著者
柳清 洋佑 小柳 哲也 伊藤 寿朗 栗本 義彦 川原田 修義 樋上 哲哉
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.745-748, 2012

要 旨:症例は63歳女性.突然の吐血にて近医へ搬送され内視鏡検査を施行された.胸部中部食道に粘膜剥離所見と狭窄を認めるのみであり,狭窄部は通過できなかったため精査目的に入院した.翌日CT撮影を行ったところ最大径40 mmの胸部下行大動脈瘤および瘤の食道穿破を認めた.胸部中部食道は上行大動脈と下行大動脈に挟まれ圧迫されている所見であった.前医出発直前に大量吐血し,挿管管理,大量輸血された状態で到着した.緊急でステントグラフト内挿術を施行し出血をコントロールした.穿破した食道は感染源となるため,後日胸部食道亜全摘および大網充填術を行った.全身状態が改善した後に大腸を用いて食道再建術を行った.胸部大動脈瘤の食道穿破は死亡率が極めて高く治療法が確立されていないのが現状である.今回ステントグラフト内挿術による出血のコントロールを行い,食道切除術による病巣切除を併せて行うことで救命し得た1症例を経験したため報告する.
著者
中村 誠司 篠原 正徳 原田 猛 廣木 朗子 岡 増一郎
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.62-69, 1995-01-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

Sixty dentigerous and 10 primordial cysts were examined clinically and pathologically. Fifty-six of the dentigerous cysts had non-keratinizing epithelium and 9 of the dentigerous cysts had keratinizing epithelium. However, 5 keratinizing dentigerous cysts and 1 non-keratinizing primordial cyst were observed as exceptions.Radiographically, the dentigerous cysts were generally of unilocular round shape with a well-defined border. However, the well-defined border was often lost due to severe infection. In contrast, the primordial cysts were more frequently shown to be of irregular and multilocular shape, and the well-defined border was well preserved even with severe infection. Thus, keratinizing epithelium was suggested to be involved in the formation of irregular and multilocular shape and to be more resistant to infection.Pathologically, non-keratinizing epithelium often showed proliferation, a lacy appearance, and ridge elongation in association with inflammatory cell infiltration. In contrast, such changes in keratinizing epithelium were rarely observed even with heavy inflammation. Interestingly, ameloblastoma-like epithelial proliferation and calcification in the absence of inflammation were partially observed in 6 and 7 cases, respectively, independent of keratinization of epithelium. Thus, odontogenic epithelial cells were suggested to have high proliferative and differentiative activities.
著者
藤村 謙次郎 山下 彰久 白澤 建藏 城戸 秀彦 原田 岳 林 哲生 牛島 貴宏
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.27-31, 2009

【目的】当院で2000年以降に経験した化膿性膝関節炎を検討し,今後の治療方針決定に役立てる.【対象および方法】2000年から2008年2月までに当科で化膿性膝関節炎と診断されたのは21例21膝.うち合併症のために最終的に下肢切断術を余儀なくされた2例とACL術後感染1例,真菌性膝関節炎1例を除外して検討を加えた.平均年齢69.5(32~89)歳,男性8例,女性9例であった.手術方法は関節鏡下滑膜切除+持続灌流を基本とし,症例に応じて適宜変更した.【結果・考察】退院時のBallard評価基準はgood 2,fair 13,poor 1,死亡1であった.起炎菌の同定,早急な外科的治療および抗生剤投与が重要であり,また,MRSAは治療遷延化および変形性膝関節症(OA)の進行を招き機能予後を低下させる原因であった.さらに2006年以降の4例中3例はMRSA感染であり,近年のMRSA感染増加が示唆された.
著者
原田 葉乃
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2015

東京海洋大学修士学位論文 平成27年度(2015) 海洋環境保全学 第2340号
著者
古木 隆寛 竹内 日登美 原田 哲夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.39-42, 2019

<p>生物の解剖を行うことは学生の生物に対しての意識に有益に働くことが数多く報告されている。しかし、高知大学の学生で過去に生物の解剖を実際に行ったことのある学生は多くない。そこで、高知大学教育学部において開講されている「生物学実験Ⅰ」ではこれまでアフリカツメガエルの解剖を行ってきた。アフリカツメガエルの解剖を通して、体のつくりなどを学ぶと同時に、解剖に関して適切な手順や注意点を知ることを目的とした授業であるが、実際に決められた時間の中で、全てを指導するのはやや困難であった。そこで本研究では、全ての学生が適切に解剖を行い、十分に観察および考察ができるように、資料やサンプルを作成し、解剖に臨んだ。その結果、全ての学生が適切に解剖を行うことができ、十分に観察、考察をした結果、生命尊重の観点においても深く考えを至らせることができた。</p>
著者
石倉 篤 清澤 亜希子 田中 雄大 原田 祐奈 堀川 優依 中田 行重
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-22, 2019-03

