著者
加藤恒昭 松下 光範 平尾 努
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.108, pp.89-94, 2004-11-05
被引用文献数
13

動向情報は,製品価格や内閣支持率の変化など,時系列情報に基づき,それを総合的にまとめ上げることで得られるものである.このような動向情報の効率的な提供には,文章だけでなくグラフなどの視覚的手段を利用し,それらを協調させることが必要となる.本稿では,複数文書に分散した様々な動向情報を文章や図表で要約・可視化するという研究課題を提案し,その処理の枠組みを示す.加えて,この課題の研究に有益であろうコーパスについて説明し,これを共通の研究素材とし,動向情報の要約と可視化への関心を共有する研究者によるワークショップを提案する.Trend information is obtained by synthesis and organization of series of temporal information such as transitions of a product price and a degree of public support for a cabinet. Effective communication of trend information should employ as its media not only text but also visual ones such as charts, and use those in a cooperative manner. In this paper, a research theme is proposed, that allows trend information scattered in multiple articles to be gathered, summarized, and provided in linguistically and/or visually. We show a framework to accomplish this research and explain a corpus useful for that purpose. We also propose a workshop on this research on summarization and visualization of trend information in which the researchers share this corpus as a common material.
著者
穴水 ゆかり 加藤 弘通
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.17-35, 2017-12-22

本稿では,過去の自傷研究を整理することにより,学校教育現場の自傷児童生徒支援 において検討すべき学術的課題を示すことを目的とした。まず自傷の用語と定義の問題につい て検討し,児童生徒の自傷の実態と関連する問題行動および背景要因について整理した。その 結果,定義や実態については調査研究により大きな幅があり,教育現場で認識される自傷とも 隔たりがあることから,ある種の自傷が見逃されている可能性が明らかになった。また関連要 因の検討から,教員は自傷行為そのものだけではなく,さまざまな問題行動や関連要因を通し て自傷の発見・対応に努める必要があり,その一方で,自傷を通して,彼らが置かれている環 境や心理面の問題に気づくことも重要と考えられた。今後の自傷研究の課題としては,養護教 諭は研修等を通して自傷への理解を深めること,養護教諭のみならず一般教員を対象とした実 態調査や,発達差に留意した研究の必要性が示唆された。
著者
松本 淳 林 泰一 山根 悠介 小林 茂 寺尾 徹 山本 晴彦 釜堀 弘隆 久保田 尚之 赤坂 郁美 福島 あずさ 村田 文絵 藤波 初木 加藤 内藏進
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

国内で実施中のデータレスキュー研究活動をまとめ、国際的活動と連携するACRE-Japanを、本研究を中核として組織し、アイルランドと北京で開催された国際会議報告を国際共著論文にまとめた。またMAHASRIプロジェクトの後継となるアジアモンスーンに関する国際共同研究の立案を開始し、国内・国際ワークショップを主宰した。南アジアについては、旧英領インドの現ミャンマー・バングラデシュ領内の日降水量データの原本照合・品質チェックが完了し、過去120年スケールの長期変化傾向についての解析を進めた。インド北東部チェラプンジの104年間の日降水量データから、インド北東部のモンスーン活発期の発生機構を明らかにした。バングラデシュの1955年~1980年後半、インドアッサム州の1930年~1950年代後半までのシビアローカルストームデータベースを構築し、発生日の長期変動について解析した。スリランカの1860年代以降の日降水量データ収集した。東南アジアについては、フィリピンの過去115年間のモンスーン開始期および20世紀後半以降における降水の季節変化パターンの長期変動を解明した。日本とフィリピンの過去120年間の台風活動を調べ、近年の大きな被害を出した台風と類似の台風が過去にも上陸していたことを示した。中国については、日降水量データ(Zi-ka-wei)1890年代~1930年代のデジタル化を完了した。樺太、朝鮮、北支那における気象データの統合と検証を行い、東北部黒龍江省における温暖化解析と水稲冷害のリスク解析、東北部・内蒙古自治区の乾燥地帯における雨季の変動解析を行った。帝国日本の気象観測ネットワークに関する2冊の書籍を刊行した。東アジアの多彩な季節サイクルの長期変動解明を行なった。日本については、東海・四国地方の明治・大正期の日降水量データをデジタル化し、大雨発生の長期変化等を解析した。
著者
竹本 良章 小林 賢司 月村 光弘 高澤 直裕 加藤 秀樹 鈴木 俊介 青木 潤 近藤 亨 齊藤 晴久 五味 祐一 松田 成介 只木 芳隆
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.5-8, 2016

