著者
副島 恵子 原田 要之助
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2016-SPT-21, no.11, pp.1-7, 2016-11-10

大規模な個人情報漏洩事件などが頻発する昨今,情報セキュリティインシデント (以下,インシデントという) 対応を行う CSIRT (Computer Security Incident Response Team) が注目を集めている.本研究では,CSIRT 活動と情報セキュリティマネジメントとの関係を明らかにし,組織の情報セキュリティ向上に寄与する CSIRT 活動のあり方について考察する.
著者
渡辺 勇士 井上 愉可里 原田 康徳
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.468-473, 2017-05-15

ビスケットはコンピュータの専門家ではない人でもプログラミングを楽しく理解できるツールである.2016年にアプリ版がリリースされ,タブレットで使えることによって,指で操作できるため,ペンを使うことに慣れていない児童でも,ストレスを感じずにプログラムをつくることができる.ビスケットは開発されてから,言語の進化と同時にビスケットの教え方も進化してきた.根底にある原理は「子供たちの驚きと喜びを最大化する」ように情報を提示することである.本稿では,実際の子供たちへの教え方になぞって,我々がどのように子供たちに教えているのか解説する.
著者
原田 敬美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.3, pp.571-576, 2006-10-25 (Released:2018-06-26)
参考文献数
14

本研究の目的は、東京都港区内のJR品川駅と田町駅の東西自由通路を対象に、協議会方式による官民協働事業の整備手法について、特徴、問題点、課題を明らかにし、今後官民協働の手法の可能性を検討することである。品川駅自由通路は駅東口の複合都市開発と新幹線品川駅開業に対応するため1998年完成、幅20m長さ250m、工事費160億円である。田町駅自由通路は西口再開発事業計画に公共施設として位置づけ、周辺の再開発や大型開発へ対応するために2003年完成、幅16m長さ80m工事費25億円である。駅周辺の大企業や商店会に協議会参加を呼びかけ、開発者負担、受益者負担の原則で、協議会が建設費を負担し、区は一般財源の支出無しで公共施設整備をした。一方区は開発事業者にボーナス容積のインセンティブを与えた。協議会方式は様々な主体が参加することでコミュニケーションが進み、問題解決が図れ、単独主体で整備するより効率的に事業が進んだ。協議会方式による官民協働の事業の整備手法は今後様々な公共施設整備に活用の可能性がある。
著者
原田 敦 松井 康素 竹村 真里枝 伊藤 全哉 若尾 典充 太田 壽城
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.596-608, 2005-11-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
67
被引用文献数
7 8

老年病の需要増加に対する有限の医療・介護資源をいかに合理的に活用するかが問われている. 本稿では, 骨粗鬆症・骨折の疫学と費用を述べ, 次いで費用対効果の研究を介入法別に総説した. 骨粗鬆症性骨折による生命予後及び機能予後の悪化, 並びにQOL低下の存在は多くの研究から明らかで, 骨粗鬆症治療の効果はQOLを考慮した質調整生存年 (QALY) によって測定され, 費用・効用分析にて解析されるべきである. 従って, その費用対効果は, 単なる得られた生存年ではなく, 獲得されたQALY当たりの費用で評価されるのが適正で, QALYも得られ, 費用も節減が最も望ましいが, 妥当な費用閾値を越えなければ費用対効果は良好とされる.骨粗鬆症・骨折における治療の費用対効果は, 対象の有する骨粗鬆症性骨折リスクと介入法の効果及び費用に依存しており, 特に骨折リスクとしての年齢と介入費用の影響が強かった. 高価な治療であっても高齢であれば, 平均骨折リスクの女性では合理的費用対効果が認められ, 安価で効果のある治療なら, 閉経直後の正常女性でも合理的費用対効果が得られる. さらに介入効果として薬剤中止後の効果残存にも費用対効果は大きく左右され, 効果残存のない薬剤では, 最も安価でかつ最大の効果のある場合以外は, 費用対効果を得るのは困難とする報告もあった.介入法ごとの費用対効果を現時点の文献をもとに検討すると, HRTに関しては, 有益作用を有害作用が上回った最近の報告を元にした検討はまだ発表されていない. アレンドロネートは既存脊椎骨折のある高齢骨粗鬆症女性で十分な費用対効果が認められ, 効果は対象が高齢の方が優れており, 既存脊椎骨折を有する方が脊椎骨折のない場合より優れていた. リセドロネートも65歳以上の骨粗鬆症女性では既存骨折にかかわらず, 良好な費用対効果を示し, 既存骨折があれば70歳以上ですべて費用節減に至った. カルシウムとビタミンD併用は大腿骨頸部骨折リスクを減少し, 高齢女性で費用節減に到達した. ラロキシフェンは乳癌抑制作用も合わせると, 既存骨折の有無にかかわらず, 骨粗鬆症女性における費用対効果はどの年代でも良好であった. ヒッププロテクターは, 高齢者においては男女とも費用節減で, 特に高齢女性では大きい費用節減とQALY獲得が予測された.このように骨折リスクの高い高齢者にも費用対効果が十分期待できる介入法がいくつかあり, それらによる積極的な治療は医療経済的にも大いに有意義であると考えられる.
著者
齋藤 惠介 原田 勇希 草場 実
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.107-117, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1

