著者
エティエンヌ バンブネ 小林 卓也
出版者
大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.49-64, 2010 (Released:2010-00-00)

訳 : 小林, 卓也 エティエンヌ, バンブネ(ジャン・ムーラン・リヨン第3大学)
著者
小林 隆志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.86-94, 2009

鳥取県立図書館は,ここ数年,利用者サービスの点で大きく変革している。その変革が意図しているのは,「もっと県民に図書館の基本的な機能を理解して欲しい」,「図書館を,地域や個人の課題解決に資する情報提供が可能な頼りになる機関として認識して欲しい」という2点である。この目標にたどり着くために行ったSWOT分析による現状分析の結果と,それに基づく事業内容について,(1)図書館の機能を県民・行政職員に知らせているか(強みを生かしているか),(2)チャンスだからこそ,今やっておかなければならないことはないか(機会),(3)弱みをカバーする方法はないのか,(4)脅威は本当に脅威か,の4つの視点から紹介した。また,より具体的な事例として,文部科学省の「地域の図書館サービス充実支援事業」を受託して実施した「図書館で夢を実現しました大賞」について報告する。
著者
小林 雄一郎 金丸 敏幸
雑誌
じんもんこん2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.259-266, 2012-11-10

本研究は,Coh-Metrix とパターン認識の技術を用いて,英語学習者による課題英作文の自動評価を試みるものである。自動評価の基準は,既存の評価システムによる分類結果とし,出力結果を比較,検討することによって,よりよい採点システムの可能性を模索する。
著者
小林 伸行
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.405-418, 2007-03-31

社会は「いかにあるか」、 「いかにして可能か」。これらは社会は「在る」ことを自明視した上に初めて成立する問いである。しかし、これまで「なぜ社会はあると言えるのか」という哲学的な問いについては、思いの外、不問に付されてきたように思われる。哲学で問題になる存在(者)は専ら心と身体(を始めとする物理的存在)に尽きる一方、心身に還元できないものとして社会を固有の分析対象とする社会学自身が社会の実在性を問題とすることは殆どなかったからである。勿論、それが「社会の捉え方」と無関係であるのなら、少なくとも社会学的な問いとしては浮上して来ないのであるから何の問題もないであろう。だが、果たして「社会が在ることの捉え方」と「社会の捉え方」とは無関係であり得るのだろうか? 本稿は、 N.ルーマンの社会システム論を介して、この両者の関係を浮き彫りにしようとする試論である。そしてその際、 「哲学的ゾンビ」という概念に着目する。
著者
越後 宏紀 呉 健朗 新井 貴紘 富永 詩音 小林 稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.86-95, 2023-01-15

CG技術の発達により,配信者は顔出しをせずに2D CGまたは3D CGのアバタを利用して配信を行うことが可能となっている.アバタを利用した配信者,すなわちVTuberはCG技術の発達とともに活動の幅が広がっており,顔を出して配信しているYouTuberと遜色がなくなってきている.動画配信サイトでは様々な動画カテゴリが存在するが,動画カテゴリ別によるYouTuberとVTuberの配信スタイルに対する視聴者の印象の違いについてはこれまでほとんど調査されてきていない.そこで本論文では,実写の顔出しの動画と2D CGアバタ,3D CGアバタを利用した動画を用意し,視聴者の印象の違いを調査した.比較実験を行い,動画カテゴリによって配信スタイルに対する視聴者の印象が異なることを確認した.
著者
佐々木 亮 木村 昭夫 萩原 章嘉 小林 憲太郎 佐藤 琢紀 伊中 愛貴 阪本 太吾
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.314-319, 2012-07-20 (Released:2020-08-19)
参考文献数
20

