著者
佐藤 朋覚 熊谷 昌則 天野 敏男 小川 信明
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.653-660, 2003 (Released:2004-01-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 6 2

携帯可搬型の近赤外分光分析装置を用いて,清酒(日本酒)のスペクトルを測定し,ケモメトリックスを用いて判別分析を行い,その分類に対して化学的な解釈を加えた.近赤外スペクトルでの主成分分析で得られた波長寄与率スペクトルから,第1主成分(PC1)はアルコールの -CH3,-CH2-,R-OHの寄与が高く,第2主成分(PC2)はタンパク質の -NH2,-CONH2,-CONH-,-CH3,-CH2- の寄与が高く,第3主成分(PC3)はデンプンの -CH3,-CH2-,-OHの寄与が高いことが推定できた.近赤外スペクトルでの違いが,PC1では純米酒とそれ以外に,PC2では大吟醸酒とそれ以外に,PC3では純米大吟醸酒・本醸造酒,普通酒・大吟醸酒,純米酒にそれぞれ分類できることが分かった.携帯可搬で現場測定が可能なPlaScan-SHは清酒の判別に有用である.
著者
小川 一美
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.269-280, 2008
被引用文献数
2

Change in conversational behavior with the progress of a conversation between two people who have met for the first time was quantitatively examined from the perspective of Verbal Response Modes (VRM: Stiles, 1992 etc.). Participants were 18 pairs of female university students who met for the first time. They participated in 10-minute conversation sessions three times at one-week intervals. All the utterances were classified into VRM, and the frequency and time of the appearance of utterances were measured. Results indicated that internal self-disclosures were often made as the conversation session advanced. More questions were asked and more objective information was conveyed in the first meeting than in sessions thereafter. Moreover, results of time series analysis indicated that a "Disclosure→Disclosure" pattern often appeared as the session advanced. The correlation analysis of the number of utterances of two people suggested various results related to the uncertainty reduction theory (Berger & Calabrese, 1975). Finally, the relation between the number of utterances and the impressions of each session was examined and discussed overall with the change in the number of utterances.
著者
DeNiro Alan 小川 隆
出版者
早川書房
雑誌
SFマガジン
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.90-102, 2011-01
著者
小川 寛大
出版者
K&Kプレス
雑誌
月刊日本
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.110-113, 2016-02
著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.149-161, 2015-09

ピケティ『21世紀の資本』の日本における評価と批判を概観。ジニ係数ではなく所得上位層シェアを格差指標とする理由は,税務データを資料としたことにある。歴史的推計では税務データを資料とせざるをえない。日本の論者が,南亮進らによる戦前の所得分布推計に言及しないのは不可解である。
著者
石田 利永子 本田 晋也 高田 広章 福井 昭也 小川 敏行 田原 康宏
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_219-4_243, 2012-10-25 (Released:2012-11-25)
被引用文献数
2

