著者
小菅 雅徳 森尻 哲央 藤井 基治 小川 正富
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.468-477, 2004-04-01
被引用文献数
3

製紙工程においてコロイド状ピッチ粒子の存在およびその状態は操業性,及び紙の品質に大きな影響を与える。古紙の利用率が高まるに伴い,ピッチに起因するマシントラブルは増加傾向にあり,特に近年,板紙系では宅配便等のラベルに用いられるポリアクリル酸エステル系粘着剤に由来するピッチが顕著となっている。このポリアクリル酸エステル由来のピッチは主にドライヤーロールやカンバスにて認められる。<BR>弊社は,ポリアクリル酸エステル由来のピッチトラブルを抱えるライナーマシンにてタイプが異なる4種類の凝結剤の現場試験を行なった。その結果,これらの凝結剤は,ドライヤーへのピッチ付着量の低減,紙中欠点の減少,及びパルプ濾液中の濁度,アニオン化度の低減に有効であった。<BR>パルプスラリー中におけるピッチ粒子の挙動と凝結剤の作用メカニズムを解析するため,モデルピッチによる実験を試みた。モデルピッチとしては,市販粘着テープをテトラハイドロフラン(THF)にて抽出して調製したポリアクリル酸エステルのTHF液を用いた。<BR>このモデルピッチを用いた実験の結果,凝結剤がピッチ粒子の粗大化防止に有効であることを確認した。さらに収束ビーム反射測定法(Focused Beam Reflectance Measurement;FBRM)による粒度分布の測定結果から,凝結剤のタイプによりパルプスラリー中でのピッチ粒子の分散,吸着に及ぼす作用メカニズムが異なることを見出した。
著者
小川 英世
出版者
広島大学比較論理学プロジェクト研究センター
雑誌
比較論理学研究 : 広島大学比較論理学プロジェクト研究センター研究成果報告書 (ISSN:18806376)
巻号頁・発行日
no.11, pp.63-74, 2013

広島大学比較論理学プロジェクト研究センター研究成果報告書(2013年度)本稿は、2013年9月1日島根県民会館で開催された日本印度学仏教学会第64回学術大会パネル発表A「インド哲学における〈存在〉をめぐる議論の諸相」における発表資料である。
著者
小川 潔 本谷 勲
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 : Wildlife conservation Japan (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-14, 2001-02-28
被引用文献数
2

A follow-up survey of dandelion plants (Taraxacum) in 1990-1992, ten years after the initial survey using the same site designation methods in the southern Kanto district, revealed the following facts. Firstly, in the Tokyo urban area, the occurrence of both dandelion species had little changed; that is, the introduced one dominated there. Secondly, in the suburban areas, the number of lots in the recent survey where the native diploid species dominated had decreased compared with the previous survey, whereas the number of lots where the introduced species dominated had increased. Third, analysis of land-use in the two surveys revealed that a sharp decrease in cultivated fields, which are preferred by the native diploid species, caused a 48.7% drop in this dandelion's occurrence in the suburban areas. The count of the introduced dandelions also dropped by 3.5% in southern Tama, one suburb area. This species decreased in sites such as roadsides and vacant areas that have diminished, and increased on areas such as parking lots and children's playgrounds that have been expanded over the last ten years. These findings clarified the fact that decreases in habitat resulted in the retreat of ranges and declines in the frequency of occurrence for both dandelion species in the urban and suburban areas.
著者
小川 佐和子
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文學報 = The Zinbun Gakuhō : Journal of Humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.1-29, 2015-09-30

本稿では,帝政期ロシア期を代表する映画監督エヴゲーニイ・フランツェヴィチ・バウエル が独自の空間の美学を達成し,意識的な「映画作家」となっていったのかを論じている。他国 と異なるロシア映画固有の形式を踏まえ,監督以前のモスクワ絵画・彫刻・建築学校時代および舞台装置家としてのバウエルの半生を追い,つづいてその監督前史が後の映画製作にどのような影響をもたらしていったのか,バウエルにおける絵画性/パースペクティヴのスペクタクル性/映画におけるセノグラフィー/移動撮影による空間演出の諸観点から作品分析を施し,バウエル映画の過剰な視覚的特性を,映画以前の「芸術」と映画メディアの対峙として捉えた。バウエルによるパースペクティヴの実現は,映画という二次元性と三次元性が同居する特有の造形芸術メディアにおいて,絵画や舞台にはないより複雑なセノグラフィーを呈することとなる。 映画におけるバウエルの美学は,19世紀以前の古典的な美学規範に基づいており,演劇の舞台 装置や美術を映画に適応させるというそれ自体新奇でアヴァンギャルドな試みを実現した。
著者
清水 恵子 斉藤 修 小川 研人 水上 創 上園 崇 塩野 寛 粟屋 敏雄 藤田 育志 松原 和夫
雑誌
法中毒 (ISSN:09159606)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.122-123, 2001-05

雑誌掲載版これ迄に起きた標記犯罪例として,部活顧問の高校教師による猥褻事件,軟派した女性への強姦,眠剤服用者による放火,飲酒者に対する強姦の4事例を提示し,自施設で行った健忘機構の行動薬物学的・神経化学的研究を紹介した.この研究により酒とベンゾジアゼピン系薬物との併用による前向健忘の機構は,両薬剤がGABA神経の活性化を介して海馬におけるプレシナプティックなグルタミン酸放出を抑制することで記憶障害を惹起する可能性が示唆された
著者
小川 賢一 平林 公男 中本 信忠
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.14-22, 2001-07-30

