著者
辻野 孝輔 鴫谷 篤人 小林 亙 泉 知論 尾上 孝雄 中村 行宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.333, pp.55-60, 2003-09-22

近年、2チャンネル・ステレオを用いた三次元音響効果システムが研究、開発されている。こうしたシステムにおいては、頭部伝達関数(HRTF: Head Related Transfer Function)を用いて音源の立体感を表現することが一般的であるが、従来の手法には、演算量が大きくリアルタイム実装に適さないという問題点があった。これに対し、頭部伝達関数の特徴が周波数帯域によって異なることを利用した、組み込み実装に適した低演算量のアルゴリズムが提案されている。我々は、このアルゴリズムを利用した音像定位処理の高精度実装を行い、また、実装したシステム上で移動音を自然に表現するための音像位置の補間手法の検討および評価を行ったので、これを報告する。
著者
津田 尚胤 貝戸 清之 青木 一也 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.801, pp.801_69-801_82, 2005 (Released:2006-05-19)
参考文献数
17
被引用文献数
17 16

本研究では橋梁部材の劣化予測のためのマルコフ推移確率モデルを推定する方法論を提案する. その際, 橋梁部材の劣化状態を複数の健全度で定量化するとともに, 時間の経過により劣化が進展する過程をハザードモデルで表現する. その上で, 一定期間を隔てた時点間における健全度の推移関係を表すマルコフ推移確率を指数ハザード関数を用いて表現できることを示す. さらに, 定期的な目視検査による健全度の判定結果に基づいて, マルコフ推移確率を推定する方法を提案する. ニューヨーク市の橋梁を対象とした実証分析により提案した方法論の有効性を検証するとともに, サンプル数と指数ハザードモデルの推定精度の関係について考察する.
著者
小林 奈穂美 五十嵐 透子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.111-120, 2013-05-31
参考文献数
18

本事例では、治療に抵抗を示す思春期強迫性障害の17歳の女子高校生に対して、マーチ&ミュール(2008)の児童・思春期のCLに対する治療法を参考に、行動療法の曝露反応妨害法を用い、CL、母親、およびセラピストによる自宅訪問を含んだ"チーム"による治療を行い、4カ月半で症状が改善した。"チーム"治療の際の、治療導入時の働きかけ、治療過程における"チーム"の役割と家族を"チーム"に含めることの重要性およびCLの主要な生活の場である自宅での治療について考察し、思春期強迫性障害CLに対する"チーム"による治療の必要性を検討した。
著者
土屋 隆 横山 和也 小林 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.578, pp.7-13, 2000-01-21

