著者
小林 俊行 森口 洋佑
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.5-8, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

大学生の物理分野における素朴概念の実態を解き明かすために,各種調査問題が作られ,その実態が報告されてきた。今回は,長洲・武田らが用いた小・中学校で学習する力の概念に関する調査問題を利用して,中学・高校の理科の教師を目指す大学生 1 年生と 3 年生の認知状況を調査,分析するとともに,当時の中学生の認知状況と比較してみた。その結果,調査内容のほとんどで大学生となっても素朴概念が修正されずにいることがわかった。
著者
小林 達治 広谷 博史
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.43-48, 1987-11-20 (Released:2017-05-31)

1)光合成細菌の一種Rhodopseudomonas capsulataは,シンドビスウイルスや大腸菌を宿主とするT5ファージを不活性化する物質を生産することが明らかとなった。2)その抗ウイルス活性物質は分子量10,000以下で蛋白質でもなく,核酸関連物質でもないと推察された。3)その抗ウイルス活性物質は暗黒条件では比較的熱安定性(60℃, 5分間ではほとんど不活性化しない)であった。しかし,光照射条件下では不活性化は進行した。ウイルスを不活性化する作用は光照射条件の方が暗黒条件より高かった。
著者
西下 智 長谷川 聡 中村 雅俊 梅垣 雄心 小林 拓也 藤田 康介 田中 浩基 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0428, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】肩関節は自由度が高く運動範囲が広いが,関節面が小さいため回旋筋腱板(腱板)の担う役割は重要である。肩関節周囲炎,投球障害肩などに発生する腱板機能不全では棘上筋,棘下筋の柔軟性低下が問題となることが多く,日常生活に影響を及ぼすこともある。柔軟性向上にはストレッチング(ストレッチ)が効果的だが,特定の筋の効果的なストレッチについての研究は少ない。棘下筋に関しては即時効果を検証するような介入研究もされているが,棘上筋ではほとんど見当たらない。棘上筋の効果的なストレッチは,複数の書籍では解剖学や運動学の知見をもとに,胸郭背面での内転(水平外転)位や伸展位での内旋位などが推奨されているが定量的な検証がなされていない為,統一した見解は得られていないのが現状である。Murakiらは唯一棘上筋のストレッチについての定量的な検証を行い最大伸展位での水平外転位が効果的なストレッチであるとしているが,これは新鮮遺体の上肢帯を用いた研究であり,臨床応用を考えると生体での検証が必要である。これまで生体における個別のストレッチ方法を確立できなかった理由の一つに,個別の筋の伸張の程度を定量的に評価する方法が無かったことが挙げられる。近年開発された超音波診断装置のせん断波エラストグラフィー機能を用いることで,計測した筋の伸張の程度の指標となる弾性率を求める事が可能になった。そこで今回我々はせん断波エラストグラフィー機能によって計測される弾性率を指標に,効果的な棘上筋のストレッチ方法を明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は健常成人男性15名(平均年齢23.4±3.1歳)とし,対象筋は非利き手側の棘上筋とした。棘上筋の弾性率の計測は超音波診断装置(SuperSonic Imagine社製)のせん断波エラストグラフィー機能を用い,棘上筋の筋腹に設定した関心領域の弾性率を求めた。計測誤差を最小化出来るように,計測箇所を肩甲棘中央の位置で統一し,2回の計測の平均値を算出した。弾性率は伸張の程度を表す指標で,弾性率の変化は高値を示す程筋が伸張されていることを意味する。計測肢位は,下垂位(1st),90°外転位(2nd),90°屈曲位(3rd),最大水平内転位(90Had),45°挙上での最大水平内転位(45Had),胸郭背面での最大水平外転位(20Hab),45°挙上での最大水平外転位(45Hab),最大水平外転位(90Hab),最大伸展位(Ext)のそれぞれの肢位にて被験者が疼痛を訴える直前まで他動的に最大内旋運動を行った9肢位に,更に安静下垂位(Rest)を加えた計10肢位とした。統計学的検定は,各肢位の棘上筋の弾性率について一元配置分散分析および多重比較検定を行い,有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を順守し,所属機関の倫理委員会の承認(承認番号E-1162)を得て行った。対象者には紙面および口頭にて研究の趣旨を説明し,同意を得た。【結果】全10肢位のそれぞれの弾性率(平均±標準偏差,単位:kPa)はRestが26.2±10.9,1stが21.2±8.0,2ndが37.0±13.7,3rdが28.3±11.2,90Hadが29.3±9.5,45Hadが37.1±16.7,20Habが34.0±13.1,45Habが83.3±35.4,90Habが86.0±34.1,Extが95.7±27.6であった。統計学的にはRest,1st,2nd,3rd,90Had,45Had,20Habに対して45Hab,90Hab,Extの弾性率が有意に高値を示した。Rest,1st,2nd,3rd,90Had,45Had,20Habそれぞれの肢位間では,1stと2ndとの間にのみ有意差が見られ,その他は有意差が無かった。45Hab,90Hab,Extそれぞれの肢位間には有意な差は無かった。【考察】棘上筋のストレッチ方法は,Restに対して弾性率が有意に高値を示した45Hab,90Hab,Extの3肢位が有効であることが示され,有効な3肢位は全て伸展領域の肢位であった。しかしながら,同様に伸展領域の肢位である20Habには有意差は認められなかった。全肢位中,45Hab,90Hab,Extの弾性率が有意に高値で,かつ,20Habに有意差が見られなったことから考えると,棘上筋のストレッチ方法はより大きな伸展角度での水平外転・内旋もしくは,最大伸展位での内旋が効果的であることが明らかとなった。この結果は新鮮遺体での先行研究を支持するものであった。しかし書籍などで推奨されていた胸郭背面での水平外転位のストレッチについては水平外転よりもむしろ伸展を強調すべきであることが明らかとなった。【理学療法学研究としての意義】これまで新鮮遺体でしか定量的な検証が行えていなかった棘上筋のストレッチ方法について,本研究では弾性率という指標を用いる事で,生体の肩関節において効果的な棘上筋のストレッチ方法が検証できた。その運動方向は,より大きな伸展角度での水平外転・内旋もしくは,最大伸展位での内旋であることが明らかとなった。
著者
田口 正樹 佐々木 健 林 信夫 加納 修 大月 康弘 小川 浩三 松本 英実 鈴木 直志 新田 一郎 櫻井 英治 粟辻 悠 西川 洋一 佐藤 公美 小林 繁子 神寳 秀夫 佐藤 雄基 佐藤 彰一 石部 雅亮
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