若手心理臨床家には専門的職業人としての発達の段階があるが(金沢・岩壁,2006)、彼らの変化・成長過程を明らかにすることで、彼らと指導する者にとって、変化・成長を促進することにつながる。変化・成長を促すものとして、スーパーヴィジョンやケースカンファレンス以外に、相互扶助的なものが求められる。そこで若手心理臨床家同士のグループを形成し、彼らの大学院修了後の変化についてPCAGIP 法を用いて検討した。筆者らが調査対象者となりPCAGIP法を実施して、事例提供者の発言をKJ法によって検討した。その結果から、以下の5点が示唆された。第一に、職業観を形成する過程で、就職するまでは全般的な臨床場面に適応する準備をする一方で、就職した後は職場の特異性に適応していった。第二に、クライエントとの関わりを通して、一人の人間として自己開示していくことが増え、その意味を理解し、自己開示のタイミングや内容がより適切になっていった。第三に、自分の内面やクライエントとの関係性を理解するだけでなく、職場という組織・環境の中の自分とクライエントの位置を、多様な視点から理解するようになっていった。第四に、臨床家自身やクライエント自身の気持ちや考え、そして臨床家とクライエントとの関係性を、適度な距離をとりながら検討できるようになった。第五に、若手同士の関わりによって、相互扶助的な変化・成長が促された。
著者
堆 洋平 李 玉友 原田 秀樹
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.57-75, 2008 (Released:2018-03-10)
参考文献数
143
被引用文献数
1

水素発酵法は,バイオマスもしくはバイオマスの加工工程から排出される有機性排水を原料とした生物学的水素生産方法であり,未来型水素エネルギー社会のための持続的な水素生産方法として注目されている。本稿は,水素発酵において重要なテーマである水素生成細菌および水素発酵プロセスに関する知見を整理し,最新の水素発酵の研究動向を紹介する。水素生成細菌に関しては,水素生成細菌の種類とそれらの水素生成能,水素生成細菌の集積方法,および混合水素発酵細菌群の構造解析に関する知見をまとめた。一方,水素発酵プロセスに関しては,既往研究で検討されてきた様々なタイプの反応槽による水素生成に関する知見,および水素発酵槽の後段にメタン発酵槽を設けた二相式水素・メタン発酵法に関する知見をまとめた。その上で今後の水素発酵の展望を述べた。
著者
原田 範行
出版者
慶應義塾大学藝文学会
雑誌
藝文研究 (ISSN:04351630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.33-40, 2020-12

1. 『フィーメイル・アメリカン』の謎2. 『ハイイ・イブン・ヤクザーン』の系譜と平和的改宗3. 空間表象の変容と環大西洋的修辞学巽孝之教授退任記念論文集
著者
堀川 俊二 只佐 宣子 平原 恵子 井藤 久子 森末 志津恵 原田 貴治 江木 康夫 大森 一郎
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.16-21, 2008

平成18年はノロウイルスを原因とした感染性胃腸炎が早くから発生し,医療施設,老人福祉施設等での集団発生が多発した。JA吉田総合病院においても,平成18年10月3日~17日の間に,6病棟のうち3つの病棟で嘔吐・下痢症状を有する者,入院患者29名,職員18名,合計47名を認めた。保健所へ報告,緊急院内感染予防対策委員会を開催し,現状の把握,感染拡大防止策,有症者への説明,入院制限,面会制限等を保健所の指導下で行ない,10月17日には新規有症者は0となった。Infection Control Team (以下,ICT) は集団発生事例の調査検討を行ない,現行のマニュアルを見直し,緊急時の対応,各職員の職務分掌,環境整備の方法等「感染性胃腸炎発生対応マニュアル・作業マニュアル」を作成した。ICTは,感染対策の知識の普及とともに,いかなる場合でも実働部隊として対応できる準備をしておく必要がある。
著者
原田 直樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ホルモン療法後、前立腺がんが再発する機構について検討した結果、ホルモン療法に類似した状態では、アンドロゲン受容体(AR)がプロセッシングされ、C末端領域を欠く短鎖型ARが産生されることを見出した。この短鎖型ARは、リガンド非依存的な転写活性を持つことが予想された。また、レスベラトロールのAR機能抑制にはARのDNA結合を抑制することとARのアセチル化を減少させることが重要であった。さらに、レスベラトロールは短鎖型ARの機能も抑制することが推察された。
著者
原田 直樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

アンドロゲン受容体(AR)は、リガンドであるジヒドロテストステロンと結合して転写因子として機能することで、前立腺がんの進行に深く関与する。コアクチベーターは、ARに結合してARの転写活性化能を正に制御する因子である。本研究により解糖系酵素として知られるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)が、ARに選択性の高い新規コアクチベーターとして機能することが明らかとなった。また、ARのコアクチベーターとして作用するRanBPM/RanBP9に高い相同性を持つRanBP10が、前立腺がん細胞株LNCaPにおいて高く発現し、RanBPMと同様にARの転写活性を促進することを明らかにした。RanBP10は、RanBP10-RanBP10あるいはRnBP10-RanBPM複合体を形成してARコアクチベーターとして機能することが示唆された。さらに、ARコアクチベーターであるARA24/RanはARのN末端領域とC末端領域の相互作用を促進する因子として機能することを明らかにした。ブドウの果皮に含まれるレスベラトロールは、ARの転写活性を抑制する作用を持つため、食による前立腺がんの予防に貢献する食因子として注目されている。これまで、レスベラトロールはARのmRNA発現を抑制することでAR機能を抑制すると考えられていた。しかし、本研究で翻訳後ARに及ぼすレスベラトロールの影響を検討した結果、レスベラトロールはARタンパク質の半減期を短縮させることや、核内AR量を有意に減少させる作用を持つことを新たに見出した。