著者
原田 陽子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.669, pp.2117-2126, 2011-11-30 (Released:2012-02-23)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

This study clarifies the characteristics of alley units and owner improvements of row houses with road contact failure in the Osaka Karahori area. The following are major findings.1) The alley units which have small shrine or Jizo, ups and down, and blind alley, have tendency there are many individual regional resources. And small shrine and Jizo is important resource to continue the community within the alley unit.2) Owners of row houses with road contact failure realize the living improvement by five classified methods on the basis such as individual spatial terms and living demands.
著者
橋本 かほる 能登谷 晶子 原田 浩美 伊藤 真人 吉崎 智一
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.336-340, 2012 (Released:2012-10-09)
参考文献数
16

0歳代から金沢方式(文字-音声法)で言語訓練中の聴覚障害幼児4例を対象に,日本語対応手話に指文字または手話による助詞が挿入された文に含まれる格助詞の出現時期について検討した.(1)格助詞の初出年齢は1歳11ヵ月~2歳2ヵ月で,健聴児の時期とほぼ同時期であった.(2)4例ともに共通して初出した格助詞は「を」であった.(3)聴覚障害児であっても,幼児期早期より日本語の文構造に沿った日本語対応手話よる単語(助詞は指文字または手話)を用いることにより,健聴児の助詞の発達にそった理解・表出が可能であることが示唆された.
著者
田中 美佐 原田 信
出版者
近畿大学短期大学部
雑誌
近畿大学短大論集 = The Bulletin of Kindai University Junior College Division (ISSN:03867048)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.116-102, 2019-12

[抄録]中国では、古くより喫茶の風習が広まり、文化として成熟するなかで、茶書が著された。茶書の内容は多岐にわたるが、茶の歴史から産地、栽培、製 造、飲用、茶具、効用など、茶に関わる事柄を総合的に記した書物の一つに、 清の陸廷燦が著した『続茶経』がある。これは、唐の陸羽が著した最古の茶書『茶経』の続篇を標袴し、『茶経』の体例に倣って諸書の記載を輯録、整 理したものである。『続茶経』は長期に渡る膨大な記載を収録しており、ま た、散佚した書物の記載も含まれるなど、茶文化を知る上で欠かすことので きない書物の一つである。しかし、これまで本書が日本語に翻訳されたことはなかった。そこで、後の茶文化研究に資することを目的として、その日本語訳を試みたい。なお、紙幅に限りがあるため、本稿では『続茶経』の「二之具」の第一〇三条から第一四五条までの訳を示した。[Abstract]Historically, the books of tea, consisting of various topics, have been written in China, in the process that the customs of tea have become prevalent, spread, and matured across the country. Xu Chajing (『續茶經』) written by Lu Tingcan (陸廷燦) in the Qing (清) era is one of them. It includes producing areas, cultivation, production, drinking, utensils, and effects concerning tea. It followed Chajing (『茶經』) written by Lu Yu (陸羽) in Tang (唐) era. So it was titled Xu Chajing (『續茶經』) as the sequel to Chajing (『茶經』). It contains lots of extracts related to tea, but some of them have been scattered and lost. Therefore, it is valuable literature in the field of studying Chinese tea culture. But it has not been translated into Japanese yet. Our aim is to contribute to the progress of research on Chinese tea culture by showing its translation. In this time, we have translated its sections l03-145 in chapter two (「二之具」) in this trial.
著者
原田 智也 纐纈 一起
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

