著者
松尾 光弘 藤井 明子 松坂 哲應 馬場 啓至 戸田 啓介 小野 智憲 田中 茂樹 里 龍晴 森内 浩幸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.272-278, 2015 (Released:2015-11-20)
参考文献数
24

【目的】難治性てんかんに対するlevetiracetam (LEV) 長期効果の判定. 【方法】観察期間は18カ月以上2年以内とした. LEVを追加投与した76症例に対し, 50%以上発作が減少した症例の割合 (以下50%RR) と有害事象を後方視的に検討した. 【結果】全症例の50%RRは42%であった. 局在関連てんかん54例と全般てんかん20例の50%RRは, 各々42%, 35%で, 著効例は局在関連てんかんに多かった. 有害事象として, 焦燥感, 多動・衝動性の亢進が目立ち, それらは自閉症または, 注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) 傾向を合併した例に多かった. LEV追加投与前にγ-GTPが高値であった17例で追加時1剤以上を減量することで, 14例でγ-GTPの改善が認められた. 【結論】LEVは, 難治性てんかんの治療に有用であり, 長期にわたる効果が確認された. また, 肝臓への負担増悪因子となる可能性は低い. 一方, 自閉症またはAD/HD傾向を合併した患者へ投与の際には, 精神・行動面での変化を注意深く観察することが必要である.
著者
江波戸 智希 広瀬 統一 小野 高志
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.45-50, 2016

<p>Yo-Yo Intermittent Recovery Test Level 1(Yo-Yo IR1 test)の走行距離とYo-Yo IR1 test時の最大下心拍数の関係をシーズンを通じて縦断的に評価し,最大下間欠的運動能力評価法(Yo-Yo 6分間テスト)の有用性を検討することを目的とした.プレシーズン初期,プレシーズン後期,インシーズン中期を評価対象期間とした.その結果,Yo-Yo IR1 testの走行距離とYo-Yo IR1 test時の最大下心拍数は近似した変化を示した.したがって,Yo-Yo 6分間テストの心拍数を縦断的に評価することにより,選手に最大努力での運動を強いることなく間欠的運動能力の変化をある程度推定できるものと考えられ,Yo-Yo 6分間テストは間欠的運動能力のコンディション評価法として有用であることが示唆された.</p>
著者
岡村 良久 原田 征行 工藤 正育 津田 英一 小野 睦
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.102-106, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
10

腰椎椎間板ヘルニアの保存的治療法には,薬物療法,理学療法,各種ブロック療法などがあるが,その効果が明らかに証明されているものは少ないものの,長期自然経過は良好とされている.しかし,スポーツ選手,特に若年者の場合には時間的制約もあり,速やかに腰下肢痛を改善させて競技復帰をめざすことが大切である.1997 ∼ 2002年までの5年間に治療した男性43名,女性12名,計55名のスポーツ選手の腰椎椎間板ヘルニアの治療結果から保存的治療成績について検討した.仙骨裂孔ブロック,神経根ブロック,ストレッチを中心とした3週間の運動療法で29例,52.7%に運動時痛の改善を認めた.さらに,体幹の筋力訓練を継続して平均15.6カ月の経過観察では45例,81.8%がスポーツ復帰,継続可能であった.3週間で症状が全く改善しないもの,6週間でも運動時痛がとれない症例には治療法を再検討して,最終的には4例に手術を施行した.
著者
武田 崇志 大東 誠司 塩崎 弘憲 須藤 一起 小野寺 久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.2871-2876, 2011 (Released:2012-04-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は78歳,女性.大腸癌術後2週間目に腹部膨満を主訴として来院.腸閉塞を疑って施行した腹部CTで大腸の壁肥厚および脾彎曲から下行結腸にかけての著明な拡張を認め,中毒性巨大結腸症と診断.さらに大腸内視鏡で偽膜形成を認め,Clostridium difficile(CD)毒素陽性であったため劇症型CD腸炎が原因と判断した.全身状態も安定していたため初期には保存的加療を選択したが,入院後4日目にDICを併発し緊急で結腸全摘術および回腸瘻造設を施行した.術後経過は良好で特に合併症なく術後28日目に退院となった.劇症型CD腸炎は手術を考慮する必要があるが,下痢症状を伴わない場合は早期診断が困難な場合もある.今回は迅速に診断し救命しえた劇症型CD腸炎を経験したため文献的考察を含め報告する.
著者
横江 義彦 兵 行忠 広岡 康博 飯塚 忠彦 小野 尊睦
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.2450-2456, 1985-10-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Congenital aglossia is a rare tongue anomaly. There were 16 cases reported in Japan of which only one was an adult case.Recently we experienced a congenital aglossia case. The patient, a 20-year-old female, is the youngest of two children of unrelated parents, aged 32 (father) and 28 (mother). The patient's mother had a drugless normal pregnancy and normal delivery. The patient had sucking difficulty, but no treatment such as nasal feeding.Intraorally, a small extruded mass was recognized from the floor of the mouth. Both of the maxillary and the mandibular arches were very narrow, and three incisors of the mandible were congenitally missing. Radiographically, the existance of hyoid bone, submandibular, salivary gland and suprahyoid muscles were suggested by computed radiography and computed tornography. However, the patient had almost normal taste and clear pronunciation.
著者
相原 一貴 松下 和太郎 小野 武也 石倉 英樹 佐藤 勇太 松本 智博 田坂 厚志 積山 和加子 梅井 凡子 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】整形外科的手術で出血量抑制のために使用されるターニケットは,虚血再灌流障害を引き起こし骨格筋の浮腫や炎症,萎縮を発生させる可能性が報告されている。我々は先の動物実験において,圧力300mmHgで90分間ターニケットを使用すると,虚血再灌流後に筋収縮力の低下が生じ,その低下は再灌流後7日目においても完全回復に至らないことを明らかにした。しかし,7日目以降の筋収縮力の変化に関しては不明である。そこで,虚血再灌流後の筋収縮力の変化を明らかにする目的で,虚血再灌流後14日目における筋収縮力の測定,および歩行動作との関係について検討した。【方法】10週齢Wistar系雄ラット12匹(体重360.1±14.2g)を6匹ずつ正常群(以下C群)と虚血再灌流群(以下IR群)に分けた。IR群は,まず麻酔下で後肢にターニケットカフを巻き,圧力300mmHgで90分間の駆血を実施した。そして14日後に,両群の筋収縮力の測定と歩行観察を実施した。歩行観察は傾斜0°のラット用トレッドミル上を分速10m/minで歩行させ,その様子をビデオカメラで撮影し,その動画から足指伸展角と踵骨高を測定した。足指伸展角は爪先離地時に踵骨と第4中足骨を結ぶ線と床に平行な線がなす角度とし,値が小さい程伸展していることを示す。また踵骨高は足底接地時の踵骨と床の垂直距離とした。筋収縮力の測定は,ヒラメ筋を摘出し95%酸素および5%二酸化炭素の混合ガスを常時通気しているリンゲル液で満たしたオーガンバス内へ入れ,電気刺激を加え測定した。測定後のヒラメ筋は,凍結させHE染色し筋横断面短径を測定した。統計学的解析は,対応のないt検定を用い,危険率5%未満をもって有意差を判定した。【結果】筋収縮力はC群116.5±7.4g,IR群69.2±13.3g,筋横断面短径はC群58.6±2.8μm,IR群46.3±4.2μmであり,どちらもC群に比べIR群に有意な低下が認められた(P<0.05)。一方,歩行に関する測定項目である足指伸展角および踵骨高では,両群間に有意差は認められなかった(P<0.05)。【結論】本研究結果にて,筋収縮力や筋横断面短径はC群よりもIR群が有意に低下していたが,歩行に関する評価項目に有意差は認められなかった。一般的に筋収縮力は,筋横断面積と比例関係にある。また,虚血再灌流障害の症状として浮腫や炎症,筋萎縮が報告されている。そのため,IR群では虚血再灌流により低下した筋収縮力が完全回復していないことが推測できる。一方で,歩行に関して差がなかったことについては,歩行自体は低負荷の運動であるため,運動から筋機能の状態を評価するには,より負荷の高い運動に対する反応から判断する必要性が示唆されたと推測する。よって,虚血再灌流後14日では,歩行が正常であっても,筋機能の回復は完全ではない可能性があることを明らかにした。
著者
小野 真嗣
出版者
グローバル人材育成教育学会
雑誌
グローバル人材育成教育研究 = Journal of the Japan Association for Global Competency Education (ISSN:21883505)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.43-52, 2017-03-31

