著者
緒方英彦 加藤諭 清水邦宏 金子英敏
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

既存の付着強さ試験は,鋼製治具を接着剤でコンクリート表面に固定する方法であるために,表面の付着物や水分状態の影響を受け,試験面が滞水している場合には試験そのものが実施できない。この課題を解決するために,著者らは,アンカー機構の治具による無機系補修材料の付着強さ試験方法の開発を進めている。本論では,既存の接着方法と同等の結果を得るためのアンカー治具を設計するとともに,試験方法を室内試験で検討し,開発した試験方法を現地試験で検証した。その結果,反力板を用いることで破断面積を均一にでき,接着方法と同じ引張強度が得られることを明らかにした。
著者
加藤 博之 松谷 秀哉 大沢 弘 中根 明夫
出版者
弘前大学21世紀教育センター
雑誌
21世紀教育フォーラム
巻号頁・発行日
vol.9, pp.27-33, 2014-03-31

【背景と目的】医学部医学科1 年生に対し、入学後のモチベーションの低下を防ぎ、医師のプロフェッショナリズムを意識させながら、能動的な学習姿勢を涵養する教育方法は、未だ確立されたものがない。本学では1 年次に「臨床医学入門」の授業を行なって、この問題への対応に努めているが、その一環として行われたワークショップ授業と教育効果について報告する。【対象と方法】1 年生を対象とし、平成21年度より開講している科目「臨床医学入門」の一環として6 月にワークショップを実施した。学生を小グループに分け、まず附属病院内の七夕飾りとして、患者・家族が願い事を書いた短冊を見せた。その後「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」をテーマとして、KJ 法を用いてプロダクトを作成し、全員の前で発表した。更に自由記載形式のアンケートで、ワークショップの感想を記載してもらった。【結果】プロダクトにまとめられた学生たちの意見は、患者・家族の願いは想像以上に多様であり、また医師や医療に対する期待は大きく、切実な思いを痛感したとするものが多かった。アンケートでは、患者・家族の期待に応えるための努力の必要性、高い目的を持ち真剣に学ぼうとしている仲間への尊敬、グループワーク自体が将来のチーム医療の練習であるなど、医師を目指す上での認識を新たにしているものが多かった。【結論】1 年生に患者・家族の医療に対する思いを情報として伝え、かつ同級生同士討論することは、医師の社会的役割を改めて認識させると同時に、学習に対する有力な動機付けとなりうる
著者
合田 和史 林 秀樹 加藤 優 上村 里菜 北夕 太郎 岩本 理央 近藤 剛弘 杉山 正
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.44-49, 2015-01-10 (Released:2016-01-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In Japan, the online distribution of over-the-counter (OTC) drugs began in June 2014. A distributor has a duty to explain information about drugs to consumers, as well as to provide OTC drugs that have undergone quality control. In this study, we investigated the method of identifying health conditions of customers and the delivery channels of OTC drugs from the distributors to consumers, using 130 online stores as our sample. First-class OTC drugs were sold at 29 stores; pharmacists are required to explain information about these drugs to consumers. All the stores set up a column on which consumers could select their health conditions on a computer screen. However, in 25 of the stores, “no problem” had been inserted in the column beforehand. This meant that consumers could buy first-class OTC drugs without indicating their health conditions. Felbinac-containing poultices, which are contraindicated for pregnant women, were sold at 99 stores. However, consumers could buy the poultices at 91 stores without providing information about pregnancy. All the stores delivered OTC drugs through home delivery services, which did not store the drugs in cool conditions. In addition, some stores delivered suppositories by mail services in summer. These findings suggest the need for online distribution of OTC drugs to incorporate an improved method of providing drug information to consumers and ensuring quality control.
著者
沼倉 彬雄 加藤 成将 佐藤 和幸 富沢 武弥 三好 扶 明石 卓也 金 天海
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.993-994, 2015-03-17 (Released:2016-06-20)

本稿では,木構造を用いた階層型学習器である力学系学習木を提案する.力学系学習木は力学系の挙動の階層的な関数近似を行う.水面上での船体の運動など,力学的挙動の数式表現が困難な場合には,実機データの関数近似が有効である.力学系学習木は実機データを階層的に整理して学習することで,データ密度に合わせた適応的な汎化(A)を実現できる.また,データのノイズ除去(B)やオンライン学習(C)も同時に実現できる.振り子の運動や船体運動の学習で力学系学習木を評価した結果,機能A,B,Cが確認できた他,船体運動の外乱推定にも応用できることが分かった.力学系学習木は任意の連続力学系に適用できるため,今後は様々な力学系への応用を試みたい.
著者
山内結子 加藤大一郎 野口 英男 阿部 一雄 榎並 和雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.63, pp.31-36, 1995-07-14
被引用文献数
4