近年,興味をポジティブ感情(強度)と価値の認知(深さ)から捉える理論的枠組みが提唱されており,強度と深さを望ましい状態に導くことが重要である。また,これまでの大規模調査より,我が国の生徒は理科全般に対する興味の強度に課題があることが示唆されているが,観察・実験に対する興味の強度は比較的良好に保たれていることが明らかになっている。そのため興味に介入する場合,観察・実験を足掛かりにすることが考えられるが,強度と深さのどちらを先行して育成すべきであるかについて未検討な点が多い。そこで,本研究では観察・実験に対する興味の強度と深さに注目し,理科全般に対する興味の強度との関連を検討することを目的とした。結果より,“理科学習に対するポジティブ感情”と“観察・実験に対するポジティブ感情”は別因子として抽出できたため,両興味は並存しえる構成概念であるといえる。また,生徒の観察・実験に対するポジティブ感情が低い状態で深い価値の認知に介入することは,理科全般に対するポジティブ感情をより低減させてしまう可能性が示唆された。このことから,教師は生徒の観察・実験に対するポジティブ感情の強度に応じて,興味の深さに介入していく必要があるだろう。
著者
原田 正純
出版者
アークメディア
雑誌
臨床精神医学 (ISSN:0300032X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1629-1637, 2009-11
被引用文献数
1
著者
益川 敏英 山脇 幸一 棚橋 誠治 原田 正康 野尻 伸一 前川 展祐 早川 雅司 戸部 和弘 酒井 忠勝 野中 千穂 青木 保道 松崎 真也 柴田 章博 曽我見 郁夫 深谷 英則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

質量の起源を担うヒッグス粒子が発見されたが、その本性は未解決のままである。本計画は「はしご近似」や「ホログラフィー」の模型的計算に基づき、ヒッグス粒子が「ウォーキングテクニカラー理論」で予言された軽い複合粒子「テクニディラトン」として説明できることを示した。一方、第一原理計算方法である格子QCDの計算機シミュレーションにより、フレーバー8のQCDが「ウォーキングテクニカラー理論」の候補となること示し、他のグループも追認した。さらに、フレーバー12(複数の他グループが追認)とフレーバー8において軽いフレーバー1重項スカラーメソンを発見した。後者は「テクニディラトン」の候補である。
著者
原田 晋 松永 亜紀子 宮地 里江子 正木 太朗 森山 達哉
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1515-1521, 2007-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
20

【目的】スパイスアレルギーは特に北欧諸国からは多数の報告が認められるが,本邦での報告は稀である.今回,当科で経験した2症例に対して諸検査を施行し,本症の発症機序に関する考察を加えた.【方法と対象】臨床経過からセリ科スパイスアレルギーと考えられた2症例に対して,花粉類・食物類の特異的IgEの測定,スパイス類・セリ科野菜類のプリックテスト・Immunoblotを施行した.但し,症例1 32歳男性では花粉症の既往はなく,症例2 46歳女性は春夏秋を通して花粉症症状を有していた.【結果】症例1では花粉類の特異的IgEは弱陽性のみ.Immunoblotは10〜12kDaおよび60kDaの部位で陽性.症例2では多数の花粉類の特異的IgEが陽性.Immunoblotは14kDaおよび60kDaの部位で陽性.プリックテストは2症例共にセリ科のスパイス類で強陽性を示し,セリ科のスパイスアレルギーと診断した.【結論】以上の結果より,症例1はスパイス自体の感作によるクラス1アレルギーを,症例2は花粉類との交叉反応により発症したクラス2アレルギーを疑った.本症には,このように複数の発症機序が存在するのではないかと推測される.本邦においても,今後スパイスアレルギーの発症が増加する可能性も考えられ,注目すべきアレルゲンである.
著者
岸原 悠貴 安田 英人 須崎 紳一郎 原田 尚重 原 俊輔 蕪木 友則 東 秀律 寺岡 麻梨 山本 浩大郎 鈴木 秀鷹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.643-650, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
9

目的:適切な入院先の選定を可能にすることで患者の予後を改善する目的から,重症化予測スコアリングモデルの検討を行う。方法:デザインは単施設後方視的コホート研究で, 2013年1月〜2015年12月に武蔵野赤十字病院救命救急センターに入院した急性医薬品中毒患者を対象とした。重症管理の有無を主要評価項目とし予測スコアリングモデルを複数作成,それらを統計学的に比較した。結果:171例を対象に解析を行い,重症管理群29例(17.0%),非重症管理群142例(83.0%)であった。予測スコアリングモデルを比較すると,ハイリスク薬剤内服の有無,内服薬の錠数151錠以上の有無,GCS 6未満の有無,心電図変化の有無を説明変数とすると妥当性がもっとも高かった(AIC=125.6)。結論:本予測スコアリングモデルによって急性医薬品中毒患者の重症管理予測の一助となる可能性がある。
著者
高島 有香 守内 玲寧 白戸 貴久 和田 吉生 福澤 信之 原田 浩 清水 聡子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.11, pp.2373-2377, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
9

臓器移植患者は免疫抑制のため水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症のリスクが高く,重症化の恐れもあるが,これまで多数例の検討は少なく,治療基準も明確ではない.当施設で施行された腎移植548症例中VZV感染症を発症した81例につき,患者背景,発症頻度,移植から発症までの期間,臨床症状をレトロスペクティブに検証した.汎発型帯状疱疹を11例に認め,うち1例は脳炎を合併し死亡した.腎移植後のVZV感染症診療の際には,速やかな治療開始と慎重な観察が必須であるが,腎移植後1年間以内の患者や献腎移植患者では特に発症率が高く,より慎重な観察が重要である.
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>