This paper describes the practice of an overseas study tour program in which Japanese college students of science major not only learn English (EFL/ESL) but also teach Japanese (JFL/JSL) to English college students as teaching assistants. The purpose of this practice is to produce the opportunity that they are able to use English actively with a sort of work role in order to avoid passive learning. By offering such an opportunity to the students, the author expects that they use English as a foreign/second language, see Japanese as their first language again in a fresh light, and cultivate their intercultural understanding competency more than ever before. As a result of the practice, the students had a good opinion of the practice. They thought that their English skills were improved and they got more motivated after the practice. In addition, they were very satisfied with their experiment of teaching Japanese through English by analyzing the questionnaire on the practice.
著者
小野 貞文 小池 加保児 谷田 達男 久保 裕司 芦野 有悟 千田 雅之 鈴木 聡 磯上 勝彦 那須 元一 斎藤 秀行 相良 勇三 佐久間 勉 仲田 祐
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.910-916, 1989-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

ヒトの肺循環系に於ける血小板活性化因子 (PAF) の果たす役割, 及び, その作用の発現に於ける血管内皮, cyclooxygenase 系の関与を明らかとすることを目的とし, 摘出ヒト肺動脈を用いて検討した. 内皮傷害の肺動脈では, 10-6MのPAFにて, 緩徐で弱い収縮作用が認められた例があったが, 他の肺動脈では, 内皮非傷害, 内皮傷害のもの共に収縮あるいは弛緩は認められなかった. 10-7MのPAF前投与により, 肺血管収縮物質である Histamine, Prostaglandin F2αの収縮は抑制された. この抑制作用は内皮依存性であり, cyclooxygenase 系は関与しなかった. ヒトにおいて, PAFは, 内皮細胞由来の血管弛緩物質 (EDRF) を介して作用を発現する可能性が示唆された.
著者
ラチンスキスタニスワヴアンジェイ 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.193-198, 2008-02-09
参考文献数
13

We propose a new approach for dealing with multipitch analysis of musical signals that makes use of the fact that such signals are highly structured. This structure comes from the many musicological rules of the western tonal music and we model it by using the recently developed method of Hierarchical Hidden Markov Models. We propose a model with four layers: song key chord and note combination layer. One of the big advantage of this approach is that besides from information about pitches we get higher level musical information about chord progression and key modulation.We propose a new approach for dealing with multipitch analysis of musical signals that makes use of the fact that such signals are highly structured. This structure comes from the many musicological rules of the western tonal music, and we model it by using the recently developed method of Hierarchical Hidden Markov Models. We propose a model with four layers: song, key, chord, and note combination layer. One of the big advantage of this approach is that, besides from information about pitches, we get higher level musical information about chord progression and key modulation.