著者
天野 敏之 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.457-465, 2002-03-01
被引用文献数
58

本論文では,固有空間法を用いた画像補間法により,文字などのテロップを含む1枚の画像のみを用いて文字を補間により消去する手法を提案する.風景画などの画像はフラクタル的な性質があり,画像の自己相関性が仮定できる場合が多い.筆者らはこの点に着目し,欠損を含む1枚の画像のみから固有空間により画像を記述するルールを表現した.このように生成された固有空間は,画像の特徴を反映しており,この固有空間を用いることにより画像補間を実現した.本補間手法はオリジナル画像を復元するものではないが,実験の結果画像の自己相関性が成立する画像については違和感なく補間できることが確認された.
著者
平子 友長 赤間 道夫 浅川 雅巳 竹永 進 森下 宏美 窪 俊一 鳥居 伸好 内田 博 大谷 禎之介 伊藤 武 出雲 雅志 天野 光則 出雲 雅志 伊藤 武 内田 博 大谷 禎之介 小黒 正夫 神山 義治 窪 俊一 高畑 明尚 竹永 進 鳥居 伸好 森下 宏美 吉田 傑俊 ANNELIESE Griese ROLF Hecker JURGEN Herres NEUHAUS Manfred ROJAHN Jurgen RICHARD Sperl VASINA Ljudmila
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、マルクスの抜萃ノートを活用した世界で初めての本格的なマルクス研究である。これによって、(1)『資本論』第1巻成立過程において「草稿」と「抜萃ノート」がどのように利用されたのかが初めて詳細に解明された。(2)マルクスの農芸化学、地質学、鉱物学に関する抜萃ノートを検討し、それを同時代の自然科学史の中に位置づけた。(3)『資本論』第1版刊行直後から開始される古ゲルマン史研究者マウラーの抜萃ノートを検討し、それがマルクス最晩年の世界史把握の形成に決定的役割を果たしたことを文献的に証明した。本研究は、ドイツ語版マルクス・エンゲルス全集の編集に日本人研究者が参加するという意味でも、その国際的意義はきわめて大きい。
著者
楢崎 幸範 田上 四郎 山本 重一 濱村 研吾 力 寿雄 天野 光 大久保 彰人 安武 大輔
出版者
福岡県保健環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北部九州の広域で観測される大気汚染について2010年~2012年の春期を中心に同位体化学を含む環境動態解析及び健康影響評価を実施した。西日本では大気環境が悪化し,春先から梅雨にかけて都市部以外でも空がかすむ現象が頻発した。汚染大気中には化学物質の他,黄砂や花粉が観察された。これらの複合大気汚染が原因で鼻炎の悪化,アレルギー疾患,呼吸器疾患等の増加が懸念された。なかでも,2010年5月20~21日には越境大気汚染物質によると思われる濃い霧に包まれ,視程が悪く鉄道や航空機等の交通機関に支障をきたした。この間,黒色炭素,硫酸塩,鉛,オゾン及びベンゼン等の人為起源成分が高濃度で検出された。この濃霧は1945年のロサンゼルスと同様なメカニズムで発生していたことを突き止めた。また,同時に大気汚染物質に曝された黒い黄砂の存在を明らかにした。
著者
稲葉 継雄 松原 孝俊 金 〓実 田中 光晴 新城 道彦 入江 友佳子 小林 玲子 花井 みわ 槻木 瑞生 天野 尚樹 三田 牧 アンドリュー ホール
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

