著者
横尾 淑子 奥和田 久美
出版者
科学技術政策研究所 科学技術動向研究センター
巻号頁・発行日
2012-09 (Released:2013-05-21)

本研究では、1971 年から2010 年の40 年間に実施された「デルファイ調査」(科学技術発展の将来展望を専門家に問うアンケート)で取り上げられた「トピック」(実現が期待される科学技術等の記述)を対象として、我が国の研究開発の方向性変化の例証を試みた。 まず、トピック中で用いられた名詞の出現頻度の推移を見ることにより、専門家の注目点の変化を分析した。次いで、トピック設定から20 年後の実際の実現状況をもとに、トピック設定時の想定と実際の状況とのずれを分析した。 分析の結果、我が国の研究開発の方向性に関する専門家の考え方は、2000 年代後半から変化が生じ始め、社会との関係性を重視する方向に向かったことが明らかになった。また、1990 年代前半以降、専門家の見通し通りに予測が実現することが少なくなったこと、及び専門家の見通しがばらつくようになったことから、将来の変化を見通しにくくなったことが明らかになった。
著者
広瀬 直人 前田 剛希 恩田 聡 正田 守幸 宮城 一菜 和田 浩二 太田 英明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.81-89, 2017
被引用文献数
6

<p>シークワシャー搾汁残渣を原料として,市販シークワシャー果汁と同程度の7.5mg/100mLのノビレチンを含有するシークワシャー抽出酢の製造条件を開発した.</p><p> (1)搾汁残渣より種子とじょうのう膜を除去して搾汁果皮を調製し,乾燥処理を行わずに醸造酢で抽出すると,ポリメトキシフラボン類を含有し,リモニンが少なく苦味が弱い抽出酢が得られた.</p><p> (2)搾汁果皮20% (w/w)と醸造酢80% (w/w)を用いると,ノビレチンを7.5mg/100mL含有する抽出酢が得られた.抽出処理の破砕回数は10秒間で4∼5回が適した.</p><p> (3)抽出酢を常温保存すると,ポリメトキシフラボン類は安定であったが,モノテルペン類は急激に減少し,モノテルペンアルコール類は緩やかに減少した.</p>
著者
越川 武晃 上田 正生 内山 武司 和田 俊良
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.301-306, 2001-06-08
被引用文献数
2

本研究は,著者らが既に報告済みの補強材の付着すべりを考慮したPC梁部材の材料非線形解析手法を,スパン-梁丈比が比較的小さな梁部材の場合に無視し得なくなる横せん断変形の影響をも考慮し得るように発展させた荷重増分法に基づく矩形断面を有するPC梁部材の材料非線形曲げ解析法について報告するものである。即ち,まずこの問題に対する全ポテンシャル・エネルギー汎関数を導き,次いで,これを用いて有限要素法への定式化を行っている。更に,本解析値と著者らのPC梁の実験結果および既往の実験結果との比較により,本解析法の妥当性を検証している。
著者
関 真規人 和田 俊和 松山 隆司
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.66(1993-CVIM-084), pp.7-14, 1993-07-22

我々が以前提案したγ?ωHough変換は、通常のρ?θHough変換と比べ次のような優れた特長を持っている。() パラメータ空間を均一に標本化し全画素からの投票を行なっても、パラメータ空間に蓄積される投票度数に偏りが生じない。() 投票軌跡が2本の線分から成る折れ線となり、軌跡の描画やパラメータ空間を用いた直線の幾何学的性質の解析が容易に行なえる。しかし、従来のγ?ωHough変換アルゴリズムでは、1本のディジタル直線に含まれる画素集合からの投票がパラメータ空間中の複数のセル (標本化区間) に分散することがあり、ディジタル直線を構成する画素の数が投票度数として正しく捉えられないという問題点がある。これは、従来のγ?ωHough変換アルゴリズムが、画像空間中に存在する全てのディジタル直線を検出対象としていなかったことに起因する。本研究では、ディジタル直線の幾何学的性質を詳細に解析し、画像空間中に存在する全てのディジタル直線と1対1に対応したセル配置を持つようにγ?ωパラメータ空間を標本化する方法を求めるとともに、そのセル配置に対する妥当な投票方法を明らかにする。本論文で提案するセル配置と投票方法を用いた「高精度γ?ωHough変換アルゴリズム」を用いることにより、任意の方向、位置を持つディジタル直線が安定かつ高精度に検出できる。
著者
大和田 美香
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.60-73, 2012

