著者
小玉 美意子 白水 繁彦 吉田 文彦 小田原 敏 音 好宏 鈴木 弘貴
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1)本研究の研究対象テレビ局の夕方のニュース(午後6時から8時ごろの時間帯に30分程度放送する全国向けの番組)、即ち、ブラジルーGloboのJurnalNacional、イギリスーBBCのSixO'ClockNews、アメリカーCBSのCBSEveningNewswithDanRather、日本一NHKの『NHKニュース7』である。2)研究方法(1)各局の番組担当者、その他関係者とのインタビュー調査(2)各番組を2004年11月〜12月にかけての連続しない3週間にわたって録画し、ニュースの長さ、範域、分野、伝え手、情報源、画像素材などについてコーディングして分析する内容分析調査(3)上記の調査をもとに特定項目に着目して研究し考察する3)各国ニュース番組の特徴CBSは、自国と直接関係のある海外ニュースは多かったが外国ニュースは極めて少ない自国中心主義である一方、局独自のテーマ設定で医療番組に多くの時間が割かれた。NHKは地方ニュースをよく扱っており、社会ニュースが多いのだが、「発表もの」の比率が極めて高く、女性とマイノリティの参画は非常に少なかった。Globoは経済ニュースが多く、取材情報源は多様で、女性の参画比率が高かった。BBCは外国ニュースの比率が他国より高く、議会における政策論議を中心とする政治ニュースが多かった。4)9/11事件以後の国際テレビニュースの内容変化(1)9/11以後、世界のジャーナリズムは感情的になったといわれるが、CBS以外では認められなかった。(2)4番組とも政府情報源に大きく依存し、特に国際および外国ニュースにおいてそれは著しい。(3)同じ事件も番組により、視点や使う言葉で違った枠組みが作られ、それにより出来事の印象が変えられる。(4)"国際"を「外国で発生する自国ニュース」と捉えると、CBSは4つの番組の中で最も「自国志向」である。(5)9/11のような出来事は、ニュース制作過程、中でもニュース情報源に大きな影響を与えた。しかし、どの局も基本的な番組制作の方針は変えていない。
著者
小田垣 孝 松井 淳
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究の目的は、ガラス形成過程で見られる動的性質を統一的に理解し、ガラス化過程の本質を解明することにある。トラッピング拡散模型を発展させ、動的性質の総合的な理解、またそのモデルの基礎付けを行うこと、分子動力学シミュレーションによって、ガラス化過程における動的性質の変化を調べて、ガラス化過程の物理的理解を行うことを目指した。まずトラップされた運動およびジャンプ運動を考慮したトラッピング拡散模型の解析を行い、動的構造因子、一般化された感受率の温度依存性を求めた。主緩和時間が、Vogel-Fulcher則に従うことを示した。また、ノンガウシアニティーの温度依存性を求め、実験と定性的に一致する結果を得た。また、感受率の実部の対数に対してその虚部の対数をプロットするlog-コール・コールプロット法を開発した。二成分のソフトコア系の分子動力学シミュレーションを行い、動的構造因子、感受率の振動数依存性が、トラッピング拡散模型でよく再現されることを示すとともに、α-緩和の緩和時間がVogel-Fulcher則に従うこと、β-ピークはボソンピークと考えられること、速い過程が存在することを示した。格子点sを中心にした調和振動子を考え、さらに平衡位置sが二種類のストキャスティックな運動を行う理想3モードモデルを提案し、これらの運動が過冷却状態で見られる動的性質の特徴を再現することを示した。トラッピング拡散モデルの基礎付けを行い、活性化エネルギーが分布した活性化過程による緩和が、一般にトラッピングモデルで表されることを示し、持ち時間分布の各モーメントの発散から様々な特異温度を統一的に理解できることを示した。また、温度とエクセスエントロピーの積のガラス転移点における値からのずれが、適切なパラメーターであることを示した。
著者
小田 尚也
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は米国同時テロ事件以降大きく変化した海外からパキスタンへの送金パターンを分析し、その要因と送金の経済的役割を分析した。特に米国からの送金に焦点を当てた。米国からの送金が急増した要因として、インフォーマルな送金への規制、米国に資産を持ち続けることへの不安、パキスタン経済の成長などを指摘した。中東からの送金が受け取り家計の日々の消費ニーズに使用される一方、米国からの送金は経済的な利益を追求する目的として利用されていることを議論した。
著者
和田 正平 PIUS S.B MASAO F.T 小田 亮 阿久津 昌三 栗田 和明 渡辺 公三 江口 一久 端 信行 PIUS S.B. MASAO F.T.
