著者
酒井 倫夫 加藤 あや美
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.73-82, 2007

二十世紀半ばまで英文法の言語学に基づく研究は,出版された文献を資料として,記述的妥当性を中心に置いた所謂文献的(Philological)な記述を重視する研究であった。世紀半ばにNoam ChomoskyによりSyntactic Structures(1957:Mouton)が公刊されて以来,緻密で,より精緻な説明的妥当性を持つ文法研究が統語論的研究分野の中心に据えられ,文の生成の機序に関わる研究,つまり,生成文法理論に基づく研究が主流となっていった。本研究は,統語論研究分野のひとつの主題である動詞句に関わる動詞補文の構造を,精緻な生成文法理論的研究を中心にして考察しようとするものである。
著者
西池 季隆 坂田 義治 加藤 崇 長井 美樹 小西 雅樹
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.105, no.10, pp.1065-1070, 2002-10-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

平成6年から平成14年の間に市立吹田市民病院において治療した下顎骨骨折35例を検討した.男女比は2:1であった.年齢別では20歳代が最も多く全体の31%を占めた.受傷原因では,交通事故52%,殴打31%,転倒•転落17%であった.骨折部位の頻度は,関節突起33%,おとがい部25%,角部22%,体部10%,枝部10%であった.30歳未満では受傷原因として交通事故および殴打が有意に多く,30歳以上で転倒•転落が多かった.交通事故や転倒•転落では関節突起骨折が有意に多く,殴打では他の部位の骨折が多かった.治療は,チタンあるいは吸収性プレートによる観血的治療および顎間固定30例,顎間固定のみ2例,保存治療1例,他院での治療2例であった.顎間固定の期間は平均42日であった.6ヵ月以上経過を追えた22例中後遺症は6例であった.痛み4例,咬合不全1例,顎関節雑音1例,顔面神経側頭枝の麻痺1例であった.関節突起骨折では他の部位の骨折に比較して有意に後遺症が多く発生していた.今後の当院における下顎骨骨折治療の検討課題は,顎間固定期間の短縮化,吸収性プレートの適用の拡大,関節突起骨折の治療方法の検討であると考えられた.
著者
武田 幸彦 加藤 譲治
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.1369-1386, 1992-09-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
58

The pallor of the skin and oral mucosa that is associated with anemia is thought to be due to a decrease in hemoglobin in the super ficial blood vessels. However, there has been little systematic research on this subject.The authors of this paper used a tissue spectrum analyzer to measure the Lib (indicating hemoglobin concentration) and the Iso2 (indicating saturation). Experiments were conducted to determine the relationship between anemia and hemoglobin level in the oral mucosa, using the hemoglobin (Hb) value as the indicator.The following conclusions were reached.1. The areas of the oral mucosa which best correlate with the blood Hb level are the upper labial mucosa, lower labial mucosa, the back of the tongue, the sublingual surface, and the soft palate. The patients with secondary anemia showed reduced Lib levels (i. e. anemia) in all of these areas.2. Measurements of IHb were graded to appear in the following order, from highest to lowest: labial mucosa, tongue, and then soft palate.3. These measurements did not show a definite relationship between the IHb and the is in either patients with secondary anemia or in normal healthy people.4. It was conjectured that patients on dialysis would tend to show a somewhat higher IHb on the back of the tongue than in other areas.5. Sudden changes in blood volume, as in transfusions, surgery, etc., influence the oral mucosal hemodynamics. Reductions in the blood volume of thebody as a whole are accompanied by reductions in the blood volume of the oral mucosa. It was conjectured that the degree of this change in the oral mucosa would increase as the severity of anemia increased.6. Among the five parts of the oral mucosa which were investigated, the back of the tongue showed the lowest correlation with the true state of anemia.7. In order to determine the degree of anemia by hemodynamics of the oral mucosa, it is thought that the four parts (the upper and lower labial mucosas, the lower part of the tongue, and the soft palate) are the most reliable ones to observe.From the above, it was concluded that, in secondary anemia (patients on dialysis, those having blood dyscrasis, a malignant tumor of the oral cavity, etc.), there is a distinct correlation between the tissue hemoglobin concentration (IHb) in the mucous membranes of the oral cavity and the true degree of anemia. This could be considered a useful method for clinical diagnosis.
著者
加藤 晴治 小倉 京子
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.755-757, 1960

We have made some experiments on whiteness, smoothness as well as opacity.<BR>Whiteness is remarkably less in Japanese paper than in foreign-style paper.<BR>Japanese paper, when utilized to coloured paper, demands particular deliberation upon its whiteness.<BR>Smoothness is important in case of printing : but the weak-point is that smoothness differs between one surface and the reverse.<BR>Opacity relates to closeness ; the denser the closeness is, the bigger the opacity becomes.<BR>Japanese paper, on the whole has a small opacity.
著者
加藤 彰 上ノ原 和也 橋本 隆
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.856, 2005-03-24 (Released:2006-01-11)

