著者
小畑 協一 岸本 晃治 西山 明慶 吉田 祥子 野島 鉄人 佐々木 朗
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.20-24, 2015-01-20 (Released:2015-09-08)
参考文献数
25
被引用文献数
2 12

Recently, the occurrence of methotrexate-associated lymphoproliferative disorders (MTX-LPD) in the oral area is reported one after another. We report a case of MTX-LPD of the maxillary gingiva associated with rheumatoid arthritis (RA). A 80-year-old man was referred to our clinic because of severe pain associated with a ulcer on the left side of the maxillary gingiva. On blood tests, soluble interleukin-2 receptor (sIL-2R) was high, and EBV infection was detected. The histopathological diagnosis was EBV-positive diffuse large B cell lymphoma (DLBCL). He had been receiving methotrexate for RA. We therefore requested discontinuation of methotrexate, and the lesion was decreased and symptoms disappeared. Examination after 21 months showed no evidence of recurrence.We reviewed reports documenting 17 cases of oral MTX-LPD in Japan. The age of onset was 40-84 years old, the male-to-female ratio was 4:13, and the methotrexate treatment period was 1-114 months. The affected sites were the maxillary and mandibular gingiva in 14 cases, the tongue in 1 case, and the mouth floor in 1 case. On histopathological classification, 14 cases were non-Hodgkin’s lymphoma, and 1 case was Hodgkin's lymphoma. As for the course of treatment, 11 cases had remission with cessation of methotrexate. Symptoms improved in 1-2 weeks, and lesions disappeared in 1-4 months.
著者
小畑 伸五 武田 鉄郎
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.85-94, 2017

本研究は、知的障害特別支援学校高等部の軽度知的障害教育課程を履修する生徒がどのような情緒および行動上の課題を抱えているかを明らかにすることを目的とした。子どもの行動チェックリスト(CBCL)の教師用質問紙であるTeacher's Report Form(TRF)を使用し、生徒の評価に対する回答を求めた。その結果、知的障害特別支援学校高等部の軽度知的障害教育課程を履修する生徒の約半数が情緒および行動上の課題を抱えていることが明らかになった。また、地域の中学校からの進学者と特別支援学校中学部からの内部進学者を比較した場合、地域の中学校からの進学者のほうが情緒および行動上の課題を抱えていること、また、男子と女子を比較した場合においては、女子のほうが情緒および行動上の課題を抱えていることが明らかとなった。このことから、知的障害特別支援学校高等部の軽度知的障害教育課程を履修する生徒に対しては、指導方法や指導内容を検討する必要があると考えられる。
著者
石原 保志 塚越 浩和 西川 俊 小畑 修一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.25-37, 1989
被引用文献数
1

聴覚障害児の教育現場で字幕入りテレビ番組を利用する際に、字幕の文字量と呈示時間は内容理解に大きな影響を及ぼすと考えられる。本研究では、字幕読み取りと映像注視の時間を確保するための方法として、呈示時間を延長した場合の有効性を、字幕の文字量、番組の性質、視聴者の読書力との関連で検討した。対象は聾学校中学部、高等部生徒とし、呈示時間延長の方法としてスロー呈示、交互呈示の2方法を取り上げた。その結果、次のことが明らかになった。(1)ドラマのように人物の心情の推移が内容展開の中心となる番組では、文字量の確保が重要な意味をもつ。(2)ドキュメンタリーのように場面当たりの文字量にあまり差がない番組では、全体の文字量が多い場合、呈示時間延長の効果がある。(3)理科実験番組では、呈示時間を延長し字幕と映像を集中して見させることが内容理解を局める。
著者
原田 直哉 中島 容子 中村 徹 橋本 平嗣 林 道治 堀江 清繁 赤崎 正佳 小林 浩 井上 芳樹 高井 一郎 潮田 悦男 大井 豪一 小畑 孝四郎 喜多 恒和 下里 直行
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-10, 2013