前近代の西洋と日本について、法律家を中心に、公証人、弁護人、軍人、商人など多様な専門家を取り上げて、専門家と専門知を存立・機能させる環境、専門家と専門知が権力構造において占める位置、専門家間の組織形成とネットワークの広がりといった側面を検討して、専門家と専門知の発展を国制史に組み込んだ。ドイツの研究グループとの学術交流により、専門家に関する文化史的視点を補強して、その意味でも従来の国制史の枠を広げた。
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.56, pp.17-76, 2020-06

東アジア世界、取り分け、日本や韓半島・朝鮮半島では、古来、様々な自然災害や人為的災 害―大雨、洪水、地震、津波、火山噴火、土石流、雪害、暴風雨、高波、高潮、旱害、蝗害、疫病流行、飢饉、戦乱等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、人々はその都度、復旧、復興しながら、現在へと至る地域社会を形成、維持、発展させて来た。文字認知、識字率が必ずしも高くはなかった近代以前の段階でも、文字を自由に操ることのできる限られた人々に依る記録、就中(なかんづく)、災害記録は作成されていた。特に古い時代に在って、それは宗教者や官人等に負う処が大きかったのである。正史として編纂された官撰国史(日本書紀、続日本紀、三国史記等)の中にも、ある種の意図を以って、多くの災害記録が作成されていた。古代王権は、或る種の意図を以って、そうした自然災害を文字情報としての記録に残すことを行なって来た。ここで言う処の「或る種の意図」とは、それらの自然的・人為的な事象の発生を、或る場合には自らの都合の良い様に解釈をし、加工し、政治的、外交的に利用、喧伝することであった。その目的は、災害対処能力を持ちうる唯一の王権として、自らの「支配の正当性、超越性」を合理的に主張することであったものと考えられる。筆者が従前より指摘を行なって来た如く、「咎徴(きゅうちょう)」の語が示す中国由来の儒教的災異思想の反映はその一例である。本稿では、高麗王朝期に、一然(いちねん。普覚国師。1206~1289年)に依り撰述された「三国遺事」を主たる素材として用いながら、自然災害、人為的災害関係記事の内容、 編纂意図や位置付けを、言語文化、文化論の視角より探ってみることとする。「三国遺事」に於いては、如何なる対(自然)災害観や、災害対処の様相が記録されていたのか、いなかったのかを追究することが本稿の目的とする処の1つである。編纂者の属性から、本稿では仏説に基づく形での話題の展開が中心となるが、そうした思想的な面が及ぼしていた影響をも勘案しながら、「眼光紙背に徹する(がんこうしはいにてっする)」、文面の裏側や奥底に秘められた事象をも追及してみたいと考える。その際、日本へ与えた文化的な影響を考慮するといった、比較文化論の手法も導入する。 尚、本稿に於いて使用する「三国遺事」は、昭和3年(1928)9月に朝鮮史学会が編集、 発行した刊本であり、昭和46年(1971)7月に国書刊行会より復刻、発行された『三國 遺事(全)』である。又、「三国史記」は、朝鮮史学会を編者、末松保和氏を校訂者とした第三版、 即ち、末松保和氏が「朝鮮史學會本三國史記」と表現した刊本であり、昭和48年(1973) 2月に国書刊行会より復刻、発行された五版である。
著者
小林 武一 井上 真智子 田辺 幾之助 大西 博 福井 作蔵
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.186-192, 1978-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Chl.vulgarisA1-1y-3(11)をそれぞれ20℃,30℃,40℃ で他養培養し,性質の異なる澱粉を得ることを試みた。得られた澱粉は下記のような特性を示した. 1)クロレラ澱粉の結晶形は培養温度の影響を受けず,いずれもA図形であった. 2)アミロース含量は20℃ 培養で得られた澱粉がわずかに高い. 3)低い培養温度で得られた澱粉ほど低温で膨潤がはじまり,かつ膨潤度が大きく,培養温度の影響が顕著である. 4)20℃ 培養で得られた澱粉は他の培養温度のものに比べて著しく総リン量が多い. 5)クロレラ澱粉は微小(0.5~2μm)で,その形も他の澱粉と異なっているが,それらに対する培養温度の影響は認められなかった. 6)X線回折図,形態観察,アミロース含量などから見るかぎり,細胞内澱粉粒と細胞外澱粉粒との間にほとんど差がなかった.なお,本報告の概要は昭和51年度日本澱粉学会大会で発表した.
著者
小林 淳 青木 かおり 村田 昌則 西澤 文勝 鈴木 毅彦
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.21-40, 2020-06-30 (Released:2020-07-06)
参考文献数
35

