著者
榮樂 英樹 新城 靖 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.17-24, 2007-01-30
被引用文献数
4

LilyVMは,静的なコード変換技術と準仮想化技術を用いて,実機用のOSをユーザ・プロセスとして動作させる仮想マシン・モニタである.従来のLilyVMでは,多くの特殊な機能をホストOSに要求しており,他のOSへの移植性が低く,性能にも問題があった.この論文では,LilyVMにおいてカーネル・レベル・コードを用いることにより,他のOSへの移植性を高めることについて述べている.カーネル・レベル・コードは,高い特権レベルで動作し,CPU例外のリダイレクトをOSに依存せずに実行する.LilyVM is a virtual machine monitor (VMM) which runs an operating system (OS) for a real machine as a user process using a static code translation technique and a paravirtualization technique. Former LilyVM required many special features of host OSes. Therefore, it had less portability to other OSes, and also had a performance problem. In this paper, we discuss about improving portability of LilyVM to other OSes by using a kernel-level code. The kernel-level code runs in a higher privilege level and redirects CPU exceptions without dependence on a host OS.
著者
中村 静 加藤 宏明 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.99, pp.45-50, 2009-06-17

我々は、日本人学習者の英語音声におけるリズム制御に対する客観評価法について研究してきた。この研究の経過で、日本語を母語とする学習者の潜在的なモーラ・タイミングの習慣が,英語のストレス・タイミングの生成に悪い影響を及ぼしているらしいことに注目した。そこで、本研究ではこの影響を調べるために、主にリズム制御に関与する音節の強弱の対比の観点から、母語話者音声に対する学習者音声の対応する種々の音声区分(強勢/弱勢音節,強/弱母音,内容語内/機能語内音節)の持続時間の差異について検討した。その結果,このような持続時間の差異が,英語教師である評価者による主観評価値を大きく左右していることを、両者の相関分析により確認した。
著者
加藤 里美
出版者
Japan Management Diagnosis Association
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.29-35, 2010

本論文の目的は,岐阜県のA社における中国人研修生・技能実習生,彼らとともに働く日本人従業員を対象に,改善や品質管理に関する会社や職場での意識と,日本人従業員と中国人研修生・技能実習生との協働の関係を踏まえた上で,分業体制への改善に関する日本人従業員の意識を明らかにしていくことにある。外国人研修生・技能実習生を対象とした研究のほとんどが彼らへの聞き取り調査を中心としており,質問紙調査を用いた研究が極めて少ないこと,また協働する日本人従業員の意識に焦点を当てていないことから,本論文による結果は,中国人研修生・技能実習生を雇用する企業に何らかの示唆を与えることができると考える。
著者
加藤 豊
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : 日本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.35-45, 2004-11-20

本論文は,1990年代から顕在化し始めた日本企業の停滞と業績低迷現象を,外部要因ではなく,企業の経営管理上の問題に起因することを指摘するとともに,問題構造の解明にあたって,管理会計の視点からの分析が必要であることを主張している.具体的には,カンパニー制と成果主義報酬システムの運用失敗に関して,分析を行っている.加えて,管理会計の研究成果を活用した,業績向上に向けての取り組みが重要であることを記述している.
著者
高橋 祐樹 加藤 信介 小林 敏孝 吉井 光信 上原 茂男 樋口 祥明 高橋 幹雄 石川 敦雄 黒木 友裕 野崎 尚子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.76, no.662, pp.335-343, 2011-04-30 (Released:2011-07-29)
参考文献数
34
被引用文献数
1