妊婦健康診査(以下,健診)をほとんど受診することなく分娩に至る妊婦健診未受診妊婦(以下,未受診妊婦)に関する既報では多くが施設単位であるため,奈良県全体での実態を把握するためのアンケート調査を実施した.未受診妊婦の定義は,(1)全妊娠経過を通じての産婦人科受診回数が3回以下,または(2)最終受診日から3カ月以上の受診がない妊婦,のいずれかに該当する場合とした.県内のすべての分娩施設に対し,平成22年1月からの1年間の分娩数と,未受診妊婦があれば個別に母児の状況を調査した.年間11,168例の総分娩数中の11例(0.10%)の未受診妊婦を認めた.初産婦は4例(36.4%)で,5回あるいは7回と多産の経産婦もいた.未入籍は9例(81.8%),妊娠のパートナーと音信不通になっている者が5例(45.6%)いた.重篤な合併症を認めた母体が3例(27.3%),集中治療室に収容された新生児が3例(27.3%)であった.産褥健診を受診しなかった1例(9.1%)は,新生児の1カ月健診も受診しなかった.未受診を防ぐことは,母児の健康を確保するだけでなく,周産期母子医療センターへの患者集中を防ぎ,周産期の医療資源の有効利用にもつながるため,社会全体でその解消に取り組む必要がある.また未受診であった妊婦に対しては,虐待のハイリスクグループと考え,その後を通常の妊婦と異なる個別の対応を行うことにより,虐待を防止することができるかもしれない.〔産婦の進歩65(1):1-10,2013(平成25年2月)〕
著者
小畑 郁
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.143-156, 2014-03-31

グローバル化は、法的な観点からみれば、国家や国際機構によるフォーマルな規制が、国境を越えるモノ・サービス・カネの大規模短期移動に伴って、錯綜して行使される状況を意味する。それは諸国家間の権限の抵触を最大限避けるように作られてきた近代的国際/国内法秩序枠組みを破壊している。第1カディ事件でヨーロッパ司法裁判所は、自律的なEU法秩序の観点から安保理制裁の実施規則を違法として取り消したが、これが国連法秩序を一切考慮しないことを意味するとすれば、それはEU基本権規範の発展から導かれる教訓とは矛盾する。つまり、加盟国の憲法原理を尊重するEU司法府の判断がある限りで、加盟国の裁判所もEUの措置に対する全面的審査を控えてきたと解されるからである。この論理は、EU司法府と国連レヴェルのありうる審級にも妥当する。このように、グローバル化が進展すると、各法秩序の完全な自律性は失われるが、関連法秩序の中核的原理はどこでも尊重すべきであると考えられる。Globalization means, from legal point of view, the situation where formal regulations are exercised in an entangled and cumulative manner by States and international organizations. It destroys the modern framework of national and international legal orders which leaded to evade overlapping of States' competences. Sharing common purposes, total disregard of other jurisdictions' regulations is never a solution; rather, some consideration of other regulations is absolutely necessary. Thus, while perfect integrity of each legal order disappears, core principles of each of legal orders relevant to a given legal relationship should be respected everywhere. Such perspectives would be opened through critical studies in the Kadi I Judgment by the European Court of Justice and lessons told by developments of European Unions' norm of fundamental rights.特集 「グローバル化と公法・私法の再編」
著者
水田 敏夫 小畑 正明 江上 桂子
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山.第2集 (ISSN:24330590)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.249-262, 1990-07-02 (Released:2018-01-15)

Morphology, abundance and vertical distribution of vesicles were studied in a thick (40-60 m) andesitic lava flow, that lies in the underground of Kumamoto City. The vesicles are frozen bubbles that were fomed in the molten lavas at the time of its eruption. The lava can be divided into three zones: (1) an upper vesicular zone (2) a middle non-vesicular and compact zone and (3) a lower, thinner vesicular zone. The vesicles in the upper zone are elongated vertically, probably due to bouyancy-driven ascent of the bubbles, and those in the lower zone are flattened and elongated horizontally, that may be ascribed to a viscous shear flow at the bottom of the lava flow. Size distribution of the vesicles typically display nearly the log-normal distribution. Abundance, the mean size and the number density of the vesicles are greater in the upper zone than in the lower zone. Such vesicle distribution pattern is consistent to the hypothesis that the lava originally contained abundant bubbles when it was poured on the ground and then the bubbles started to ascent in the lava. Vesicles in the lower zone were the bubbles trapped by the advancing cooling front from the bottom surface of the lava. Bubbles that have escaped from the cold trap below have been accumulated in the upper zone and have been frozen in the lava upon cooling from the top surface. Mass balance calculation, however, indicates that much of the bubbles that were originally present in the lava, have been escaped through the lava surface. A dynamic cooling model was, therefore, proposed, that is to say, in the presence of surface flow in the lave during its cooling, impermeable lava crusts may not be maimtained so that gas bubbles may leak out of the lava into the air.
著者
佐藤 正寛 小畑 太郎
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.731-735, 1995-10-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