長野県の諏訪湖で大量発生して,周辺住民や地域の観光施設,工場施設に健康被害や経済的被害等をおよぼしているアカムシユスリカ成虫の群飛形成や音響に対する応答特性を紹介するとともに,これまでに調べられたユスリカ類の音響応答とも比較した.アカムシユスリカ成虫は日中,湖岸の植物の葉上で静止しているが,夕刻に雄は巨大な群飛を形成した.その間,雄は音響トラップから発せられる周波数150Hzと180Hzの音響に顕著に応答し,誘引捕獲された.これらの音響周波数はこれまでに明らかになったユスリカ類の音響応答の中で最も低い周波数であった.諏訪湖で発生するアカムシユスリカとオオユスリカ,および神奈川県川崎市内の都市河川で発生するセスジユスリカとミヤコナガレユスリカの3属4種間で,雄を最も多く誘引捕獲できた音響周波数とその時の気温との間に正の相関関係が認められた.本研究のような,音響による物理的方法や他のさまざまな手段や発想を組み合わせた「環境に優しい」対策や防除法の考えが今後のユスリカ類を始めとする害虫防除法にとって重要なものになっていくと考える.
著者
西郷 達雄 中島 俊 小川 さやか 田山 淳
出版者
The Japanese Society of Behavioral Medicine
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-10, 2013

本研究では、東日本大震災における災害医療支援者の派遣後約1.5ヶ月時点でのPTSD有症状者の把握、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との関連について検討することを目的とした。本研究の仮説は、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が高い者は外傷後ストレス症状が低く、逆にコントロール可能性が低い者は外傷後ストレス症状が高いとした。東日本大震災に伴い長崎大学から各県に派遣された災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team: DMAT)、救援物資輸送支援、被ばく医療支援、地域医療支援に従事した災害医療支援者54名に対して、フェイスシートを含む、外傷後ストレス症状、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性の測定を実施した。派遣後約1.5ヵ月時点でのPTSD有症状者は0名であった。侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との相関分析の結果、コントロール可能性と外傷後ストレス症状を測定するIES-R-J合計得点、およびIES-R-Jの下位因子である侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点との間に有意な負の相関が認められた。侵入的想起症状に対するコントロール可能性の高低による外傷後ストレス症状の差を検討したところ、コントロール可能性低群では、コントロール可能性高群と比べてIES-R-J合計得点および、侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点が有意に高かった。本研究の結果から、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が外傷性ストレス症状に対して抑制的に働くことが示唆された。
著者
葛西 駿 及川 拓弥 木村 純 小川 弘貴 三島 友義 中村 徹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.136, no.4, pp.444-448, 2016

This paper demonstrates the impact of tilted Mg ion implantation for the threshold voltage control of GaN MISFETs for the first time. The threshold voltage of the MISFETs by using Mg implantation shifts up to -1 V, whereas that without Mg ion implantation is about -8 V. The GaN MISFET achieved maximum drain current of 165 mA/mm and an extrinsic transconductance of 30 mS/mm. These results indicate a definite availability of our process in normally-off GaN MISFETs for power switching device applications.
著者
野間 慶子 小川 賀代
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE)
巻号頁・発行日
vol.2011-CLE-6, no.1, pp.1-6, 2011-11-24

e ラーニング学習では,学習履歴データの取得が容易である事から,近年では取得した学習履歴データを解析し,学習支援の活用に向けた研究が盛んである.しかし,LMS から取得できる履歴データは,学習者の行動パターンを推定することはできるが,問題に対する集中度合いや,行き詰まりなど個人の学習状況の把握は難しい.そこで,集中力や眠気によって変化する事が知られている瞳孔反応を利用し,これまでの学習履歴データと併せることで,より的確な学習支援が行えると期待できる.しかしながら,瞳孔反応は,集中力だけでなく,外界の光量の影響を受けることが知られている.そこで,本稿では,光量の影響を受けない環境条件を整備し,瞳孔反応と集中力の関係を調べ,学習状況のパターン化の検討を行った.その結果,計算時における 4 つの学習状況におけるパターンを見出し,行き詰まり判定の可能性を得た.
著者
加藤 浩介 坂和 正敏 片桐 英樹 小川 篤
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.402-411, 2007-08-15

多目的確率計画問題に対して,従来,期待値最適化モデルや分散最小化モデルに基づいて意思決定者の満足解を導出するための方法が提案されてきている.しかし,これらのモデルに基づいて得られる解と,不確実な意思決定状況で意思決定者が目的関数に対する満足度を表す効用関数の期待値を最大化しようとするという期待効用最大化原則に基づいて得られる解の整合性は保証されていない.一方,確率変数の分布関数を積分した二次分布関数の大小関係により確率変数を順序付けする二次確率優越という概念があり,目的関数に対する意思決定者の効用関数がリスク回避的である場合には,二次確率優越は期待効用最大化原則と整合的であるという性質がある.そこで,本研究では,多目的確率計画問題に焦点をあて,二次確率優越の概念に基づくパレート最適性を定義し,期待効用最大化原則と整合的な満足解を導出するための対話型ファジィ満足化手法を提案する.
著者
小川力 著
出版者
紘文社
巻号頁・発行日
1942
著者
小川 桂一郎
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.363-377, 1996-12-30 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

How to create and use CIF, which is required for submission of papers having the results of crystallographic structure analysis, is illustrated.