本邦では救急外来における破傷風に対する予防は個人・施設によって異なる. 本研究では, 1.破傷風免疫抗体迅速検査キットTetanus Quick Stick (以下TQS) ®の検査精度を調査すること, 2.破傷風予防アルゴリズムの作成における因子の抽出を目的とした. 2009年10月~2010年3月の間, 当施設に搬送された外傷症例182例を対象にTQSの判定及び, Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay法 (ELISA) による破傷風抗体価を測定し, 年齢・予防接種歴・創傷の程度を記録した. 破傷風に対する十分な防御レベルである破傷風抗体価0.1 IU/mL以上の人は, 182例中114例 (62.6%) 存在していた. TQSの検査精度は感度66.7%, 特異度97.1%, 陽性的中率97.4%であった. 破傷風トキソイドが定期予防接種となった1968年を境に分けて破傷風抗体価0.1 IU/mL以上の割合を比較すると, 1967年以前の生まれはわずか35.0%に対して, 1968年以降の生まれは90%以上も存在していた. TQSや年齢別抗体保有率の相違などは破傷風予防アルゴリズムを作成するうえでの重要な因子となると思われた.
著者
小林 良樹 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.887-894, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
10

近年、全国各地の「小京都」によって組織される「全国京都会議」を退会する自治体が見られるようになり、各自治体が独自のPRを模索していると考えられる。そこで本研究は、2016年10月時点で全国京都会議への入会または退会の経験がある、京都市を除いた62自治体を対象として、(1)旅行マーケットからの「小京都」へのまなざしの変化、(2)自治体の「小京都」を用いた地域ブランディングの姿勢・現状、(3)「小京都」を用いた地域ブランディングの変遷とその経緯、以上3点を明らかにすることで、今後の自治体の地域ブランディングに関する示唆を得ることを目的する。調査の結果、(1)外部からの「小京都」の意味合いが変化し、「小京都らしさ」の認識が拡大した。(2)以前「小京都らしさ」として認識されていた要素が、独自性を持つ別のブランドとして、他都市との差異化に採用されるようになった。(3)「小京都」は、新しいコンセプトを打ち出す1ステップや、様々な地域活動で別称として用いられる。ことが分かった。
著者
小林 仁美 多賀 昌樹
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.33-38, 2021-01-25 (Released:2021-06-10)
参考文献数
23

Eating breakfast is very important for the health and development of children. However, few studies have explored the correlates of children’s academic performance. Therefore, we aimed to investigate the associations of breakfast and scholastic performance.Six hundred fifty-five children, aged 8 to 12 years, were surveyed using original questionnaires. Breakfast skipping was defined as having missed any food between waking and the commencement of morning school classes at least 1 school day during the past week.Eight percent of participants reported skipping breakfast at least once time per week. Children who ate breakfast everyday scored higher on Japanese language test than children who did not eat breakfast (71.6±18.9 vs 65.9±18.0, p<0.05). Furthermore, students who did not had breakfast had higher negative emotion than those who always ate breakfast.Breakfast is not only promoted to improve health, but also to improve scholastic performance. We suggest further studies on the relationship between meal content, and scholastic performance.
著者
滝山 路人 赤松 良久 小林 勘太 宮園 誠二 乾 隆帝 中尾 遼平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.257-262, 2023 (Released:2023-10-31)
参考文献数
16

気候変動に伴う河川水温の上昇により河川魚類の生息域の変化や減少が予測されており,河川における魚類の多様性の減少を防ぐためにも,河川魚類と水温との関係を明らかにする必要がある.そこで,本研究では効率的に魚類の在・不在や密度を推定することができる環境DNA定量メタバーコーディング法を利用し,中国地方一級水系である太田川水系,江の川水系において複数魚種の環境DNA濃度と河川水温との関係を解析することで,各魚種における好適水温帯を推定することを目的とした.その結果,環境DNA定量メタバーコーディング法により検出された複数魚種について環境DNA濃度がピークとなる河川水温が確認された.また,魚種間で環境DNA濃度がピークとなる水温が異なり,魚類環境DNA濃度を用いて各種に固有に存在する好適水温帯が推定可能であることが示唆された.
著者
鈴木 三男 能城 修一 田中 孝尚 小林 和貴 王 勇 劉 建全 鄭 雲飛
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.187, pp.49-71, 2014-07

