著者
糟谷 大河 小林 孝人 黒川 悦子 Hoang N.D. Pham 保坂 健太郎 寺嶋 芳江
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.31-45, 2016-05-01 (Released:2016-08-17)
参考文献数
45

3種の日本新産のチャツムタケ属菌,Gymnopilus crociphyllus (オオチャツムタケ),G. dilepis (ムラサキチャツムタケ)およびG. suberis (エビイロチャツムタケ)について,本州(茨城県,富山県,石川県,愛知県),鹿児島県(奄美大島)および沖縄県(西表島)で採集された標本に基づき,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.核rDNAのITS領域を用いた分子系統解析の結果,これら3種はそれぞれ,最節約法のブートストラップ値で強く支持される単系統群を形成した.
著者
橋本 貴幸 岡田 恒夫 杉原 勝宣 渡邊 敏文 大西 弓恵 豊田 和典 村野 勇 中安 健 小林 公子 伊藤 万里 大山 朋彦 山口 梢
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0366, 2005

【はじめに】日本人の生活様式は、広範囲な屈曲可動域を要求されることが多いだけでなく、その特徴の一つに正座がある。深屈曲可動域の定義は、第33回日本人工関節学会において130°以上の屈曲を示すとされている。今回、受傷後理学療法までに4ヶ月以上経過し膝関節伸展拘縮を呈した症例の130°から正座に必要な160°までの屈曲可動域制限因子の特異的所見と理学療法について考察を踏まえ報告する。<BR>【対象】膝関節拘縮に伴い屈曲可動域130°以下の制限を呈した5例5膝(左5膝、内2膝は130°までの授動術を施行)を対象とした。性別は、女性2名、男性3名で平均身長162.4±7.8cm、平均体重58.4±7.2kgであった。<BR>【方法】1)膝関節周径計測(裂隙、膝上5・10・15cm、130°屈曲位膝蓋骨上縁の患側と健側差平均値)2)筋力測定(HORGAN社製MICROFET2を用い膝関節角度0°・90°・130°の伸展力を両側各3回施行し平均値を体重で除し指数化し患側/健側比を比較検討した)統計処理には、t検定を用い危険率5%未満を有意とした。3)130°屈曲位での下腿内旋角度計測(外旋位2点・中間位1点・内旋位0点とし指数化した)4)屈曲130°から正座獲得までの期間の4項目について調べ1)2)3)は膝関節の屈曲角度130°獲得時(以下BF)及び正座獲得時(以下AF)の2回計測し比較検討した。<BR>【結果】1)(BF/ AF)は裂隙(2.4/-1.4)5cm(0.3/0.1)10cm(-1.3/-1.1)15cm(-0.3/0.1)130°屈曲位(4.2/1.5)2)130°の場合のみ有意差を認めた(p<0.05)3) BF平均1.6点、AF平均0点4)正座獲得までの期間119.8±59日であった。<BR>【理学療法】1)浮腫管理2)深屈曲位での伸展筋強化 3)下腿内旋可動域拡大4)膝関節伸展機構及び内外側支持機構、関節内靭帯に対しアプローチした。<BR>【考察】深屈曲可動域獲得には、治療期間の長期化と拘縮による膝関節全体の硬さが制限因子である。特異的所見はBF時の130°における周径増大と伸展力低下、下腿内旋制限の3点が挙げられた。格谷らは、正常な深屈曲キネマティックスは、内顆部の2から5mmのlift-off、外顆部の大腿骨外顆の後方移動と大腿脛骨関節の亜脱臼状態及び外側半月板の可動性、膝蓋骨の遠位大腿骨内顆顆間のはまり込み、脛骨内旋・四頭筋腱顆部接触・fad padによる除圧機構が存在すると報告している。理学療法は、浮腫除去、膝伸展力強化・皮膚・膝伸筋機構・内側・外側構成体の伸張性と滑走性・関節内靭帯(ACL/PCL)の長さの獲得、低負荷持続伸張により全例正座可能となった。特異的所見の改善は正常な深屈曲キネマティックスを可能としその運動学的特徴を考慮することが深屈曲可動域獲得に重要である。
著者
藤田 早苗 服部 正嗣 小林 哲生 奥村 優子 青山 一生
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.49-73, 2017-02-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
43
被引用文献数
4 3

