著者
小林 純
出版者
経済学史学会
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.21-47, 2014 (Released:2019-08-24)

Abstract: To understand the evolution of economics in German-speaking countries, we ought to start from the mid-nineteenth century. The historiography of German economics was strongly in-fluenced by the German Historical School (GHS). Knies (1852) wrote a short history of economics from the viewpoint of the historical method, which was becoming a mainstream methodology at the time. Controversy over the method, which began in 1883 between Menger and Schmoller, was described as “Methodenstreit.” Scheel (1882) wrote on the his-tory of economics in a famous handbook on the eve of this controversy, and his work can be considered as representing the heyday of GHS. Similar to Knies, Scheel also depicted the contours of economic theory developed in England. Max Weber edited a bulky handbook and asked Schumpeter to write an article on the history of economics in the handbook. Schum-peter (1914) there showed the logical status of GHS in the history of economics. Schumpeterʼs article thus deserves special attention from the modern viewpoint. This study makes use of his suggestion to clarify the characteristics of GHS by distinguishing be- tween the old, the new, and the newer schools. The old school insisted that the classical theo-ry never had universal validity. The new school continued in this direction, but with an em-phasis on the historical importance of legislative, judicial, and conventional institutions. The newer school used typology to describe history. Employing a model of the energetic man, Schumpeter presented his idea of the dynam-ics of history. Historical breakthroughs require the insertion of dynamic heterogeneous ele-ments into a static state. Historians provide the bridge to dynamics for the economic theory (statics). Schumpeter, at an early stage in his career as an economist, was the very founder of dynamics, and developed the idea of integrated social science, with which he could under-stand the meaning of the methodological criticism of GHS against universalistic theory in general and write a useful history of economics. With the aid of Schumpeterʼs idea, we redis-cover the potential intellectual and scientific fertility of the German Historical School. JEL classification numbers: A 12, B 15, N 13.
著者
小林 博
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.917-922, 2016-06-15

要約 目的:緑内障患者において,2年間にわたる点眼補助具の使用によるアドヒアランスの変化を検討した。 対象と方法:対象は,少なくとも6か月にわたり,ラタノプロスト点眼液0.04%またはラタノプロスト・マレイン酸チモロール配合点眼液を単独に点眼しており,点眼方法に問題があると申告した緑内障患者112名(73.8±11.6歳,男性34名,女性78名)である。点眼補助具(ザルイーズ®)を渡し,2年間にわたり,2か月ごとにその使用状況と点眼のアドヒアランスの変化を調査した。 結果:調査は108名(96.4%)が完了した。調査開始から6か月後,12か月後,24か月後の使用率は,68.5%,74.1%,75.0%であった。最終調査の時点で点眼補助具を使用している患者では,点眼のアドヒアランス良好患者が使用前では55名(67.9%),使用後では71名(87.7%)であり,有意に増加した(p=0.003)。使用していない患者では調査開始前18名(66.7%),調査終了時21名(74.1%)であり,変化はなかった(p=0.3)。 結語:緑内障薬の点眼補助具は,2年間においても,75%が使用されており,使用の容易さと忍容性の高さを示していた。点眼補助具を使用することで,点眼が容易になり,点眼のアドヒアランスが改善したと考えられた。
著者
小林 寛和 宮下 浩二 藤堂 庫治
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-57, 2003 (Released:2005-04-12)
参考文献数
27
被引用文献数
4

In competitive sports, complex movements by athletes can be observed.These movements are highly rationalized and sophisticated, compared to movements in the activity of daily life. They are practised and perfected in order to win. This all too often leads to injury. Stability is defined in various ways, but in this paper, stability and stable movements are defined as movements with the minimum of sports injuries but the maximum of sports performance. Movements that are likely to cause injuries and have a bad effect on performance are defined as unstable movements. The movements seen in running, throwing and tackling are focussed on mechanical factors related to injuries. Points of importance are made with regard to stability.
著者
小林 友彦
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.81-106, 2003-03-31