シリアンハムスターを選抜実験に用いるため, 給与飼料および交配週齢が受胎率や離乳子数などの繁殖成績に及ぼす影響について検討した。雌240匹を2群に分け, 1群には草食動物用飼料ZC-2, 他の1群には繁殖用飼料MB-1を給与して育成した (育成期) 。交配時に各群をさらに2群に分け, 1群は育成期と同一飼料, 他の1群は飼料を変えて繁殖させた (繁殖期) 。交配は各群の半数を8週齢, 残りの半数を12週齢で行った。育成期にZC2を給与し, 繁殖期にMB-1を給与した区が, 雌親の分娩数, 離乳数, 3週齢時における子の匹数および一腹体重において有意に高い値を示した (P<0.01) 。12週齢交配区は8週齢交配区に比べて, 雌親の分娩数, 分娩時における産子数と一腹体重において有意に高い値を示した。しかし, 3週齢における子の匹数や一腹体重には差がみられなかった。以上の結果から, ハムスターの育成期には比較的高繊維質の飼料を給与し, 繁殖期に繁殖用飼料に切り換えることによって高い繁殖成績が得られることが明らかとなった。
著者
加藤 禎人 小畑 あずさ 加藤 知帆 古川 陽輝 多田 豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.139-143, 2012-05-20 (Released:2012-05-20)
参考文献数
7
被引用文献数
10 16

日本の撹拌機メーカーによって開発された多目的に使用可能な種々の大型2枚パドル翼について,撹拌所要動力を測定し動力相関を試みた.その結果,亀井・平岡らの相関式の係数を若干変更するのみで,検討したすべての大型翼の動力が,同一の式を用いて相関された.
著者
小畑 真梨子 OBATA Mariko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.361-365, 2018-01-04

本稿では、身体活動を通した検証で、心身ともに音楽の感じ方の質を向上させることは、楽しさとともに音楽表現を深める可能性があることを示された先行研究、小畑(2017)において重要な因子とされた「質の意味」を考察していくものである。事実学に拠らず「意味」という視座から洞察的に見ていくことにより、その「質の意味」の洞察プロセスの行為そのものが、音楽を学ぶものや、音楽を指導していくものにとっての「本質」であるという“共通の認識”として生成されることを論じていくものである。
著者
市村 洋 鈴木 雅人 小畑 征二郎 吉田 幸二 酒井 三四郎 水野 忠則
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.2-8, 2000
被引用文献数
11

現在日本では,創造性教育への切り替えを産官学挙げて強く推進している.我々高専では,最も柔軟な思考のできると言われる16~20才の年齢層の学生を教育対象としており,また比較的少人数制(必須科目で一教室40名定員)を採っており,創造性教育に恵まれた環境である.しかし日本の長い受動的教育の経緯を一挙に転換することは難しく,学生・教師双方とも相当の負担である.そこで,新しい時代にはそれに相応しい道具すなわちマルチメディアの活用により,20~30名単位の授業を能動的にする仕組みの授業システムを設計し,その有効性を検証した.<BR>このマルチメディア支援授業は,半期15週2時限授業をPLAN段階,DO段階,CHECK段階の3段階に分け,各段階にマルチメディアを柔軟に適応することを旨として設計した.このマルチメディア活用により試験合格型から予習中心型の学習へ転換でき,従来型の授業より2~3倍の学習時間を費やしていることも検証できた.また発表後の学友の評価,自由意見の激励に感動している報告も多かった.
著者
小畑 泰寛 水谷 照一 高橋 暢彦
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.J1-J5, 2014

地上デジタル放送への完全移行後は,アナログ,デジタル並行放送期間中に暫定的に使用されていた710~770MHz までの周波数帯域から470~710MHz までの周波数帯域への周波数の移行(強制リパック)や,受信品質を確保できない一部のデジタル放送送信親局,および中継局の周波数の移行(改善リパック)があり,効率的な周波数移行と受信対策を行う必要があった.受信機が雑音の少ない信号を選択する性質を利用し,ISDB-T方式のワンセグ部分に送信側からノイズを付加すると確実に固定受信機が新しい波に移行することを確認し,「ワンセグノイズ付加法」と名付け実験,検証を行った.この方式では,固定受信の品質を損なうことなくリパックが可能で,全国の対象局所で多用され,対策期間,規模の縮小と受信者の不利益を最小限に押さえることに貢献したと言える.なお,この手法は,今後のデジタル置局計画や混信回避等による周波数変更にも引き続き有効な手法である.