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

本調査はケニア、タンザニア、ザイ-ル、カメル-ン、ガ-ナを主要調査国として1989年から3年間(3年目は調査総括)伝統的政治構造と近代化の比較研究を目的に実施された。調査開始後の1990年頃からアフリカには「民主化」の気運が急激に高まり、複数政党制へ転換する要求運動が実現にむけて動きだした。1991年11月ザンビアで一党独裁が打倒され、12月にはケニアの一党制廃止がきまった。こうした独立時を彷彿させるような急激な民主化運動は社社主義の挫折という国際関係の大変化に呼応しているが、内実、根強い部族主義から噴出している面も否定できない。調査は政治人類学的な視角から住み込み調査法によって行なわれ、以下のような調査成果が得られた。ケニアでは、新しく結成された二大野党FORDと民主党の支持基盤について調査を行なった。民衆の民主化要求では裏面で小数派のカレンジン族出身の現大統領に対する反政府運動であり、新党の結成は新しい部族の対立と反目を生み出している。他方部族の基盤である農村では西ケニアを中心に住み込み調査を行なった。地方では、近代行政とは別個に伝統的権威をもった長老会議が実質的な力をもっていることが明らかにされた。具体的にはアバクリア族のインチャマのように長老会議は邪術者によって構成されているが、個別利害をこえて裁判等を行ない、その権威は正当化されている。タンザニアでは逆に伝統的な長老会議は衰退、共同体儀礼の消滅が記録された。調査したイラク族の村ではウジャマ-開発が強行された後、行政組織はCCM(革命党)に密接に関連するようになり、長老会議は家庭内のもめ事を解決するだけに機能が縮小した。しかし、かつて首長制があったニャキュウサ族ではCCMの影響もさほど強くなく、長老会議の権威がまだ維持されていて、土地の再分配等に大きな発言力をもっている。ザイ-ルでは1990年にカサイ州、クバ王国を調査した。現王朝は17世紀前半の王から数えて22代目にあたり、今日も伝統的権威をもった王が、実効的な統治を行なっている。今回は、王国に生きる人々の社会空間の場がどのようにつくられるかを目的に調査を行なった。具体的にはクバ王権とその傘下のショウア首長権を対比し、両者の最大の質的差異が女性の「集中=再分配」システムから発していることが明らかになった。王権の形成史を女性の授受関係を通してみることがいかに重要な視点であるかを明示できたと思う。カメル-ンでは19世紀末から20世紀初頭にかけて、北部フルベ諸王国で創作された抵抗詩「ムポ-ク」を採録した。「ムポ-ク」はヨ-ロッパ人の前では決して明かすことのなかったフルベ族の本心が、詩というメタフォリックな形で表現された貴重な資料である。伝統的な吟遊詩人「グリオ」が朗唱の中で暗に植民地政府を批判し、世論を形成していった社会状況がこの詩からうかがい知ることができる。また北西部州では、マンコン王国の伝統的王制と近代文明的価値をめぐって調査を行なった。歴代伝承されてきた王の伝統的諸儀礼と近代化に対応する社会と文化の変容過程に注目し、両者が功緻に融合している状態を観察し、その実態について民族誌的記録をとることができた。ガ-ナでは中部アシャンティ王国の王都クマシにおいて現地の歴史資料に依拠しつつ、歴代王位の継承方式のついて調査を行ない、アサンテ王における王位をめぐる相克の歴史を明らかにした。王朝は統合と分裂を繰り返したが、王母を核とする「血の原理」に着眼し、王位継承を論じたところに、今回の研究の新しい展開がある。ト-ゴでは、中部山岳地方に居住するアケブ族の首長制の形成と解体に関する調査を行ない、同地方の伝統的政治組織が海岸諸王国の奴隷狩りに対抗していたことを証明することができた。以上、調査を分担した各個は、成果報告として論文を作成中であり、国立民族学博物館論文報告や学会誌等に寄稿する予定になっている。
著者
小田 福男 佐古田 彰 山本 充 李 濟民 小柳 貢 桑原 康行 瀬戸 篤
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度〜平成13年度にかけて、「極東ロシアにおける資源開発に伴う北東アジア経済の変化に関する地域学的研究」をテーマに、北東アジア経済と北海道経済の連携可能性について検討を行ってきた。そして、そうした研究の成果は、主に平成13年度の内容を中心に述べるとすれば、以下のように整理される。まず、マクロ経済的見地からは、「サハリンプロジェクトの動向」として、近年のプロジェクトの実態に関して検討を行っている。また、より大局的見地から、「ロシア連邦における極東サハリン州の経済的位置づけ」として、ロシア経済全体から見たサハリン経済の実態に関して検討を行っている。次に、ミクロ経済的見地からは、「ウラジオストックの住宅建築」として住宅産業にテーマを絞り、北海道企業のサハリン・ロシア極東進出の可能性について検討を行っている。