「国際法と国内法の関係」に関する学説の長期的な展開過程を追跡し,その蓄積と今日的意義を明らかにする.なお,国別・法系別に論じる必要がありうることに配慮し,特に国際法と日本法の関係に焦点を当てる.I.では,実行を概観する.一貫性を維持しつつ現代的法現象にも対応するために,基礎概念の再検討が必要となることが確認される.II.では,いくつかの基礎概念に関する日本の学説展開の軌跡と蓄積とを跡付ける.その結果, (1)体系間関係, (2)国内的効力, (3)国内的序列, (4)直接適用可能性に関する理論の発展には連続性があり,それらの総合的に把握し再構成させうることが示される.III.では,包摂的理論枠組みの試論として「部分連結する多重サイクル」モデルを提示する.合わせて,(1)「多元的構成」の再考,(2)国内的効力概念の再定位,(3)国家責任論との関係の再検討,という今後の研究課題を提示する.This article traces the doctrinal developments on the relationship between international law and Japanese law back to the 19th century, and then clarifies its contemporary significance. Part I of the article identifies current practical difficulties surrounding the topic, arising from the accelerating globalization and transnationalization, and stresses the urgent need to review some of the traditional key concepts for solving these difficulties. Part II gives a long-term process analysis of the developments in Japan of doctrines on the relationship between international law and domestic law. The analysis confirms substantial issue linkage in continual flow of debates as well as plenitude of theoretical achievements during inter-war period. Part III attempts to show a comprehensive framework for the organic integration of related concepts. Finally, three specific solutions are proposed in response to practical demands.
著者
小林 静香 黒澤 友美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.61-69, 2014 (Released:2014-07-24)
参考文献数
2

2011年3月11日の東日本大震災時, A病院の手術室は4件の手術中で, 一時中断はしたがその後予定通り終了することができた。今回, 地震を体験した手術室看護師が実際どのような行動をしたのか, またその時の心情の実態を明らかにし, 今後の災害時の行動指針作成の参考にする。 〔方法〕手術室看護師に対し, 地震発生時・発生後の行動や心情, 手術室防災マニュアルの理解度と行動, 今後の対策について質問紙法で調査した。 〔結果・考察〕地震発生時は, 多くの看護師が不安や恐怖を感じていたが, その状況下でも患者の安全確保, 不安の軽減を図る行動を優先して行っていた。一方, 術野の清潔保持に対する注意などマニュアル記載事項の実施が不充分な事も明らかになった。災害時は速やかに, 患者の安全確保・不安を軽減させる対応が重要である。今後, フローチャートの掲示, 定期的な訓練の実施など災害対策を検討する必要がある。

2 0 0 0 OA 易経大講座

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1940
著者
中村 和之 小林 淳哉 小田 寛貴 山本 けい子 瀬川 拓郎 八重樫 忠郎 岡 陽一郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

奥州藤原氏は、約百年にわたって東北地方を支配した。その富の源泉は砂金である。世界遺産の中尊寺金色堂は、黄金に輝く建物で有名である。瀬川拓郎は、北海道のアイヌが交易品として砂金を平泉に持って行ったとする仮説を立てた。本研究の目的はその仮説の検証である。まず、北海道と東北地方の砂金を分析した。つぎに藤原秀衡の別邸の柳之御所遺跡から出土した遺物に付着した砂金を分析した。両者を比較することにより、北海道の砂金が平泉にもたらされていたかどうかを確認した。これまでの検討では、平泉から出土した砂金は岩手県産のものである可能性が高い。北海道から砂金が持ち込まれたとする仮説は証明できなかった。
著者
小林功介 辻本拓也 安本匡佑 羽田久一 太田高志
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.207-208, 2013-03-06

2012年10月の就職内定率が6割を切り、就職難と叫ばれて久しい。多くの就職活動生(以下就活生)は、いくつもの企業の選考を受けてもなお内定を獲得することができず、その代わりに数多の「不採用通知メール(通称 お祈りメール)」を受け取っている。 本研究では、お祈りメールが就活生に与える虚しさに着目し、これを題材にしたインタラクティブコンテンツを開発することで、就職難という昨今の世相の皮肉的な表現を試みている。神社の参拝を模したお祈りのジェスチャーに反応して、映像と音楽に併せて加工したお祈りメールの文面を提示する作品である。 なお、このコンテンツは今年10月30日から1週間に渡って開催された東京デザイナーズウィーク2012に出展され、閲覧者の好意的な反応を多数得た。
著者
山本 裕二 木島 章文 福原 洸 横山 慶子 小林 亮 加納 剛史 石黒 章夫 奥村 基生 島 弘幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では,スポーツにおける対人運動技能の制御・学習則を解明する.対人運動技能とは,眼前の他者と連携や駆け引きを行う技能と,連携や駆け引きを通して互いに成長し続ける技能の両方を指す.これは様々なスポーツに共通の重要な技能であると考えられるが,従来は個の運動技能のみが扱われており,対人運動技能の制御・学習則は未知である.そこで本研究では,二者が連携や駆け引き,二者が連携して他の二者と駆け引きする対人運動技能の制御・学習過程の調査・行動実験からそこに潜む規則性を見つけ,数理モデルを構築して制御・学習の本質を理解し,ロボットに実装してその妥当性を検証する.
著者
野口 知里 小林 身哉 小山 洋一
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.120-128, 2012 (Released:2012-04-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3 5

