著者
藤井 恵 西山 睦子 小林 茂 阪田 茂宏
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.131-136, 2018-09-30 (Released:2018-09-30)

【要旨】2008 年よりフットケアサロンを持たずに関西地域の靴店,クリニック,自宅訪問の『出張フットケア』と,その他「靴と足」に関連する啓発活動を行ってきた.『出張フットケア』の特徴は,フットケアが必要とされる人のところへ直接行きサービスができることや靴店,クリニックとの連携でさらにトラブルの改善ができることにある.一方,1987 年に設立された「プロフェッショナルシューフィッティングを読む会」が現在大阪,東京,名古屋,広島,北海道,北陸など各地域で,「靴と足」に関係する集まりの中で勉強会を開催している.この専門知識や横のつながりを深める『靴を考える会』の活動と,『出張フットケア』と関連する啓発活動の,2 つの活動を紹介し,今後の課題を報告する.
著者
鈴木 みずえ 松井 陽子 大鷹 悦子 市川 智恵子 阿部 邦彦 古田 良江 内藤 智義 加藤 真由美 谷口 好美 平松 知子 丸岡 直子 小林 小百合 六角 僚子 関 由香里 泉 キヨ子 金森 雅夫
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.487-497, 2019-10-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
34

目的:本研究の目的は,パーソン・センタード・ケアを基盤とした視点から認知症高齢者の転倒の特徴を踏まえて開発した転倒予防プログラムの介護老人保健施設のケアスタッフに対する介入効果を明らかにすることである.方法:2016年5月~2017年1月まで介護老人保健施設で介入群・コントロール群を設定し,認知症高齢者に対する転倒予防プログラムを介入群に実施し,ケアスタッフは研修で学んだ知識を活用して転倒予防に取り組んだ.研究期間は,研修,実践,フォローアップの各3カ月間,合計9カ月間である.対象であるケアスタッフにベースライン(研修前),研修後,実践後,フォローアップ後の合計4回(コントロール群には同時期),転倒予防ケア質指標,学際的チームアプローチ実践評価尺度などのアンケートを実施し,割付条件(介入・コントロール)と時期を固定因子,対象者を変量因子,高齢者施設の経験年数,職種を共変量とする一般線形混合モデルを用いた共分散分析を行った.結果:本研究の対象者のケアスタッフは,介入群59名,コントロール群は70名である.転倒予防プログラム介入期間の共分散分析の結果,転倒予防ケア質指標ではベースライン63.82(±11.96)からフォローアップ後70.02(±9.88)と最も増加し,有意な差が認められた.介入効果では,認知症に関する知識尺度の効果量が0.243と有意に高かった(p<0.01).結論:介入群ではケアスタッフに対して転倒予防ケア質指標の有意な改善が得られたことから,転倒予防プログラムのケアスタッフに対する介入効果が得られたと言える.
著者
吉野 朋美 小林 ふみ子 青木 幸子 中嶋 真也 平野 多恵 佐藤 至子 兼岡 理恵 中野 貴文
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の概要は、以下の四点に集約される。【1】多様な教育手法と経験を備えた大学と高校の教員が、専門分野や学校の垣根を越えて連携し、研究と高等教育の現場を結びつけて、探究型の古典文学教育を実現する。【2】学習者(高校生・大学生・大学院生)と教授者(高校・大学教員)が同じ題材を学び合うことで多様な視座の獲得を可能にするワークショップ(以下WS)を継続的に開催し、古典文学教育でディープ・アクティブラーニングを実現する授業方法を開発する。【3】欧米の大学・大学院における教育方法を応用し、新たな古典教育のモデルを開発する。【4】本研究で開発した教材や教育方法モデルをWeb公開して、社会に広く還元する。
著者
小林 明日香 渋川 周平 高野 晋 室 伊三男
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.1180-1185, 2018 (Released:2018-10-20)
参考文献数
12