This study established tephrostratigraphy and clarified the eruption history of Niijima volcano (Izu Islands, Japan) after the Miyatsukayama event (12.8-8.5calka) through geological survey around the central and northern parts of Niijima island, and Shikinejima and Jinaijima islands. Detailed explanation is summarized below. The Miyatsukayama eruptive event started at the north of Akazakinomine lava dome (central part of Niijima island) at 12.8calka. The series of eruptions formed Miyatsukayama lava dome, and produced Nj-MtG tephra (12.8-8.5calka) and K tephra (ca. 8.5calka). In particular, the first pyroclastic density current covered the Akazakinomine lava dome thickly, accompanying fallout deposits (Nj-Mt tephra) which were widely distributed in the northern part of Izu Islands. Subsequently, the Shikinejima event ejecting Nj-Sk tephra occurred at ca. 8calka. At ca. 7.5calka, H(s) tephra was produced by the eruption near Shikinejima island, and H(n) tephra was produced by the Niijimayama event. During the Miyatsukayama-nanbu event (ca. 5.5calka) producing Nj-Mt(s) tephra, pyroclastic density currents erupted from the southern part of Miyatsukayama lava dome, buried depressions on the Miyatsukayakma lava dome and formed horizontal and flat surface. The erupted pyroclastic material covered the Akazakinomine lava dome widely and formed pyroclastic cones and lava domes near the source. After that, the Wakago event (Ni-Wg tephra), the D tephra event and the Kudamaki-Atchiyama event (Nj-KdAt) erupted basaltic magma at ca. 3.6calka, ca. 1.6calka and AD 856-857, respectively. Several decades after the Kudamaki-Atchiyama event, the Mukaiyama event (Nj-My) occurred at the southern part of Niijima island in AD 886-887. The Mukaiyama event is the largest eruption during the last 12.8 kys. At Niijima Volcano, eruptions with the magnitude equivalent to the Mukaiyama event (>0.1DREkm3) have occurred every thousand years since the Miyatsukayama event, and the large area of the island was covered with pyroclastic density currents at each eruption.
著者
板谷 麻美 岩本 久生 小林 亜紀子 金澤 浩 白川 泰山 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.524, 2003