キノリン酸はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)生合成系の中間産物である。動物やカビはキノリン酸をL-トリプトファンから合成し、大腸菌などの細菌類ではL-アスパラギン酸から合成する。アラビドプシスはゲノム上に大腸菌型経路のアスパラギン酸酸化酵素(AO)とキノリン酸合成酵素(QS)の予想遺伝子を持ち、動物型経路の遺伝子を持たない。また、アラビドプシスのAOとQS遺伝子はそれぞれの大腸菌欠損株の生育を相補した。従って、アラビドプシスなどの高等植物はキノリン酸を大腸菌と同じ経路で生合成すると考えられる。細胞内のキノリン酸合成の場を明らかにするために、AOとQSのC末端にそれぞれGFPタグを融合させた酵素をアラビドプシス植物体で発現させてその局在性を調べた。GFP融合酵素を発現させることにより、AOとQSのT-DNA挿入変異株の致死性を相補できた。形質転換株のGFP蛍光は葉緑体に認められたので、キノリン酸の生合成は葉緑体内で進行すると考えられる。
著者
出川 えりか 安藤 崇仁 安藤 正純 加藤 剛 嶋村 寿 永田 あかね 村野 哲雄 林 広紹 馬場 寛子 齋藤 百枝美
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.189-199, 2018-11-30 (Released:2018-12-08)
参考文献数
10

Objective: Caffeine may cause dependence and sleep disturbance, and interact with psychotropic drugs. Therefore, the caffeine intake of patients with mental disorders should be monitored. However, in Japan, there is no report on the effects of caffeine in mental disease patients or on their caffeine intake. Therefore, we conducted a questionnaire survey to clarify the perception of caffeine for psychiatric outpatients.Methods: We conducted an anonymous survey on caffeine recognition for outpatients at 8 medical institutions that advocate psychiatry.Results: We collected questionnaires from 180 people. The knowledge of foods containing caffeine tended to be high in those who had a positive attitude toward caffeine. More than 90% of those surveyed knew that coffee contains caffeine, but cocoa and jasmine tea were recognized by less than 25%. Of those surveyed, 39.4% consumed caffeine‐containing beverages at night. In addition, the rate of consumption of caffeine‐containing beverages tended to be higher at night because they had a positive attitude toward caffeine.Conclusion: The knowledge and intake situation of caffeine by patients with mental disorders differed depending on their interests and way of thinking about caffeine. As caffeine intake may influence psychiatric treatment, correct knowledge regarding caffeine is important.
著者
加藤 哲夫
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2017 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.162-173, 2017 (Released:2017-10-12)
参考文献数
21

2000年頃まで先進国では、「基本技術開発→応用開発→製品化のシーケンシャルな開発スタイル」をとってきた。しかし、多くのモノ造り技術が海外に行き渡り、「水平分散型」を推進する新興国と比べ先進国の価格競争力は弱くなった。これにより、先進国のモノ造りは利用シーンを想定して本来の機能と使いやすさを追求し、これを具現化するデザイン・設計した上で、商品、サービスを実現するに必要な技術やデバイスを集約する開発スタイルに変化した。「ありたい姿の想定→具体的商品の機能デザイン定義→実現に必要な技術集約統合というスタイル」が2010年以降、徐々に広まってきた。 本論文では、第4次産業革命の波に乗って、どのようなイノベーションが起こるのか想起することにより、3つのイノベーション・レイヤーとして①Process Innovation、②Product Innovation、③Social Innovation という分類を新たに提案し、いくつかの事例で示した。提案した3つのイノベーションを推進・実現化するためには、P2M理論が重要な役割を果たすとことと確信する。
著者
加藤 史彦 山洞 仁 野田 栄吉
出版者
水産庁日本海区水産研究所
雑誌
日本海区水産研究所研究報告 (ISSN:00214620)
巻号頁・発行日
no.33, pp.p41-54, 1982-12