We have found that the number of packages influences contrast for brain tissue signals on fluid-attenuated inversion recovery (FLAIR). The purpose of this study was to evaluate the contrast of white and gray matters by changing the number of packages. In a volunteer study (n=8), FLAIR images were obtained with the various number of packages (number of package=2, 3, 4, 5). We investigated the same imaging condition at both 1.5 and 3.0T. The signal intensity of white and gray matters in all volunteers was increased as increasing the number of packages. Moreover, the contrast ratio between white and gray matters was slightly decreased. In our conclusion, the contrast between the gray and white matters on FLAIR was influenced by the number of packages.
著者
北條 彰 田角 勝 阿部 祥英 花岡 健太朗 小林 梢 板橋 家頭夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.598-606, 2016 (Released:2017-03-16)
参考文献数
20

特異的読字障害は学習障害の一つであり,知的障害がないにもかかわらず,読字を苦手とする.近年の研究では,文字の音声化や単語や語句をひとまとまりとして認識することの障害と考えられている.今回,特異的読字障害の児童が読字をする際の視線を分析し,読み方の特徴を評価した.対象は,読字障害群(17人),ADHD(注意欠陥多動障害)群(10人),コントロール群(12人)の児童である.対象の児童に音読検査課題を実施し,読み飛ばしと読み誤りの回数を測定した.同時に音読検査課題中の視線の動きをTobii社製の眼球運動計測・視線追跡装置(アイトラッカー)を用いて,注視点の数(視線を動かした数)や注視点の大きさ(視線が停滞した時間)を比較し検討した.1.読み飛ばし,読み誤りともに読字障害,ADHD,コントロールの順に回数が多い傾向があった.2.4種類の音読検査課題において,読字障害群の注視点数がコントロール群の注視点数よりも有意に多かった(p<0.01).読字障害の児童の視線の動きをアイトラッカーで可視化することは,読字障害の児童がどのように読字に困難を伴っているかを理解するために有用である.
著者
小林 哲郎 柏木 悠 相馬 満利 藤戸 靖則 平野 智也 山岸 道央 和田 匡史 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.182_2, 2016

<p> 【目的】全力クロール泳におけるキックが水平速度(SV)、ストローク頻度(SR)、ストローク長(SL)、ストロークサイクル内の水平速度変動(IVV)に及ぼす影響を明らかにすること。【方法】被験者は日本代表経験者を含む男子水泳選手5名(身長;175.2 ±6.5cm、体重;78.1 ±7.5kg、50mベストタイム;23.82 ± 0.73s)であった。試技はクロール泳の通常の泳ぎ(スイム)と足首をロープ固定した腕によるストロークだけの泳ぎ(プル)で、25m全力泳をそれぞれ行った。デジタルビデオカメラ(60fps)を用いて選手右矢状面より水中映像撮影を行った。分析区間は右手の1ストロークサイクルとし、選手の右大転子点よりSVを算出した。【結果及び考察】SVはプルに対してスイムで約20%の速度増加がみられ、SRには有意差がなく、SLはスイムの方が大きい値を示した。IVVは、スイムとプルでそれぞれ7.84 ±1.76、9.73 ± 1.87%であり、スイムの方が統計的に有意に小さい値を示した(p<0.05)。スイムはキックにより1ストロークあたりの距離を大きくすることで高い速度を得ていることが推測された。</p>
著者
小林 哲郎 池田 謙一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.58-71, 2006-08-25 (Released:2017-02-08)
被引用文献数
1

The development of social capital in an online community was investigated by creating survey data of online game players. The results showed that the frequency of collective communication, the homogeneity of members, and the openness of the online community had positive effects on trust, while the size of community and community hierarchy had negative effects. This shows that participation in online communities can create social capital. Furthermore, the results showed that online social capital influences real-life behavior. For example, reciprocity online facilitated offline social participation, even after controlling for offline social capital and other real-life determinants. These results demonstrate the positive contribution of collective online communication to a democratic social system.
著者
小林 泰男 小池 聡 永西 修 竹中 昭雄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

