著者
天野 清
出版者
中央大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

(1)幼児の読み(READING)能力等の発達についての構造分析・縦断的実験調査:都内2幼稚園の年少クラス児34名(調査開始時年齢範囲3:4〜4:2)を対象にかな文字の読みの習得に関する調査を、4カ月間隔で6回実施し、約2年間追跡したが、その結果、以下の知見が得られた。(1)幼児のかな文字習得は、早い子は3歳後半期から、多くは4歳前半期から習得し始め、その多く(73.5%)は、年中クラス末までに基本音節文字のほとんどを読める状態になるが、その過程には顕著な個人差が認められる。(2)音節分析の発達は、かな文字の読みの習得に先行して発達し、かな文字の読みの習得を条件付けている。(3)順序性の理解の発達は、音節抽出の発達に先行した進み、音節抽出が一般化する段階で、言語的水準に達する。(4)幼児の音節分析、かな文字の読みの習得の時期、進行を大きく条件付けている要因は、語彙能力(語彙発達指数)である。(2)語、文の読み方の構造と発達過程についての実験的分析:語・文の読みテスト及び語の読み過程の音声と下唇の運動を測定する特殊な実験装置で、調べた結果、以下の知見が得られた。(1)幼児は、かな文字の読みの習得に応じて、語・文を読み・理解できるようになり、3歳代からかな文字を読み始めた幼児の1部は、年中クラス期末に、小学1学年担当の文章を読み・理解できる水準に達する。(2)文の読み方の発達テンポは非常に緩慢で、一部の幼児は、年中クラス期末までに、単語読みの段階に達するが多くは逐字読みの段階に留まる。(3)子どもの語の読み・理解過程は、(a)逐字的な音読、(b)つぶやき、(c)下唇のわずかな運動、(d)黙読による分析の4種の分析過程があり、それらの分析諸形式と総合過程としての単語読み及び逐字読みとが結合した形式で進行している。(4)(3)の事実から、幼児の語の読みの発達は、(1)分析過程が前面に出た逐字読み(第1次逐字読み)の段階から、(2)総合過程の色彩をもつ逐字読みが前面に出た第2次の逐字読みの段階を経て、(3)単語読みの段階に至ると仮説することができた。
著者
神森 眞 天野 定雄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

テロメア長測定による正常細胞と癌細胞の鑑別法(特願2005-55726)(2005/3/1)に基づき、食道癌および食道組織で、組織切片上でQ-FISH法により細胞ごとのテロメア長を比較する方法を確立し,これを報告した(Oncology,Kammori, et al)。この方法を利用し、甲状腺乳頭癌では、腫瘍径が20mm(T2)を超え内深頚リンパ節領域まで転移を示す進行癌で他の正常組織と比較し有意にテロメア短縮が出現していた。また、正常濾胞細胞は老化に伴い有意にテロメア短縮を示したが、その他の正常細胞(線維芽細胞等)では有意差をみとめなかった。(下記、学会発表)甲状腺乳頭癌の未分化転化には、老化と腫瘍の増大が関与していると推測される。腫瘍径に依存してテロメア短縮が起きていることとその背景因子である濾胞細胞が老化によるテロメア短縮を認めることは、これらを支持する結果である。甲状腺未分化癌の培養細胞であるOCUT-1を用いた実験(IntJMol Med,Kammori, et al)では、未分化癌はテロメラーゼ活性を維持しつつも他の正常細胞と比較して有意に短いテロメア長を有していた。また、正常な染色体以外に特異的にsubtelomereの欠損を認める11番染色体の増加を認め、テロメア-subtelomere機構が甲状腺癌の未化転化と関係している可能性が示唆された。今後、上記の研究成果を踏まえて、甲状腺分化癌の未分化転化への進展の究明を継続していく予定である。
著者
木村 裕一 田辺 理彦 山崎 信夫 天野 義和 木下 潤一朗 山田 嘉重 増田 宜子 松本 光吉
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.12-20, 2009-02-28