近年,組込みシステムの分野においてもマルチプロセッサシステムの利用が進んでいる.組込みシステムはシステム毎に求められる性質が異なり,リアルタイム性が要求されるシステムや,スループットが求められるシステム,両方の要件を同時に要求されるシステムも存在する.既存の組込みシステム向けマルチプロセッサ用RTOSは,いずれか一方の要求を満たす実装がされている.そこで,TOPPERS/FMPカーネルは,両方の要求を満たすよう設計実装を行った.リアルタイム性を確保するため,RTOSが自動的にロードバランスを行うことはしない.しかし,スループット向上と,システムに最適なロードバランス方式をサポートできるように,アプリケーションからの要求(APIによる要求)によりタスクを実行するプロセッサを変更するマイグレーション機能を提供する.本稿では,TOPPERS/FMPカーネルのマイグレーション機能の設計と実装について述べる.設計・実装したマイグレーション機能を使用して,アプリケーションレベルで複数のロードバランス方式を実現できることを確認した.
著者
小原 由紀彦 児玉 隆夫 小川 祐人 沼田 友一 中村 俊康 川北 敦夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI2261, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】橈骨遠位端骨折に対して、近年多くのロッキングプレートが開発され、橈骨遠位端骨折に対しては強固な固定が可能となった。結果、術後に外固定をせずに手関節可動域訓練を早期に施行し、良好な成績を得たとする報告が近年多くされている。しかし、本受傷では橈骨のみが損傷を受けるのではなく、手関節尺側部にも同程度の損傷が及んでいることがある。これらの症例に早期運動療法を施行することは、手関節尺側部損傷の治癒を遅らせ、最終的に悪影響が生じるのではないかと我々は危惧する。当院では橈骨遠位端骨折の手術時に、全例に遠位橈尺関節(以下、DRUJ)鏡で三角線維軟骨複合体(以下、TFCC)の尺骨小窩からの剥離の有無を確認している。手関節尺側部損傷を主にTFCC、尺骨茎状突起骨折として、その合併率、治療成績を比較した。今回、これらの結果からどのような症例に早期運動療法が適応になるか、検討した。【方法】橈骨遠位端骨折に対して手関節鏡、DRUJ関節鏡視と観血的整復固定術を行った133例135手を対象とした。平均61.0歳 AO分類はA2:36手 A3:21手 B1:1手 B2:1手B2:5手 C1:27手 C2:37手 C3:7手であった。尺骨茎状突起骨折型はTip:19例、中央:26例、基部(水平):24例、基部(斜):3例、尺骨小窩剥離損傷:7例であった。尺骨茎状突起骨折(Tip以外)、TFCC尺側小窩剥離損傷がともに無いものは術後の外固定はせずに早期運動療法(術翌日より手関節掌背屈、自動他動可動域訓練、術2週間後より前腕回内外、自動他動可動域訓練)を施行した(A群)。そのほかの症例では3週間の外固定ののち運動療法(術3週後より手関節掌背屈、自動他動可動域訓練、術5週後より前腕回内外、自動他動可動域訓練)を施行した(B群)。術後1年以上経過した症例で、可動域、痛み、握力、Mayo Wrist Scoreを比較検討した。【説明と同意】手術方法を説明する段階で、本治療が関節鏡での所見を基にして適切に選択され、治療成績を集計することで今後の治療指針にしていることを説明し、同意を得ている。【結果】DRUJ鏡視でTFCC尺骨小窩剥離を38手で認めた。TFCC剥離損傷は合併していた例はいずれも50歳以上であった。80歳代の合併率は60%であった。術後1年以上経過した症例はA群37例、B群52例であった。可動域は健側比でA群:90.6%、B群: 91.1。握力はA群:86.0%、B群:85.0%°。Mayo Wrist ScoreはA群:89.2点、B群:90.5点。手関節痛はA群:6例16.2%、B群:2例3.8%であった。【考察】各治療グループで可動域、握力に差はなかった。疼痛はA群で多く認められた。結果的には早期運動療法は術後1年での可動域、握力の増加要素とはならず、むしろ疼痛が多く残存していたことになる。今回、手関節尺側部損傷をTFCC尺骨小窩付着部に重点を置き、その有無でリハビリ開始期間、方法を変えて行なったが、真に早期運動療法の危険性を示すのであれば、損傷の有無にかかわらない無作為前向き研究を計画しなくてはならない。このような研究は実際の治療では計画できず、エビデンスレベルはどうしても低下してしまう。今回の結果では橈骨遠位端骨折の28%にTFCC剥離損傷が合併していた。この率はおそらく我々の予想を大きく超える結果と言えよう。DRUJ鏡はすべての橈骨遠位端骨折に行う必要はなく、橈骨遠位端骨折には手関節尺側部損傷が合併しているものと考え、3週間の術後外固定を行うほうが賢明と考える。早期運動療法を行なうのであれば、回内外時の手関節尺側部痛に注意を払い、認める例では運動療法を遅らせることを推奨する。年齢別での手関節尺側部損傷の差が生じており、既存の変性損傷が含まれていると考えられ、今後は若年者に限った検討が必要と思われる。【理学療法学研究としての意義】上記の如く、今回の結果から橈骨遠位端骨折後の早期運動療法にはPitfallが存在することを認識すべきである。
著者
村上 ひとみ 中須 正 島村 誠 後藤 洋三 小川 雄二郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.5_76-5_96, 2015 (Released:2015-10-21)
参考文献数
17