基本的に朝鮮・台湾・南洋など各地域研究の形で進行してきた植民地教育研究の枠組みを変え、研究協力体制を簡便に構築できるネットワークを形成することが目的である。いわゆる「外地」と呼ばれた地域の実地調査を進め、コリアン・ディアスポラを巡る問題を教育史を通して糾明し、さらに、各地域の研究者が一同に会する研究会を開催したり、世界韓国学研究コンソーシアム(UCLA、SOAS、ソウル大学校、北京大学、ハーバード大学、オーストラリア国立大学などで組織)を活用することで研究のネットワーク化を進めた。
著者
渡利 徹夫 江尻 晶 森下 一男 佐貫 平二 渡辺 二太 西村 清彦 天野 恒雄 成原 一途 岡本 正雄 笹尾 真美子 霍 裕平 沈 慰慈 沈 学民 李 健剛 張 大慶 王 孔嘉 兪 国揚 王 兆申 方 瑜徳 張 暁東 万 元熈 万 宝年 邵 育貴 朱 思錚 武藤 敬 関 哲夫 熊沢 隆平 大久保 邦三 岡村 昇一 足立 圭三 東井 和夫 佐藤 哲哉 孟 月東 藤原 正巳 羅 家融 藤田 順治 SHEN Xuemin SHEN Weici FANG Yude WANG Zhaoshen WANG Kongjia YU Guoyang HUO Yuping WAN Yuanxi WAN Baonian LI Jiangang ZHANG Daqing ZHANG Shaodong LUO Jiarong MENG Yuedong SHAO Yugui ZHU Sizheng 万 元煕 李 建剛 愈 国揚
出版者
核融合科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本計画立案時点において、トーラス型プラズマ装置として核融合科学研究所(NIFS)ではJIPP T-II U及びCHSが稼働中であり、準定常運転を目指す大型のLHDが建設中、他方合肥の等離子体物理研究所(ASIPP)ではHT-6M装置が稼働中、準定常運転を目指す大型のHT-7が建設中であった。またこの時点では「高ベータプラズマの閉じ込め研究」を共同研究の主要なテーマとしたが、基本となるプラズマ加熱が未だうまく行かない状態にあったASIPP側では大電力イオンサイクロトロン加熱の実現をHT-6Mの第一優先項目としたので、本計画もこの方面への研究協力に力点を置くことにした。本計画の3年間に、日本から合肥への派遣延べ21名,合肥から日本への招聘延べ18名を含む交流が実行された。平成5年度:ASIPPは採用していたカーボンリミターの材料の選択に問題があるとしてこれを撤去した。引き続きイオンサイクロトロンアンテナのファラデイシールドと呼ばれる部分の構造に問題があるというNIFS側の指摘に基づきこれも撤去した。これらの結果として、加熱の効果を示す「アンテナの負荷抵抗の増大」が観測された。NIFSのイオンサイクロトロン加熱において実績のあるチタンゲッターをHT-6Mに持ち込み不純物の制御を試みた。その結果ターゲットプラズマの質が向上した。入射電力は多少増大したものの未だ本格的な加熱には至らなかった。平成6年度:NIFSにおいて実績のある、固体ボロンを使ったボロニゼーションを試みた。不純物の流入が減少し、表面加熱に関する実験を行なう事が出来た。不純物の問題はいくらか改良されたものの、アンテナは絶縁破壊が起り大電力入射を妨げている。これを解決するために「長いアンテナ」を製作することにした。NIFSは2イオン共鳴加熱に移行することを主張していたが、HT-6Mでは磁場を0.9T以上にする上での技術的問題とASIPP内の実験テーマの優先順位の問題があって、2イオン共鳴加熱への移行は持ち越すこととなった。NIFSではLHDのイオンサイクロトロン加熱のための技術開発研究を行なっている。この一部としてASIPPの同軸切替器を改造して使用することにした。平成7年度「長いアンテナ」を装着し、第2高周波加熱以外に2イオン共鳴加熱の実験も行なった。予備的なものであったが、水素と重水素の成分比等の基本データも
著者
佐野 徹 加東 勝 齊藤 貴樹 天野 英晴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.12, pp.2579-2586, 2010-12-01