This study investigated the effect of diurnal thermal changes on the circadian rhythm of human core body temperature, together with secondary effects on other psycho-physiological functioning and intellectual performance. Four male subjects (23 - 25 years of age) were observed under three experimental temperature cycles in a climate chamber. In Case 1, the temperature remained fixed at 24°C (control); in Case 2, a constant temperature of 24°C during the morning and the afternoon was raised to 27°C at 6 PM and remained constant during the evening, to evaluate the effects of body heating before sleep; in Case 3, the temperature control schedule is similar to Case 2 with the exception of the changing time, not at 6 PM but at noon, to reflect the normal circadian increase in core body temperature (CBT) in the afternoon. The change of the thermal environment caused amplitude increment or phase advance in rectal temperature (RT). Measurements based on electrocardiographs, salivary cortisol levels, psychological measurement tools and intellectual tests illustrated the beneficial effects of the temperature control. The results reveal that control of the thermal environment in spaces based on the circadian rhythm may regulate RT rhythm, leading to improvement in psycho-physiological state and intellectual performance of occupants.
著者
寺町 ひとみ 舘 知也 齊藤 康介 江崎 宏樹 加藤 未紗 臼井 一将 野口 義紘 勝野 眞吾
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.106-113, 2016 (Released:2016-09-27)
参考文献数
21

Objective: Medical education was initiated in 2012 as part of health and physical education (HPE) in junior high schools.  This new measure was a result of a revision of school curriculum guidelines.  In this study, we aimed to clarify the implementation status of medical education in schools.Methods: A questionnaire survey targeting junior high school teachers in Gifu (from 184 junior high schools) was conducted by mail.Results: 60.9% of schools responded (112/184).  HPE teachers and school pharmacists were found to be in charge of providing medical education in 94.6% and 10.7% of schools, respectively.  The average duration of classes was 50 min and the average frequency was 1.2 times a week.  On average, 0.9% of schools stated that implementing medical education was “under contemplation,” 2.7% held “occasional” classes, and 2.7% only held “drug abuse-related” classes.  It was also found that the most commonly used educational material was the school textbook (91.1% of schools).  Additionally, 87.5% of schools responded “yes” to “lectures are delivered by outside lecturers,” and 69.6% responded “yes” to “we hope to introduce workshop participation.”Conclusion: The results of the survey indicated that many junior high schools have provided medical education classes and that HPE teachers were in charge of teaching these classes.  However, some schools have not provided these classes.  It is considered necessary to enhance medical education activities in the pharmaceutical field by involving specialists from different areas.
著者
中村 康一 板倉 潮人 髙木 聡 小林 和陽 齋藤 浩子 月岡 悦子 山口 貴子 野口 周作 加藤 和久 臼杵 二郎
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.345-348, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
18

栄養失調とサルコペニアを伴う高齢者に対し,運動療法と栄養療法によるマネジメントの必要性が言われている.66歳男性,肺腺癌のため右肺全摘出後,外来通院していた.混合性換気障害と呼吸器症状が進行し,体重減少および身体活動性の低下を認めるようになったが入院を拒否.サルコペニアが疑われ外来で栄養士と看護師が介入し,栄養状態は改善した.しかし自覚症状は改善せず,理学療法士が介入を開始した.4ヶ月間の介入によりAMC(19.9→20.9 cm),MIP(31→68 cmH2O),握力(20→22 kg),CAT(12→9点)と筋力およびCATの改善を認めた.今回,入院が困難なCOPD症例に対し,外来で多職種が介入することで全身状態を改善させ,入院を回避することができた.栄養失調を伴うサルコペニアが疑われるCOPDに対する,外来における栄養および運動療法の有用性が示された一例と考えられる.
著者
加藤 聡
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.264, 2011 (Released:2012-02-15)

デスクトップPCに搭載されるグラフィックスカードのプロセッサであるGPUは,大量の浮動小数点演算を高速に実行できる.このため,GPUをグラフィックス処理ではなく,汎用の数値演算プロセッサとして利用する試み(GPGPU)が近年盛んに行われている. 本研究では,自己組織化マップ(SOM)の学習を,GPUを用いて高速に行う手法について検討し,SOM学習アルゴリズムのGPU演算向けの実装と,GPUによる処理の高速化の度合いについて議論する.
著者
加藤 節子
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢大学外国語部研究紀要 (ISSN:03899845)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.p1-78, 1990-03
著者
吉田 大輔 島田 裕之 牧迫 飛雄馬 土井 剛彦 伊藤 健吾 加藤 隆司 下方 浩史 鷲見 幸彦 遠藤 英俊 鈴木 隆雄
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.EbPI1414-EbPI1414, 2011