新規メタン低減物質候補であるカシューナッツ殻油の反芻家畜への給与効果と作用機序について検討した。殻油はルーメン内の細菌の増殖を選択的に抑制することで菌叢が変化し、低メタン・高プロピオン酸生成型の発酵が導かれた。その結果、飼料消化や健康をがい阻害することなく、20%以上のメタン低減が可能となった。このように効果的な天然物質は初めてのもので今後の実用化が期待される。
著者
内田 真紀子 蜂須賀 研二 小林 昌之 堂園 浩一朗 田中 正一 緒方 甫 野田 昌作
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.326-329, 1996-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
15

We report a 19-year-old man suffering from acute poliomyelitis induced by the attenuated strain of type 3 polio virus. As he had severe muscular weakness in the right lower limb and slight weakness in the left lower limb, we prescribed the following rehabilitation program: active assistive or manual resistive exercises for his right lower limb, resistive exercises for his left lower limb, and gait training with a knee-ankle-foot orthosis. As only two or less than two cases of acute poliomyelitis a year have been reported in Japan, we are following up this patient from the standpoint of preventing post-polio syndrome.
著者
小林 孝寛 藤井 正史 奥野 拓弘 藤原 修治 鈴木 直人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.19019, (Released:2020-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
3

This study examined the effects of concealment on physiological and psychological responses during the Concealed Information Test (CIT). Sixty police officers who volunteered for the study were randomly assigned to either the one non-concealing group (truthful response group) or two concealing groups (“Yes”-only or “No”-only response groups). They underwent the CIT and completed questionnaires about affect and anxiety. Although no significant differences were observed in tonic physiological responses, affect, and anxiety between the non-concealing and concealing groups, the concealing groups had significant differences between critical and noncritical items in skin conductance response (SCR), heart rate, normalized pulse volume, and respiratory speed. In the non-concealing group, only differences in SCR were observed. These results suggested that concealment during the CIT affects phasic physiological responses to stimuli independently of the effect on tonic physiological responses, affect, and anxiety.
著者
長束 勇 小林 範之 石井 将幸 上野 和広 長谷川 雄基 佐藤 周之 佐藤 嘉展
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

初年度(2017年度)の成果を踏まえ,本年度は日本国内で実施する実験・解析の課題について取り組むこととした。一方,ブータン王国側のカウンターパートである農林省農業局(DOA)との共同研究の推進(とくにVisa取得,計測機器や資材のブータン王国内への搬入)に,日本の大学との関係の明文化が求められたことに加え,ブータン王国の国政選挙から政権交代(2018年12月)があり,現地調査等の進行を止めざるを得なかった。その中で,佐藤が2018年6月に単独で渡航し,DOAのチーフエンジニアと面談をし,現地実証実験のフィールドの確認と今後の工程を確認している。本研究課題のゴールは,開発途上国で容易に応用可能で経済性に優れ,耐震を含めた安定性を有する小規模ため池の工法開発である。本年度は,各研究分担者によって,実験室内レベルで設定した研究課題をそれぞれ進めた。根幹となるため池築造技術に関する研究としては,ベントナイトを利用する研究を進めた。ベントナイト混合土によるため池堤体内の遮水層構築は,理論的には可能である。しかし,ベントナイトの膨潤特性の管理や強度特性など,安定した貯水施設の利用には課題が残っている。本年度は,ベントナイトの種類,ベントナイト混合土を室内試験にて一定の条件で確認するための母材,ベントナイト添加率と物理的・力学的特性の評価を行った。本実験で確認した条件下でのベントナイト混合土に対して,透水性の評価までを行い,十分に実用に耐える配合条件を確保できることを確認した。今後,最終年度には,耐震性および浸透特性の解析を国内で進めながら,ブータン王国内における現地実証試験の具体化を進める予定である。具体的には,現地で確保できるベントナイトならびに母材を用いたベントナイト混合土の特性評価,ならびにため池堤体の建造技術への応用を進める予定である。
著者
田中 愛子 府川 俊彦 小林 眞司 山崎 安晴 鳥飼 勝行
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.103-112, 2002-12-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
16
被引用文献数
3