動的リコンフィギャラブルプロセッサにおいて,構成情報転送と実行のオーバラップができない際に,データ転送用の結合網を構成情報の転送に転用することで,構成情報転送時間を削減する手法,データバスコンフィギュレーションを提案する.動的リコンフィギャラブルプロセッサMuCCRA-3.32bを対象として,実際に設計及びシミュレーションを行った結果,データバスコンフィギュレーションの適用によってわずか1.3%のハードウェアオーバヘッドで,構成情報の転送時間を半分近くにすることができることが示された.f転送中の消費電力は増加するが,効率的な転送により消費エネルギーは2D-DCTの場合36%の削減が達成された.
著者
岡 孝夫 井野 靖子 高橋 幸水 野村 こう 花田 博文 天野 卓 寒川 清 秋篠宮 文仁
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.363-367, 2009-03-16

龍神地鶏は和歌山県の旧龍神村(現在の田辺市)で少数が維持されている集団であり,同地で古くから飼養されているものである。1994年には村内で30数羽が飼養されていたが,近年では個体数が減少し,遺伝的多様性の減少が懸念されている。そこで本研究では1994年および2007年に採血された龍神地鶏(1994年12羽,2007年2集団各18羽,7羽)について,ISAG/FAO推奨の30座位のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝的多様性の経時的な比較と他の日本鶏品種との遺伝的類縁関係を明らかにすることを目的とした。龍神地鶏3集団において30座位中12座位で多型が認められず,5座位で対立遺伝子の消失が認められた。さらに6座位においては遺伝子頻度0.5以上の主要な対立遺伝子が変化していた。その他の座位の対立遺伝子数は2から3の範囲であった。龍神地鶏各集団の平均対立遺伝子数およびヘテロ接合体率は既報の他の日本鶏品種よりも低い値を示した。次に,日本鶏品種内における龍神地鶏の遺伝的な位置を明確にするため,他品種の解析データを加えてD^A遺伝距離にもとづく近隣結合系統樹を作成した。その結果,龍神地鶏は比較に用いたどの品種ともクラスターを形成せず,高いブートストラップ値で他の品種から分かれる結果となった。以上の結果より,龍神地鶏は地域に固有の品種である一方,小集団で長く維持されてきたため近交がすすみ,遺伝的多様性が低くなった集団であると考えられた。今後この品種を維持するためには,現在残されている2つの集団のみならず,県の試験場等を含めて十分な集団サイズを確保し,集団間の系統的維持が必要であると考えられた。
著者
天野 和孝 フェルメイ G. J.
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.209-223, 1998-10-31
被引用文献数
4

日本および北朝鮮の中期中新統初期のヒレガイ属, Ceratostoma makiyamai, C. sp.を検討した。これらを加え, ヒレガイ属はC. nuttalli (Conrad), C. virginiae (Maury), C. foliatum (Gmelin), C. rorifluum (Adams & Reeve)の4グループに細分される。本属はおそらく大西洋起源で, 中新世前期までにカリフォルニアに, 中新世中期の初期までに北東アジアに分布を広げた。このような中新世前半に北東太平洋から北西太平洋へと分布をひろげる移動パターンはチヂミボラ属など他の多くの北方系種にも特徴的に見られる。
著者
天野 仁一朗 里田 隆博
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々はラットの前交連尾側端レベルの線条体中央部に、微小電気刺激および徹小化学(受容体)刺激によって開口筋と舌突出筋には同側優位の顕著なEMG活動を誘発するが、閉口筋,舌後退筋または顔面筋には何の活動も誘発しない線条体顎領域striatal jaw regionを発見した(Neurosci. Lett.,253:79-82,1998;Brain Res.893:282-286,2001)。平成14年度は本研究課題の最終段階として、解剖学者と共同して線条体顎領域SJRニューロンの線維連絡について形態学的解析を行った。1本の電極で微小電気刺激と微量トレーサ注入が同時に行なえる微小シータガラス管電極(θ管電極;先端直径25〜65μm)で誘発EMG活動を指標にSJRを同定し、SJRにコレラトキシンサブユニット(CTb)を電気泳動的に注入した。CTbの注入部は、前交連の最尾側のレベルにおいて、線条体のほぼ中央部に限局していた。逆行性標識神経細胞体は、主として、(1)大脳皮質の運動野、体性感覚野、島皮質、(2)視床の内側中心核(NCM)と束傍核、(3)扁桃体外側基底核、(4)黒質緻密部に分布していた。大脳皮質からSJRへの投射線維は主としてV層とVI層から起り、その起始領域には二つの中心が認められた。すなわち、感覚運動野顔領域と島皮質領域である。これらの皮質領域は、連続刺激によってそれぞれ異なるタイプの連続顎運動が誘発される領域である。なお、順行性終末標識を淡蒼球外節、脚内核、黒質網様部に認めた。以上の生理学実験は研究代表者・天野一朗が担当し、解剖学実験は研究分担者・里田隆博(広島大学歯学部)が担当した。なお、研究結果はNeurosci. Lett.,322:9-12,2003に報告した。
著者
金杉 友子 笠原 要 稲子 希望 天野 成昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.66, pp.119-124, 2002-07-15
被引用文献数
1