ウルシToxicodendron vernicifluum(ウルシ科)は東アジアに固有の落葉高木で,幹からとれる漆液は古くから接着材及び塗料として利用されてきた。日本及び中国の新石器時代遺跡から様々な漆製品が出土しており,新石器時代における植物利用文化を明らかにする上で重要な植物の一つであるとともに日本の縄文文化を特徴づけるものの一つでもある。本研究では現在におけるウルシの分布を明らかにし,ウルシ種内の遺伝的変異を解析した。そして化石証拠に基づいてウルシの最終氷期以降の時空分布について検討した。その結果,ウルシは日本,韓国,中国に分布するが,日本及び韓国のウルシは栽培されているものかあるいはそれが野生化したものであり,中国には野生のものと栽培のものの両方があることが明らかとなった。それらの葉緑体DNAには遺伝的変異があり,中国黄河~揚子江の中流域の湖北型(V),浙江省と山東省に見られる浙江型(VII),日本,韓国,中国遼寧省と山東省に見られる日本型(VI)の3つのハプロタイプ(遺伝子型)が検出された。中国大陸に日本と同じハプロタイプの野生のウルシが存在することは,日本のウルシが中国大陸から渡来したものだとすれば山東省がその由来地として可能性があることを示唆していると考えられた。一方,化石証拠からは日本列島には縄文時代早期末以降,東日本を中心にウルシが生育していたことが明らかとなった。さらに福井県鳥浜貝塚遺跡からは縄文時代草創期(約12600年前)にウルシがあったことが確かめられた。このような日本列島に縄文時代草創期に既にウルシが存在していたことは,ウルシが大陸からの渡来なのか,元々日本列島に自生していたものなのかについての再検討を促していると考えられた。The lacquer tree, Toxicodendron vernicifluum (Anacaradiaceae) is an endemic tree in East Asia and is called urushi in Japanese. The urushi lacquer is collected from the tree trunk of this species and has been utilized as an adhesive and/or a painting material from very ancient ages. Many kinds of lacquer ware have been recovered from Neolithic archeological sites in Japan and China, and the urushi lacquer ware especially characterizes the Jomon culture in Japan. To elucidate the origin of the Japanese urushi culture, we examined the distribution of urushi trees in East Asia, analyzed their chloroplast DNA, and re-examined the fossil record of the urushi plant.Although the urushi plant is now distributed in China, Korea, and Japan, all of the trees in Korea and Japan are not native, but are cultivated. Thus the urushi trees in Japan is considered as an introduction from somewhere in China. We detected three haplotypes in the chloroplast DNA (trnL intron and trnL-F intergenic spacer regions) in of the urushi plant. The first one haplotype (haplotype V) is widely distributed in central China between Hwang Ho and Yangtze Jiang of China. The second haplotype (haplotype VI) is found in Japan, Korea, and Liaoning and Shandong provinces of China. The last one haplotype (haplotype VII) is found only in Shandong and Zhejiang provinces of China. The presence of wild urushi plant with the haplotype VI in certain areas of China may suggest the possibility that the urushi trees in Japan seem to have originated and introduced from those areas, if it was introduced. Fossil records of pollen, fruits, and wood of the urushi plant have been recovered from the early Jomon period in Japan, especially in eastern and northeastern Japan. One exception is the oldest record of the incipient Jomon period of ca. 12600 cal BP of a urushi fossil wood from the Torihama shell midden of Fukui prefecture. This fact is pressing us to re-consider whether what the urushi plant was brought over from China, or it is native to Japan originally.
著者
町田 昌彦 岩田 亜矢子 山田 進 乙坂 重嘉 小林 卓也 船坂 英之 森田 貴己
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.33-49, 2022 (Released:2022-02-15)
参考文献数
53
被引用文献数
4