また、こうした流れから、北海道企業の海外進出に関するテーマとして、「グローバル時代における日本企業の国際競争力-北海道企業のグローバル対応-」についても詳しく検討を行っている。さらには、「北海道企業の知的財産権戦略モデル」として、北海道企業の特許戦略による体力強化の可能性についても検討を行っている。そして、最後に法的見地からは、「海底石油資源開発の際の油流出事故により生じる損害についての国際賠償責任」として、国際法的見地からロシアとの国際ビジネスに関する実態について検討を行っている。また、「ロシア法における共同事業形態」として、ロシアにおける具体的な企業法の実態について検討を行っている。以上の複眼的見地から、「極東ロシアにおける資源開発に伴う北東アジア経済の変化に関する地域学的研究」を進め、様々な内容に関してその実態が明らかにされた。北東アジア経済と北海道経済との連携可能性を探る上で、こうした研究成果の有効活用が望まれる。
著者
小田 亮太郎 日高 大輔 大田 知行 角田 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.211-229, 2010-02-01

近年,携帯電話やPDA,ノートパソコンなどの無線通信機器を搭載したモバイル端末が広く普及しており,アドホックネットワークが注目されている.アドホックネットワークではノードの移動により,ノードの分布密度やネットワークトポロジーが頻繁に変化する.ノードの分布密度が一様でない場合,すべてのノードが一定の送信電力で通信を行うことは非効率的であり,消費電力の増加や電波干渉を引き起こすと考えられる.本論文では,隣接ノード数に基づく適応型電力制御法を提案する.提案方式は,自律分散クラスタリングを用いることで隣接ノードとの距離を測定する.そして電波の送信範囲内のノードが一定個数以下となるように自身の送信電力を制御する手法である.また,シミュレーション実験により提案方式の評価を行う.
著者
高山 守 榊原 哲也 西村 清和 小田部 胤久 中島 隆博 藤田 正勝 美濃部 重克 安田 文吉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

哲学、芸術、国家の密接な関係が、「家族」、「理性の目的論」、「ケア」、「場所の記憶」、「国民文化」、「日本的な自然」、「自然の人間化」、「世俗化」、「啓蒙」、「近代の超克」、「新儒家」、「家」、「お店」、「かぶき(傾き)-歌舞伎-」、「道理」、「鬼神力(怨霊)」、「観音力」、「まつろわぬもの」等々の概念を媒介に、深層レベルで明らかにされた。
著者
北川 雅敏 北川 恭子 内田 千晴 小田 敏明
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

[研究目的]本研究では、癌抑制遺伝子産物の分解亢進による細胞悪性化機構の解明を目指す。特にRB経路を制御する癌抑制遺伝子産物RBタンパク質とCDK阻害タンパク質p27^<Kip1>の細胞内での分解機構を明らかにする。さらに、これらの癌抑制遺伝子産物の分解実行因子の発現亢進や、分解亢進に伴い発現が変化する細胞悪性化や予後不良のキー遺伝子を解明することを目指す。[方法と結果](1)RBタンパク質のユビキチン依存的分解機構:p53のユビキチンリガーゼであるMdm2がRBタンパク質に結合し、ユビキチン化することを見出した。興味深いことにMdm2はRBファミリーの中でRBタンパク質だけを特異的にユビキチン化しp107やp130はしなかった。また、癌抑制遺伝子産物ARFはRBタンパク質のユビキチン化を抑制した。細胞にMdm2を過剰発現するとRBタンパク質の分解速度が亢進し、プロテアソーム阻害剤やドミナントネガティブMdm2、Mdm2のsiRNAで分解が阻害されることがわかった。さらにヒトのMdm2が高発現している癌検体において、RBの発現量が低く、Mdm2によりRBの分解亢進が細胞癌化に寄与していることが判明した。(2)p27^<Kip1>の分解制御機構:予後不良の癌ではCDK阻害タンパクp27^<Kip1>の分解が亢進している。我々は肺癌でp27^<Kip1>のユビキチンリガーゼSkp2とCks1の発現が有意に高いことを見いだした。さらにCks1の細胞内存在量はユビキチン-プロテアソーム系によって制御されていることを証明した。Cks1の分解低下が癌におけるCks1の高発現の原因のひとつとなっている可能性が示唆された。
著者
小野寺 淳 出田 和久 平井 松午 藤田 裕嗣 小田 匡保 礒永 和貴 大島 規江 川村 博忠 倉地 克直 杉本 史子 三好 唯義 小野田 一幸 種田 祐司 野積 正吉 青木 充子 尾崎 久美子 中尾 千明 橋本 暁子 横山 貴史
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