スポーツなどの生中継において、カメラの映像だけではわかりにくいボールなどの対象物の3次元位置を正確に伝えるために、三角測量の原理を用いて軌跡表示システム「ショットビュー」を開発した。操作する2台のカメラの角度と、カメラ間の距離から位置計算を行なう手法を取っており、システムに必要なカメラ角度の粘度を求めて、ゴルフボールの弾道を可視化する実験を行なった。その結果、カメラの設置位置と、表示に制限を加えることにより、ゴルフ中継への適用を可能にしたので報告する。また、放送用にリアルタイムのシステムを構築し、実験機を使用して放送した例について紹介する。This paper describes a newly developed real time locus indication system for golf ball in flight. The system, named "Shot View", detects the three dimensional position of the ball according to triangulation principles using the motion angle of two cameras to track the ball, and indicates the locus on a course layout background. The experiments conducted to ascertain its applicability to golf, and the system has been applied to long drives shots at a distant hole during several golf broadcasts.
著者
加藤 啓介
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.11-14, 1980
被引用文献数
1

われわれ日本人が食肉として用いる家畜は,牛・豚・鶏が主要なもので,その他の家畜はとるに足りない。このことの第一の原因は,わが国畜産の歴史が浅いことであり,他の各種家畜の肉を食用に用いる道を開くことが,食べものを質的に豊かにするために必要である。と同時に,飼料用穀物の入手難や都市近郊からの締出しなど畜産をめぐる情勢が今後いよいよ厳しくなったときにも食肉の生産が続けられるよう適応力を備えるためにも,家畜の種類をより多くしなければならない。山羊は粗食に耐え耐病性も強いので,飼いやすい家畜であり,また牛より体格が小さいので手軽に飼うことができる。そのためアジア・アフリカの開発途上国を中心にほとんど全世界で飼育されている。しかしわが国では,乳用家畜としては手間が掛るうえに肉も利用価値が低いため,飼育頭数は減少の一途をたどっている。一方アメリカやニュージーランドでバーベキュー用の肉として山羊がかなり高く評価されていること,わが国でも沖縄では山羊肉の需要が旺盛で,生体の体重当り価格にすると牛肉以上であることを考えると,山羊を肉畜として見直す余地は十分ある。このような見地から,山羊肉について本学学生を対象に意識調査と官能テストを実施した。
著者
田中 孝治 加藤 隆
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.39-47, 2009-08-31 (Released:2010-11-10)
参考文献数
34

本研究では,新たな知識の習得という実社会の学習に即した課題において,「再学習の機会を学習ではなくテストに用いる」,「学習時に意識的なメタ記憶判断を行う」,「再学習の時間間隔をあける」という三つの学習方略の効果を検証した.時間間隔をあけるという要因については他の学習方略の中に組み込む形で操作した.実験1a・1bでは,2回の学習フェーズをともに学習に用いる統制条件との比較において,再学習に替えてテストを行うことの効果および学習時に意識的にメタ記憶判断を行うことの効果は認められなかった.しかし,2回の学習フェーズの間隔を短くするときよりも長くするときのほうが成績が良いという分散効果が一貫して見られた.さらに実験2では,こうした分散効果が学習フェーズの間で行う挿入課題の質と難易度に影響を受けないことが示された.本研究において示された分散効果の頑健性と生態学的妥当性は,分散学習がさらなる加算的な効果をもたらすものと期待できることから,分散学習をあらゆる学習方略とともに取り入れることを推奨するものといえる.
著者
加藤 学 高橋 勉
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.849, pp.17-00007-17-00007, 2017 (Released:2017-05-25)
参考文献数
12