本稿では,南部スーダン(現 南スーダン)の首都ジュバにおける労働市場の現状を,人材ニーズの高い企業への聞き取り調査から明らかにする。また,現地の技能人材の育成がどのように行われているのかを,職業訓練事業の訓練卒業生への聞き取りから分析した。調査から分かったことは,第一に,建設業,自動車整備業,ホテルサービス業の各業種で,国内資本か否かによる従業員構成の違いが存在することである。企業内の職位については,外国人労働者が南部スーダン出身の労働者に比べて相対的に高い職位に就いていた。その背景には,紛争による南部スーダンの学校教育の停滞や,ウガンダやケニアなどの近隣国出身者の就業機会を求めた流入がある。南部スーダン人人材の育成が求められる状況の中,ジュバでは国際協力機構の職業訓練プロジェクトにより,技能を持った人材を育成し,就業に一定の効果を挙げていることが分かった。しかし,半数以上が期限付きの契約ベースの雇用である状況も分かった。
著者
常盤 嘉一 倉田 彰 宮坂 佳男 橘 滋国 矢田 賢三 大和田 隆 菅 信一 向野 和雄 高木 宏
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.128-132, 1993
被引用文献数
2

視野障害をきたす特徴的な水頭症の所見を得るために,後頭蓋窩腫瘍にて閉塞性水頭症をきたした28例の画像を検討した.視野障害群(n=6)と視野正常群(n=22)で,計測を含めたCTの検討を行った.第3脳室幅の著明な拡張と,同脳室の著明な下方進展が視野障害をきたす特徴的な所見であった.すなわち,両群間で,側脳室の拡大の程度に有意差はなかった.視野障害群では第3脳室幅(平均12 mm)が有意に嵩値を示した.また第3脳室の著明な下万伸展(トルコ鞍内への陥入)例が視野障害群(4/6例)で有意に多かった. MRIは2例中1例で視交叉と第3脳室および内頚動脈との関係を明瞭に描出した.今後,視野障害の責任病変の把握に有用となることが期待された.
著者
吉田 信明 田中 正之 和田 晴太郎
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2016-IS-138, no.7, pp.1-8, 2016-11-26

動物園における業務は,動物の飼育や,来園者向けサービス等,日々変化する状況への対応が求められる非定型的な業務が大半である.京都市動物園では,これらの業務の記録を,自由形式のテキストを中心とした 「飼育日誌」 としてシステムに蓄積し,検索可能としている.しかし,記録者の主観や日々の課題意識の変化等により質にばらつきが生じやすいため,このような自由形式の記録は,日常の業務報告としては十分であっても,飼育知識として事後に活用することが困難である等といった課題がある.本研究は,著者らがこれまでに開発した,飼育日誌管理システムで,これらの課題を解決することを目的としている.その方策を検討するため,著者らは,2014 年度に京都市動物園で作成された飼育日誌を対象として,主題や,その時系列的な変化等について分析を行った.本稿では,この分析について説明し,課題解決に向けた検討を行う.
著者
和田 正人
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.20-24, 1999-12-20

本研究は、笑い中心型暴力番組接触の影響は自分より他人が大きいとする第三者効果を実証的に明らかにすることであった。そこで、次の仮説が設定された。仮説1:笑い中心型暴力番組の影響は自分よりも他人の方が大きいと認知する。仮説2:笑い中心型暴力番組の第三者効果において、他人の影響は、接触と関連する。この仮説を検証するために、大学1年生423名を調査対象として、笑い中心型暴力番組11番組について、自分自身と他人(一般人)の影響と接触の推測が測定された。被調査者は自分自身への影響の大きさで3群に分けられた。分析結果より、影響小群のみが仮説1、2を支持した。影響小群では、自分自身の番組接触が他人よりも大きいにもかかわらず、自分自身への影響は他人よりも小さいことが明らかにされた。
著者
小和田嘉一 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1913
著者
井上 吉世 林 淑美 原 知子 和田 珠子 水野 千恵 中原 満子 伊藤 知子 村上 恵 的場 輝佳
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.313-319, 2010-03-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