オランダ、ライデン大学図書館にはシーボルトが収集した21鋪の手書き彩色の国絵図が所蔵されている。21鋪の国絵図を高精細画像で撮影し、国内の類似の国絵図と詳細に比較分析した結果、21鋪の基図は慶長図1鋪、寛永図6鋪、正保図と寛文図14鋪であることが明らかになった。対となる国絵図がある一方で、基図の作成年代も個々に異なる例が多く、シーボルトの手書き彩色国絵図の入手先は複数あったと想定される。
著者
城 仁士 岡田 由香 二宮 厚美 青木 務 杉万 俊夫 近藤 徳彦 小田 利勝
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は地域一体型の老人介護施設における利用者本位・住民主体の介護サービスがどのようなものであればいいのか提案し、さらにサービス機能の今後の方向性や評価方法を提言することを目的とした。平成13年度から15年度の3年間にわたって、次のような4つの研究アプローチを設定し、研究遂行した。1)社会システム論的アプローチ高齢者をとりまく社会システムを高齢者の発達及び自立支援という視点からアプローチした。特に介護保険によるサービスを個人の尊厳により選びとれる環境整備や制度的な問題点の洗い出しを行った。2)医療システム論的アプローチ高齢者を支援する環境づくりに向けて、地域医療の観点から実践研究を展開した。具体的には、高齢化率の高い過疎地域(京都市北区小野郷)における、住民が主体となって診療所を開設・運営するという新しい地域医療運動に、研究者も参加しながら、運動の経緯を検討した。3)生活環境論的アプローチ高齢者の衣食住環境を生活の主体者としての意識や生活意欲をひきだす環境づくりという視点からアプローチした。被介護者のみならず介護者、利用者の家族、スタッフのストレスを軽減するハード面とソフト面の機能を住環境学、食環境学、衣環境学から分析・評価した。4)心理行動論的アプローチ地域一体型施設における被介護者を中心としたスタッフ、介護者、地域住民の連携を促進する介護サービスの開発と評価を生活環境心理学、ストレス心理学、環境生理学の観点から行った。施設のサービス体系にもとづく調査結果を整理し、第8回ヨーロッパ心理学会や日本心理学会第67回大会に発表するとともに、今後の介護サービスの方向性やその評価方法について検討した。以上の結果に基づいて、今後は施設における集団ケアを少人数のユニットケアへ移行するとともに、個人の尊厳にもとづく新世紀型の施設介護のあり方を提言した。また、環境生理から研究からは、寒くなるとエアコンをつけるなどの行動性体温調節反応が高齢者ではどうなのかを検討した。この反応は自律性体温調節反応が衰えると大きくなり、また,高齢者では皮膚温度効果器の低下にも関係し、若年者より劣っている.このことから,高齢者の生活環境を支援するためにはこの反応も考慮する必要があることを明らかにした。最終年度には、本研究プロジェクトのこれまでの研究成果を実績報告書という形で公刊し、今後の施設ケアの方向性の参考として福祉施設関係者に配布した。
著者
小田 啓二 山内 知也
出版者
神戸商船大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

宇宙活動に伴うシャトル乗務員の被曝線量測定、環境中ラドン濃度測定、個人中性子線量計等に利用されているCR-39飛跡検出器は、その製造過程、エッチング条件及び評価手法が研究者によって異なっているため、データの直接比較が出来ない状況にある。そこで、本研究では、これまで独立に基礎データを収集してきたサンフランシスコ大学(USF,米)、フランシュ・コンテ大学(UFC,仏)、ドレスデン工科大学(DUT,独)及び神戸商船大学の4チームが、統一された諸条件の下で軽イオン較正実験を行い、世界共通のデータベースとして確立することを目的とした。まずはじめに、1999年度までに3チーム個別に収集した水素同位体(p,d,t)およびα粒子のデータを見直すとともに、一部データを補充した。次に、4.8,6,8,10.8MeVのLiイオンを照射したサンプルを各チームに配布し、個別にエッチング処理およびデータ解析を行った。その結果、DUTチームの10.8MeVサンプルに対する評価値のみおよそ20%ずれていたが、その他のデータは概ね一致した。また、詳細に調べると、本来一本のレスポンス関数となるべきデータが、入射エネルギーに少し依存していることを見出した。同時平行で進めている潜在飛跡形成に関する基礎研究の結果から、表面に低感度の薄い層が存在しているためではないかと推論した。最後に、炭素イオンに関する実験を行った。この結果、3チーム間の評価値のずれがリチウムイオンより大きくなる傾向にあった。炭素イオンはリチウムイオンと比べてトラックエッチ率の変化が一層激しいため、特に飛跡終端での誤差が大きくなったためだと考えられる。このため、我々のチームでは、エッチング間隔を密に取るとともに、我々が開発したトラック追跡法も適用した。これらとの比較から、評価したレスポンスの誤差はエッチング間隔の選定が重要なファクターとなっていることを明らかにした。
著者
小田 匡保