The technique to measure planar elongation viscosity from both mechanical and optical measurements by using two-dimensional opposing jets nozzle flow has been developed. This technique generates planar elongational flow between both nozzles and simultaneously measures reaction force acting on the nozzle and flow birefringence at the stagnation point. The correctness of elongational viscosity measured by this technique was verified from experimental results for Newtonian fluid and Maxwell fluid. Starch syrup aqueous solution and CTAB/NaSal surfactant solution are used for the Newtonian fluid and the Maxwell fluid respectively. As the results, transient behavior of nozzle reaction force and flow birefringence for Maxwell fluid show good agreement. It indicates that this technique can evaluate planar elongation viscosity for not only fluids that obey stress-optical rule but also fluids have flow birefringence property. In addition, Trouton ratio of optical results become 4 and it indicates the results from optical technique are accurate. On the other hand, the data from mechanical technique provide Trouton ratio with range 15 to 20. Trouton ratio of Newtonian fluid also shows 10 ~ 20 and these results conclude that mechanical data should be limited for qualitative evaluation. However, Trouton ratio of mechanical technique is independent from sample viscosity and elongaitonal rate. Therefore, it can provide quantitatively valuable result by using correction factor.
著者
加藤武雄 著
出版者
妙義出版社
巻号頁・発行日
1948
著者
伊原 滉也 加藤 昇平
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

近年,麻雀AIの研究が盛んに行われている.麻雀の一局には複数の目的が存在するが互いにトレードオフの関係にあり状況にあった打牌選択が必要となる.本研究ではMM-NEATとよばれるモジュール構造を持つニューラルネットワークの多目的最適化手法を麻雀の評価関数学習に取り入れる.本稿では一人麻雀において上がりの早さと打点の高さの2目的に着目しMM-NEATによるマルチモーダルな学習の有効性を検証した.
著者
鈴木 栄幸 加藤 浩 佐々木 真理
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.93, pp.33-40, 1996-09-20
被引用文献数
1

本報告では、プログラミング協同学習ソフトウェア「あるごありーな」を利用した実験授業のインタラクション分析結果について述べる。「あるごありーな」は、プログラミングを含むソフトウェア作成技術育成を目的とした対戦型相撲シミュレータである。学習者は、力士の動きをプログラム言語を使ってプログラムし、他人の力士と対戦させる。対戦を活動の中心におくことは、強い力士を作ることを共通に志向する実践共同体の形成を支援する。この共同体の中で生徒らは自分の位置、すなわちアイデンティティを確立するともに、ソフトウェア作成技術を身につけていくのである。ビデオ分析結果により、「あるごありーな」が生徒らによるプログラミングの実践共同体の形成・維持を支援すること、学習はその共同体内でのアイデンティティの変容過程として捉えられることが示された。In this paper, AlgoArena system and results of an ethnographic study in an AlgoArena classroom are described. AlgoArena is a Sumo simulator software with which learners can program their own Sumo wrestlers with LOGO-based programming language and can have bouts with the others' wrestlers. The goal of this software is to foster programming ability. AlgoArena supports forming community of learners upon which the collaborative programming learning can be occurred by providing shared place for bouts, shared terms and artifacts to talk about their activities, and shared goal. An ethnographic investigation in the AlgoArena classroom revealed that: AlgoArena supports students to form their community as programmers; students learn programming skills through participating in the community; the process of identity formation in the community is inseparable from the learning process.
著者
福田 隆文 深澤 秀司 杉原 英和 渡辺 幸夫 小山 富士雄 稲垣 健二 甲斐 雅行 加藤 洋 松岡 俊介 小島 直樹
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.146-154, 2005

化学工場は外部に影響を及ぼす事故の可能性があるので,住民に不安感があることは事実である.したがって,安全・安心な工業社会の確立に向け,工場のリスクに関するコミュニケーションが重要であり,そこでは住民が望んでいる情報の提供が必要である.本研究では,工場と住民の間のリスクコミュニケーションを円滑に進めるため,住民が望んでいる情報,提供の方法などを,化学産業が比較的多く立地している都府県の1,500人を対象としたweb方式アンケート調査によりまとめた.その結果,住民は化学的・技術的情報より,事故防止策や発災時の行動に関する情報を求めていること,被害としては後遺症となるものを懸念していることがわかった.また,情報は工場から直接入手したいと考えていることもわかった.
著者
加藤 清忠 矢島 忠明 河内 まき子 保志 宏
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.81-93, 1989 (Released:2008-02-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