各種メータ等の検針システム内で使用されるリードスイッチの磁石のバックラッシュに起因する誤作動を改善するために、感動値15AT以上において感動値と開放値との差(PI-DO)が5.5AT以上となるワイドディファレンシャルタイプのリードスイッチ設計を行った。 現在量産されている汎用型リードスイッチの寸法を基に、バネ部の厚さ、接点部の厚さ、オーバラップ、及び接点メッキ厚さについてシミュレーションを行った。その結果、開発目標を満足するリードスイッチの設計ができた。
著者
小林 邦和 大林 正直 呉本 尭
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,先ず他者の状態や行動の予測を行う状態・行動予測モデル,他者の行動政策の推定を行う政策推定モデル,他者の行動意図の推定を行う意図推定モデル,複数の感覚刺激の中から特定の刺激のみに着目する注意生成モデル,ヒトの情動を模倣した情動生成モデルをそれぞれ構築した.次に,それらのモデルと学習・推論システムを統合し,マルチエージェントシステムにおける協調行動の創発を指向した脳情報処理模倣型統合システムを開発した.同時に計算機シミュレーションとロボット実験により,本システムの性能評価を行った.なお,成果は,学術論文23編,学会発表(国際会議,国内会議)69編,図書6冊として公表した.
著者
小林 喜雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7-8, pp.376-382, 1957-11-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Some specimens of the sablefish, Anaplopoma fimbria (PALLAS), were collected by a larva net, from aboard the training ship “Oshoro Maru” of Hokkaido University, in 1955 and 1956. The results obtained from observations on these samples revealed the following facts. 1. Sixteen specimens of larvae and youngs of the sablefish were collected from nine stations of the sea off the Aleutian Islands. 2. These specimens were collected from July 8th to August 13 th, in two successive years. They were 11.3-30.2mm in total length. The minimum specimen of 11.3mm was collected on-July 8th, and the maximum one of 30.2mm on August 13 th. 3. The rate of increase of head is about 0.3mm to 1mm in total length. Head length is about 24% of total length in the specimen of about 20mm overall length. Anus takes the place nearly in the middle of body, and the increase of the distance from the tip of snout to anus is about 0.5mm to 1mm in total length. 4. The minimum specimen of 11.3mm in total length has larval fin form, but in the speci-men of about 18mm in total length, fin rays have developed in the second dorsal and anal. At the stage of ca. 22mm in total length, fin rays are developing in the first dorsal fin, and number of fin rays of the second dorsal, anal and pectoral fins have reached their full number. The ventral fin developed when specimen reached about 18mm, rays were ascertained at ca 25mm, and their full number was attained at about 30mm in total length, respectively. Fin rays of the first dorsal reach the full number at maximal total length of 30.2mm, but they are of unfinished form. 5. Body color is blackish-brown, and becomes darker as the specimen grows older. Espe-cially, the latter half of pectoral fin turns jet-black; this is a distinguishing trait.
著者
赤瀬 信吾 田中 登 藤本 孝一 鈴木 元 小林 一彦 岸本 香織
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

冷泉家時雨亭文庫の蔵書のうち冷泉家時雨亭叢書(朝日新聞社刊)未収録のもの約500点を詳細に調査した。そのうち77点については『新古今和歌集 打曇表紙本 風雅和歌集 春夏』をはじめとする16巻に分けて刊行した(現在も刊行中)。また、特に注目される擬定家本私家集(定家書写本の様式をまねて作成された写本群)については、和歌文学会関西例会においてシンポジウムを催した。これは、鎌倉時代中期から後期にかけての歌書が、どのように作成されていったのかを克明に研究する方法とその意義とを明確にする画期的なシンポジウムとなった。
著者
小林 幹男
出版者
長野女子短期大学出版会
雑誌
長野女子短期大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.11-30, 1999-12-21

五街道宿駅の役割は、公用通行者に人馬を提供し、継ぎ立てを行うこと、および幕府などの公用通行者や参勤交代の諸大名、公家・公卿などの貴人らに休息・宿泊の施設を提供することであった。江戸時代の宿駅の負担は、幕末期に向かって年々増加するが、助郷村の負担もこれに伴って必然的に増加し、宿駅と助郷村との紛争も各地で頻発した。幕末期に街道通行が増加した原因は、幕府などの公用旅行者の増加と経済の発達に伴う商品流通の拡大であったと考えられる。文久元年(1861)の皇女和宮下向の大行列と文久2年の幕政改革に伴う翌3年の通行量の増加は、幕末期の宿駅と助郷村の負担の増加の中でも特筆に値する。「和宮様の御通行」といわれる大行列は、京方1万人、江戸方1万5千人といわれ、文久元年10月20日辰刻に京の桂宮邸を出発し、11月14日に板橋宿に到着して、翌15日に無事江戸に入った。和宮下向の大行列の特色は、きわめて短期間に8万人もの人馬・調度が街道を通行し、宿駅と助郷村に大きな負担を課したことである。また、文久3年の人馬の通行は、長久保宿の場合、文久元年の人足総数が22,693人、馬8,412疋であったのに対して、文久3年の通行は、大名家の妻子などが国許に帰るものが多く、人足総数47,507人、馬9,439疋を数え、春から秋にわたって街道を通っている。和宮下向の人馬・調度の継ぎ立てのために、中山道八幡宿に動員された助郷村は、定助郷佐久郡28か村、当分助郷小県郡14か村、更級郡14か村、埴科郡8か村、新規当分助郷佐久郡4か村、小県郡6か村、遠国新規当分助郷甲州八代郡72か村、越後国蒲原郡64か村と記され、合計120か村(清水岩夫1998 史料16)の村々に助郷が割当てられている。このとき八幡宿と塩名田宿は、岩村田宿・小田井宿と合宿(組合)になって和宮の大行列を次の宿泊地である沓掛宿まで継ぎ通しを命ぜられた。また、下水内郡栄村の市川家に伝わる文書(現在県立歴史館に寄託)によれば、北信濃の高井19か村が岩村田・小田井両宿に助郷を命ぜられている。この奥信濃ともいわれる村々から追分宿へは、飯山・迫分間がおよそ100キロである。この距離に飯山から奥信濃の各村々への道程を加えれば、少なくとも片道2泊3日以上の行程になるであろう。また、「野沢温泉村史」によれば高井郡37か村が、追分・沓掛・軽井沢の浅間3宿に助郷を命ぜられたと記されている。この北信濃関係の調査は、まだ不十分であるが、その実態を探ることは、和宮下向と北信濃の農村の助郷問題を考え上で重要である。本稿では和宮の下向と北信濃の高井郡各村の助郷問題と共に、近世における奥信濃の街道交通の問題も合せて推考し、遠隔地の助郷に関連する助郷村と農民の負担の問題も考察することにした。
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.243-248, 1995-02-10
被引用文献数
3