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤地理 (ISSN:0454241X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.37-64, 2001-03
被引用文献数
1

In 1998 a kokumin shukusha (people's inn) in Yoshinoyama, Nara Prefecture, discontinued its business, though the number of tourists there has not decreased so much. The kokumin shukusha is one of the Japanese local public enterprises. This paper makes clear details of its establishment and business closure, and searches for reasons why it had to give up its business. The "Yoshino-sanso" Inn was established in 1970. During about ten years since the establishment it went well, but after about 1975, especially after 1994, the management became worse. Three reasons can be pointed out; the high rate of personnel expenses, the decrease of the guests and the decrease of the usage by local residents as a wedding parlor and a banquet room.
著者
石井 淳蔵 嶋口 充輝 栗木 契 西川 英彦 松井 剛 村下 訓 水越 康介 岸谷 和広 清水 信年 宮内 美穂 金 雲鎬 棚橋 豪 小田部 正明 山本 奈央 吉田 満梨
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、マーケティング競争下におけるデザイン戦略の重要性について、近年注目されつつある「ロバストデザイン」を核概念として、理論的・歴史的・実証的な研究が実施された。その主要な研究成果として、デザイン概念についての再構築が行われるとともに、競争優位性をもつデザイン戦略の現実と意義、そしてその背景としてのマーケティング競争のメカニズムが明らかにされた。
著者
小田内 隆
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究計画は12世紀末から13世紀にかけての北中部イタリアにおけるカタリ派、都市コムーネ、教会の諸関係を、この地域の独自の政治的社会的環境の中で研究し、ラングドック地方のケースとの比較を通じて、カタリ派異端の形と意味の多様性、およびそれに対する態度、政策の地域的偏差の重要性を明らかにしようとした。この報告書では3年間の期間でなされた、以上の計画のための基礎作業の成果の一部を3つの章に分けて提示した。第1章では、異端審問を権力過程の問題として考察する上での方法論的な諸問題を考察した。主として、Tアサドの研究に導かれながら、異端統制のための制度的メカニズムである異端審問の権力作用を具体的な歴史的コンテクストで分析する上での理論的な枠組みを素描した。とくに、異端審問が「告白」の制度の出現と密接な関係に立つことを踏まえて、フーコー的な権力論による理解が目指された。第2章では、ラングドックの異端審問に関する研究を踏まえて、同時代のヨーロッパにおける権力技術の発展の一部として異端審問の成立を理解した。異端と教会(異端審問)の関係は、地域社会の複雑な権力関係の網の目の中に置いて初めて、理解可能である。第3章では、Cランシングによるオルヴィエトのカタリ派に関するミクロな研究を紹介しながら、北中部イタリア都市におけるカタリ派の問題を、コムーネという特定の権力空間のなかでおきた「聖なるものと権威との関係」をめぐる論争という視点から考察した。現段階ではなお史料研究にもとづく研究成果には至らなかったが、少なくとも以上の作業にょって異端を具体的な権力関係の相において解釈し直すための枠組みを確立することはできた。
著者
北垣 一 和田 昭彦 内田 幸司 森 悦郎 畑 豊 森 悦朗 小田 一成 川口 篤哉
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