【目的】足関節腫脹の評価は、健側と比較して行われることが多いが、そこに本来左右差があれば比較の対象にならないのではないかと考えた。 そこで今回、健常者の足部・足関節に左右差があるかを明らかにすること、ならびに、腫脹の評価法の客観性を確認することを目的とし、基本的な測定を行った。【方法】対象は、足部・足関節に腫脹を残す疾病及び外傷の既往や現症のない者18名(男性3名、女性15名)36足。年齢(平均±SD)は、25.2±6.8歳、身長は158.1±8.0cm、体重は50.0±5.5kgだった。 (1)水槽排水法(Petersenら、1999)は、排水口まで温水を入れた特製の水槽に足を入れる。この時水槽から溢れ出た水量をメスシリンダーで測定する。 (2)Figure of Eight法(Estersonら、1979)は、代表的なメジャー測定法として用いられている。まず、メジャーをTA腱と外果の中間から内側方向へ伸ばし、舟状骨結節遠位を通り、アーチを横切って第5中足骨骨底の近位を廻り、TA腱に戻る。次に、内果の遠位端からアキレス腱を通り、外果の遠位端を廻り、再びTA腱へ戻し、以上の距離を測定する。 独自の方法として、メジャーを使い(3)内果及び外果の遠位端、(4)舟状骨結節と第5中足骨骨底、(5)第1中足骨骨頭と第5中足骨骨頭を通る値を測定する。 それぞれの測定値の左右差を算出し、差の検定には対応のあるt検定を用いた。また、(1)の測定値と(2)-(5)の測定値の相関係数を算出した。危険率は5%未満を有意とした。【結果】左右差(左-右)は(1)9.54±14.33mL(p=0.01)、(2)0.26±0.54cm(p=0.06)、(3)0.06±0.46cm(p=0.61)、(4)0.03±0.23cm(p=0.64)、(5)0.01±0.37cm(p=0.95)であり、いずれも左が大きかった。 (1)と(2)-(5)の相関係数(r)は、(1)vs(2) 右:0.95、左:0.96、(1)vs(3) 0.91、0.96、(1)vs(4) 0.91、0.92、(1)vs(5) 0.89、0.87で、いずれも高い相関を認めた(p<0.05)。【考察】今回、足関節腫脹の評価法の客観性を確認するため、健常者の足部・足関節に左右差があるかを調査した。 その結果、左足の容積及び周径が大きいことが明らかになった。容積の左右差9.54mLは、対象の足部・足関節の平均容量850mLの約1.1%にあたる。右足の容積にこれを加えたものが、左足の容積になるという臨床的な目安が示された。左足の値が大きい理由は、平沢(1980)が足底面積が左側で大きいことを示していることと関係すると考えるのが妥当であろう。 水槽排水法は足関節腫脹の評価において高い妥当性が示されたが、臨床的にはメジャー測定法が簡便である。今回行ったメジャー測定法は全て水槽排水法と高い相関があり、特にFigure of Eight法は足部・足関節全体を評価できることから、客観性のある方法と考えられた。

2 0 0 0 OA 西洋演劇史

著者
小林愛雄 著
出版者
赤城正蔵
巻号頁・発行日
1914
著者
三星 知 山田 仁志 山崎 修治 小林 真理子 上野 和行 長井 一彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.7, pp.943-947, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Concomitant therapy with acetaminophen (APAP) and low-dose aspirin is often used in clinical settings; however, it is unclear whether this combination is involved in the progression of chronic kidney disease (CKD). We hypothesized that concomitant therapy with APAP and low-dose aspirin may cause CKD progression. We carried out a retrospective 6-year cohort study that included all patients who received low-dose aspirin from January 2011 to December 2016 at Kaetsu Hospital. Primary outcome was defined as CKD progression at the end of the study compared with baseline. Among the 441 patients treated during the study period, we identified 89 cases of CKD progression. Multivariate regression analysis showed that exposure to APAP>50 g [odds ratio (OR), 2.68, 95% confidence interval (CI), 1.08-6.70], age increase by 1 year (OR, 1.05, 95% CI, 1.02-1.08), and diabetes mellitus (OR, 2.40, 95% CI, 1.41-4.08) had positive associations with CKD progression. Our findings suggested that concomitant therapy with APAP and low-dose aspirin increased the risk of CKD progression. Therefore, we recommend more thorough monitoring of serum creatinine when patients are on such concomitant therapy. Moreover, it is important to advise users of low-dose aspirin to avoid unnecessary use of APAP, in order to reduce the risk of CKD progression.
著者
浅野 尚美 小郷 博昭 池田 亮 閘 結稀 髙木 尚江 山川 美和 吉岡 尚徳 小林 優人 淺田 騰 藤井 敬子 藤井 伸治
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-8, 2017-02-28 (Released:2017-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