This study clarifies the applicability of a sensory evaluation to easily determine the life span of frying oil on the fried food cooking in the kitchen. Two types of foods, i. e. , a chicken fillet and potato, were deep-fried coated with two types of flour, i. e. , potato starch and wheat flour. Frying was continued until the flavor score of the oil had dropped to 3. A sensory evaluation of the frying oil and each fried food was then carried out. The life span of the frying oil to reach the flavor score of 3 was slightly longer for the potato compared to the chicken fillet. It was suggested that the scores for the viscosity and rancid flavor of the frying oil corresponded to the flavor score result of the frying oil. The flavor and taste of the potato fried in the oil with a flavor score of 3 were not good. However, it was difficult to judge the degradation by the appearance of the fried chicken fillet coated with potato starch. The flavor score of the frying oil corresponded to the rancid flavor of the frying food in any case. The color of the frying oil and the taste of the fried materials varied case by case. These results suggest that the flavor score of the frying oil is a useful and easy method to determine the life span of frying oil in the domestic kitchen when a potato starch or wheat flour coating is used.
著者
和田 尚子 鈴木 雅和 横張 真
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.689-694, 2007-03-30
参考文献数
14
被引用文献数
1 7

This study aims to discuss issues and future directions in the conservation of the landscape of Gokayama Ainokura Village by identifying physical and human resources needed to maintain thatched roofs, which characterize the landscape of the village. Both bio-physical and socio-cultural data have been collected by conducting photo-interpretation of aero-photographs and interview surveys to local residents. The study identified that the lack of materials and labor, as well as alternation in the groups responsible for the maintenance, have inevitably resulted in (a) deterioration in the quality of thatched roofs, and (b) wider gaps between concerned groups in their consciousness to maintain the quality of the roofs. It has also been identified that the legislative measures taken by the local government were insufficient to reinforce deteriorating maintenance schemes. The study concludes that the value of the landscape characterized by thatched roofs should be shared by stakeholders including residents, concerned groups and the local government, and that sound environment which all stakeholders may fully perform their roles should be maintained.
著者
和田 幸一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.208-212, 2001-04-01

図書館員は, 米国でさえ準専門職とされている。専門職の要件に沿って, 米国と日本の大学図書館員を比較したところ, 少なくとも教育, 資格, 自律性の点で明らかに日本の大学図書館員は, 専門職の度合が低いことがわかった。一方, 業務区分・何をもって専門職とするかの困難さ, 終身雇用制の存在, 社会奉仕の概念の欠如から, 日本の専門職化が困難であることを指摘した。そして, 筆者が目の当たりにした米国の専門職制の背景として, (1)専門職というラベルがポジションにつけられていること, (2)社会への大学図書館の奉仕, (3)図書館員が図書館界全体を育てていくという意識の存在を紹介した。
著者
多和田 敬介 満倉 靖恵 浜田 望
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.457, pp.21-24, 2012-02-23

ブレインコンピュータインターフェース(brain-computer interface: BCI)は,脳からの信号により操作する装置である.BCIにより,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)や頸椎損傷により運動機能を失った人々は,機器の操作や周囲の人とのコミュニケーションが可能となる.単一試行脳波を用いたP300スペラーは,文字を高速に入力するBCIである.しかしながら,単一試行脳波を用いたP300スペラーは文字の判別精度が低いため,精度向上が課題である.本研究では,独立成分分析を用いたP300の検出および変数減少法による電極位置決定を行なうことにより,単一試行脳波を用いたP300スペラーの精度向上を目指す.