本稿では,子どもに「内容」と「読みやすさ」がぴったりな絵本を見つけるためのシステム「ぴたりえ」を提案する.本システムは,親や保育士,司書など,子どもに絵本を選ぶ大人が利用することを想定している.絵本を読むことは,子どもの言語発達と情操教育の両面で効果が期待できる.しかし,難しさも内容も様々な絵本が数多くある中で,子ども 1 人 1 人にとってぴったりな絵本を選ぶのは容易なことではない.そこで,ぴたりえでは,ひらがなの多い絵本のテキストを高精度に解析できる形態素解析や,文字の少ない絵本に対しても精度の高いテキストの難易度推定技術などの言語処理技術により,子どもにぴったりな絵本を探す絵本検索システムを実現する.本稿では,こうした言語処理技術を中心にぴたりえの要素技術を紹介し,各技術の精度が高いことを示す.また,システム全体としても,アンケート評価の結果,ぴたりえで選んだ絵本は「読みやすさ」も「内容」も,5 段階評価で平均値が 4.44~4.54 と高い評価が得られたことを示す.
著者
岡田 幸子 小林 一郎 増山 晃太 田中 尚人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.76-85, 2016 (Released:2016-08-20)
参考文献数
25

「軌道用敷石」とは,近代の都市交通の主役を担ってきた路面電車に欠かせない「板石舗装」〔1957(昭和32)年には全国の軌道敷舗装の78.84%を占めていた〕の表層に用いられる舗装材である.板石舗装用材として最も普及した軌道用敷石は,路面電車を支えてきた重要な石材だった.本研究ではこれまであまり研究されてこなかった軌道用敷石の体系化の基礎資料として,軌道用敷石の規格と産地を調査し,整理することを目的とした.その結果,軌道用敷石は舗装材の要求性能を満たす仕様(材質,形状,寸法,許容差,仕上げ)が明確な規格品であり,国内の主要6ヶ所の産地(茨城県稲田,群馬県沢入,山梨県塩山,岐阜県恵那,広島県倉橋島,香川県小豆島)から明治から昭和にかけて全国に供給された花崗岩であることが明らかになった.
著者
小林 誠人 甲斐 達朗 中山 伸一 小澤 修一
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.652-658, 2007-09-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

JR福知山線列車脱線事故における初動期の現場医療活動について報告し, 災害医療の観点から検証する。事故概要 : 2005年4月25日9時18分JR福知山線で列車脱線事故が発生した。死者107名, 負傷者549名 (重症139名) の多数傷病者発生事案であった。現場活動 : 我々は事故発生から約40分後の10時01分に現場到着した。先着医療チームとして2次トリアージと応急救護所における緊急処置に従事した。また医療チームが順次現着した後は医療チームのcommanderを担当し, 現場医療活動の統括にあたった。検証 : ドクターカーシステムが整備, 認知されており発災早期に医療チームの現場派遣が可能であった。また医療チームは統制がとられ適切にトリアージ, 現場治療がなされたと評価される。その結果, 科学的に証明することは種々の理由により困難ではあるが, preventable deathが回避できたと推測している。しかし, 初動期において各機関は十分な情報収集と共有化が行えなかった。その結果, 詳細な事故状況, 通信手段, 患者搬出の動線, 搬送手段 (救急車, ヘリなど) の状況, 搬送医療機関の選定, 医療チームの要請状況などの把握, 整備, 確立に時間を要した。今後は現場指揮本部を通じて消防, 警察と早期から十分に情報共有を行い, トリアージ, 処置, 搬送の一連の連鎖が途切れることなく行われることが期待される。まとめ : 災害医療は日常業務の延長にあり, 本事案で明らかとなった課題を検証し, 本邦における災害医療システムの構築, 整備, 啓蒙が望まれる。
著者
小林 亮太 重松 潤 宮谷 真人 中尾 敬
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.67-72, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
35

Previous studies have reported that cognitive reappraisal is related to decentering and mental health. However, there are two limitations in the current literature. First, it is unclear whether distraction facilitates decentering. Second, anxiety is the only index that has been used to assess mental health. Therefore, we examined whether cognitive reappraisal and distraction enhance decentering, which in turn improves mental health. Three hundred and eighty-seven university students answered questionnaires that assessed cognitive reappraisal, distraction, and decentering. Additionally, we measured depression, subjective happiness, and life satisfaction as mental health indicators. Our results confirmed that cognitive reappraisal and distraction influence mental health. In addition, decentering mediated the effect of cognitive reappraisal and distraction on mental health. These results suggest that distraction and cognitive reappraisal enhance decentering, which in turn, improves mental health.
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.57, pp.105-122, 2021-01