『理科年表』の「日本付近のおもな被害地震年代表」(以下,「年代表」)における1884年までの被害地震(以下,歴史地震)は,基本的に『日本被害地震総覧』(宇佐美,1987,1995,2003;宇佐美・他,2013)(以下,『総覧』)によっているが,『総覧』が版を重ねてきたことや最新の知見の蓄積にともない見直しが必要であった.我々は『理科年表』(第91冊,2018年版)の「年代表」の作成に際して,おもに,歴史地震の“被害摘要”における誤植の修正と改訂を行った.その際,『総覧』で存在が疑問視されている歴史地震については,削除せずに疑わしいという情報を追記した. 「年代表」は『総覧』の歴史地震のすべての歴史地震を掲載していない.これは編集担当の研究者が2代に渡って地震の選択は手を付けなかったためであるので,現在,我々は『理科年表』(第94冊,2021年版)の「年代表」に,これまで掲載されてこなかった『総覧』の歴史地震を追加する作業を進めている.『総覧』の歴史地震には,通し番号がある歴史地震(以下,「番号地震」)とそれがない歴史地震(以下,「無番号地震」)とがある.無番号地震は,『総覧』の著者がその存在を極めて疑わしいとした歴史地震であるので基本的に追加しない.ただし,無番号地震である明応4年8月15日の関東地震は重要性や最近の研究等を鑑みて追加する.「年代表」に掲載されていない番号地震である87地震が追加の対象となる.しかしながら,番号地震であっても,応永30年10月11日の羽後の地震や天和4年11月16日の日向の地震のように,『総覧』の改訂により新たに存在が疑問とされた地震が12地震存在する.これらの地震については追加を保留する.さらに,史料の信頼性などの問題により,我々がその存在や被害の有無についての検討が必要だと考える,永正8年11月2日の茂原の地震,安政2年6月24日の杵築の地震のような地震も31地震存在する.これらの地震については,検討を順次進めていく予定であるが,検討が終わるまでは追加を保留する方針である.したがって,今回の改訂では,基本的に上記以外の44地震を追加する予定である.さらに,『総覧』にない万寿4年3月2日の京都の地震,永享5年1年24日の伊勢の地震,享徳3年11月24日の陸奥の地震や,『総覧』の宝永地震の解説文内にある宝永4年10月4日の駿河・甲斐の地震の計4地震も追加する予定である.また,『総覧』に反映されていない最近の研究による知見(例えば,天保2年10月11日の肥前の地震(加納,2017)や明応7年6月11日の日向灘地震(原田・他,2017)の解釈)による「年代表」の改訂も行う予定である. 次に,今回あるいは今後見直すべき問題として,「年代表」の歴史地震の発生年月日の西暦・和暦表記について言及する.西暦について「年代表」は,『総覧』が踏襲されているために,ユリウス暦が用いられた1582年以前の西暦日付であっても明治以来の慣行であるグレゴリオ暦で表記されており,世界との整合性が失われている.日本でも,歴史地震研究会の会誌『歴史地震』では,1582年以前はユリウス暦を使用することを奨励しており,最近は1582年以前についてグレゴリオ暦を用いる歴史地震の研究者はほとんどいない.したがって,「年代表」でも今後,英訳を予定していることなどから,西暦表記の見直しが必要であると考えられるが,研究者でない一般の方々も手に取る『理科年表』の性質上,併記するなど慎重に行わなければない.和暦について「年代表」は,明治より前の改元では改元前に遡ってその年全体を改元後の年号で,南北朝時代の年号は南朝年号で表記されている.これは戦前の歴史学における慣行であり,歴史地震の研究はこの時期の大森房吉・今村明恒・武者金吉らの精力的な仕事によって創始されたので,この慣行が今でも続いている.しかしながら,現在の歴史学では通常,改元の年全体を改元後の年号で表記することはせず,南北朝時代は北朝年号で表記するという.したがって,「年代表」の和暦も現在の歴史学に沿った表記法がよいと考えられる.しかし,“安政東海地震”,“正平南海地震”といった名称が広く世間に認知されている地震の発生日の和暦を,嘉永7年10月5日,康安1年6月24日とすると西暦以上の誤解や混乱を招く恐れがあり難しいので,これも慎重に進めなければならない.
著者
菊池 城治 雨宮 護 島田 貴仁 齊藤 知範 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.151-163, 2009-10-20 (Released:2017-03-30)

警察や一般市民の間で,声かけなどのいわゆる不審者遭遇情報は,より重篤な性犯罪などの前兆事案として捉えられているものの,実証的な研究はこれまでなされてきていない.本研究では,犯罪学における近接反復被害の分析手法を応用し,声かけなどの不審者遭遇情報とその後の性犯罪発生との時空間的近接性を検証する.A都道府県警察における3年間の不審者遭遇情報(1,396件)と屋外での性犯罪(599件)の認知データを地理情報システム(GIS)とシミュレーション手法を用いて時空間的に解析したところ,声かけなどの不審者遭遇情報と性犯罪は時間的にも空間的にも近接して発生していることが分かった.具体的には,声かけなどの不審者遭遇情報発生後,少なくとも1ヶ月にわたって発生地点から1kmの範囲において性犯罪の発生件数が有意に高いことが示された.この結果に基づいて,本研究の限界を踏まえつつ,実証データに基づく警察活動への考察を行う.