平成13年から平成16年の4年間に健常者491名に対してMRIデータを得た.健常者の平均値,標準偏差値は頭蓋内容積1576.56+-166.77(ml),全脳体積1258.55+-143.74(ml),頭蓋内容積比0.80+-0.04,左半球大脳体積534.06+-62.79(ml),右半球大脳体積549.92+-70.93(ml),であった.女性被検者248名の平均値,標準偏差値は頭蓋内容積1500.71+-141.93(ml),全脳体積1209.73+-132.77(ml),頭蓋内容積比0.806+-0.045,左半球大脳体積514.19+-57.93(ml),右半球大脳体積527.80+-64.97(ml)の結果を得た.男性被検者243の平均値,標準偏差値は頭蓋内容積1653.97+-154-40(ml),全脳体積1308.37+-137.51(ml),頭蓋内容積比0.791+-0.041,左半球大脳体積554.34+-61.17(ml),右半球大脳体積572.50+-69.75(ml)の結果を得た.頭蓋内容積,全脳体積,左半球大脳体積,右半球大脳体積は男性が有意に大きかったが,頭蓋内容積比は女性が有意に大きかった.そこで男性(243名,平均年齢62.04+-10.54歳)と女性(243名,平均年齢64.57+-9.96歳)に対して脳体積を頭蓋内容積による補正をしたところ女性は男性よりも有意に高齢であったにも関わらず,女性は男性より統計学的に有意に全脳,左大脳半球,右大脳半球とも大きいという結果が得られた.50代以降において女性は男性よりも頭蓋内腔にしめる脳体積が大きいことが解った.研究期問中にデータを得たアルツハイマー病患者21名(男性6,女性15,76.6+-6.42歳)は全脳対頭蓋内容積比0.754+-0.046,右半球大脳体積比0.330+-0.023が同年代の健常者と比べて有意に小さな値をとり脳萎縮の進行を体積として評価できた.
著者
渡邊 智子 小田 恒郎 高居 百合子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.951-957, 1995-10-15
被引用文献数
1

The study was undertaken to determine the effects of lactulose syrup on the growth and intestinal microflora of rats at different levels of dietary protein. Male rats of the Wistar strain (at 6 weeks of age and weight 97 g) were fed two control diets (15% casein and 35% casein) containing no lactulose syrup and two experimental diets (15% casein and 35% casein) containing 19% lactulose syrup for 35days. The following results were obtained : 1) The two lactulose groups showed a decrease in body weight gain and total feed intake for 35 days. 2) The growth ratio (body weight gain/initial body weight), the feed efficiency ratio and protein efficiency ratio were lower in the two lactulose groups than in each control group. 3) The weight of liver, kidney, small intestine and cecum with contents were increased in the two lactulose groups. The weight of retroperitoneal fat pads were decreased in the two lactulose groups, and this effect in rats fed the 35% casein diet was affected significantly. 4) In the fatty acid composition of retroperitoneal fat pads, linoleic acid was increased and palmitic acid decreased. 5) In the cecum, pH was decreased, and thiamin, riboflavin and Bifidobacterium were increased in the two lactulose groups. These effects in the 35% casein diet group were demonstrated significantly.