著者
林 麻子 早坂 格 鈴木 秀久 小林 徳雄 佐々木 聡
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.82-87, 2013-04-15 (Released:2013-10-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1

漢方薬の関与が考えられた薬剤性膀胱炎の2例を経験した。症例1は6歳女児。原因不明の肉眼的血尿と頻尿にて当科受診,検尿にて高度蛋白尿が認められた。MRIを含む画像検査にて一部隆起性の膀胱壁肥厚,粘膜肥厚がみられ腫瘍性病変との鑑別を要した。症例2は11歳女児で,2か月間続く血尿と蛋白尿,無菌性膿尿のため当科紹介受診となった。超音波検査にて膀胱壁肥厚を認めた。症例1は柴胡加竜骨牡蠣湯エキスを約3年前から,症例2は温清飲を約1年前から内服しており,両者とも薬剤中止により膀胱炎症状が徐々に改善し,画像検査所見も正常化した。薬剤性膀胱炎は多彩な臨床症状を呈し得る疾患であり,時に画像検査上,腫瘍病変と類似した膀胱の形態異常を示すことがあり,その診断,治療に際して十分に留意すべきであると思われた。
著者
長尾 恭史 小林 靖 大高 洋平 篠田 純治 小澤 竜三 水谷 佳子 田積 匡平 西嶋 久美子 長尾 徹
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1133-1138, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
27

【目的】誤嚥性肺炎患者に対して多職種協働での包括的摂食嚥下訓練を入院初期から行い食事開始早期化の効果を検証した。【対象および方法】誤嚥性肺炎にて入院後、嚥下訓練処方の時点で絶食であった65歳以上の患者139名を対象とした。2013年9月から翌年2月までの早期介入を行った87名(86.5歳±7.0歳)を早期群、2012年9月から翌年2月までの52名(85.6歳±7.2歳)を対照群とし、両群間で帰結を比較した。【結果】入院より食事開始までの日数(早期群3日/対照群5日・中央値)、抗菌薬継続日数(8日/11日・中央値)、院内肺炎再発率(6.9%/19.2%)は早期群が有意に少なかった。また、入院より食事開始までの日数は、抗菌薬の使用短縮に関連する独立した関連因子であった(オッズ比0.96、95%信頼区間0.94-0.99、P=0.012)。【結論】誤嚥性肺炎患者に対する入院早期の食事開始は治療期間を短縮し、さらには院内肺炎を軽減する可能性が示唆された。
著者
小林 敬一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.297-305, 1995-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
15

Various resources can be used to prevent from forgetting things: for example, habitual actions to use external memory devices, metamemory knowledge of external memory devices, script knowledge for planning, and others' aids. The availability of the resources is not equal for anyone, however. The purpose of the present study was to examine developmental changes in contents of the available resources and the relationships among the resources for elementary school children in their homes. The questionnaires concerning the resources were administered to seventy second graders, sixty-six fourth graders, seventy-one sixth graders, and their parents. As results, the children's knowledge increased with grades, while parental aids decreased with grades. Significant (marginally significant) correlation between children's knowledge and parental aids were found in fourth graders only. Moreover, there was a significant (marginally significant) correlation between children's habitual actions to put the room in order and children's script knowledge in fourth and sixth graders, although differences in habitual actions among graders were not significant.
著者
磯部 裕 小林 薫 柴山 健爾 石井 幹十
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.18, no.20, pp.19-24, 1994
被引用文献数
2

W-VHS VCR has been developed as a next generation consumer VCR in response to Hi-Vision and NTSC signals. This VCR has a high picture quality using new video signal processing technologies by new Metal-coated tapes, TCI signal processing and Temporal Emphasis. It has an excellent cost/performance ratio as a Hi-Vision VCR developed on the basis of the VHS system.
著者
小林 雄一郎
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2017年度は、申請書に記した研究計画に則り、ライティングおよび自動採点および自動フィードバックに関する先行研究の調査と整理にあたった。その作業の結果、本研究課題と関連し、学術的にも有用であるものを選定し、2018年度中にliterature review論文を投稿・発表する予定である。また、ライティングの自動評価に向けて、語彙や文法に関する項目だけでなく、談話に関する項目に関する研究を行った。具体的には、母語と習熟度の異なる学習者のデータを定量的に分析することで、ライティングにおける談話能力の発達と、発達過程における母語の影響を調査した。この調査に関しては、Corpus Linguistics 2017で研究発表をしたのち、Journal of Pan-Pacific Association of Applied Linguisticsに論文として発表した(Developmental patterns of metadiscourse in second language writing)。そして、自動評価に関する技術的な研究として、Conference of the International Federation of Classification Societies 2017において、機械学習を用いたテキスト分類に関する発表を行った(Automated speech scoring: A text classification approach)。統計学・情報科学のオーディエンスが多く来場し、言語学・言語教育の学会とは異なる議論や情報交換ができ、有益な示唆を得た。
著者
峯木 真知子 小林 正彦
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.53-57, 2000-02-20