2 0 0 0 OA 左利きの研究

著者
原田 富士子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.205-212, 1960-08-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5
著者
原田 敬美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第41回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.31, 2006 (Released:2007-01-05)

本研究の目的は、東京都港区内のJR品川駅と田町駅の東西自由通路を対象に、協議会方式による官民協働事業の整備手法について、特徴、問題点、課題を明らかにし、今後官民協働の手法の可能性を検討することである。品川駅自由通路は駅東口の複合都市開発と新幹線品川駅開業に対応するため1998年完成、幅20m長さ250m、工事費160億円である。田町駅自由通路は西口再開発事業計画に公共施設として位置づけ、周辺の再開発や大型開発へ対応するために2003年完成、幅16m長さ80m工事費25億円である。駅周辺の大企業や商店会に協議会参加を呼びかけ、開発者負担、受益者負担の原則で、協議会が建設費を負担し、区は一般財源の支出無しで公共施設整備をした。一方区は開発事業者にボーナス容積のインセンティブを与えた。協議会方式は様々な主体が参加することでコミュニケーションが進み、問題解決が図れ、単独主体で整備するより効率的に事業が進んだ。協議会方式による官民協働の事業の整備手法は今後様々な公共施設整備に活用の可能性がある。
著者
藤垣 洋平 高見 淳史 トロンコソ パラディ ジアンカルロス 原田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.833-840, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
4 2

本論文では、大都市圏向け統合モビリティサービスMetro-MaaSを提案し、利用意向調査によりMetro-MaaSの需要の特性を評価した。Mobility as a Service(略称MaaS)は、利用者が適材適所で交通サービスを組み合わせて使いやすくすることで、自家用車を保有し運転することの代替となりうるサービスを目指す概念であり、世界の各都市で導入に向けた検討が進んでいる。本研究ではMaaSの大都市圏への導入方法として、対象事業者数を抑制しつつ利用者の日常生活をカバーできる設計手法Metro-MaaSを提案し、その需要の特徴を評価した。Metro-MaaSは自動運転とは独立した概念だが、自動運転車を使用したオンデマンドバス等のサービスと既存公共交通を一体的に提供する方法としても活用可能である。調査結果の分析から、利用意向に影響がある個人属性や居住地、移動等の特徴を抽出し、その影響を評価した。その結果、「運転に対して少し不安がある人」「駅から自宅までの徒歩の所要時間が20分以上の人」「自家用車を2台保有している人」などが、サービスを利用したいと考える傾向が示された。
著者
原田 泰 安武 伸朗 横溝 賢
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.214-215, 2018 (Released:2018-06-21)

リアルタイムドキュメンテーション(RTD) の目的の一つである「議論の見える化」が場の活性化や相互理解に有効であると言われてはいるが、視覚化すれば自動的に効果が現れる訳ではない。RTD 表現物が道具である以上、そのリテラシー(読み/描き)が問われることになる。本項では、RTD をデザイン研究の手法に昇華させるため、RTD スキルの観点から今後の課題についてまとめた。RTDプロセスを俯瞰すると、対象となる出来事の捉え方からアウトプットの方法までを図解し、各項目における課題を指摘することができた。それは(1)何を記録の対象とするか(2)事前打ち合わせの有無(3)スクライバーの記録対象に向ける視点(4)何を表現として残すか(5)メディア表現のスキル(6)スクライバー以外の関与、の6項目である。これらからRTDはグラフィックデザインのアプリケーションであり、グラフィックデザインのスキルがRTDのクオリティに寄与すると言える。また、このプロセスから導き出されるRTDスクライバーの人材観、RTDの将来的な活用方法についても言及した。さらに、このプロセスから導き出されるRTDスクライバーの人材観はそのままデザインの研究や学びに適用でき、RTDの将来的な活用方法についてもその視座が明らかにした。
著者
原田 智仁
出版者
全国社会科教育学会
雑誌
社会科研究 (ISSN:0289856X)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.1-12, 2013-03-31 (Released:2017-07-01)