現在,歯根破折の診断において視診を確実にする目的で,ヨード,メチレンブルー,齲蝕検知液などの染色液や電気抵抗値の測定,透過光線試験(透照診),根管内視鏡,実体顕微鏡,バイトテスト,超音波診断法などを併用した報告がなされている.しかしながら,これらの方法は不完全破折や亀裂の場合には客観的ではなく,不正確になりやすいことから,診断にあまり頻繁には使用されていない.本研究の目的は,齲蝕診断に有用なDIAGNOdent^[○!R]を用いて歯根破折の診断への応用の可能性を探ることである.まず,基礎的な研究として破折のないヒト抜去歯根がメチレンブルーによる染色時間と濃度でどの程度のDIAGNOdent^[○!R]値(以後,D値と略す)を示すかを調べた.次に歯根面に切削器具による人工的な溝を作製し,染色液の有無での幅または深さとD値との関係を調べた.そのほかに歯根に圧力をかけて不完全破折を起こし,D値との関係を染色の有無で調べた.さらに,破折部への浸透性を高めるため染色液に含有するエタノール濃度とD値との関係を調べた.統計学的方法は,Mann-Whitney U検定により危険率1%で有意差を検定した.染色時間とD値との関係は5分後までは徐々に増加したが,それ以降はほとんど変化がなかった.濃度との関係では濃度依存的にD値が増加し,10^<-4>%と1%ではD値に有意差があった.染色液の使用,人工的な溝の幅における増大,または溝の深さの増大に呼応してD値は有意に増加した.歯根破折前後を比較した実験では,染色液の有無にかかわらず有意にD値が増加していた.また染色液にエタノールを20%または40%含有させると,有意にD値が増加した.これらの結果より,臨床応用するには染色液とエタノールの口腔内組織への影響などに関してさらなる研究が必要であるが,染色液を併用することでDIAGNOdent^[○!R]により歯根破折の診断がより正確にできる可能性が示唆された.
著者
潮見 佳男 橋本 佳幸 コツィオール ガブリエーレ 松岡 久和 愛知 靖之 木村 敦子 山本 豊 長野 史寛 山本 敬三 横山 美夏 佐久間 毅 和田 勝行 天野 佳洋 吉永 一行 栗田 昌裕 松尾 健一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、①信託を中心とする事業財産権モデル、②知的財産の完全な自由利用を保障するタイプと対価徴収権を中核とするタイプの複合モデルを基礎とする情報財産権モデル、③景観利益や環境利益の侵害に対する救済および原子力損害からの被害者救済に適合した環境財産権モデル、④パブリシティーや個人情報の財産化、ヒト由来物質や身体の譲渡・利用可能性に照準を合わせた人格財産権モデルを提示した。そのうえで、これらの研究成果を踏まえ、共同研究メンバーが、物権法、債権法、契約法の各領域の再編を企図した体系書を刊行したほか、2015年度の日本私法学会シンポジウムで「不法行為法の立法的課題」を担当した。
著者
鵜野 伊津志 天野 宏欣 木下 紀正 荒生 公雄 村山 利幸 松井 一郎 杉本 伸夫
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.17-29, 2003-01-31
参考文献数
21
被引用文献数
6

地域気象モデルRAMSと結合した黄砂の輸送モデルを開発した.この輸送モデルでは,黄砂の発生源の特定に,NDVI植生インデックスと積雪被覆率データを利用し,発生条件には土壌分類に従った臨界摩擦速度マップを利用した.また,粒径別輸送,乾性沈着,湿性除去,重力沈降のプロセスもモデル内に組み込んだ.1998年4月10日〜25日にかけての東アジア域の大規模な黄砂エピソードに適用し,その輸送解析を行った.1998年4月14日〜15日に主にゴビ砂漠〜黄土高原で発生した黄砂は,寒冷渦に巻き込まれる形で日本列島を西から東に横断するように輸送されるのがシミュレートされた.寒冷渦の通過に伴い,ダストの鉛直分布は,最初に濃度の濃い層が高い高度に現れ,続いて低い位置へと変化することがモデルの鉛直空間分布から示され,これはライダー観測の結果を合理的に説明していた.大量の黄砂が寒冷渦の西側の沈降性の逆転層内にトラップされて輸送されたため,観測されたダスト層は2〜3km以下の比較的低高度であった.
著者
天野 光隆
出版者
日経BP社
雑誌
日経Linux (ISSN:13450182)
巻号頁・発行日
vol.12, no.8, pp.42-50, 2010-08