日本では、古来、様々な自然災害―大雨、洪水、土石流、地滑り、地震、津波、火山噴火、雪害、雹、暴風雨、高波、高潮、旱害、冷害、蝗害等、そして、人為的災害―疫病流行、戦乱、盗賊、略奪行為の発生等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、人々はその都度、復旧、復興しながら、現在へと至る地域社会を形成、維持、発展させて来た。日本は列島を主体とした島嶼国家であり、その周囲は水(海水)で囲まれ、山岳地帯より海岸線迄の距離が短い。自然地形は狭小な国土の割には起伏に富む。その形状も南北方向に湾曲して細長く、列島部分の幅も狭い。日本では、所謂、「水災害」が多く発生していたが、それは比較的高い山岳地帯が多くて平坦部が少なく、土地の傾斜が急であるというこうした地理的条件に依る処も大きい。こうした地理的理由に依る自然災害や、人の活動に伴う形での人為的な災害等も、当時の日本居住者に無常観・厭世観を形成させるに十分な要素として存在したのである。文字認知、識字率が必ずしも高くはなかった近世以前の段階でも、文字を自由に操ることのできる限られた人々に依った記録、就中(なかんづく)、災害記録は作成されていた。特に古い時代に在って、それは宗教者(僧侶や神官)や官人等に負う処が大きかったのである。正史として編纂された官撰国史の中にも、古代王権が或(あ)る種の意図を以って、多くの災害記録を記述していた。ここで言う処の「或る種の意図」とは、それらの自然的、人為的事象の発生を、或る場合には自らの都合の良い様に解釈をし、加工し、政治的、外交的に利用、喧伝することであった。その目的は、災害対処能力を持ちうる唯一の王権として、自らの「支配の正当性、超越性」を合理的に主張することであったものと考えられる。それ以外でも、取り分け、カナ文字(ひらがな)が一般化する様になると、記録としての個人の日記や、読者の存在を想定した物語、説話集、日記等、文学作品の中でも、各種の災害が直接、間接に記述される様になって行った。ただ、文学作品中に描写された災害が全て事実であったとは言い難い。しかしながら、それも最初から嘘八百を並べたものではなく、素材となる何らかの事象(実際に発生していた災害)を元にして描かれていたことは十分に考えられるのである。従って、文学作品中には却って、真実としての、当時の人々に依る対災害観や、ものの見方が反映され、包含されていることが想定されるのである。筆者がかつて、『災害対処の文化論シリーズ Ⅰ ~古代日本語に記録された自然災害と疾病~』〔DLMarket Inc(データ版)、シーズネット株式会社・製本直送.comの本屋さん(電子書籍製本版)、2015年7月1日、初版発行〕に於いても指摘をした如く、都が平安京(京都市)に移行する以前の段階に於いては、「咎徴(きゅうちょう)」の語が示す中国由来の儒教的災異思想の反映が大きく見られた。しかしながら、本稿で触れる平安時代以降の段階に在って、それは影も形も無くなるのである。その理由に就いては、はっきりとはしていない。その分、人々に依る正直な形での対自然観、対災害観、対社会観の表出が、文学作品等を中心として見られる様になって来るのである。本稿では、以上の観点、課題意識より、日本に於ける対災害観や、災害対処の様相を、意図して作られ、又、読者の存在が意識された「文学作品」を素材としながら、文化論として窺おうとしたものである。作品としての文学に如何なる災異観の反映が見られるのか、見られないのかに関して、追究を試みることとする。又、それらの記載内容と、作品ではない(古)記録類に記載されていた内容に見られる対災害観との対比、対照研究をも視野に入れる。
著者
石垣 達也 トピチ ゴラン 濵園 侑美 能地 宏 小林 一郎 宮尾 祐介 高村 大也
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2021-NL-250, no.8, pp.1-11, 2021-09-21