播種日の違いがイチビの開花と種子生産に及ぼす影響を調査するため,1993年に,熊本県西合志町の九州農業試験場の圃場において試験を行った。試験区は,播種直前に化成肥料でN,P_2O_5,K_2Oをそれぞれ1kg/a施肥し,試験区内に畦を長さ50cm, 畦間50cmで3本設け,4月21日,5月19日,6月21日,7月13日,8月23日,9月16日10月19日および11月23日に,イチビ種子を10cm間隔で播種深度1cmで10粒ずつ播種した。種子は,4月播種区から10月播種区までが出芽し,4月から8月播種区は播種2日または3日後には速やかに出芽した。これらのイチビ実生を播種4週後に15個体/区,さらに播種8週後に9個体/区の密度に間引きし,この15または9個体の開花と種子生産を調査し,播種月ごとに比較した。1)供試個体は,4月播種区から8月播種区までが開花し,播種から開花までに要した日数は,4月播種区で88.0日で最大となった。以後,播種期を遅らせるのに伴い減少し,7月播種区が44.6日で最小となったが,8月播種区ではやや増加した。また,開花開始時の草丈および葉齢は,4月播種区が最大であり,播種区を遅らせるのに伴い減少し,8月播種区で最小となった。このように,イチビの開花は強い短日性を示した。2)供試個体は,4月播種区から7月播種区までが種子を生産した。播種から種子生産開始までに要した日数は,4月播種区が97.0日で最大となり,播種日を遅らせるのに伴い減少し,7月播種区が63.4日で最小となった。種子生産量は,4月播種区が2,214個/個体で,他区に比較して著しく大となり,7月播種区が424個/個体で最小となった。種子100粒重は866mgから993mgの範囲となり,4月および7月播種区では,5月および6月播種区より大であった。3)これらの結果から,九州では,春から初夏にかけて出芽したイチビは,開花の短日性により種子を効率的に生産することが明らかになった。
著者
小林 昭博
出版者
関西学院大学
雑誌
神學研究 (ISSN:05598478)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1-14, 2006-03-20
著者
菅野 了次 田村 和久 平山 雅章 鈴木 耕太 小林 玄器 森 大輔
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

エネルギーデバイスへ応用可能な新しいイオニクス材料の開発を行った。古典的な材料探索に加え、理論科学、情報科学との連携により、材料探索の新しい指針を検討した。新しいイオン導電種であるヒドリド導電体を開発し、全固体型のデバイス用電解質としての応用可能性を見出すことができた。量子ビームを使ったナノ界面解析では、数nmスケールの電気化学界面構造とデバイス性能との相関と制御指針を見出すことができた。既知構造を利用した探索により、リチウムイオン、酸化物イオンが拡散する固体電解質を開発した。さらに、情報科学の手法を用いて新組成、新構造を有する材料探索にも着手し、その課題と展開可能性を提示することができた。
著者
小林 直人 赤松 幹之 内藤 耕 藤田 茂 小野 晃
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.722-734, 2013
被引用文献数
1