We estimate the monthly discharge inventory of tritium from the port of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (1F) from Jun. 2013 to Mar. 2020 using the Voronoi tessellation scheme, following the tritium monitoring inside the port that started in Jun. 2013. As for the missing period from the initial month, Apr. 2011 to May 2013, we calculate the tritium discharge by utilizing the ratio of tritium concentration to 137Cs concentration in stagnant contaminant water during the initial direct run-off period to Jun. 2011 and the discharge inventory correlation between tritium and 137Cs for the next-unknown continuous-discharge period up to May 2013. From all the estimated results over 9 years, we found that the monthly discharge inventory sharply dropped immediately after closing the seaside impermeable wall in Oct. 2015 and subsequently coincided well with the sum of those of drainage and subdrain etc. By comparing the estimated results with those in the normal operation period before the accident, we point out that the discharge inventory from the 1F port after the accident is not very large. Even the estimation for the year 2011 is found to be comparable to the maximum of operating pressurized water reactors releasing relatively large inventories in the number of digits. In the national level, the total domestic release inventory in Japan significantly decreased after the accident owing to the operational shutdown of most plants. Furthermore, 1F and even the total Japanese discharge inventory are found to be minor compared with those of nuclear reprocessing plants and heavy-water reactors on a worldwide level. From the above, we suggest that various scenarios can be openly discussed regarding the management of tritium stored inside 1F with the help of the present estimated data and its comparison with the past discharge inventory.
著者
小林 元気
出版者
日本特別活動学会
雑誌
日本特別活動学会紀要 (ISSN:13437151)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.51-60, 2021-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
27

本稿は、児童会・生徒会選挙に着目し、全国の学校教育における実施状況と、成人後の若年層における主権者教育の知識定着という教育効果の有無を検証することを目的としている。分析の結果、⑴大半の中学校では投票選挙が行われる一方で、小学校と高校での実施状況はおよそ半々であり、個人の学校生活を通じた選挙経験の蓄積にはばらつきがあること、⑵学校生活での選挙経験は成人後の主権者教育の知識定着を強めていることが明らかになった。これらの知見は、全国で実践されてきた児童会・生徒会選挙の教育効果を示唆している。本稿は、特別活動の社会的意義に関するエビデンスの提示を目指した定量的実証研究として、萌芽的な意義をもつものである。
著者
草山 聡子 小林 今日子 浅野 和仁
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.216-223, 2013 (Released:2014-06-23)
参考文献数
18
被引用文献数
1

光トポグラフィー装置(NIRS)を用い,匂い刺激の酸素ヘモグロビン(HbO2)濃度変化におよぼす効果を前頭葉を対象に検討した.被験者19名(女性10名,男性9名)の前頭葉にNIRSのプローブを装着し,100%エタノールに1%の割で溶解した匂い物質,リナロール,リモネン,酢酸ベンジル,バニリンをそれぞれ30秒間曝露した.リナロールとリモネンを被験者に曝露したところ,前頭葉のHbO2濃度が著明に増加したものの,酢酸ベンジル,バニリンの曝露では前頭葉のHbO2濃度変化に著明な影響は観察されなかった.また,前頭葉を左右前頭眼窩野外側,前頭眼窩野正中に区分し,HbO2濃度増加部位の検討を行ったところ,リナロールとリモネンでは上記区分のすべてでHbO2濃度の増加が観察された.しかし,酢酸ベンジルとバニリンでは左右の前頭眼窩野外側においてのみ,HbO2濃度の増加が認められた.NIRSで観察されるHbO2濃度の変化は脳の活性化状態を反映していることが示されていることから,上述した結果は匂い分子の種類の違いにより,脳の活性化部位に変動が認められることを示唆している.したがって,本実験の結果は,脳の活性化誘導を目的とした補完代替医療でアロマセラピーを使用する場合は匂い物質を慎重に選択する必要があることを示唆している.