著者
小田 哲久
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.135-145, 1998-08-15
被引用文献数
5

本論文は, ファジィ論理の真理値(Truth Value)を多次元に拡張した論理体系を提案する.本提案は, FCR法(Fuzzy-set Concurrent Rating Method : ファジィ多項目並列評定法)という, 心理測定法における応答の矛盾度を表わす指標に理論的意味を与えるために提案されたもので, 命題の真理値(Truthfulness : T)と偽値(Falseness : F)を独立次元とみなす.類似のアイデアに, 向殿・菊池の「拡張区間真理値モデル」があるが, 本提案では, TとFの直積空間としての超論理空間(Hyper Logic Space : HLS)を設定する.HLS上で論理演算を定義することで, 向殿らのモデルとは別の形の否定演算が導かれた.その論理代数系は, クリーネ律を満たし, 演算の結果が理解しやすい.HLSは, 矛盾への洞察を助け, また, より高次の超論理空間への拡張の道筋を示している.
著者
小柴 等 相原 健郎 森 純一郎 小田 朋宏 星 孝哲 松原 伸人 武田 英明
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.63-81, 2010-01-15

本論文では,ブログとライフログを利用した記憶の想起と記録の支援システムの提案と,当該システムの一般ユーザにおける受容性について述べる.まず,ブログやライフログをめぐる現状の課題に関する概観について述べ,それらの課題を解決するために,ライフログデータをもとにしたブログ生成支援システムの提案と,支援システムを支える,ライフログデータからのユーザの興味・関心推定手法の提案を行う.次いで,実店舗と一般ユーザを用いた実証実験により,当該システムの有効性と受容性について考察を行う.実証実験の結果からは,ライフログデータをもとにしたブログ生成支援システムについて,ふだんブログに関する活動に積極的でないユーザからも多くの記事が編集されるなど,広く受容され,有効に機能したこと,筆者らの提案する興味・関心推定手法は,単純に滞在時間によって興味・関心を推定する手法に比べて,より高精度に興味・関心を推定できること,ライフログデータをもとにブログ記事のひな形を作成する際に,ユーザの興味・関心という主観を用いてデータを丸めることで,行動情報の取得に対する嫌悪感が低減され受容されやすくなる可能性のあること,などを示唆するデータを得た.We propose a methodology for memory recall and memo aid by an integrated system of blog and lifelog in this paper. We start off by discussing the relevant blog and lifelog issues. We then propose a solution that consists of two components. The first component is a blog authoring aid system based on lifelog data. It is a blog system integrated with lifelog for memory recall and memo aid. It automatically generates blog templates from lifelog data. The second component facilitates the interest estimate algorithm. The algorithm is implemented in the system in order to generate more acceptable blog templates. We have been conducting an experimentation using general customers as the subjects in an actually operating general store of up-to-date popular items. Our experimental results reveal that the proposed system supported the users to post blog entries. One interesting observation is that inactive blog users post as many blog entries as active blog users when using our system. The results also show that the proposed interest estimation algorithm is more accurate than a stay-time based method. In addition, it was found that the proposed method provides a positive result to reduce negative attitudes against behavior logging.
著者
工藤 逸郎 三宅 正彦 見崎 徹 小室 歳信 金山 利吉 若松 佳子 納村 晉吉 篠田 宏司 太田 肇 下山 哲夫 会田 卓久 松江 高光 小田 泰之 関根 光治 和田 雅彦
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-20, 2011-03-31