Part3ではAndroid携帯のroot権限を取ってAndroid自体の改造を施した。本Partでは、Android携帯にUbuntuを導入して動かしてみよう(図1)。 Ubuntuを導入してネットワーク接続も可能にする。UbuntuにはARMプロセッサ用のパッケージも用意されているので、これらを動かして楽しめる。Androidと比べれば操作性は落ちるが、試して遊ぶにはもってこいだろう。
著者
小川 貴志子 藤原 佳典 吉田 裕人 西 真理子 深谷 太郎 金 美芝 天野 秀紀 李 相侖 渡辺 直紀 新開 省二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.545-552, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
17
被引用文献数
19 40

目的:介護保険制度で用いられている基本チェックリストによる虚弱判定のcut-off pointをFriedらの定義に照らして検討した.さらに,同チェックリストで虚弱と判定された高齢者の血液生化学及び炎症マーカーの特徴を明らかにすることを目的とした.方法:1)群馬県草津町に在住する65歳以上の住民を対象に実施されている高齢者健診を2007年と2008年の2年とも受診した420人を対象に,Friedらの基準による虚弱判定と基本チェックリスト(1~20項目)得点との関係を分析し,その併存的妥当性を検討した.2)その結果得られた基本チェックリストのcut-off pointを利用し,2008年同町の高齢者健診受診者(665人)の虚弱判定を行った.さらに,虚弱群と非虚弱群の血液生化学及び炎症マーカーを比較した.結果:1)Friedらの判定に対する基本チェックリスト(1~20項目)のYouden Indexはcut-off point 4/5点であったが,虚弱判定は特異度を重視し,cut-off point 5/6点に設定した.この時,感度,特異度はそれぞれ60.0%,86.4%であった.2)男性34名(12.3%)女性74名(19.0%)が虚弱と判定された.性,年齢を調整した虚弱に対するIL-6のリスク比(第1三分位に対する第3三分位)は2.05[95%信頼区間(CI):1.15-3.64],握力の同リスク比は0.19[95%CI:0.07-0.46],歩行速度の同リスク比は0.23[95%CI:0.12-0.45]であった.炎症マーカーのうちIL-6第3三分位かつβ2-ミクログロブリン(MG)第3三分位群の虚弱に対するリスク比は5.61[95%CI:2.40-13.11]であった.結論:基本チェックリストを用い「虚弱」を判定することは可能であり,IL-6とβ2-MGの両方を組み合わせた指標は,虚弱マーカーとして有用であることが示唆された.
著者
関 宏也 天野 壮一 江本 源一
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.374-379, 2011 (Released:2012-01-21)
参考文献数
8

An initial design of an advanced control system for an industrial crystallizer train is addressed. The target process is a part of para-xylene production process, and it consists of five scraped surface crystallizers, two centrifugal separators, and two hydrocyclones. An operation policy is derived by solving a constrained nonlinear optimization problem on the basis of a nonlinear process model. Multiloop and multivariable control systems are designed to realize the derived operation policy and their performances are compared through simulation studies. The process is found to be highly interacting and constraint switching is likely to occur under operation condition changes, so that application of constrained multivariable model predictive control may be well justified. The procedures demonstrated in this study will help perform a feasible study for unconventional applications of advanced control technology.
著者
鈴木 修司 天野 久仁彦 原田 信比古 田中 精一 林 恒男 鈴木 衛 羽生 富士夫 平野 宏
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.416-421, 2004-04-01
被引用文献数
5

