. 2) Both the storage room and the laboratory room of ISS were evaluated as being "spacious", "not oppressive", "calming" and "comfortable". On the other hand, the mockup of the storage room was evaluated as being "not spacious", "oppressive" and "calming", and that of the laboratory room was evaluated as being "spacious", "not oppressive" and "not comfortable".
著者
藤井 聡 谷口 綾子 羽鳥 剛史
出版者
東京工業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は,土木計画における公共受容や合意形成の問題を考える上で,個人の心理的傾向性として「大衆性」に着目した.そして,オルテガの政治哲学理論を踏まえ,行政行為が一切変化しない状況でも,公衆が大衆化することで公共事業に対する合意形成が困難となるであろうという仮説を理論的に措定した.そして,大学生100名を対象としたアンケート調査を通じて,その仮説を実証的に検証した.その際,大衆社会論の代表的古典であるオルテガ著「大衆の反逆」(1930)を基にして構成された個人の大衆性尺度を用い,それら尺度が,政府・行政や公共事業に対する態度に及ぼす影響を分析した.その結果,本研究の仮説が支持され.大衆性が公共事業に対する合意形成を阻害する可能性が示された.以上の結果は,人々の大衆性が昨今の行政不信と公共事業を巡る合意形成問題をもたらし得る本質的な原因であり,そうした問題の解消にあたっては,人々の大衆性を低減することが本質的課題であることを示唆するものである.次に,以上の先行研究を受けて,個人の大衆性を低減するための方途を探ることを目的として,人々とのコミュニケーションを通じた態度変容施策の一つとして,「読書」の効果について実証的に検討した.そして,内村鑑三著「代表的日本人」(1908)に着目し,本書を通読することによって,人々の大衆性が低減するという仮定を措定し,実証実験を通じて本仮説を検証した.その結果,本研究の仮説が支持され,「代表的日本人」を通読することによって,人々の大衆性が低減し得る可能性が示された.
著者
榊 剛史 鳥海 不二夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2C201, 2018

<p>フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.我々は,それらの現象を引き起こす原因の一つとして,ソーシャルポルノという仮説を提案する.ソーシャルポルノとは,「特定のコミュニティに属するユーザが、脊髄反射的に拡散・共有してしまいたくなる情報」を意味する. 本論文では,ソーシャルポルノの観測を行う前段階として,ユーザ反応時間という尺度を定義し,いくつかのツイートについて,ユーザ反応時間分布の違いを考察した.結果として,特定のコミュニティのユーザが拡散する投稿とランダム抽出した投稿には,ユーザ反応時間の分布に違いが生じる可能性が示唆された.</p>
著者
小川 剛史 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.45, pp.109-114, 2000-05-25
被引用文献数
3

近年,ビデオ会議や仮想空間を用いた電子会議など遠隔会議を支援する研究が盛んに行われている.ビデオ映像では相手の存在感を十分に表現できないという問題が生じる.また,仮想空間を用いて会議を行っても多くのユーザが参加すると一人一人の姿がよく見えないという問題がある.会議など話し合いをするときには相手の姿が見え,相手の存在感を感じて意見を交換することが重要である.そこで本稿では,仮想空間を利用するシステムに注目し,特に大多数のユーザが参加している場合でも,発言者の姿を確認できる仮想空間の提示手法として,自動ズーミングと自動ロケーティングと呼ぶ手法を提案する.自動ズーミングでは,広い1つの仮想空間で会議を行う場合には発言者付近を拡大表示している.自動ロケーティングでは,複数の狭い空間からなる仮想空間で会議を行う場合には発言のあった空間に随時表示を切り替えて表示している.さらに筆者らがこれまでに提案した空間提示手法であるIBNR(Image Based Non-Rendering)で構築した仮想空間を用いて,電子会議をWeb上で実現するシステムの実装を行ったので,そのシステムの構成について述べる.Recently, there are many studies which support remote conferences such as video conference and teleconference using virtual spaces. In video conference systems, it is generally difficult to represent the existence of other participants. On the other hand, in conference systems using virtual space, participants cannot clearly see each other when many users participate in the conference. In this paper, focusing on teleconference system using virtual spaces, we propose presentation methods, called auto-zooming and auto-locating, of a virtual space where each participant can see the speaker, even if there are many participants in the virtual space. In auto-zooming, when a conference is held in a single subspace, the subspace is zoomed in to show a bigger image of the speaker. In auto-locating, when the conference is held across multiple subspaces, the subspace which contains the most recent speaker is displayed. We also describe our teleconference system on the web using virtual space constructed by IBNR (image-based non-rendering), the virtual space representation system which we have proposed previously.
著者
清水 彬光 上村 剛史
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.3-16, 2018-04-27 (Released:2018-05-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1

新宿区立おとめ山公園の自然湧水とその周辺にある井戸の地下水面標高を対象に,7年間以上(湧出量:2009年4月~2016年1月,地下水面標高:2011年9月~2015年5月)に渡ってモニタリング調査を行った。近接する観測地点の降水量から地下水面標高を推定するタンクモデルを構築したところ,地下水面標高の変動が高精度(NSE=0.993,RMSE=0.221 m)で再現された。その上で,タンクモデルを広域に適応できるという仮定の下,解析雨量を利用して公園周辺の涵養域に関する考察を試みた。まず,5つの涵養域候補を設定し,それぞれの平均降水量を算出した。続いて,タンクモデルのパラメーターは固定して,5つの降水量から算出される地下水面標高と実測値とを比較し,NSE, RMSEを用いた結果,NSEが最大,RMSEが最小となる範囲があった。本稿では,この範囲が涵養域であると直ちに結論付けることはできないが,今後適切なモデルを構築できれば,解析雨量とタンクモデルを用いた分析を涵養域推定の一つの方法として用いることができる可能性が示された。また,水質調査の結果,晴天時と比べて大雨時におけるSiO2濃度・電気伝導度の優位な低下が見られず,おとめ山公園では地中の古い水が押し出されて湧出している可能性が示された。