【目的】サプリメントとしてのコラーゲンの経口摂取による効果に関する報告は多いが,食事から摂取したコラーゲン量の詳細に関してはほとんど報告されていない。そこで,男性に比べてコラーゲンの効果に関心が高いと思われる女性を対象にして,食事由来のコラーゲン摂取量を明らかにすることとした。【方法】対象者は20代から50代までの女性61名とし,平日2日間の全食事内容を目安量記録法により調査した。動物性食材中のコラーゲン量は,コラーゲンに特徴的なアミノ酸であるヒドロキシプロリン量から算出した。【結果】20代から50代女性の1日あたりのコラーゲン摂取量は平均 1.9 gであった。全対象者が2日間で摂取した食材ごとの摂取量を算出したところ,肉類からのコラーゲン供給率が60.5%と多く,その中でも特に豚肉由来のコラーゲン摂取量が全体の33.4%と高く,摂取頻度も最も高かった。一方,魚類の摂取頻度は豚肉の7割程度で,摂取量も豚肉の約6割であり,全体として魚類からのコラーゲン摂取量が少ない結果となった。コラーゲンを多く含む魚の皮の摂取率は54.0%であった。さらに,コラーゲンの摂取量は米を主食とした食事で有意に高く,パンと麺を主食とした食事では低かった。この主食別のコラーゲン摂取量の差は,副食の品数に関係していることが明らかとなった。【結論】今回調査した成人女性の1日あたりのコラーゲン摂取量は平均 1.9 gであった。食事からのコラーゲン摂取量には,食材の選択だけでなく主食の種類と副食の品数も関与していることが示唆された。
著者
小林 ふみ子
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.21-37, 2020-09-30

This article introduces a manuscript recording one of the gatherings of a series of kyōka verse contests held for the first time in Edo in 1783. This record is known from a published edition, but that version lacks the scores and comments on each contest added by the judge Ōta Nanpo(1749-1823), a central figure in the kyōka boom of the time. Although this manuscript includes the results for only the last of ten kyōka gatherings, it provides useful insights into how poems were evaluated during this formative period of the kyōka movement. This paper attempts to clarify the various criteria used to evaluate kyōka poems of Nanpo by analyzing the points and annotations he added to each of the poems in the manuscript.The basic requirement for kyōka poems of the day seems to be the emphasis on choosing suitable vocabulary and expressions for the respective subjects in order to express consistent themes, while incorporating the use of punning and other kinds of wordplay. In addition, it seems to be important to avoid trite or commonplace expressions for which there were many precedents.This manuscript version is also noteworthy for including kyōbun (playful prose) by popular kibyōshi writer Koikawa Harumachi(1744-1789), which was inexplicably omitted from the published edition.
著者
西原 義之 高木 律男 小林 龍彰
出版者
新潟大学
雑誌
新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.31-34, 2001-12