戦中の歯科月報は,戦局の激化により昭利19年(1944)6月20日発行の第24巻第5号を以て廃刊となったが,戦後昭和24年(1994)5月30日日本大学歯学会発行,復刊記念号として復刊された.雑誌の性格は戦中迄の歯科月報と同様,学術誌,同窓会誌との二面牲を持つ性格のものであった.昭和26年(1951)10月31日発行の歯科月報復刊第2号から昭和29年(1954)10月30日発行の歯科月報復刊第10号迄は日本大学歯科同窓会発行となる.復刊第10号は学会誌と同窓会誌の二重の牲格を持つ最後の会誌となる.昭和30年(1955)6月,大学院設置予定に伴い学会誌のみの雑誌の必要性から歯科月報は第29巻第1号から日本大学歯学会機関誌に決定された.そのため同窓会関係については新たに同窓会誌を発行する必要が生じ,昭和31年(1956)3月21日,日本大学歯学部同窓会会誌創刊号が発行された.その後,同誌は日本大学歯学部同窓会雑誌,日本大学歯学部同窓会誌と改題して現在に至っている.歯科月報は昭和39年(1964)1月,日大歯学(Nihon University Dental Journal)第38巻第1号に改題し現在に至っている.以上について本学の歯学部,同窓会,図書館等の資料を用いて検討し若干の考察を加えて報告した.
著者
菅原 悦子 伊東 哲雄 米倉 裕一 櫻井 米吉 小田切 敏 SUGAWARA Etsuko ITO Tetsuo YONEKURA Yuichi SAKURAI Yonekichi ODAGIRI Satoshi
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.p520-523, 1990-07
被引用文献数
1

Bacillus natto was cultured in the chemically defined liquid medium which contain various amino acids as nitrogen source, and effects of amino acids on the formation of pyrazines were examined. The amino acids which are related to glutamic acid on metabolism, L-glutamic acid, L-aspartic acid, L-arginine and L-proline, promoted the best growth. Yields of pyrazines produced in the culture broth were not always parallel to cell growth. In the case of L-serine, L-aspartic acid, L-alanine and ammonium citrate, whole pyrazines were yielded about 10mg/l and above, and mostly consisted of tetramethylpyrazine. Pyrazines which have a characteristic side chain corresponding to the amino acid present in the medium were not detected.各種アミノ酸を添加した合成培地で納豆菌を培養し,ピラジン化合物の生成量を比較検討し,ピラジン化合物生成に対する納豆菌の役割について考察した.(1) 各種アミノ酸を添加した合成培地での納豆菌の増殖は代謝上, L-グルタミン酸と関連の深いアミノ酸(L-グルタミン酸, L-アスパラギン酸, L-アルギニン, L-プロリン)で良好であった.(2) 培養液からのピラジン化合物の抽出方法として,加熱条件の有無を考慮して, LIKENS-NICKERSON型連続蒸留抽出装置を用いる方法とPorapak Q吸着剤を用いる方法を比較したが,連続蒸留抽出法でピラジン化合物が二次的に生成している可能性は薄かった.(3) 納豆菌の増殖の良否とピラジン化合物の生成量には相関はみられず, L-セリン, L-アスパラギン酸, L-アラニン,クエン酸ニアンモニウムで, 10mg/l前後,あるいはそれ以上のピラジン化合物を検出し,その大半はテトラメチルピラジンであった,(4) 各種アミノ酸の特徴的な側鎖をもつピラジン化合物は確認できなかったので,この化合物はアミノ酸から直接生合成されず,より簡単な中間体をへて生成される可能性が高い.(5) 納豆菌が関与するピラジン化合物生成はその前駆体を多量に生成することによる可能性は高いが,最終段階まで酵素的に進むことも考えられ,さらに検討が必要である.
著者
遠藤 俊樹 山田 秀昭 小田 稔周
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.2, 1999-03-08
被引用文献数
1

近年, IP網と電話網を融合した通信サービスを実現するため, IP網と電話網の間で, 通信プロトコル変換を行う音声ゲートウェイ(以下音声GWと称する)が開発されている。音声GWは, 低レート音声コーデックを適用することで, IP網でのパケットの使用帯域を低減しているが, IP/UDP/RTPヘッダによるオーバヘッドの問題が生じ, IP網に対し多量のIPパケットを転送することで, IP網内のパケット処理負荷を増大させる問題が生じる。これらの問題に対処するため, 同一着音声GW宛の音声データブロックを複数個多重して転送する方式が提案されている。本稿では, 音声GWにおいて, 各チャネル毎に複数の音声データブロックをまとめて転送する方式と, 複数チャネルを多重化する方式の, 各音声データブロックをパケット化する際の待ち時間(パケット化遅延)を考察する。その結果, 複数チャネルを多重化する方式が, 各チャネル毎に複数の音声データブロックをまとめ転送する方式に比べ, パケット化遅延が小さいことを示す。
著者
佐久間 正泰 小田 健市 高木 市教 三田 安幸 梅田 臣也 井上 誠喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.649, pp.125-130, 2005-01-28
被引用文献数
1