We present a case of Crouzon disease treated by two-jaw surgery after a Le Fort III osteotomy and bone distraction.The patient was a 17-year, 1-month-old male with facial malformation and malocclusion.At the age of 17 years and 2 months, a Le Fort III osteotomy and bone distraction were performed for midface advancement. After this distraction procedure, orthodontic treatment began for secondary surgery to correct severe openbite, bimaxillary protrusion, and spaced arch.After a partial glossectomy was carried out, preoperative orthodontic treatment commenced. At the age of 19 years and 7 months, a Le Fort I osteotomy and sagittal split ramus osteotomies (two-jaw surgery) were carried out.After postoperative orthodontic treatment, occlusion and the facial profile were improved. Although some spaces developed, the occlusal results were almost preserved throughout the 17 month retention period.
著者
藤巻 洋 稲葉 裕 小林 直実 雪澤 洋平 鈴木 宙 池 裕之 手塚 太郎 平田 康英 齋藤 知行
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.17-22, 2013 (Released:2014-06-26)
参考文献数
12

Objective: The aims of the present study were first to investigate the frequency and location of bone cysts in the acetabulum of hip osteoarthritis (OA) patients and second to examine the influence of pelvic tilt on the location of bone cysts in the acetabulum.Methods: A total of 80 patients (65 women and 15 men) with hip OA who underwent primary total hip arthroplasty were included in this study. The mean age at surgery was 65 years (range, 43-83 years). The bilateral hips of these 80 patients were examined; however, 9 contralateral hips that had previously been implanted with prostheses were excluded. We evaluated the minimal joint space width (MJS) on preoperative antero-posterior radiographs of the pelvis in the standing position. We also obtained the digital imaging and communication in medicine (DICOM) data from the preoperative pelvic computed tomography (CT) images, and then three-dimensionally reconstructed the DICOM data using OrthoMap 3D software with reference to the anterior pelvic plane. We divided the acetabulum into six areas and examined the presence of bone cysts in each area. We also examined the degree of pelvic tilt with three-dimensionally reconstructed CT images.Results: The frequency of bone cysts on CT images increased when the MJS of the hip joint on radiographs of the pelvis was less than 2 mm (p < 0.05). In the total of 151 hips, the antero-lateral area of the acetabulum (88 hips, 58%) exhibited the highest frequency of bone cysts. Patients who had bone cysts in the anterior part of the acetabulum tended to have a larger value of pelvic retroversion than those who did not have cysts in the anterior part of the acetabulum; however, the difference was not significant.Conclusion: The antero-lateral area of the acetabulum, which exhibited the highest frequency of bone cysts, is thought to be susceptible to loading stress. We hypothesized that patients who have bone cysts in the anterior part of the acetabulum have larger retroversion of the pelvis than others; however, the difference was not significant. We need to investigate further to reveal the influence of pelvic tilt on the location of bone cysts.
著者
神田 舞子 小林 量作
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100696, 2013

