- 著者
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竹村 明子
小林 稔
- 出版者
- 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.4, pp.426-437, 2010-12-30
- 被引用文献数
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本研究の主な目的は,親の家庭での関わりを規定する要因を明らかにすることであった。そのために,小学1・3・5年生の保護者525名を対象に,規定要因として親の動機づけ要因(効力感)および子育てに関して親が認知する家庭状況(時間や気力の心理的余裕,知識や技術の所有感,経済的余裕)を取り上げ,家庭での関わりの4側面(文化活動,勉強,しつけ,生活習慣)との関係について調べた。その結果,子と関わる時間や気力に心理的余裕がある,および子育ての知識や技術を持つと親が認知することが,親の家庭での関わりを説明することが明らかとなり,親が認知する家庭状況が親の関わりを規定する重要な要因であることがわかった。さらに,親として子に関わる効力感が高くても,時間や気力の心理的余裕または知識や技術の所有感が低いと親が認知する状況では,親の関わりが低下することが示唆された。また,子の放課後時に毎日不在と答える親は時間や気力の心理的余裕が低く,母子家庭の親は子育てに関する経済的余裕が低いことが明らかとなり,このような親の状況が間接的に親の家庭での関わりに影響していることが示唆された。