本研究では、海外における災害避難関係資料・文献を収集するとともに、その内容を分析し、概要を明らかにする。また、特徴的な研究については、レビューを行う。以上から災害からの避難について海外ではどのような研究がされているかを俯瞰する。また研究にとどまらず政策としての避難対応マニュアルや調査するうえで不可欠となるデータベース等、基礎的な情報についても併せて概説する。
著者
宮下 和巳 西村 寿彦 大鐘 武雄 小川 恭孝 鷹取 泰司 長 敬三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.86, pp.13-18, 2002-05-17
参考文献数
12
被引用文献数
92

MIMOチャネル情報が送信側で既知の場合,固有ベクトルを用いたマルチビーム形成により直交チャネルを形成し,注水定理による送信電力制御を行うことで,チャネル容量を最大とすることができる.ここでは,この概念に基づき,固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式を提案し,計算機シミュレーションにより従来のSDM方式との比較を行った.その結果,送信素子数5,受信素子数2の場合において,平均誤り率10^-3で約10[dB]の利得が得られることが明らかとなった.
著者
益田 実 細田 晴子 齋藤 嘉臣 橋口 豊 青野 利彦 三宅 康之 妹尾 哲志 清水 聡 小川 浩之 池田 亮 鳥潟 優子 三須 拓也 山本 健 芝崎 祐典
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、巨視的視点から冷戦史の全体像を把握するための新たなパラダイムの構築を意図しながら、1940年代半ばから1980年代初頭までを対象とする米英仏独西中など関係諸国アーカイブ史料の実証分析により、同盟政治・脱植民地化・文化的変容という冷戦期における三つの中長期的な変動と冷戦との関連を明らかにすることに努めた。中心的な研究成果としては研究代表者および分担者全員により益田実・青野利彦・池田亮・齋藤嘉臣編著『冷戦史を問いなおす』(ミネルヴァ書房、2015年)を執筆刊行し、さらに同書に関する公開書評会を開催し、そこでの議論を踏まえた発展的研究課題を形成した。
著者
飯塚 重善 小川 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.306, pp.55-60, 2005-09-26
被引用文献数
1

インターネット利用者(Webサイト閲覧者)が, Webサイト利用時に重視する要因を抽出するため, 「The Stanford Web Credibility Survey」をベースにした, Webサイト利用時の重要項目抽出調査を行い, Webショッピング利用者, 非利用者それぞれについて, 重視する要因を抽出した.その結果, Webショッピングの利用経験に関係なく, 「使いやすさ」がWebサイト利用可否の判断に重要な要素であることが確認できた.また, Webショッピング利用者にとっては, サイトの「知名度」が重要な要因であったことが確認できた.本稿では, 今回の調査結果について示す.
著者
勝沼 信彦 犬伏 知子 高橋 昌江 小川 直子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
no.75, pp.189-194, 2008-03

[1]骨マトリックスを形成しているのは主にタイプI型コラーゲンであり,タイプI型コラーゲンを良く分解できるのは生体組織内では主にCollagenolitic Cathepsinsと言われているCathepsin LとKである。[2]Cathepsins Lの特異的阻害剤CLIK-148等はin vitroのOsteoclastic骨Pit形成を強力に抑制する。in vivoでのPTHによる骨分解促進も強力に抑制できる。[3]牛乳中には多種にして大量のCollagenolitic cathepsinの阻害剤を含有している。そのうち,Lactoferrinの含有量は一番高く,これは構造上Cytatin family (Cysteine protease inhibitor = Cystatin)である。β-Caseinは次に含有量が高いCathepsin阻害剤である。[4]初乳Colosteriumでは成乳の3倍のLactoferrinを含有しており,β-Caseinは成乳に多いが初乳には極めて少ない。[5]成乳によるCathepsin LとKの阻害は70〜80倍希釈乳で50%であるが,初乳では50%抑制に200倍希釈で充分である。この差は,Lactoferrinの含有量の差に起因するものと考えられる。[6]Osteoclastic骨Pit形成は,成乳では25倍希釈乳で50%抑制であるが,初乳では約250倍希釈で50%阻害が見られる。25倍希釈乳では完全阻害である。新生児への人工乳栄養ではこの差は大切な考慮すべき問題点である。