意味に関する言語処理技術の基盤となりうる概念辞書である"常識概念体系"を構築する第一歩として、人々の概念的な思考で共通して利用していると推定される基本的な語の集合("基本的語彙"と呼ぶ)を選定した.選定の対象としては学研国語大辞典(9万5千見出し語)を用い、選定の尺度として、心理実験により評定される単語の馴染み深さを表す単語属性である単語親密度を用いた.過去の研究において12歳児の理解語彙数の推測値が2万5千と報告されており、別の語彙数調査結果から、同数の語彙を成人の94%が知っていると推測される.そこで、基本的語彙数を2万5千程度と定めた.国語辞典の見出し語について、過去の単語親密度に関するデータベースに含まれていない3万3千語の追加の評定実験を行い、9万5千語から親密度が高い2万7千語を基本的語彙として実際に選定した.As the first step of constructing a dictionary of word concepts, the "Commonsense Concept Database," which will be a base for language processing technologies regarding meaning, we selected basic words which are supposed to be commonly used by Japanese adults. We selected the basic words from a Japanese dictionary in which the number of word entries is about 95,000. In a previous study, the size of the basic words which a Japanese child of twelve years knew was estimated to be 25,000. From the another recent psychological study estimating the number of the vocabulary in Japanese speakers, we were able to estimate that 25,000 of the Japanese basic words were known by 94% of Japanese adults. Therefore, we selected the number of basic words for Commonsense Concept Database to be 25,000. As a measure of selecting the basic word, we used word familiarity ratings. We did farther psychological experiments of rating familiarity of words in the Japanese dictionary which had not been listed in the word familiarity database previously published. Finally, we selected all words with a familiarity rating above five(between seven point scale) which gave us around 27,000 words out of the 95,000 entries of the dictionary.
著者
関 直臣 ジャオ レイ 小島 悠 池淵 大輔 長谷川 揚平 大久保 直昭 武田 晴大 香嶋 俊裕 白井 利明 宇佐美 公良 砂田 徹也 金井 遵 並木 美太郎 近藤 正章 中村 宏 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.920-930, 2010-06-01