顎関節脱臼、特に両側の前方脱臼では、開口不能、顎関節部の痛み、流涎などの自覚症状を訴え、早期に整復処置が行われれば、陳旧化することは稀である。したがって、脱臼の病態についてのMRIによる軟組織を含めた画像所見、関節開放手術時の所見についての報告は少ない。今回私達は、心筋梗塞発作直後より気管内挿管下に1か月間管理され、咀嚼障害を自覚するも、痛み、口裂閉鎖、嚥下等の障害が軽度であったため、3か月間の入院加療後、閉口障害を主訴に受診した両側性顎関節脱臼症例を経験し、MRIによる精査も行いえたので報告する。患者は83歳女性で、初診時所見として、両側耳前部の陥凹および下顎の前突を認めた。口腔内は、上下顎とも無歯顎で、前歯部顎堤間で37mm以下の閉口は不能であるが、口裂の閉鎖は可能で流涎は認められなかった。MRI所見にて下顎頭は、関節結節前上方に位置し、関節円板前方月肥厚部の前まで転位していた。下顎窩に相当する上関節腔後方は、液体の貯留を示す高信号を呈していた。初診日に徒手整復を試みるも奏効しなかったため、心疾患につき内科対診後、全身麻酔下に整復手術を施行した。まず関節鏡による剥離と徒手による整復を試みたが、整復不能で関節腔を開放した。手術は、下顎頭の整復を妨げていた関節円板を切除し、下顎窩内に下顎頭を復位させた。術後数日間は、上下顎義歯を介しての開口制限の後、開口練習を開始した。現在術後1年2か月を経過し、開口量は義歯正中部で25mmを維持し、脱臼の再発なく経過良好である。A long-standing dislocation of the bilateral temporomandibular joints is rare. Farthermore, there are few reports concerning the use of magnetic resonance imaging (MRI) in determinig, the pathogenesis of dislocation, including the relationship between the condyle, the articular disc, and the external pterygoid muscle. A 83-year-old woman was referred to our department, complaning of masticatory dysfunction over 4months. Bilateral condyles were anteriorly dislocated beyond both the articular tubercle and the anterior band of the articular disc. T-2 weighted MRI showed high signal intensity in the posterion-superior articular cavity. Finally the articular discs were excised bilaterally, because they interfered with reduction of the condyles. At 1 year 2 months postoperatively, there was no evidence of dislocation and the patient had regained masticatory function.
著者
喜多村 和之 大膳 司 小林 雅之
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

本年度は、4年制大学と短期大学の入学定員割れおよび統廃合の要因を分析するための理論作りおよび実証データの作成・分析を行った。さらに、大学・短大の設置者である学校法人の新設統廃合の分析も行った。そのために以下の3種類のデータ・ベースを作成した。第1に、各大学に関して昭和61年度の定員充足率、社会的評価(偏差値等)、構成員の特性(研究状況、年齢分布、学歴等)、就職状況などの属性的情報を収集した。第2に、昭和24年度以降新設統廃合された大学および短大の学部別の入学定員数と在籍者数を調べた。第3に、昭和25年以降の学校法人の許可と廃止の状況について調べた。さらに、以上の数量的情報を補うため、各大学の学校案内の収集や関係者へのインタビュー調査を行なった。その結果、以下の新たな知見が得られた。1.定員割れしている大学は27校ある。2.定員割れの要因を、経営戦略、内部組織特性、外部環境特性の3つの観点から検討した結果、地方所在で小規模で偏差値ランクが低いという傾向がみられた。3.さらに、伝統的な女子教育を支えた学部で定員割れが目立っている。4.廃止となった45校の短大の平均存続年数は、14.2年であった。国立私立別では、それぞれ26.7年、17.4年、12.7年で私立の短大が設置されてから最も早く廃止される比率が高い。5.昭和50年当時の学校数で廃校数を割った廃校率をみると、短大のそれは2.9%で、幼稚園の4.2%、小学校の4.9%、中学校の4.5%、高等学校の5.9%についで高い値となっている。しかし、大学の廃校率は0.2%で、相対的にみてかなりひくい。6.高等教育への参入以前、それらの学校法人の約8割は各種学校や高等学校などなんらかの学校経営していた。これは特に短期大学に参入した学校法人に著しい。
著者
藤田 早苗 小林 哲生 南 泰浩 杉山 弘晃
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.604-620, 2015-12-01 (Released:2016-06-01)
参考文献数
30
被引用文献数
7

We aim to create gradual readability (or target age) measures from infants to elder children. For Japanese texts, several readability measures have been proposed, none of which is applied to texts for infants. Therefore, in this paper, we employ 123 pic-ture books which are clearly decided fine-grained target ages as criterial corpus. Then we investigate the applicability of two previous works to these picture books. Both works show modelate performance. Then we propose a method using new learner and features, and we achieved higher performance to guess the target age.