3次元積層技術を用いた多層フォトダイオードCMOSイメージセンサによるマルチバンドイメージングを実証した.このイメージセンサは,フォトダイオードアレイを有した複数の基板を積層し,それぞれのフォトダイオードアレイを独立して駆動する事で,最適化した駆動条件でそれぞれの画像を取得できる.また積層構造を活かし,これまでの2次元構造で用いられたようなRGB (Red, Green, Blue)画像に限らずIR(赤外)画像も同時に取得するといったマルチバンドイメージングが実現可能である事を確認した.この際にそれぞれのフォトダイオードアレイでRGB画像とIR画像を同一デバイスで同時に撮像可能であり,RGB画像の画質劣化を引き起こす事もない.このような特徴を活かし,これまでのIRイメージセンサとRGBイメージセンサを組み合わせたシステムと比較し,より小型・安価かつ多機能なシステムの実現が期待される.
著者
別府 哲 加藤 義信 工藤 英美
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

自閉スペクトラム症の心の理論障害は、Perner(1991)によればメタ表象の問題である。しかしメタ表象を直接定義し測定した研究はほとんど無い。本研究では、工藤・加藤(2014)が開発した多義図形の1枚提示課題(メタ表象を必要)と2枚提示課題(メタ表象を必要としない)を用いてその特徴を検討した。定型発達児は4歳で2枚提示条件のみ正答率があがり、5歳で1枚提示条件も正答率が上昇する。それに対し、自閉スペクトラム症児は精神年齢4歳台で1枚提示条件はもとより、2枚提示条件も正答率が低かったことから、メタ表象の発達の遅れとともに、その発達プロセスが得意である可能性が示唆された。
著者
加藤 克知 イルダ ビダル 篠田 謙一 真鍋 義孝 北川 賀一 小山田 常一 六反田 篤
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.13-17, 2002-12

頭蓋骨折と思われる傷痕を有するインカ時代ペルー先住民のTrepanation(頭蓋穿孔)施術頭蓋3例を観察し,骨折痕と頭蓋穿孔の関連について考察した.頭蓋穿孔痕は,一例は骨折受傷部と異なる部位に,残り2例は骨折受傷部に一致して存在した.これらの観察から得られた所見は,頭蓋穿孔が何らかの治療的意図を持って骨折痕に対してとられた処置であることを示唆する.すなわち,特にインカ時代は戦闘行為による頭蓋骨折発生頻度の高い時期であり,当時人々は頭蓋穿孔が骨折受傷後の状態や予後の改善に有効であることを経験的に認識していたと考えられる.Three trepanned skulls with fracture traces in ancient Peru (Inca period) were presented, and whether the trepanations were intended to the fracture lesions or the following symptom was briefly discussed. The skull fractures, probably resulting from violence, was located in the frontal or parietal regions. In one case, the trepanations were performed in different regions from the fracture lesions, and in other two cases the operations were probably done at the correspondent regions to the lesions. The observation on these skulls suggests the possibility of trepanations as an intended therapeutic procedure of the skull fractures in Inca period of Peru, where people might frequently experienced the traumatic injuries by violence such as the fight.
著者
加藤 喜之
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.48-69, 2014