本稿では,新たな言語生成タスクとして,レーシングゲーム実況テキスト生成を提案する.このタスクでは,視覚情報としてレーシングゲームの録画映像,言語データとして実況発話,構造化データとして速度,ハンドル角度といった数値データを入力として扱い,視聴者が映像を視聴しながら,レースをより理解し,楽しむための実況テキストを生成する.既存の言語生成研究においては,データセットの欠如が一因となり映像,言語,構造化データの複数モダリティを同時に考慮する言語生成研究を行うことは困難であった.また,言語生成の中でも,特に実況生成においては「どのタイミングで発話するか」「何を発話するか」を最低限決定する必要があるが,例えば野球を対象とした既存研究においてはイニング間に実況を行うなど,発話タイミングがあらかじめ与えられる設定が扱われ,後者にのみ着目されてきた.本研究ではまず,映像,構造化データとそれらに対応する実況テキストが対になった大規模データセットを作成し,レース実況の特徴について分析する.分析より,実況テキストはその言語的な特徴が,時間および実況者の視点の影響を受け,変化することが分かった.さらに,実況生成タスクをタイミング同定と発話生成の 2 つのサブタスクに分割し,これらについてベースライン手法を提案する.実験より,構造化データの活用は有益である一方,視覚情報については最先端の画像エンコーダを用いたとしても,本タスクにおいて効果が限定的であり,実況生成タスクが挑戦的な課題であることが分かった.マルチモーダルな言語生成タスクのためのデータセットとして,本研究で作成したデータセットは公開する.
著者
浅川 泰宏 小林 憲生
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.35-41, 2012

【目的】福島第一原発事故以降の環境放射線への社会的関心の高まりを背景に、これまで取り組まれていなかった聖地の環境放射線量を測定する。【方法】四国八十八カ所に番外札所を加えた90カ所を調査地とし、携帯型γ線測定器を用いて聖地の地表γ線量を測定し、調査地の地理情報や計測器の設置面の環境などの比較を行った。【結果】四国遍路の聖地における平均放射線量は0.087μSv/hであり、越谷市と同レベルである。また県別や設置面での比較に有意差が見られた。【考察】放射線量は西にいくほど高くなる傾向がある。先行研究から自然放射線量が高いことが知られている愛媛県や高知県の一部では、本調査でも高い値が得られた。また設置面が石畳である場合は顕著に高い値が得られた。このことから、聖地が自然放射線に人工的な宗教的空間としての放射線量が付加された「非日常的」な環境であることが示唆される。最後に四国八十八カ所の巡礼で受ける総被曝量を5.1μ/Svと推計した。
著者
渡邉 英徳 小林 正明
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.250-255, 2020-07-01 (Released:2020-08-24)
参考文献数
6

私たちは、社会に“ストック”されている1964年大会の資料を“フロー”化するコンテンツ「東京五輪アーカイブ1964~2020」を制作した。デジタルアースを用いて過去と現在の風景を重ね合わせることによって、ばらばらの粒子のように“ストック”され、固化していたデータが結び付けられ、液体のように一体となって流れる“フロー”となる。この“フロー”をさまざまなデバイスを通して生み出すことにより、資料についてのコミュニケーションが創発し、情報の価値が高まる。その結果として、56年前・1年後の五輪が、ひとつの流れのなかに位置付けられ、過去に学び・未来に活かす「継承」の機運を生み出せると、私たちは考えている。
著者
田中 佐代子 小林 麻己人 三輪 佳宏
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.6_47-6_56, 2017-03-31 (Released:2017-05-10)
参考文献数
21

国内の研究者・技術者によるグラフデザインの実態を明らかにし、ビジュアルデザインの質を高めるための基礎的要件を抽出した。そのためアンケート調査を実施し209件分の回答を得た。その結果、多くがMicrosoft Excelを使用し(85%)、主に棒グラフ(75%)・折れ線グラフ(74%)・散布図(66%)をデザインしていた。グラフの主な利用媒体は、スライド(86%)、論文等の文書類(83%)で、専門性の高いグラフデザインが求められていると考えられた。そしてほとんどの研究者・技術者がグラフデザイン技術の向上は有益だと思っていたが(94%)、自身のグラフデザインに満足していないものも少なくなかった(41%)。また研究者・技術者は、わかりやすさ、学術的な正確さ、センス良く美しさが保証された、グラフデザインを学ぶためのWebサイト(67%)やガイドブック(62%)を望んでいることがわかった。特に大学生・大学院生を対象に向上技術を示すと効果的であることもわかった。
著者
小林 潤平
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.525-530, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)