【目的】物忘れなどの記憶障害は、アルツハイマー病(Alzheimer's disease: AD)の特徴的な前駆症状である。海馬や嗅内野皮質を含んだ内側側頭葉はこの記憶の中枢であり、記憶障害と内側側頭葉の脳萎縮とは密接な関係があると考えられている。一方、日常的に知的な活動や身体活動、あるいは社会活動(社会とのつながり)を保持することは、高齢期における認知症(特にAD)の発症遅延や認知機能の維持にとって有効である可能性が示唆されている。これらのことから、活動性の高い日常生活を送ることは、内側側頭葉の脳萎縮を抑制できると推察されるが、高齢期における内側側頭葉の脳容量と日常生活活動との関係については、これまでほとんど報告されていない。そこで本研究では、どのような日常生活活動が内側側頭葉の脳萎縮と関連があるのか明らかにすることを目的とした。<BR><BR>【方法】主観的な記憶低下の訴えがある、もしくはClinical Dementia Ratingが0.5に該当した65歳以上の地域在住高齢者125名(76.1±7.3歳)を対象とした。すべての対象者は、基本情報に加え一般的な認知機能検査、頭部のmagnetic resonance imaging (MRI)検査を受けた。内側側頭葉における脳萎縮の程度は、MRI検査で得られた画像を基にvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer's disease(VSRAD)を用いて定量的に評価した。日常の生活活動状況は、質問紙を用いて過去1ヶ月における各活動の実施状況(二択式;している/していない)を聴取した。各々の活動項目はセルフケアや手段的日常生活動作、社会活動などの25項目から構成されており、高齢者の生活活動全般を幅広く捉えられる項目内容とした。そして、活動項目ごとに「している」と回答した者(活動群)と「していない」と回答した者(不活動群)の2群間で内側側頭葉の脳萎縮度に差がないか、共分散分析を用いて検討した。なお分析の前段階として、2群いずれかのサンプルサイズが20に満たなかった活動項目は、あらかじめ分析項目から外した。また、年齢と脳萎縮との関係をpearsonの相関係数で確認した。<BR><BR>【説明と同意】すべての対象者に対しては、事前に研究内容を説明し、書面による同意を得た。また、本研究は国立長寿医療研究センターの倫理・利益相反委員会の承認を得て行った。<BR><BR>【結果】内側側頭葉の脳萎縮と年齢との間には、有意な正の相関関係が認められた(r = 0.457, p < 0.01)。そこで、年齢を共変量とした共分散分析を行い、内側側頭葉の脳萎縮と日常生活活動との関係を検討した結果、「頭を使う活動(将棋や学習)」において、活動群(n = 70)の脳萎縮度が不活動群(n = 55)のそれより有意に小さかった(F = 6.43, p = 0.01)。同様に、「習い事」においても、活動群(n = 70)の脳萎縮度が不活動群(n = 55)のそれより有意に小さかった(F = 4.40, p = 0.04)。<BR><BR>【考察】記憶とその関連領域である内側側頭葉の脳容量とは、密接な関係があると考えられている。今回、同領域の脳萎縮と知的活動(「頭を使う活動」)の実施状況との間に関連性が認められたことは、先行研究の結果と矛盾しない。地域高齢者にとって、日常的に知的な活動を取り入れることは、認知機能の低下だけでなく内側側頭葉の脳萎縮も抑制できる可能性が示唆された。ただし、それ以外の活動(主に身体活動)の実施状況と内側側頭葉の脳萎縮については、有意な関連性が認められていない。今後は内側側頭葉以外の領域、あるいは活動の実施頻度を考慮したより詳細な検討が必要と考える。また、日常的な知的活動が内側側頭葉の脳萎縮を抑制できるとの仮説を立証するためには、縦断的な研究や介入研究が必要であり、今後も追跡調査を継続する予定である。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】理学療法の現場において、認知機能障害を有する高齢者を対象とするケースは少なくない。本研究は、このような高齢者に対し運動療法だけでなく日常の生活活動状況にも配慮した理学療法戦略が重要であることを示した、意義ある研究であると考えられる。また、今回の研究結果をさらに発展させることで、脳萎縮や認知機能の低下を予防するような方策が将来明らかになると期待している。