先天性胆道拡張症分流術後26年を経過して発症した肝内胆管癌の1例を経験したので報告する.症例は46歳の男性で,1975年先天性胆道拡張症戸谷分類IVaにて肝管空腸Roux-Y吻合を施行された.2001年3月心窩部痛,背部痛にて近医受診し,肝腫瘤と肝門の胆管狭小を認め当院紹介入院となった.CTでS4に30mm大の腫瘤と肝十二指腸間膜周囲リンパ節腫大を認めた.ERCPで膵胆管合流異常,遺残膵内胆管内に多数の結石を認めた.閉塞性黄疸の進行でPTCD施行し,胆管造影で尾状葉,右前区域,後区域胆管根部に不整な狭窄を認めた.血管造影で左肝動脈,門脈左枝の狭窄を認めた.以上より肝内胆管癌で左肝管から尾状葉,右前区域,後区域胆管根部および左肝動脈,左門脈へ浸潤と診断した.拡大左葉尾状葉切除で切除可能と判断し開腹したが,肝転移,肝十二指腸間膜へ浸潤高度で切除不能のため胃空腸吻合術とした.術後肝不全の進行で約1か月後死亡した.
著者
天野 文雄 アマノ フミオ
出版者
大阪大学大学院文学研究科
巻号頁・発行日
2002-03-23

大阪大学所蔵「須田国太郎 能・狂言デッサン」の総目録

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著者
天野皎 (香雪居士) 著
出版者
天野皎
巻号頁・発行日
vol.〔上編〕, 1879
著者
天野 俊康 今尾 哲也 竹前 克朗 山内 恵史
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.377-380, 2009-06

A 29-year-old man had been treated for hypertension for 10 years. He suffered from speech disturbance caused by cerebral infarction, and further examinations were performed. Computerized tomography scan and magnetic resonance imaging revealed a left adrenal tumor 6 cm in size. The radioisotope (MIBG) accumulated in the left adrenal gland. The serum noradrenalin levels were high. Thus, the diagnosis of pheochomocytoma in left adrenal tumor was made. He noticed ejaculation disturbance 5 days after starting administration of doxazosin at the dose of 3 mg/day for pre-operative blood pressure control. Sperm was observed in the urine sampling obtained after masturbation, thus his ejaculation disturbance was considered to be retrograde ejaculation. Laparoscopic left adrenalectomy was performed. After the operation, his blood pressure normalized and the administration of doxazosin has not been necessary. He could perform ejaculation without any trouble after stopping doxazosin intake. The bladder neck conditions measured by ultrasonography were the same before and after the administration of doxazosin. The present case is a very rare case of ejaculation disturbance caused by non-selective alpha 1 blocker doxazosin.
著者
天野 実 森 英昭 松川 俊一 前田 潤平 宮田 昭海 林田 政義 入江 準二 冨岡 勉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.2452-2456, 1991-09-01
被引用文献数
5

膵外に発育した非機能性膵島腫瘍の1例を経験した.症例は56歳男性で,定期原爆検診で左上腹部腫瘤を指摘され,著者らの病院に入院した.膵内分泌ホルモン過剰分泌による症状は認められなかった.腫瘤は膵尾部より膵外に発育しており,膵の一部を含めて腫瘤を摘出した.大きさは13.6×11.8×9.4cm,900gで,病理組織診断は疑悪性の非機能性膵島腫瘍であった.術後3年半後の現在,再発の所見もみられず健在であるが,なお経過観察中である.
著者
天野 雅継
巻号頁・発行日
2011

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成23年11月30日授与 (甲第5935号)
著者
天野 敬太郎
出版者
関西大学国文学会
雑誌
国文学 (ISSN:03898628)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.70-62, 1967-03