本研究の目的は,内外の歴史教育で課題とされる大観学習の方法と実践的課題を考察することである。そのための方法として,日本の中学校歴史的分野と英国のKS3の歴史を大観する学習の事例研究を行い,それを手がかりに単元構成のレベルで大観学習の原理と方法を明らかにすることにした。カリキュラム上の位置づけについては日本の学習指導要領と英国のナショナルカリキュラムを,内容構成についてはそれぞれの国の代表的な歴史教科書を,学習展開については分析対象とした歴史教科書に基づく学習事例をそれぞれ分析した。分析の結果,日本の大観学習の特色は時代の要約ないし概括にあり,英国の大観学習の特色は時代を超えた歴史の見方やテーマの理解にあることが判明した。それを踏まえて,歴史を大観する学習のための単元構成の要件を次の4つに整理した。a)歴史の大観を時代の要約・概括に留めず,歴史の見方や考え方へと拡大して捉える。b)大観の時間的枠組みは既成の時代区分に囚われず自由に設定する。大観すべき内容こそが単元をなす。c)大観学習の要点は歴史の大観につながる問いの設定にある。d)大観のための基本的学習過程は,(1)最初の大観的活動と課題意識,(2)問いの発見と仮説形成,(3)大観と関連させた探究,(4)結論を導く作業,となる。以上の要件を踏まえて,「中世の幕開け」と題する単元モデルを開発した。
著者
多々良 大輔 吉住 浩平 野崎 壮 原田 伸哉 中元寺 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0485, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 側臥位での股関節外転運動は、診療場面にて検査もしくはトレーニングとして使用することが多い。主動作筋である中殿筋の機能に関する報告は、腰椎の側屈、股関節屈曲などの代償運動を考慮して、背臥位での計測結果を報告したものが多いが、側臥位では腰椎-骨盤帯の安定性に関与する腹壁筋、傍脊柱筋の作用により固定筋としての作用が得られないと、効果的な外転筋の発揮は困難である。本研究の目的は、側臥位にて寛骨非固定、固定下での等尺性股関節外転運動を行った際の中殿筋、内腹斜筋、腰方形筋、腰部多裂筋の活動を表面筋電図にて計測・比較し、主動作筋である中殿筋と他の固定筋との関係性を明らかにすることである。【方法】 健常男性15名(平均年齢:25.9±3.0歳、身長:175.3±6.7cm、体重:66.4±7.5kg)、全例、効き足が右の者で、腰痛を有していない者を対象とした。被験筋は、中殿筋、内腹斜筋、腰方形筋、腰部多裂筋の4筋とした。表面電極は皮膚処理を十分行った上で、日本光電社製NCS電極NM-317Y3を使用し、Cynnの記述を参考に20mm間に貼付した。表面筋電計は日本光電社製NeuropackS1を用いて、サンプリング周波数1000Hzにて、上記4筋について、それぞれ徒手筋力検査(manual muscle testing:MMT)の肢位に準じて、各筋の等尺性収縮を最大随意収縮強度(100%MVC:maximal voluntary contraction)を計測した。測定肢位は側臥位、両上肢は胸骨の前面で組ませ、頭頂・耳孔・肩峰・大転子が一直線上になるようポジショニングを行った。股関節角度は伸展10度、外転25度の位置に膝関節外側裂隙から近位3cmの部位に接するように平行棒を設置・固定し、大腿遠位部が平行棒に触れる直前にて保持するように指示し、寛骨非固定下、骨盤固定下の2条件にて股関節外転運動を等尺性収縮にて行った。測定時間は5秒間とし、前後1秒間を除いた中間の3秒間にて、積分値が最大となる0.2秒間を1000Hzにてサンプリングし、各筋の随意収縮強度(%MVC)を算出、比較を行った。なお、各群ともに1分間の休息を挟んで3回実施し、平均値を算出した。寛骨の固定は同一検者にて、各測定前にハンドダイナモメーター(Hoggan社製:MicroFET2)を用いて、80Nにて圧迫を加えられるよう十分な練習を行ってから、上側となる腸骨稜から仙腸関節を圧縮する方向に徒手的に圧迫を加えた。統計処理は寛骨非固定下(以下、A群)、寛骨固定化(以下、B群)における各筋の%MVCについて、中殿筋・腰部多裂筋はt検定を、内腹斜筋・腰方形筋についてはWilcoxon符号順位検定を用い、有意水準5%未満にて分析した。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の主旨を書面にて説明し、参加に同意を得た者を対象とした。【結果】 A群では中殿筋:43.3±13.1%、内腹斜筋:31.6±29.4%、腰方形筋:30.9±10.2%、腰部多裂筋:25.5±12.3%、B群では中殿筋:31.5±14.7%、内腹斜筋:19.2±15.6%、腰方形筋:29.6±16.6%、腰部多裂筋:28.1±14.8%となった。A群と比較し、B群では中殿筋、内腹斜筋が低値を示した(p<0.05)。【考察】 寛骨の固定により、主動作筋である中殿筋の筋長は変化しないにも関わらず、%MVCが低値を示したことから、起始となる寛骨の安定性が提供されることで、効率的な筋活動にて外転位保持が可能となったと考えられる。側臥位での股関節外転運動では、腰椎-骨盤帯-股関節複合体として、関与する筋群の協調した運動制御が重要であることが示唆された。診療場面において、寛骨の固定により非固定時よりも中殿筋の出力が容易となることが確認できた場合、寛骨の安定化に関わる固定筋の賦活も併せてアプローチすることが重要である。今後は同様の計測条件にて、寛骨固定の有無による股関節外転筋トルクの変化を算出・比較するとともに、周波数解析を用いて各筋の質的因子の変化について検討していきたい。
著者
原田 聡 杉田 隆 田嶋 磨美 津福 久恵 坪井 良治 西川 朱實
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 第50回 日本医真菌学会総会 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
pp.77, 2006 (Released:2006-09-12)