身体の大きさやプロポーショソの性差は.(1)絶対値を比較する,(2)身長にたいする比例値を比較する,などの方法で解析されてきた.この場合,最も問題となるのは,全体的な大きさが男女で著しく異なるという点である.すなわち,世界中どこでも,常に男子は身長で10cm 強,体重で10kg 強,女子を上回っているのである.そのため,全体的な大きさと相関のあるようなプロポーションは,真の性差に,大きさの差に起因する差が混入する結果となる.例えば,胴と脚の比率では,身長の大きい者ほど脚が長い,という関係があることは,よく知られている通りであり,従って,身長の大きい男子は,当然,その分だけ脚が長くて当然である.身長に対する下肢長の比,すなわち比下肢長は世界中どこでも男子の方が大きな値を示しているが,これが果して性差であるのかどうかは,直ちには判定できない.男子の方が身長が大きいために,比下肢長が大きく出ているに過ぎないかもしれないからである.このような身体の大きさの差の影響を取り除いて,真の性差を知るための最も直接的な方法は,同じ背の高さの男女を比較してみることである.本論文は,この方法によるひとつの試みである.資料は,男子は,保志•河内によって計測された茨城県警察学校新入生の資料(保志ほか1978)の中から身長170-179cm の者を,女子は,加藤•矢島によって計測された高身長女子運動選手(主としてバレボール•バスケットボウルの学生選手)の資料 (加藤ほか1984)の中から身長170-179cm の者を用いた.後者の大部分の者のトレーニソグ•キャリアーは3年より短く,従って,運動選手であるがための体型変化は,さほど大きくはないと思われるが,筋の発達や皮下脂肪の減少などが影響しそうな測度については,特に注意して比較した.解析は,28項目の生体計測値 (頭部を除く) および23項目の指数値について,(1)平均値の比較,(2)主成分分析による検討,の二つの角度から行った.その結果,次のようなことが明らかになった.1.体重の平均値に差がなかった.皮下脂肪厚は著明に女子で大であったので,女子が多少とも小さいであろうという予想に反した結果であった.あるいはスポーツ選手であるので,一般女子より筋や骨の発達がよいかもしれない.但し,体重値の身長値に対する散布図(Fig.10)では,一般女子より重くなっている様子は見てとれない.2.下肢の長さの代表値として腸骨棘高は女子で大きい.その身長に対する比例値も女子で大きく,女子の方が「あしなが」体型であることを示している.このことは既に幾人かの研究者によって間接的に指摘されてきたことである.本研究の女子の資料はスポーツ選手から得られているので,特に脚の長い者ぼかり選ぼれている恐れがある.そこで,一般女子の資料(保志ほか1980)とともに,身長に対する散布図を作製して調べた(Fig.9)が,特に長いということはないことがわかった.3.胴部の測度は,長さ•周径とも男子で大きく,骨盤と下肢の測度は,長さ•周径とも女子で大きい.上肢では長さには性差はないが,周径は男子で大きい.結局,体重•上肢長•下腿最小囲の3項目だけ,性差がみられなかった.主成分分析の後,因子負荷量を算出すると,胴部の項目は第2主成分の負の領域に,骨盤と下肢の項目は正の領域に分かれて現われる(Fig.7).因子得点を計算して第1•第2主成分の散布図を作ると(Fig.8),すべての女子は正の領域に分布し,男子は唯一人を除いて負の領域に分布する.3.今回計測解析された生体計測項目は,大きさの影響を取り除いた後の性差の特徴によって,次のような3群に分類することができる.A群:男子が女子より大きい項目.一胴長(比胴長Fig. 2),手幅,足長,肩峰幅(Fig. 3,11),胸幅,胸矢状径,頸囲(Fig. 5),胴囲,上腕囲,前腕最大囲,前腕最小囲,胸郭周.B群:性差がない項目.一体重(Fig. 10),上肢長,下腿最小囲.C群:女子が男子より大きい項目.一腸骨棘高(Fig. 9,比腸骨棘高 Fig. 1),膝関節高,腸骨稜幅(Fig. 4),最大腰幅,腰囲(Fig. 6),大腿囲,下腿最小囲,皮下脂肪厚.
著者
加藤 哲男 李 偉国 川上 洋司 本多 義明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.899-906, 2000
被引用文献数
1

本研究は実際に顕在化した事故のみならず潜在的な事故 (ニアミス) のデータを収集し分析することにより, 近年増加傾向にある高齢者事故の減少に役立てられることを明らかにすることを目的とする. 福井県を対象地域として調査分析を行った結果, 顕在事故と潜在事故との間に関連性が認められたこと (基準連関妥当性), 運転者の意識と解読者の判定との相違点が事故分析に有効であること (構成概念妥当性) が検証された. 高齢者事故の典型ケースとして, 顕在・潜在いずれの事故データからも無信号交差点での出合頭事故が抽出された. 高齢者事故の減少には, 安全意識の向上策のみならず, 運転者がヒューマン・エラーを犯し難い交通環境の整備改善も必要である.