本論文はパワーゲーティング(PG)を使った演算器レベルでの動的スリープ制御による消費電力削減機構の実装及び評価を行う.MIPS R3000のALUからシフタ,乗算器,除算器を分離し,それぞれを動的にパワーゲーティングを行う.省電力化を施したR3000コアと16kByteのL1キャッシュ,TLBを合わせて,ASPLA 90nmで試作チップGeyser-0としてテープアウトした.Geyser-0の性能,電力と面積をポストレイアウト後のシミュレーションにより評価した.この結果,4種類のアプリケーションについてリーク電力は平均約47%減らすことができた.一方,スリープ制御の実装によって生じたエリアオーバヘッドは41%であった.
著者
窪寺 恒己 天野 雅男 篠原 現人 西海 功 天野 雅男 篠原 現人 西海 功
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、大型トロールネットや深海探査艇による大規模な調査とは異なり、日本の先進技術であるマイクロ電子機器を組み込んだ超小型・軽量の水中撮影システムおよび赤色系LEDを用いた照明機器を用い、深海環境への撹乱を最小限度に止めることにより、中深層性大型頭足類のみならず深海性動物の自然状態に限りなく近い生態を撮影・記録し、それらの実態に迫ることを目的としている。平成18~20年度の3年間、後藤アクアティックスと共同で開発した深海HDビデオカメラシステム3台を用いて小笠原父島周辺海域において、地元の漁船を傭船して各年9月から12月にかけて約4週間の野外調査を実施した。水深600~1100mの3層にシステムを降し、延べ120時間を超す撮影を行い、アカイカ、ヒロビレイカ、ソデイカ、カギイカなど中・深層性大型イカ類の遊泳行動や餌を捕獲する行動などがハイビジョン映像とした詳細に記録された。また、ヨシキリザメ、シュモクザメなど大型魚類の遊泳・攻撃行動も撮影された。これらの映像をコンピュータに取り込み、フレーム単位で詳細に行動様式の解析を行い、それら中深層性大型頭足類の行動生態に関する多くの新たな知見が得られた。また、平行して行われたマッコウクジラの潜水行動を探る超小型バイオロガーを用いた調査では、数回にわたりロガーの装着に成功し、マッコウクジラが日中は水深800~1000mに繰り返し潜行し、夜間は500~600mと浅い水深に策餌層を変える行動が明らかにされた。さらに、三次元加速度データから餌を襲う際の詳細な行動様式に関する新たな発見がなされた。
著者
白木原 美紀 天野 雅男 竹村 暘 白木原 國雄 天野 雅男 竹村 暘 白木原 國雄
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

熊本県天草下島沿岸域に周年定住するミナミハンドウイルカが2年間で26頭(年平均13頭)混獲されたことが漁業者への聞き取り調査から推察された. 本個体群の多くのイルカは背びれの傷をもとに個体識別されており, 個体数は200頭余りと小さい. 本個体群では, 混獲などの人為的要因による死亡数が2頭を超えると個体群が減少する可能性がある. 年平均混獲数13頭はこの値を大きく上回っている. 混獲対策が緊急課題であることが明らかになった.
著者
上倉 庸敬 藤田 治彦 森谷 宇一 神林 恒道 渡辺 浩司 永田 靖 天野 文雄 奥平 俊六
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

最終年度をむかえるにあたって本研究が直面していた課題は以下のとおりであった。現在、日本の「芸術」は二極化している。ひとつは純粋化を維持しようとする「芸術」であり、いまひとつは「あたらしさ=総合」という視点からクロスオーバーをめざす「芸術」である。それは実は、日本のみならず、世界の各局地における「芸術」概念の共通構造である。「芸術」の事象における世界的な傾向とは、各局地に通底する先述の構造を孕みつつ、各局地で独自の展開をくりひろげている多様さのうちにこそある。では、(1)日本の近代「芸術」概念が成就し、また喪失したものはなんであるか。(2)なぜ、近代の芸術「概念」は死を迎えねばならなかったか。(3)「ユニ・カルチャー」の傾向にある現代世界で、日本に独自な「芸術」概念の現況は、どのような可能性をもっているか。(4)その可能性は日本のみならず世界の各局地に敷衍できるかどうか。解答の詳細は成果報告書を見られたい。解答をみちびきだすために準拠した、わたくしたちの基本成果はつぎのとおりである。(1)西欧で成立した「芸術」概念が19世紀半ばから100年、世界を支配した。(2)その支配は世界の各局地で自己同定の喪失をもたらした。日本も例外ではない。(3)20世紀半ばから世界の各局地で自己「再」同定がはじまった。(4)再同定は単なる伝統の復活ではなく、伝統による「死せる芸術概念」の取り込みである。(5)再同定は芸術「事象」において確立され、芸術「概念」において未完である(6)日本における「芸術」概念の誕生と死が示すものは、2500年におよぶ西洋美学理論の崩壊である。