日本海におけるマスノスケの漁獲記録は,現在までにMASON(1965),本間・水沢(1966),深滝(1968a,b),小山ら(1978),小山(1979),HONMA・KITAMI(1980)および今野(1980)により合計13例が報告されている。今回,筆者らはそれ等の記録以外の13尾の漁獲事例を収集し,数尾の標本の生物測定を行った。そして,日本海に来遊するマスノスケの起源等に関して若干の考察を加え,以下の結論を得た。1. 1974年から1976年の間に,新潟県佐渡島において,4尾のマスノスケの漁獲記録が新しく確認され追加された。2. 1979年と1980年にはそれぞれ6尾のマスノスケが漁獲された。これは日本海における一年間のマスノスケの漁獲尾数としては最高の数である。3. 1979年5月31日の福井県河野村大谷における漁獲記録は,日本海沿岸におけるマスノスケの分布の南限を書き変えたことになる。4. 1979年および1980年において,マスノスケの漁獲位置は時期を追って,地理的に北から南へ移る傾向があり,魚群の南下移動が想定された。5. 漁獲されたマスノスケはいずれも体重が10kgを超す大型個体であった。1979年5月4日に山形県加茂で漁獲された全長108.3cm,体重16.75kgの個体,および同年5月16日に新潟県瀬波で漁獲された全長101.7cm,体重15.6kgの個体は,いずれも淡水域で1年,海洋で4年を過した1.4年魚であった。また,翌年5月8日に,同じく山形県加茂で漁獲された全長114.5cm,体重20.0kgの個体は1.5年魚で,前年に漁獲されたマスノスケと同一年級群であった。6. 1963年に太平洋側の茨城県沿岸でみられた冷水域の拡大とマスノスケの多獲現象との対応は,日本海ではみられなかった。7. 本州日本海沿岸に来遊するマスノスケの起源河川は,鱗相等から判断すると,日本海に面した大陸側の低緯度地方に存在すると推定された。
著者
河田 潤一 小川 有美 加藤 淳子 小林 正弥 仙石 学 田中 善一郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本共同研究は、日本、韓国、イタリア、フランス、南欧諸国、中束欧諸国、EUを直接の対象とする、政治汚職・腐敗、クライエンテリズム、社会資本をめぐる、実証的・理論的・比較政治学的研究を行うことを目的とするものである。我々一同は、汚職・腐敗(corruption)とクライエンテリズム(clientelism)の区別に留意しつつ、クライエンテリズムを近代化の残滓と見る従来の考え方を批判的に乗り越えようとした。そのことは、同時に、汚職とクライエンテリズムの衰徴はパラレルに進行するとの楽観的見方を克服しようとするものである。従来の近代化論的視座は、汚職とクライエンテリズムを資本蓄積(=資本主義)、合理化(=官僚制化)、政治参加(=民主主義)の多様な要求がもたらす利益の共生=相反関係が構造化する権力構造の構造的・制度的産物と見てこなかったのである。汚職とクライエンテリズムは、行政効率の点で「潤滑油」として評価すべきなのか。両者は、社会的・経済的不平等あるいは経済発展を修正するための社会の周辺部分からの正当な要求として評価すべきなのか。それらは、「社会資本」/「道徳資本」の欠如によって強化される「悪循環」の結果として理解されるべきなのか。政治汚職・腐敗を規制する法律の強化はいかなる効果を持ちうるのか。あるいは選挙制度改革や地方分権化は汚職やクライエンテリズムの抑制の万能薬でありうるのか。こうした問いに答えるべく、我々は、広範な理論的アプローチと実証的証拠を駆使し、「腐った(corrupted)」・恩顧主義的(clientelistic)慣行を形成する歴史的・制度的・社会=文化的要因の解明に努力した。こうした作業の一端は、公開報告として、2006年度世界政治学会(International Political Science Association)福岡大会のRC06(Political Sociology)なるセッションにて2006年7月10日に行った。本研究にとって益すること大であった。研究成果の一部は、Junichi Kawata (ed.), Comparing Political Corruption and Clientelism (Hampshire : Ashgate)として既に上梓されている。我々は、本共同研究の知見が、我々が生きる時代の民主主義をよりよく機能させることに役立つものと確信するものである。
著者
谷川 敬一郎 古家 寛司 川口 美喜子 加藤 譲
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.209-214, 1989-03-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15

糖尿病を合併した糖原病1a型の1例 (32歳, 女性) の血中ケトン体と血糖の動態について検討した.48時間の絶食試験では, 血糖およびインスリンは開始12時間後で著明に低下した.その後よりケトン体は検査を終了まで徐々に増加した.759経ロブドウ糖負荷試験では, 血糖と同様にケトン体も, 30分, 60分後に高値であった.インスリン負荷試験 (0.2U/Kg) ではケトン体, 血糖はいずれも90分に底値を示し, ケトン体は150分から240分まで急峻な反跳現象を示したが血糖は240分でも前値に回復しなかった.以上の成績は, 本症例の病態はケトージスであり, 血糖の低下の際のエネルギー代謝にケトン体が効率よく利用されていると考えられる.しかしながら本例が糖尿病を合併した病因についてはなお不明である.