ゴルフ中継において、3次元形状計測による正確なデータを用いて描いたCGで、グリーン上のアンジュレーション(起伏)をより分かりやすく表現できるシステムを開発した。バーチャルシステム用カメラ雲台を使い正確なカメラデータを取得することにより、グリーンの実写映像から、同じカメラ位置のCG映像に滑らかな乗り換えを行う。その後、ゴルフ選手が行うように、低い視点から、ボール側からカップ側、または、カップ側からボール側を見るなど、CG内で自由な視点変更を行うことで、効果的にアンジュレーションを表現できる。今回、このアンジュレーション表示システムの開発について紹介すると共に、第69回日本オープンゴルフ選手権中継で本システムを使用した例を報告する。
著者
小田 竜樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

スピン軌道相互作用などほとんど全ての相対論効果を含む電子に対する擬ポテンシャルの開発を推進し、これらを既存の第一原理分子動力学法へ組み込む開発研究を行い、さらに開発された計算コードを用いて、スピントロニクス等で重要となる磁気異方性の電界効果や半導体のラシュバ効果といった新しい研究分野において計算科学的理論的研究を推進した。その結果、開発した計算コードがこれらの分野において重要な研究手段を提供することを実証した。
著者
清家 剛 三牧 浩也 原 裕介 小田原 亨 永田 智大 寺田 雅之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.451-456, 2011-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
9

急速な人口減少や高齢化に直面し、我が国では詳細な人口変動分析に基づく都市の再構築が必要になっている。しかし、国勢調査などの既存の基幹統計では、都市内部における人口変動を十分に捉えることができない。NTTドコモのモバイル空間統計は、携帯電話サービスを提供するために必要な運用データから時間毎に変化する人口の地理的分布を推計した統計情報であり、都市解析の新たな手段となることが期待される。本稿では、千葉県柏市におけるケーススタディを通じて、モバイル空間統計の信頼性の検証並びに、まちづくりにおける活用可能性の検討を行った。
著者
坂本 一之 小田 竜樹 木村 昭夫 木村 昭夫 R.I.G. Uhrberg M. Donath
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

半導体表面上に作製した低次元ナノ構造体での巨大スピン分裂など、特異なラシュバ効果の観測とその起源の解明を目的に実験と理論の両面より研究を遂行した。その結果、固体表面の対称性に起因した、表面垂直方向に100%偏極したラシュバスピンや、不可欠だと思われていた時間反転対称性がなくてもラシュバ効果が起こることなど、それまでの常識を覆すようなラシュバ効果を報告した。また、ラシュバスピンの向きが原子核近傍の電荷分布の非対称性により決定されることも示した。
著者
小田 隆史
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.12-27, 2010-03-15
被引用文献数
1

諸政策の新自由主義化にともなって,近年の米国都市社会においては,市民や民間企業等が,行政府や立法府と連携して都市社会を協治する「ガバナンス」という新秩序が創出されはじめ,この変化に関する隣接分野での研究が盛んになっている。こうした政策のパラダイムシフトが都市社会にもたらした変化の一端を捉え,新たな都市ガバナンスにおける行政と市民との連携のあり方を考える地理学的研究が求められる。その前提として,本稿は,米国カリフォルニア州サンフランシスコ市における歴史文化資源の保存に関係する法制度及び政策に関与する主体の変化に着目し,新旧制度の変化を整理,提示した。また,サンフランシスコ日本町において市民らがコミュニティ存続を訴えた「日本町保存運動」を取り上げ,この運動によって,旧来の行政による一般的な許認可手続きに加え,文化的遺産を考慮して再開発の許認可を行う特殊な法令・規制が付加された点,及び都市政策に日本町のNPO関係者や商店主等が,より直接的に関与するようになり,都市再開発にかかる主体と制度が変化・多様化した点を明らかにした。
著者
小田 亮
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.143-157, 1992-03-31
著者
小田嶋 哲哉 チャントゥァンミン 李 珍泌 朴 泰祐 佐藤 三久
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.12, pp.1-8, 2011-03-08