卵黄球の大きさは卵黄の部位や鶏卵の品種の違いによって異なる(峯木と小林,1997 ; 峯木,1999)。卵黄球の大きさと卵の大きさの関係を調べた。また,卵黄一個中にどのくらいの数の卵黄球が包み込まれているのかを検討した。大きさの異なる市販卵を用い,重量を量り加熱した。加熱した卵黄の外層部,中層部,内層部に存在する卵黄球の横断面積,最大幅,最大長を画像処理技術で測定した。卵黄球の横断面積は,3.20×10^3〜9,88×10^3μm^2で最大幅は60〜99μ,最大長は71〜124μであった。外層部の卵黄球は中層部より小さく,内層部は中層部より大きかった。卵黄球の大きさは全卵の重量および卵黄の重量と正の相関があった。1個の卵黄に含まれている卵黄球の数を,卵黄と卵黄球の体積から計算した。その結果,卵の大小にかかわらず,卵黄球,の数は約1.8×10^7個であった。小さい卵には小さい卵黄球が,大きい卵には大きい卵黄球が存在した。
著者
奥野 勉 上野 哲 小林 祐一 神津 進
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.85-89, 2013-05-25 (Released:2013-06-27)
参考文献数
8

目的:ガラス製品を製造する工場では,作業者は,炉,溶融ガラスなどの高温の物体が発生する強い可視光へ曝露される.ブルーライトと呼ばれる短波長の可視光への曝露は,網膜障害(photoretinopahy)を引き起こす可能性がある.本研究の目的は,ガラス製品の製造に伴って発生するブルーライトを定量的に評価することである.対象と方法:クリスタルガラス工芸品を製造する工場において,炉の内部の壁と発熱体,および,炉内に置かれたガラス材料の分光放射輝度を測定した.炉は,2基の再加熱炉,3基の溶解炉,1基の竿焼き炉を調べた.測定された分光放射輝度から,ACGIHの許容基準に従って,実効輝度を計算し,これを許容値と比較した.また,それぞれの光源について,分光放射輝度を黒体の分光放射輝度と比較し,その温度を求めた.結果:測定された実効輝度は,0.00498–0.708 mW/cm2srの範囲にあった.実効輝度は,1,075–1,516 ℃の温度の範囲において,温度と共に急速に上昇した.それぞれの光源の実効輝度は,同じ温度の黒体の実効輝度とほぼ等しかった.考察:炉の内部の壁と発熱体,および,炉内に置かれたガラス材料の実効輝度は,1日の曝露時間が104 sを超える場合の許容値である10 mW/cm2srの十分の一以下であった.したがって,これらの光源を見たとしても,網膜障害の危険性はないと考えられる.ただし,光源の温度が約1,800 ℃以上である場合には,実効輝度は,許容値を超えると推定される.このような高温の光源がガラス製品の製造の現場にある場合には,ブルーライトによる網膜障害の危険性があると考えられる.
著者
五十里 洋行 後藤 仁志 小林 祐司 藤原 聖史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_853-I_858, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

大規模な津波が海岸堤防を越流する際には裏法肩近傍において顕著な圧力低下が生じ,それによって被覆ブロックが離脱・流出することが知られている.本現象の再現計算においては,激流中を運動するブロックを追跡する必要があり,これまでに十分に再現可能な三次元数値モデルは存在しなかった.そこで,本研究では,移動物体の追跡の容易な粒子法を用いた数値モデルの開発を行う.本数値モデルでは,極端な負圧の発生によるtensile instabilityに対応するために圧力ノイズの低減を目的とした高精度スキームを導入するが,それに若干の修正を加えることで計算時間を5~6割程度に短縮した.本数値モデルの適用により,堤防裏法面に設置された被覆ブロックが堤越流の作用によって回転しながら離脱・流出する過程が良好に再現された.
著者
小林 保
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第51回理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
pp.116, 2001 (Released:2002-05-10)

構造力学における荷重は単位の異なる3種類がある。超関数を用いればこれらを統合して表示でき、集中力はディラック関数の特異点で表示される。超関数の理論は、ディラック関数の特異点について、「関数値は存在しない。」と説明するのみであり、集中力の存在感が希薄になっている。筆者は、超関数の特異点の特徴を「定積分の集中」と把握することを提案する。これを用いて、「関数擬値」を定義し、「材軸線に沿う座標と関数擬値の対応」により、荷重の分布を表示する。
著者
小林 伸生 Nobuo Kobayashi
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.399-423, 2009-12-15
著者
久田 真 小林 孝一 丸屋 剛 河井 正
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.863-870, 2014 (Released:2015-10-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