【はじめに、目的】 バランス機能検査の1つとして,片足立ち検査が頻用されている.高齢者では安全を考慮し,開眼片足立ち検査が多く用いられている.一方,加齢的,健康的条件をより適切に反映することから,閉眼片足立ち検査を推奨する報告もある(Potvin,1980).特に高齢者では視覚への依存度が高く,夜間などの暗環境では視覚情報の低下により転倒のリスクが考えられる.そのため,閉眼片足立ち検査は,暗環境や視覚情報の低下を考慮したバランス能力の指標となり得る. 本研究では,閉眼片足立ち練習が,閉眼片足立ち時間の向上にどのような影響を及ぼすか検証することを目的とした.【方法】 対象は運動器疾患のない健常女性40名のうち,閉眼片足立ち時間が40秒以下(東京都立大学身体適正学研究会,2000)に該当する者20名を介入対象とした.年齢は20.3±0.9歳,身長は160.1±4.4cm,体重は53.3±4.8kgであった.対象者に対し,介入前に開眼・閉眼片足立ち時間,足趾圧迫力(足把持力測定器),足底二点識別覚,下肢筋パワー(可動式床反力計)を測定した.事前の片足立ちの結果より左右の足を比較し,低下している側の足を練習足とし,他側を非練習足とした.練習足は合計120秒の閉眼片足立ち練習を1日3回,週3日,3週間行った.そして,介入後及び介入後3ヶ月,介入後6ヶ月に再び介入前と同様の項目を測定した. 統計処理は,介入前後の比較では対応のあるt検定,練習足と非練習足の比較と,介入前後の変化量の比較では対応のないt検定を行った.介入による経時的変化の比較では一元配置分散分析を行った.有意水準は5 %未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 倫理的配慮は,厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」に則り,全ての対象者に対し事前に本研究の目的及び内容を十分に説明し,全員から書面にて同意を得た.【結果】 1.閉眼片足立ち時間における,介入前(ベースライン)の練習足と非練習足の比較では,練習足が19.0±10.2秒,非練習足が28.4±12.4秒と有意差を示した.他の項目については有意差を示さなかった. 2.運動介入後,閉眼片足立ち時間は練習足で52.3±8.4秒,非練習足で45.3±13.6秒とどちらも有意に向上した.他の項目は有意差を示さなかった.また,介入後3ヶ月では練習足50.5±10.0秒,非練習足47.7±12.9秒,介入後6ヶ月では練習足44.9±12.0秒,非練習足45.2±13.4秒であった.介入後6ヶ月は介入前より有意に向上していたが,介入後よりは有意に低下した. 3.閉眼片足立ち時間の介入前後での変化量の比較では,練習足が33.3±8.6秒,非練習足が16.9±11.2秒と有意差を示した. 4.練習足における介入期間中の経時的変化において,120秒に達するまでの回数は1日目が5.3±2.4回,最終の21日目には3.3±2.0回となった.11日目4.2±2.4回から有意に減少がみられた.また,片足立ち練習の1回目の保持時間は1日目が30.6±25.7秒,最終の21日目には60.1±35.6秒となった.11日目46.2±33.2秒から有意に向上がみられた.【考察】 本研究では,3週間の閉眼片足立ち練習を練習足で行った.運動介入後,練習足,非練習足ともに閉眼片足立ち時間が向上し,介入後6ヶ月においても向上が維持されている結果となった.練習足の閉眼片足立ち時間の向上は,練習が3週間と短期間であること,足趾圧迫力,足底二点識別覚,下肢筋パワーに変化がないことから,片足立ちバランスの調整機能が運動学習されたと考えた.また,一度学習した閉眼片足立ち時間は練習をしていなくても6ヶ月間維持されていた.このことから,より難易度の低い運動課題は,一度獲得されるとその運動課題を練習しなくても維持されやすい可能性が考えられる.一方,今回非練習足でも閉眼片足立ち時間の延長がみられたことは,支持足以外の頭部,体幹,骨盤などは練習足と共有していることや運動学習の両側性転移の影響が推察される.また,両側性転移については上肢の巧緻動作や筋力増強においての報告が多い.本研究では,多くの要因が関わっているバランス能力にも運動学習の両側性転移が起きた可能性が示唆された.これらのことより,閉眼片足立ち練習により運動の特異性の原則を基に,閉眼片足立ちバランス能力が向上したと考える.【理学療法学研究としての意義】 閉眼片足立ちは転倒のリスクが考えられるため,本研究の練習方法を高齢者に安易に適応することは避けなければならない.しかし,高齢者においては,暗環境などの視覚情報の低下が転倒を引き起こす要因となり得る.したがって,安全性を保証した条件での閉眼片足立ち練習は,理学療法プログラムの1つとなり得る.
著者
畑 直樹 桝田 正治 小林 昭雄 村中 俊哉 岡澤 敦司 村上 賢治
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.93-100, 2011-09-01 (Released:2011-09-01)
参考文献数
63
被引用文献数
1 2