The question this paper asks is whether theology can still claim universality. With the rise of multivalent postmodern theologies and of politically-correct mandates in public space, theology as a discipline ceases to make universal claims. However, a series of recent debates between two radically different thinkers brings a renewed philosophico-theological interest in the universal claim of Christianity. The paper focuses on the debate between Hegelian-Lacanian philosopher Slavoj Žižek and Anglican theologian John Milbank in their attempt to articulate the universal claim of Christianity vis-à-vis the domianant global political economy. The first section discusses the ontological and genealogical bases of their understanding of Christian universality. The fundamentally diverse ontologies of void (Žižek) and of peace (Milbank) are situated in the history of theology. The second section examines the role that the representation of Christ plays in Žižek and Milbank's claim of theological universality in relation to the concept of freedom.
著者
太田 珠代 妹尾 翼 布野 優香 加藤 勇輝 江草 典政
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101461, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 我々は,島根県内でのスポーツ傷害の予防や外傷からの復帰の積極的支援を目的として,島根大学医学部整形外科学教室と近隣の病院・養成校が協力し島根スポーツ医学&リハビリテーション研究会を組織した.その活動の一環として,2012年夏季に島根県隠岐の島町の中学生に対してスポーツ傷害の予防,成長期障害の早期発見のため運動器検診を行った.スポーツ傷害の原因として,overuse,柔軟性の低下,過負荷,アライメント・パフォーマンス不良,低栄養等が報告されている.運動器検診を通して,成長期スポーツ傷害の実態,スポーツ障害と関節柔軟性の低下との関連を明らかにし,今後の継続した支援に向けて様々な視点から検討したので以下に報告する.【方法】 島根県隠岐の島町の4中学校の1~2年生240名(男子:112名,女子:128名)に対して,関節可動域(ROM),柔軟性の指標として,股関節外旋(HER)・内旋(HIR),膝屈曲位での足関節背屈(DKF),膝伸展位での足関節背屈(DKE),指床間距離(FFD),下肢伸展拳上(SLR),踵臀部間距離(HBD)を計測した.成長期では大腿骨前捻角の個人差が大きく股関節回旋角度への影響があると考え,HERとHIR合計し孤として可動域を評価した(tHR).また,マークシートを用いた運動器疾患の一次スクリーニングを実施し,運動器疾患の疑いがあると判定された71名について,整形外科医が診察を行い,54名が運動器疾患有りと診断された.この内,急性外傷,側弯症,先天性疾患を除いた31名(男子:19名,女子:12名)をスポーツ障害有り群とし,残りの209名から急性外傷を除いた205名(男子:90名,女子:115名)をスポーツ障害無し群とし柔軟性を比較した.スポーツ障害の部位は上肢7名(男子:4名,女子:3名),下肢20名(男子:12名,女子8名),腰部4名(男子:3名,女子:1名)であり,各部位ごとに障害の有り群と無し群で柔軟性の比較・検討を行った.統計学的検定にてtHRは,正規分布していたためスチューデントのt検定を使用し,その他の項目は正規分布していなかったため,マン・ホイットニーのU検定を用いた.危険率5%未満を統計学的有意差有りとした.【倫理的配慮、説明と同意】 事前に各学校に検診の意義と方法について説明し,同意を得て実施した.なお収集したデータは個人が特定できないよう匿名化した.【結果】 スポーツ障害有り群では右HERが[障害有り/無し] 60.6°/65.1°と有意に低下していた.障害部位別では上肢障害有り群では,右tHRが[障害有り/無し] 105°/123.5°と有意に低下しており,腰部障害有り群では,左HBDが[障害有り/無し] 3.1 cm/0.7 cm,DKFが[障害有り/無し] 17.5°/24.2°と有意に柔軟性が低下していた.下肢障害有り群では,柔軟性に有意差はなかった.他の検査項目では統計学的有意差は認めなかったが,障害有り群で柔軟性が低い傾向があった.【考察】 上肢障害は下肢柔軟性の低下に起因することが知られており,本研究においても上肢障害と股関節内外旋の合計角度が関係している事が示唆された.また,成長期においては股関節外旋・内旋の個々の柔軟性のみではなく,股関節内外旋の合計角度を観察していく事が必要であると考えられる.腰部障害では,足関節の柔軟性,ヒラメ筋,大腿四頭筋のタイトネスが関係している事が示唆された.一方,下肢障害では各測定項目との関連が見られなかった.これは,下肢障害の発生原因として,柔軟性だけではなく,overuse,アライメント・パフォーマンス不良の影響も大きいためと考えた.今回,各中学校でストレッチの指導を行っており,今後柔軟性の改善とともにスポーツ傷害の発生率が低下するかを明らかにするため,調査を継続していくことが重要である.【理学療法学研究としての意義】 学校単位での運動器に焦点をあてた検診は全国でも少なく,小学生・中学生の成長期におけるスポーツ障害、外傷とROM,柔軟性と因果関係のある因子を見つける事で,早期にスポーツ傷害の予防指導ができ,スポーツ傷害が減り,長期間スポーツに関われる子どもを増やせるのではないかと考えられる.
著者
加藤 榮一
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.764-775, 1988-05-01 (Released:2009-05-29)
参考文献数
30
被引用文献数
2 3
著者
加藤 聖文 黒沢 文貴 松田 利彦 麻田 雅文 カタソノワ エリーナ バルターノフ ワシリー キム セルゲイ ムミノフ シェルゾッド フセヴォロドフ ウラジーミル
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究実施前から把握されていたロシア国防省中央公文書館(CAMO)が所蔵する関東軍文書のすべての画像データを入手し、目録を作成した。また、研究成果の一部として、ロシア側研究者らを招いて2017年2月24日に法政大学において国際会議「第二次世界大戦史研究(ソ連における外国人捕虜問題)」を開催し、60名以上の参加を得た。しかし、今回収集した関東軍文書は1990年代のロシア混乱期に明らかになった文書と異同があることが明らかになった。今回収集した文書の公開に加え、これらの未確認文書の調査に関しては、ロシア側と交渉を行ったが、研究期間内に解決することができず、現在も協議が継続中である。
著者
小川 温子 天野 麻穂 土方 亜子 加藤 真利 上平 知子 末次 勧 石塚 稲夫
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.327-331, 2003-04-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
13