文章を読み進める目の動きを効率化すべく,非効率な目の動きを改善する様々な仕組みを検討し,効果の検証を重ねた。その結果,文節にもとづく改行位置の調整や,文節単位で文字ベースラインを階段状にずらす表示方式,文節単位で左右に微振動させる表示方式によって,日本語文章を読み進める際の非効率な視点移動を改善できることがわかった。そして,それらの仕組みを電子リーダーに組み込むことで,理解度や読み心地を維持したまま,読み速度を向上できることがわかった。

9 0 0 0 OA 調剤術講本

著者
小林九一 編
出版者
小林九一
巻号頁・発行日
1892
著者
景山 一郎 栗谷川 幸代 原口 哲之理 小林 ゆき
出版者
Society of Automotive Engineers of Japan
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1402-1408, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
9

二輪車の定常円旋回特性を詳細に検討したところ、これまでの理論的な表現では定性的な特性は表現できるものの、定量的な特性を表現することが難しいことを示した。この表現にはタイヤのオーバターニングモーメントおよびキャンバトルクの考慮が重要である事を示し、今後の運動力学検討時にこれらの考慮が重要であることを示した。さらに操舵系コンプライアンスの等価的影響を検証した。
著者
山本 登朗 小林 健二 小山 順子 恋田 知子 ロバート キャンベル

本冊子は、国文学研究資料館の特別展示として、二〇一七年十月十一日(水)から十二月十六日(土)まで、国文学研究資料館展示室において開催する「伊勢物語のかがやき ―鉄心斎文庫の世界―」の展示解説である。本冊子の作品解説は、国文学研究資料館の基幹研究「鉄心斎文庫伊勢物語資料の基礎的研究」(二〇一六年度〜一八年度、研究代表者・小林健二)による研究成果に基づき、その成果報告を含む。
著者
小林 聡 阿部 聖哉
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.245-256, 2018 (Released:2018-12-27)
参考文献数
34

谷津田は関東における里山の代表的な景観であり、生物多様性が高く保全優先度の高い環境であると認識されている。特に首都圏近郊では都市化が進み、残された自然としての重要度は高い。ニホンアカガエルは谷津田の健全性の指標動物であるとされ、本種の谷津環境の利用状況やその景観的な生息適地はこれまで多く議論されてきている。本種は茨城県を除く関東地方のすべての県でレッドリストに掲載されている地域的な絶滅危惧種であり、乾田化やU字溝による移動阻害、都市化による生息地の消失、分断化が主な脅威として認識されている。しかし、本種を指標として谷津田の保全に取り組む上で参照可能な、陸上の移動可能距離(500 m?1 km程度)を挟む100 m?5 km程度の小さなスケールでの個体群の連続性評価に関する知見はほとんどない。本研究では、首都圏の主要都市である千葉市の中心地から5 kmの都市近郊にあり、保全活動が盛んな谷津田環境である坂月川ビオトープとその周辺に位置するニホンアカガエルの主要な生息地4か所および坂月川ビオトープの下流に点在する小規模繁殖地について、その遺伝的多様性や遺伝的構造の有無、繁殖地間での遺伝的交流の有無の評価を2種類の遺伝マーカー(ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライト多型)により実施した。遺伝的多様性の解析結果では、都川水系に属する坂月川ビオトープおよび大草谷津田いきものの里で遺伝的多様度が比較的低く、鹿島川水系に属する2地点は比較的高い状況が確認された。STRUCTURE解析では、鹿島川水系の2地点は類似したクラスター組成を持ち、都川水系の坂月川ビオトープおよび大草いきものの里はそれぞれ個別のクラスター組成を持っていたが、ミトコンドリアDNAの遺伝的距離による主座標分析では鹿島川水系の1地点も他の地点と離れて配置された。また、坂月川沿いに点在する繁殖地が途切れた約1 kmのギャップを境に、上下流の遺伝的構造が不連続に変化している状況が異なる手法で共通に得られた。本調査地のような都市近郊では、生息地の縮小がもたらす遺伝的浮動により生息地ごとに遺伝的組成が変化し、孤立化によってその差異が維持されている可能性も高い。これらの結果を受け、上下流の遺伝的構造が不連続に変化している地点間での、中継地となる繁殖可能水域や陸上移動しやすい植生の創出などの具体的な保全対策について議論した。