土木学会は,平成24年度・重点研究課題として「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究」を採択した。この課題を掌理する委員会は,コンクリート工学ならびに地盤工学の専門家で構成され,約1年間をかけて両分野を横断する柔軟な議論を行った。その後,本活動を継承するために,土木学会コンクリート委員会に「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究小委員会(第223委員会)」を設置した。本稿は,東日本大震災で発生した多様な震災廃棄物の処理ならびに有効利用技術に関する知見を集約するために約3年間の調査研究活動を行った本委員会の成果を取りまとめたものである。
著者
北野 聡 田崎 伸一 美馬 純一 柳生 将之 古賀 和人 山形 哲也 小林 収 小西 繭
出版者
長野県環境保全研究所
巻号頁・発行日
no.7, pp.75-78, 2011 (Released:2012-12-06)

長野県の生物多様性基礎調査の一環として千曲川下流域における魚類の分布状況を調査した.アブラハヤやウグイ等の在来コイ科魚類が主体であったが,国内外来種ギギや国外来種のコクチバスなども確認された.
著者
髙木 亜蘭 小林 龍成 長谷川 稜馬 谷口 航平 濱川 礼
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.40-45, 2019-09-13

本論文では、ユーザが選択したテキスト形式の怪談文章の盛り上がり箇所を自動判別することで、内容に関連した怪奇現象の「演出」を行い、抑揚を付加した「声」で語るVRコンテンツの自動生成を行うシステム「文章導仮想怪談」を提案する。怪談は古くから存在し、現代でも楽しまれている文化の一つである。その楽しみ方の一つとしてVR怪談が存在している。しかし、VR怪談は対応している怪談の数が少ない。そこで我々は、ユーザがインターネット上に数多く存在する怪談文章を用いることで、多くの怪談文章に対応できる応用性のあるシステムを開発した。
著者
小林 章 Akira Kobayashi
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.126-136, 2017-03-15

日本の明治時代から昭和戦前までの,近代の神社に関する研究は近年活発である。神道史,建築史,都市史,造園史,観光史の各分野で研究が進められている。そのなかで近代の神社境内の特徴が明らかになりつつある。明治政府は祭政一致であり,神道を国家の宗祀とし,神社境内から仏教の要素が取り払われた。法令により,神社は境内以外に所有していた土地を政府に収容され,広い神社林を失った例も多かった。明治政府は伊勢神宮を頂点に神社に社格を設け,国が予算を支出する神社など各地の神社を階層化した。明治時代の初頭に,皇室の祖先を祀る神社や,皇室の忠臣を祀る神社が日本各地に創建された。政府には神社に関する部局があり,そこに神社の営繕組織もでき,新設の神社には神社境内の社殿配置や規模の制限図が制定され,標準化が行われた。一方,古い神社は伝統の形式が尊重された。明治の初頭に政府側の戦没者を祀る東京招魂社が創建され,靖国神社に改称,戦争のたびに祀る戦没者を増やし,境内は改造された。明治初年の公園に関する法制により,神社境内が公園とされた事例もあった。大正時代に,明治天皇を祀る明治神宮が東京に創建されるときも制限図を参考にしていた。敷地の選定,社殿の形式,神社林の構成樹種などについて深く議論された。明治神宮の神苑は,神社林に囲まれた社殿のある内苑と,記念絵画館と体育施設のある洋式の外苑とが離れて整備され,東京の都市計画に大きな影響を与えた。明治神宮の神社林の造成は,椎・樫の照葉樹林を理想とする考え方へと,神社林の考え方の画期となった。明治以降,地元出身の戦没者を祀る招魂社が日本各地に設けられ,それらが昭和戦前の制度により護国神社に改められたが,社殿の形式や規模も政府が定めた。近代の神社の境内には新たな庭園が設けられてきた。近代の神社の境内を構成する石造鳥居,社号を彫った石柱,敷石,石段,石造の柵などの施設も整備されて充実し,神社の地元の石材が使われた。
著者
小林 常雄
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.121, 2017 (Released:2018-06-13)
参考文献数
31

癌細胞は突然変異によってできるという説が宣伝されてきたが、遺伝子プロジェクトによる治療計画は殆ど失敗してきました。公衆衛生学や微小癌の研究から、遺伝子異常説が間違いであることが判明しています。今回、癌のミトコンドリアの呼吸代謝を特異的に抑制する薬を用いて、ミトコンドリアの幽霊化が"癌化の本質である"ことを証明しました。同時に、ミトコンドリアが18億年前に、古細菌に共存して、高等細胞が出来たとき、何故、ミトコンドリアの呼吸遺伝子が、核に9割、ミトコンドリアに1割、配置されたかの生物学上の謎が解明できました。また癌は、胎児と同様にできますので、その原理を使えば、腫瘍マーカー総合検診(TMCA)で、癌を癌に罹る前から、また癌になってからでも、画像診断の100倍の精度で、ダイナミックに診断ができますから、癌の予知予防も、癌の再発予防も簡単にできるようになりました。