Altered growth habits and leaf injuries occurring under continuous light are comprehensively reviewed for Solanaceae and Cucurbitaceae crops. Continuous light can accelerate growth by providing a high daily light integral, but many species and cultivars develop leaf injuries and abnormal growth. Other environmental factors may alter responses to continuous light.
著者
小林 和夫
出版者
Japan Society of Photogrammetry and Remote Sensing
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.42-48, 1991-07-10 (Released:2010-03-19)
参考文献数
4

We have been provided confusion to some extent by several explanations of dissimilar meanings with respect to a scientif ical terminology.This paper shows a semantic problem concerning stochastic error term stood for “mean square error” (MSE) which does not exhibit only “root of mean of squared errors” in surveying and photogrammetry, but also indicates “average of squared errors” (or residuals) in statistics.Therefore, it is highly recommended even in surveying and photogrammetry that precision and accuracy illustrated a dispersion and an extent of measurements, respectively, should be utilized variance and MSE (square of “RMS” (root mean square) error) which can be obtained with sum of squared differences between measurements and most probable parameter (or true value), divided by number of observations, or redundancy of them. Similarly, definition of “MSE” in statistics makes variance added to squared bias (systematic error) .
著者
小林 由実 和田 真 山田 和 加藤 邦人 上田 善博 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.164, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】天ぷらの衣は揚げる工程での具材やおいしさにも影響を及ぼす。すなわち天ぷらのおいしさは揚げた後の具材と衣の両面から評価を行うが、本研究では揚げ温度が衣の品質に及ぼす影響について衣の水分や物性だけでなく、異なる揚げ温度において水分蒸発により発生する気泡、油面の波を経時的に測定し、画像解析を行った。これにより油の中で起こる現象や天ぷらの状態を推定し、天ぷらの衣がおいしく出来上がる要因を明らかにすることを目的とした。【方法】天ぷらはさつまいも(直径46±1mm、厚さ8mmの輪切り)に衣(薄力粉:卵:蒸留水=30:12.5:37.5)をつけ、160℃、180℃、200℃で4分間揚げ調製した。天ぷらの衣をクリープメータによる破断応力測定から破断応力・もろさ、破断応力波形を微分波形(破断応力の差/ひずみ率の差)に変換し、得られたマイナスピークの数から衣の気孔数、値から気孔の大きさを推定した。また、衣をつけた具材の水分量を揚げ工程で経時的に測定するとともに気泡の発生による油の表面の揺らぎを画像処理によりコントラストとして捉え、水分蒸発の過程を推定した。【結果】180℃や200℃で料理された衣の破断応力は160℃に比べ値は大きく、マイナスピークの数は多かった。また、マイナスピークの値は油の温度が上がるにつれて大きくなった。これは、180℃・200℃で揚げた衣はグルテンが凝固し、そこに大きな気孔が多く存在していることが推定できる。この原因として180℃や200℃での揚げた場合の水分蒸発量は20秒までに顕著に見られ、それ以降は低下して行ったが、160℃の場合は細かな気泡が継続し水分蒸発が不十分であった。これより、具材を投入後、20秒までの水分蒸発量が衣の出来上がりに影響を及ぼしていることが考えられた。
著者
舘野 隆之輔 小林 和也
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-07-17

本研究は、針葉樹一斉造林地を有用広葉樹からなる広葉樹林へ誘導する際にどのような樹種の組み合わせを選定すれば、木材生産、地力維持、養分流出抑制など生態系の持つさまざまな機能を多面的に発揮できるのかを明らかにし、実用化に向けた課題を抽出することを目指す。本研究では、現存する発達した天然林における樹種の成長や動態を明らかにするとともに、生物群集の多様性と生態系機能との関係を明らかにする。また種子、実生、成木など様々な生育段階において、樹木の成長パラメータや植物と微生物間の相互作用、土壌養分や養分流出が、樹種の組み合わせでどのように変化するかを野外調査やポット実験、モデルなどを用いて明らかにする。