高い演算性能及びメモリバンド幅をもつGPUを搭載したGPUクラスタが高性能計算プラットホームとして広く利用されている.GPUクラスタではプログラミングが非常に複雑になることや,計算負荷がGPUまたはCPUのどちらかに偏り,計算リソース全体を有効利用しにくいという問題がある.そこで,分散メモリシステム向けの並列言語であるXcalableMPをGPU向けに拡張して,GPUクラスタ等のヘテロジニアス環境に適応させることを検討する.本稿ではその予備評価として,XcalableMPによるGPU/CPU協調計算を行い,典型的なHPCアプリケーションであるN体問題と行列積計算を対象に,GPUとCPUへの計算負荷分散による最適化を行い,これらによる協調計算の可能性を検討した.その結果,2ノード・2GPUのシステム上でGPUに割り当てるデータを50%から60%にしたところ,最大で約1.7倍の高速化を得ることができた.As shown in TOP500 List at November 2010, GPU clusters have been recognized as highly cost-effective HPC resources. However, the programming on GPU cluster requires much harder effort than ordinary PC clusters because of complicated heterogeneous coding with combination of CUDA/OpenCL, OpenMP and MPI, for example. In order to provide a solution for this, we will consider an extension of parallel programming language XcalableMP for GPU cluster computing. In this paper, we propose an textended notation of XcalableMP for data and process distribution in a GPU cluster. We also preliminarily evaluate the performance enhancement by a cooperated computing with GPU and multi-core CPU on typical HPC applications, N-body calculation and matrix multiplication. As a result, we confirmed the maximum of 1.7 times higher performance when we distribute the 50 to 60% of computation to GPU, compared with the case with 100% of computation only by GPU.
著者
田代 真人 小田切 孝人 田中 利典 田代 真人
出版者
自治医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1.ラット気管支上皮のクララ細胞が分泌する新しいセリン型酵素トリプターゼ・クララを分離同定し、これが肺における野生株ウイルスの活性化プロテアーゼの本体であることを証明した。更に、トリプターゼ・クララが気道上皮にのみ分布することが、センダイウイルスの感染増殖が肺に限局することの直接の原因であることを証明した。2.初感染巣である気管支上皮細胞において、ウイルスの出芽極性が尖頂領域に限局していることが気道における局所感染を規定し、一方、側基底領域から出芽することが全身臓器へのウイルスの播種に必要であることを証明した。3.センダイウイルスに感染した上皮性細胞が膜融合を起こして融合巨細胞を形成するためには、F蛋白の開裂活性化に加えて、ウイルス糖蛋白が側基底領域に発現していることが必要条件である。4.側基底領域からも出芽するF1-R株の感染細胞では、微小管などの細胞骨格系の構造と機能が破壊されており、上皮性細胞の持つ細胞極性が破綻していた。更に遺伝子塩基配列の比較から、F1-R株の変異M蛋白がこれに関与していることが強く示唆された。
著者
TranMinhTuan 李珍泌 小田嶋哲哉 朴泰祐 佐藤三久
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.53, pp.1-8, 2011-07-20

GPU アーキテクチャの汎用化と高速化によって,GPU クラスタは高いコストパフォーマンスと演算性能,省電力化を HPC 分野にもたらしている.これまで汎用計算における GPU の高速化効果を目的とするプログラミング言語モデルの拡張やライブラリが数多く提案されてきた.しかし,これらは GPU を搭載するシングルノード環境を対象とする拡張が多く,GPU クラスタなどのメモリ分散システムを対象とするものがまだ少ない.multi-node GPU クラスタにおける高い性能プログラミングは通常の 1 ノード内のホストーGPU の拡張だけでは不十分,それぞれのノードにまたがる GPU どうしのプログラミングも意識する必要がある.そこで,現在,我々は Partitioned Global Address Space(PGAS) プログラミングモデルをベースとした並列プログラミング言語 XcalableMP を GPU クラスタに適用可能とするための拡張を行っている.本稿では,行列積計算を対象に,GPU クラスタにおける XMP-ACC 拡張のプログラミングコストと性能について調査した.その結果,4 ノードの GPU クラスタにおいて,CPU のみを用いた XcalableMP プログラムよりも,それに数行の XMP-ACC 指示文の追加したプログラムのほうが約 42 倍の速度向上が得られた.