2008年に第2種基礎研究を中心とした原著論文を掲載する学術誌「Synthesiology(シンセシオロジー)–構成学–」が創刊された。Synthesiology(シンセシオロジー)に掲載される研究論文は,研究開発がめざした目標,それを実現するためのシナリオ,シナリオを実践するための要素技術の選択と統合の方法,研究成果などを明確に述べることが求められている。本稿では,この学術誌がめざした理念や,発刊に至った経緯,発刊の趣旨などを述べた後,実際に掲載された70編の論文を対象にして,構成の方法論を分析した結果を紹介した。全体として,共通の構成方法として,「技術的な構成」とも呼ぶべき方法論が重要であり,さらに研究成果を社会に導入していくためには,「社会導入に向けた構成」と呼ぶものを連続して起こす必要があることが明らかになった。また,今後はさらにシナリオの構成方法とその使用,役割についても詳細に分析を進めていくことの重要性が認識され,これらを含む本学術誌の今後の課題についても言及した。
著者
末田 敬一 辻岡 康則 高橋 大和 川戸 栄 小林 喬郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.59, pp.17-20, 2003-05-09
参考文献数
8

準4準位系材料であるYb:YAGは、高い原子量子効率、長い蛍光寿命等の特性を有し、高効率、高出力のレーザ結晶として適しており、小型のLD励起高出力超短パルスレーザの実現が期待されている。結晶内の温度上昇を抑制し、かつ励起強度を高めることを目的として、スラブ状結晶を用いた新しいLD端面励起Yb:YAG薄型スラブレーザの発振実験を行った。結晶は寸法0.3mm×4mm×50mmで、両面からサファイアのディフィージョンボンディングを行う。出力特性として344WのCW励起で出力128W、光-光変換効率37%、スロープ効率47%のマルチモート゛発振出力が得られた。
著者
小林 俊平 清水 信哉 峯松 信明 広瀬 啓吉 平野 宏子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.471, pp.95-100, 2012-03-01
参考文献数
19

より自然な音声を出力する日本語テキスト音声合成システムを実現するためには,入力文中の各アクセント句のアクセント核位置を適切に推定する必要がある.筆者らはCRFを用いた統計的アクセント型予測モデルに,従来から広く用いられていたアクセント結合規則を素性として組み込むことで,大きな精度改善を実現してきた.しかし,数詞を含む句や外来語を含む句など,特殊なアクセント変化を起こす句に対しては,まだ十分な精度が出ていなかった.そこで本稿では,これらの句に対して規則処理を参考にすることで定義される素性を付加することで,精度改善を試みた.また,アクセント変形予測技術の一つの応用として,日本語教育支援について検討した.具体的には,任意の日本語テキストを対象とした活用語アクセント辞書の自動生成システムを作成した.
著者
金川 裕紀 能勢 隆 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.364, pp.191-196, 2011-12-12
参考文献数
22

本論文では隠れマルコフモデル(HMM)に基づく音声合成において,目標話者の読上げスタイルの音声のみから異なる目標スタイルの音声を生成する手法を提案する.従来,読上げスタイルモデルから少量の目標スタイル音声を用いてスタイル適応を行うことにより目標スタイルの任意の文章を合成する手法が提案されているが,目標スタイルの音声が得られない場合にはこの手法を利用することはできない.提案法では,あらかじめ複数の話者により学習された読上げスタイルモデルに対し,同じ話者による目標スタイルへのスタイル変換を線形変換により表現する.これにより得られる変換行列は特定の話者に依存しない不特定話者のスタイル変換を表すため,これを目標話者の読上げスタイルモデルに適用することで目標話者の目標スタイル音声が利用できない場合についてもスタイル音声の合成が可能となる.評価実験では変換後の合成音声について話者性,スタイル再現性および自然性の3つの観点から提案法の有効性を検討する.