生後4カ月以内の乳児では,母由来のIgG型抗A,抗B抗体の有無を確認した上で適合血を選択しなければならない.当院では,生後4カ月以内の乳児の外科的手術症例における輸血が比較的多く,限られた検体量の中で輸血用血液製剤の正確で迅速な準備が要求される.今回,母由来のIgG型抗A,抗B抗体が陽性であった生後4カ月以内の乳児に対し,赤血球輸血の際に選択された血液型について後方視的に解析を行った.2009年4月から2013年3月の4年間に,輸血検査を行った生後4カ月以内のO型以外の乳児は309人で,間接抗グロブリン試験でW+以上の凝集を認め母由来のIgG型抗A,抗B抗体が検出された症例が44例(14.2%)であった.1+以上を示した31例のうち24例がO型赤血球輸血を選択したが,省略してもよいとされているABO血液型ウラ検査(カラム凝集法)で,児の血液型と同型のウラ血球に凝集を認めた症例が17例あった.生後4カ月以内の乳児の輸血前検査として,A1またはB血球との間接抗グロブリン試験で1+以上の凝集を認めた場合に加え,血液型検査のウラ検査も,母由来のIgG型抗A,抗B抗体を検出できる場合があり,O型赤血球輸血の選択基準のひとつになり得ると考えられた.
著者
芳原 達也 荻野 景規 小林 春男
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

現在、地下水及び河川汚染で社会的問題となっているトリハロメタンジクロロホルム,)クロロブロモメタン,クロロジブロモメタン,ブロモホルム等)およびトリクロロエチレン,1,1,1ートリクロロエタンおよびテトラクロロエチレン等々の有機塩素系溶剤は、脱脂洗浄、樹脂溶解、塗脂溶解、塗料のシンナ-、リ-ムバ-、冷媒、ドライクリ-ニング等の目的で広範囲に使用されており、その使用量も非常に多い。毒性としては、中枢神経系に対する抑制作用、三叉神経、末梢神経障害、肝臓障害、腎臓障害、心臓血管系障害など多くが報告されている。また近年は環境汚染物質としてフロン等とともに、西暦2000年までに使用禁止物質として世界的に規制されつつある。しかし、これらの物質の生体内吸収、排泄、代謝などに関する生体内動態については解明されていない部分が非常に多い。そこでこれらの有機塩素系溶剤の中で、最も普遍的に用いられているトリクロロエチレンの着眼して、この溶剤の生体内動態および代謝について麻酔犬を使用し実験的に詳細に検討し、以下の結論を得た。まず、トリクロロエチレン(TRI)の腸管からの吸収を観察するために、私たちは麻酔犬での閉塞性腸管吸収システムを開発し、手術犬で腸管の3部位(空腸、回腸および大腸)に、それぞれ3濃度(0.1,0.25,0.5%)のTRIを投与し、TRIとその代謝産物である、遊離型トリクロロエタノ-ル、トリクロロ酢酸、抱合型トリクロロエタノ-ル血液、尿、胆汁および残留液で測定した。投与後2時間で、投与量の85〜90%のTRIが、すべての部位で吸収された。さらに、これらの部位間での吸収率には差は認められなかった。次に、尿および胆汁から投与後2時間で排泄された、未変化体およびその代謝産物の割合は、すべての群で吸収量に対し、非常に低い値であった。
著者
小林 久泰
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.1106-1112, 2014

ジャイナ教の基本文献『タットヴァ・アルタ・スートラ』における五大誓戒についての註釈には大きく二つの系統がある.すなわち,「注意を怠った人の行為によって」という「殺生」の定義に見られる限定句をそれ以外の四つの誓戒すべてに継起させる系統そして,その限定句を不淫戒を除いた三つの誓戒にのみ継起させる系統との二つである.後者の系統は,白衣派の伝統にのみ特徴的に見られ,註釈者たちは,その典拠を白衣派独自に展開した戒律文献に求めている.白衣派註釈者たちが不淫戒を特別視するのは,このような戒律文献の影響を強く受けているためであり,またその戒律文献に説かれる通り,姦淫を行う人は,不注意であるか否かに関係なく,必ず欲望と嫌悪を伴っているため,他の誓戒とは異なり,注意深かったからといって,その行為が例外的に容認されるということがないからである.