【はじめに】皮膚常在真菌であるMalasseziaはアトピー性皮膚炎の増悪因子である。本菌は細胞外にリパーゼを分泌することにより皮脂を分解しそれを自らの栄養源としている。この度は、アトピー性皮膚炎の標準的治療薬であるステロイドおよびタクロリムスがMalasseziaの分泌性リパーゼ産生および遺伝子発現に及ぼす影響について検討した【材料および方法】菌株:アトピー性皮膚炎患者皮膚の主要構成菌種であるM. globosaおよびM. restrictaの臨床分離株を用いた。リパーゼ遺伝子変動:degenerate PCRによりリパーゼ遺伝子をクローン化し、各種薬剤存在下での遺伝子発現変動をreal-time PCRを用いて調べた。分泌性リパーゼ産生:各種薬剤存在下でpNPP法によりリパーゼ活性を測定した。【結果および考察】臨床濃度に相当するステロイド存在下では、リパーゼ遺伝子の発現およびタンパク産生の抑制が認められた。一方、タクロリムスは、臨床濃度の約1/60以下で遺伝子発現およびタンパク産生の亢進が認められた。しかしながら、タクロリムスは臨床濃度ではMalasseziaに対して殺菌的に働くので、リパーゼ活性の亢進は臨床上問題にならないと考えられる。【会員外共同研究者】内田夕貴、斉藤美沙
著者
美舩 美舩 乾 淳幸 坂田 亮介 原田 義文 高瀬 史明 植田 安洋 片岡 武史 国分 毅
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.476-480, 2016

加齢に伴う腱板組織へのadvanced glycation end products(AGEs)沈着量の変化と力学的強度の変化を,SDラットを用いて検討した.3,6,12,24か月齢のSDラットの棘上筋腱を用いて組織学的検討を行い,力学的評価として棘下筋-上腕骨複合体の最大破断強度を引っ張り試験にて評価した.HE染色では12,24か月齢のラット腱板において細胞浸潤,コラーゲン線維配列の乱れを認めた.免疫染色では加齢に伴ってAGEs沈着の増加を認め,またAGE受容体の発現増加も認めた.TUNEL染色でも同様に加齢に伴うアポトーシスの増加を認め,力学的試験では12,24か月齢において破断強度の低下を認めた.我々はこれまでにin vitro実験において,AGEsが腱板由来細胞のReactive Oxygen Species発現を増加させ,アポトーシスを増加させることを明らかにしてきた.本研究より,肩腱板においてもAGEsの沈着が細胞障害性を持つ一方で,力学的な脆弱性と相関しており,AGEsの増加が加齢に伴う腱板断裂の一因になっていることが考えられた.
著者
檜山 英三 原田 隆範 兒島 正人
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.33-37, 2020-04-01 (Released:2020-04-15)
参考文献数
2

Circulating tumor cell (CTC) has improved the study of cancer disease as it represents a noninvasive biopsy that can be used as prognostic and prediction biomarkers as well as for future molecular diagnosis as an accurate selection of molecular targets and effective drugs. As tumor heterogeneity exists in neuroblastoma (NBL), we aimed to evaluate lipid-metabolomic molecular profile as well as genetic profiles at the single cell level of CTC for better understanding the heterogeneity and malignant grade of NBL. For attempt of CTC analysis in NBL patients, we have isolated single-CTCs and then performed direct trapping of a single cell within a nanospray tip followed by super-sonication after the addition of ionization solvent for metabolomics analysis. And we also performed genomic aberrations and expressions using next-generation sequencing after whole genome/transcriptome amplifications (WGA/WTA). In the NBL-CTCs, metabolomic analysis detected catechol amine metabolites, which are specific to NBL, and drugs included in the patient’s course of therapy in addition to vital molecules such as amino acids. In genomic analysis, the average amount of amplified DNA was 19.0 µg, and the percentage of reads mapped to any targeted region relative to all reads mapped to the reference was 66.5–98.9%. The concordance rates of CTC and tumor mutations were 49–80%. The genomic expression analysis in CTC showed the activation of cancer metastatic, neurogenic, stem cell signaling pathway genes. This “direct single-cell analysis method” seems to be useful for direct and wide range genomic and molecular marker detection in NBL-CTC, for evaluating heterogeneity of NBL tumor at diagnosis as well as during treatments. This method will be applicable for selection of effective drugs and evaluation of treatment efficacy in future.