Plant N -linked oligosaccharides of complex type generally possess a characteristic core structure with xylose β-2 linked to β-mannose and fucose a 1-3 linked to N-acetylglucosamine at the reducing end, which rarely found in animals. Such glycans of plant glycoproteins have been found to induce immunogenic responses in animals. This brief report introduces the current knowledge on the structure, antigenicity and allergenicity of plant carbohydrate epitopes (plant glycotopes) obtained from our studies on the allergens of Japanese cedar pollinosis and baker's asthma. It also presents relationship between CCD (cross-reactive carbohydrate determinant) of allergens from common vegetables or fruits and that of the Japanese cedar pollen in this study.
著者
宗村 佳子 木本 佳那 小田 真悠子 奥津 雄太 加藤 玲 鈴木 康規 齊木 大 平井 昭彦 秋場 哲哉 新開 敬行 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.260-267, 2017-12-25 (Released:2017-12-28)
参考文献数
35
被引用文献数
6

2017年2月,東京都内で食中毒が4事例発生した.患者は10の学校にわたり,このうち7校および1校では,それぞれ別の共同調理場で調理された給食を提供されており,2校では自校で調理した給食を喫食していた.全事例に共通して提供されていたものは,同一業者が2016年12月に製造した刻みのりであった.喫食者4,209名のうち,1,193名(28.3%)が胃腸炎症状を呈し,リアルタイムRT-PCRによる検査の結果,4事例の患者265名中207名(78.1%)からノロウイルス(NoV)GIIが検出された.刻みのり31検体が検査に供されたが,このうち7検体(22.6%)がNoVGII陽性となった.刻みのり7検体と4事例に由来する患者20検体のNoV ORF1/2ジャンクション領域302塩基の配列は一致し,その遺伝子型はGII.17であった.また,次世代シークエンサーによる解析により,患者検体からほぼ全長(7,420塩基)のNoV塩基配列が得られたが,同株は系統樹解析でHu/GII/JP/2015/GII.P17_GII.17/Kawasaki308株と同じクラスターに属した.これらの結果から,今回の4事例は同一刻みのりを感染源としたNoVGII.17によるものであると断定された.刻みのり検体の水分活性は0.119~0.129であり,NoVは乾燥状態でも2か月間は感染性を失わないことが疫学的に示された.本事例の解決を発端として,刻みのりが関連したNoVGII.17による大規模なdiffuse outbreakの国内発生が明らかとなった.
著者
平野 智紀 原田 悠輔 加藤 紗夕理 畑中 一良
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.113-116, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

本研究では,全国学力・学習状況調査の結果を各学校が自校の教育指導・学習状況改善に活用することを促すワークショップを開発した.ジグソー法により自校の調査分析を分担して受け持つことで,自校の課題に焦点化された議論を可能にしたほか,反転学習により分析作業の一部を外に出し,多忙な学校現場においても実施可能なプログラムとした.ワークシートからは,自校の教育指導・学習状況改善のための現状認識を教員間で共有する効果があること,アンケートからは,反応レベル・学習レベル・行動変容レベルにおける一定の成果が示された.
著者
加藤 千恵子
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
大分県立芸術文化短期大学研究紀要 (ISSN:13466437)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.87-104, 2003-12-26

現在,日本において,初婚年齢は年々上昇傾向にあり晩婚化が進んでいる.これを学歴別に見ると,高学歴層の者において顕著であることがわかる.その中でも調査・研究が少ない男性に注目し,彼らの結婚意思とそれに影響を与える結婚観について,個人別態度構造分析を用い,事例を通して検討した.その結果,従来の調査・研究において支持されている男性が結婚難に陥っているという結果は,本研究の高学歴の独身男性についてはあてはまらないことが明らかになった.対象者は自らの意思により結婚するか否かを選択しており,自分の理想とするライフスタイルと結婚によるライフスタイルの変化,結婚相手との価値観の一致などを真剣に考え,結婚に対する葛藤を抱き,結婚を躊躇していた.さらに,長時間労働により家庭生活と仕事での自己実現を両立させ難いためライフスタイルを決めかね結婚意思が低下するという可能性と,結婚を前提としないようなライフスタイルを選択しても生活に困らないため結婚に消極的になる可能性も示唆された.
著者
加藤 智子 尾﨑 啓子
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 = Journal of Integrated Center for Clinical and Educational Practice (ISSN:13477420)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.49-55, 2017

本研究は、平成27年度に教育学部附属特別支援学校中学部3年生で取り組んだ、木工製作活動の実践を素材として、他者とのかかわりの観点から生活単元学習のもつ可能性を検討した報告である。中学部2年間で積み重ねた学習経験から、知的障害のある生徒たちが見通しを持って取り組める木工活動を基盤にした他者とのかかわりを段階的に設定することは、自信や製作への動機づけを高めることに役立った。「誰が」「何を必要としているか」「誰に」「何を製作するか」を、活動の導入で伝えることが、生徒の主体性を引き出す上で重要であった。